恋と友情と。

序章

 額からじわじわと噴き出す汗。もうそろそろ夏休みが始まる。何して遊ぼうか、など考えていたら接近してきていた友人、麦に気付かなかった。
「わぁ!!」
「うおっ!?」
自分の間抜けさにつくづく呆れる。どんだけ真剣に夏休みのことを考えていたのか。
「[仲の良いクラスメイト]ちゃん、夏休みなにするの?」
「んー、まだ特に決めてないよー。」
「じゃあさ、みんなで遊ぼう!!」
「いいよー。」
私にはみんなが誰なのか分からなかったが、特に予定も断る理由もないので了承した。
 これが私と麦の友情に亀裂の入ることになる事の発端だった。

第一章

 ミーンミーン·····
連日猛暑日が続くなか、私[遠藤 琳]はクーラーの効いた部屋で睡魔と格闘していた。
こんな日に外に出るなんてありえない!なんて考えていた私はここ一週間涼しい自室に引きこもっていた。
「麦と約束した日まであと2日····。」
そう、2日後には私の友人麦との旅行が控えていた。来年は受験で忙しいから、と母も快く承諾してくれた。旅行の日程は全て麦が決めているらしい。麦は、「一週間の旅行で、あと二人くらい誘うからー♪」などと張り切っていた。
もちろん私も張り切っている。支度は既に終わり、念のための水着も買っている。何だかんだ言って私の方が張り切っている。
トゥルルルルルル·····
電話だ。おそらく麦だろう。私は麦以外の連絡先は知らないし、教えたこともない。
 「はい?」
「えっと、[麦から紹介された子]だよね?」
「そ、そうですけど·····どちら様?」
「えっと、祐希って言うんどけど麦から聞いてない?」
「祐希さん····」
私はここ一週間の出来事を思い出してみる。知らない人からの電話で少しテンパっていた。
「んー、特に何も···?」
「そっかー。僕は麦の友達で一緒に旅行行くメンバーの1人なんだ。よろしくね[地味な女の子]。」
「は、はい···」
 祐希さんって、完全に男子だ。まさか旅行に含まれてる人の中に男子がいるとは····。
想定外の出来事だ。

第二章

 旅行の日。不安な気持ちを抱えつつ指定された場所まで歩く。
一週間涼しい自室に引きこもっていたせいか、いつも以上に暑く感じる。
「お!![仲の良いクラスメイト]きたー!!」
「麦久しぶりー!!」
麦の横に見覚えのない男二人が立っている。1人は祐希だろう。もう1人は···?
「[地味な女の子]だね?祐希だよ。」
祐希は背が高く、細い。私とは15cmくらい差がありそうだ。
「こんにちは。遠藤琳です。」
「祐希はちゃんと電話してたんだねー!」
麦が黒髪を揺らしながらもう1人に近づく。
「ほら、幸太も。」
「あ、その、[礼儀正しい方]さんはじめまして。大山幸太と言います。」
「はじめまして。遠藤琳と申します。」
幸太さんは背は比較的低い方で、勝手なイメージだが、コンビニでバイトしてそうだ。
「じゃ、出発しよーっ!」
麦の元気な掛け声で駅のホームに向かった。

恋と友情と。

恋と友情と。

恋と友情。四人の男女の中で繰り広げられる青春物語。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-21

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  1. 序章
  2. 第一章
  3. 第二章