春夏秋冬 すべての夜は赤き道。 ~第一章~

春夏秋冬 すべての夜は赤き道。 ~第一章~

不思議な力を持つ少年と少女。
二人は殺し屋。
幼くして殺しの技術を磨かれた。
活動は年中無休。
時間は夜。
そして道は…―赤く染まる。

プロローグ

ヒュー…ヒュー…。

「風が…泣いている…」

丘にたたずむは一人の少女。
歳は13、4歳あたりだろうか。
金色に輝く髪は、後ろで縛られており、風に合わせてゆれていた。

「桜夜?大丈夫か??」

そう少女に尋ねるのは一人の少年。
少女よりも年上だろうと思われる。
前髪を長めにした髪。その色は、少女と同じ金色に輝いていた。

「えぇ、大丈夫よ。それよりも…春夜、ちょっとやりすぎじゃない?」
「ん?そうかなぁ~?」

そういって二人が周りを見渡すと、血まみれの死体がいくつも転がっていた。

「ボスは、必要なものだけを集めて帰って来いと言っていたわ」
「そうだけどさー…つまんねぇじゃん」

桜夜と呼ばれた少女が、春夜という少年に口出しすると、春夜は小学生のような反論をした。
それを聞いた桜夜は小さくため息をついた。

「春夜。ここはひとまず帰った方がいいわ。たぶんこの人数があのファミリーの全部じゃない」
「あぁ、分かってる」

春夜は桜夜の言葉にうなずいた。
それを合図に二人はある言葉をつぶやいた。
『The four seasons』
その言葉はまさに、四季。すなわち…― 「春夏秋冬」。


1。

「ボス。ただいま戻りました」
「戻りましたー」

桜夜と春夜は、所属するファミリーのアジトへと戻ってきていた。

「あっ!春夜に桜夜ちゃん!お帰りー」
「ただいまです」
「ただいマンボウ!」

軽く挨拶を交わし、桜夜はボスに結果を伝えた。

「えっと、丘で発見した人数は100人。ボスの予想していたとうりでした」
「そっか。それで?」
「はい。たくさんの機械があって、どうやらあの地の力を吸い取ろうとしているのではないかと…」
「やっぱりそうか…。二人はあの土地を見張っていて?」
「でもさボスー。あいつら弱くて、相手にもなんなかったぜ」

ボスが見張りを頼むと、春夜は反論した。しかし桜夜が「春夜、黙っていて。ボスの言うことは絶対よ」と言うと、春夜は静かになった。
どうやら、桜夜には逆らえないらしい。

「あはは…。春夜、相手にもなんなかったって言うけど、君たちが強いだけだからね」
「ふーん。…わかったよ。やればいいんだろ、やれば」
「分かりました。では続けて見張りをしておきます」
「うん。よろしくね」

二人は結果を伝え終わったので、部屋を出て行こうとした。
するとそれをボスが呼びとめた。

「あ、二人とも。いつも帰ってきたときは力を解放させたまんまなのに、どうして今日は封じてるの?」
「んー?」
「えっ?」

そう、二人の髪の色は金色ではなく、夜を想像させる黒に染まっていた。

「あぁ、それはですね…。…風が泣いていたからです」
「そっか…。…うん。じゃあもういいよ」
「そうですか。では失礼します」
「失礼しましたー」

二人はそう言い、部屋を出て行った。

「風が泣いていた…か…。つくづくあの二人は不思議だな…」

二人の出て行ったあとには、ボスの独り言が響いていた。


2。

コツ…コツ…。
ボスの部屋を出た後、二人は薄暗い廊下を歩いていた。
まるで何か出てきそうだった。

「桜夜ー…。俺腹減って死にそうー…」
「あっそ。じゃあ死になさい」

だが二人は気にすることなく、口げんからしきものをしていた。
ずっと歩いていると、明かりのついている部屋が見えた。
二人はその中へと入って行った。

「うあー!飯だ飯ー!!」
「春夜うるさいんだけど…。」

二人が入った部屋の中には、数人の人がいた。

「あっ!桜夜さん、春夜さん、お帰りなさいです!」

その中の一人の少女が二人に声をかけた。
歳は二人より幼いだろうか、11歳くらいに感じられた。

「ただいま、夏希ちゃん」
「たーでーまー。てか、それよりも飯食わせろや!」

春夜が駄々をこねていると、一人の少年が笑い始めた。

「春夜、お前今何歳だよ」
「カッチーン…。今すんげえいらってきた。秋羅、おまえ表でろ」
「いいぜ、その勝負かってやるよ」

春夜をバカにした少年は、秋羅というようだ。
どうも見る限り、春夜と同じ年ってところだろう。
そんな二人を見て、一人の青年が冷たくつぶやいた。

「…お前らまじバカだろ…」

その青年は本を読んでいて、大人びたかんじをはなっている。

「冬樹さん…本音出てますよ…」
「…気にするな」

冬樹のつぶやいた言葉を聞いて、夏希が苦笑していた。
あわただしい食堂の様子を見て、桜夜はつぶやいた。

「晩御飯、いつになるんだろう…」


3。

ひと騒動あった後、一同はそろって食卓に着いた。

「すべての命に感謝して…」
『いただきます』

全員であいさつをして、晩御飯を食べ始めた。

「うめぇー!夏希の作る飯は、やっぱうまいな!」
「うん。私もおいしいと思う。流石夏希ちゃんだね」
「あ、ありがとうございます!」

料理は夏希が作ったらしく、みんな口々に「おいしい」と繰り返している。

「そういえば桜夜」
「なんですか、冬樹」

ふと思い出したように、小声で冬樹が桜夜に話しかけた。

「どうして今日は泣いたんだ?」
「…!?」

冬樹にそう言われると、桜夜は顔を青ざめた。
冬樹は桜夜の様子を見て、困った顔をした。

「いや…言いたくなければいいんだ」
「すいません…」

二人の様子に気づいたのか、春夜と秋羅が冬樹に話しかけた。

「あー!冬樹さん、また桜夜を口説いてるぅ!」
「ラブラブじゃーん!」
「ちょっと、二人とも…」

桜夜が焦って困った顔をする。
冬樹は苦笑して言った。

「お前ら一遍死ぬか?」
「冬樹さん、冗談やめてください」
「俺は本気だ」
『ごめんなさい』

ゆっくりとご飯を食べれない、一同だった。


4。

「そういえば桜夜さん、例のあれってやっぱりそうでしたか…?」
「うん。夏希ちゃんの予想どうりだったよ、ありがとう」
「い、いえ!私はみなさんのお手伝いしかできませんし…」

桜夜と夏希は今日の出来事について話してるようだ。
一方その横では、

「春夜、そのウインナーくれ」
「だが断る」
「ちっ、つれねーなー」
「…。秋羅、俺のあげるから春夜のは諦めろ」
「まじで!?冬樹さんサンキュー!どっかの誰かさんとは、器の大きさが違うわー」
「んだと!?秋羅いっぺん死にたいのか?」
「どうでもいいから静かに食事しろ、殺すぞ」
『すいませんでしたー!!』

ウインナーで喧嘩をする春夜と秋羅がいてそれを殺気でなだめる冬樹がいた。
そんな時。

「やぁ、みんな!楽しそうだねー!」

と、にこにこ笑顔で入ってくるボスがいた。
その途端、部屋の空気が冷蔵庫の中に入ったかのように冷たくなった。

「ボ…ボス。タイミングが…」
「悪すぎますよ…」

そうぼやくのは桜夜と夏希。
一方、春夜と秋羅は

「春夜?秋羅?喧嘩はダメだよ?」
『は、はい!すいませんでしたー!!』

と、涙目で謝っていて、それを冬樹が横目で見て「フッ」っと鼻で笑っていた。
「ところで桜夜ちゃん」
「なんでしょうか、ボス?」

夏希と話していた桜夜に、ボスが話しかけた。

「食事が終わったあとに、僕の部屋に来てくれる?話したいことがあるんだけど・・・」
「あ、はい。では、終わったあとに行きます」
「うん。よろしくね」

そう言い、ボスが部屋を出てった。
その途端、張り詰めていた空気がゆるいだ。

「ボス、桜夜に用があったんだな」
「そうですね…」
「早くいったほうがいいんじゃね?」
「確かに!」
「そうね」

みんなが口々に言い、その日の夕食はお開きとなった。


5。

コンコンと重たいドアをノックする音が薄暗い廊下に響き渡る。
「ボス、私です」
「桜夜ちゃんか。入っていいよ」

そう中から声が響き、桜夜はドアを開け中に入った。

「待っていたよ、桜夜ちゃん」
「ボス、私に話したいこととは何ですか?」

そう不思議そうに尋ねる桜夜にボスは笑いかけた。

「っ…!」

それは桜夜も驚くような獲物を狙う獣のようで。

「桜夜」
「…はい」

桜夜は観念したように、ボスの近くに寄った。
するとボスは、桜夜の首に噛み付いた。

「っ…!」
「桜夜、あれほど俺は言ったはずだ。怪我をしたら隠さず言えと」
「そ、それは…!」

桜夜が言い訳するようにすると「だまれ」とボスは言い、無理やり桜夜の服を破いた。
桜夜の腹には、何かで刻まれたような傷が無数に広がっていた。

「やはり…どうもおかしいと思ったんだ…楽勝だったと言ってたくせに、服に血が付いていて、それに何よりも桜夜の顔色が悪いことを…」
「ボス…やはり見破ってたんですか…」
「当たり前だ…!俺がどれだけ桜夜を心配していると思ってるんだ…!」

ボスが辛そうに桜夜を抱きしめる。
「力を封じていたのは、体力を消耗するからだろ?春夜は、桜夜の怪我を知っていて、隠すのを手伝うために力を封じたんだろう。違うか?」
「全部…ボスの言うとおりです…」
「…やはりな。春夜は怪我をしていないんだろうな?」
「はい…」
「ならいい…手当をしてしまおう。ベッドに寝ろ」

ボスの言ったとおり、桜夜はベッドに寝そべった。
ボスの持った消毒液を染み込ませたガーゼが肌の上を動くたびに、桜夜は痛みで小さく震えた。

「痛いか?」
「大丈夫です…ボス続けてください…」
「ボスと呼ぶな。名前で呼んでくれ」
「…霧紅…心配しなくてもいいから…」
「それならいい」

霧紅はそう言い、手当を再開した。
桜夜の手当が終わると霧紅は桜夜に「今日は一緒に寝るか?」と聞いた。
しかし桜夜はそれを断った。

「心配しなくてもいいわ…一人で寝れるから…」
「そうか…なんかあったらいつでも来い」
「えぇ、ありがとう霧紅。おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」

そうして桜夜は霧紅の部屋を後にした。


6。

桜夜は霧紅の部屋を出たあと、自室へと向かっていた。
だが、あまりの疲労感により、ふらりと廊下へと倒れてしまう。
しかし、あと少しで肩が床へ着こうとしたとき、ある人物がぎりぎりで受け止めた。
「っ…」体の痛みに顔をしかめながら、桜夜は自分を受け止めてくれた人物を見て、驚いたように声をもらした。

「秋羅…!?なんで…??」

驚いた様子の桜夜に対して、秋羅は困ったように笑い「桜夜が倒れそうになっているの見かけたからだよ?」と答えた。
その返答に対し桜夜は「そう…ありがとう…」と言った。

「にしても、桜夜。なんでボスに呼ばれてたの?」
「それは…」

秋羅の問いに対し桜夜は返答に困った。なぜなら自分が怪我をしてしまっていたということは、春夜と霧紅と自分だけの秘密にしておきたく、他の人に知られて心配をかけたくないからであった。

「ごめん…秋羅。それは言えないの…許して」

その言葉に秋羅は寂しそうに微笑んだ。

「いいよ。桜夜がそんな風に言うってことはきっとみんなには隠しておきたいんだよね…?ただ…無理はしないで。もっと周りを頼って」

その真剣な秋羅の言葉を聞き、桜夜は小さく微笑みながら「わかったわ、ありがとう」と言った。

「じゃあ、早速頼ろうかしら」
「なに??なんでも言って!」

張り切る秋羅に桜夜は笑いながら「私の部屋まで運んで?」と言った。
「わかった!お安い御用!」そう言いながら秋羅は桜夜を姫抱きにし、桜夜の自室へと向かった。

春夏秋冬 すべての夜は赤き道。 ~第一章~

続くかは不明(←
たぶんこれからグロくなると思います。(少し。一ミリぐらい←)
ちょくちょく更新するので、よろしくです。

春夏秋冬 すべての夜は赤き道。 ~第一章~

  • 小説
  • 短編
  • アクション
  • サスペンス
  • ホラー
  • 青年向け
更新日
登録日
2012-04-06

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