理系の彼

新入生オリエンテーションの帰り

バスに備え付けの小さなテレビから流れてきたのはルパン三世の「カリオストロの城」でした。
私の隣に座っている彼は特に何も言わずそれを見ていました。
会話ぐらいしてくれてもいいのに。無愛想なやつです。これからこいつがしばらくの間、隣の席だと思うと少し面白くありません。
映画はぼっけとしていたら終盤に差し掛かりました。
その時、ヒロインであるクラリス姫がルパンを助けるためマシンガンに飛びつきました。
(あ、危ない!) そう思った時でした。
「熱い! 熱い!」
彼が叫びました。熱い?何のことでしょう?炎に飛び込みなんてしてないのに。
「いくら、空冷の複銃身式だからってあれだけ打てば銃身は熱いに決まってる。とっくに蛋白質の凝固点なんてこえてるよ。」
一息でいいきりやがりました。

理系の彼

半分ぐらいはフィクションです。ちなみに実際は熱いといったのはクラスの男子のほとんどでした。まぁ理工系ですし。

理系の彼

新たな希望を胸に、友達が増えた新入生オリエンテーションの帰り。そのバスで事件は起きました。

  • 小説
  • 掌編
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  • 恋愛
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-13

CC BY-ND
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