保護者
リクエスト★阿近夢
1
「萌恵、お前大丈夫なのか?」
『はぇ?何が?』
いつもの通り、技術開発局にて阿近の手伝いをする萌恵。
早寝早起きを心がけているし、ご飯もしっかり食べている。
きちんと休みの野良っているし顔色も悪くないはず。
心配されるようなことは何一つないはずなんだけど…
「何がって、檜佐木とのことだよ」
『う…そ、それは…』
檜佐木、とは、恋人の檜佐木修兵のことだ。
ぱっと見怖い見た目の檜佐木とは、仲が悪いわけではないがどうにもラブラブな時間を過ごすことができない。
つい先日も阿近に相談したばかりだ
『だ、大丈夫!次の休みには阿近さんから教えてもらったテクニック使ってみる!』
「そっか。…あーあ、ちょっと疲れたな。休憩すっか」
『あ、じゃあ今お茶入れてくるね』
「おう」
萌恵がお茶を入れに行っている間に、阿近は自身の引き出しからラッピングされたものを取り出す。
中身はなんのことはない、ただの金平糖なんだけれど。
まるで萌恵の目のように赤く、綺麗だったので思わず買ってしまった。
『お待たせしましたぁ』
「サンキュ」
向かい合って座り、お茶を飲む萌恵を見つめる
そんな視線に気付いたのか、萌恵はきょとんとして阿近を見つめ返す。
『どうしたの?』
「ん、あぁ…これやる」
『私に?』
「おう、開けてみろ」
しゅるんとリボンを外し、中から出てきたのはビンに入った真っ赤な金平糖。
桃色や金糸雀色はよく見たことはあるが、ここまでキレイに紅く染まっているのは見たことがなく、萌恵は目を輝かせた
『っわぁ…綺麗!』
「だろ?たまたま見つけたんだ」
『いいの?』
「おう」
『ありがとうっ♪』
萌恵の輝く笑顔を見て、阿近は心の奥がじんわりと暖かくなっていくのを感じる。
これは恋愛感情ではない。それははっきりしている。
きっとこれは現世で言うところの《家族》のような感情なんだろう。
年の離れた妹、といったところか。
だから檜佐木などという男に誑かされているんじゃないかと心配にもなる。
「なんかあったらいつでも言えよ」
『うん、阿近さん、頼りにしてます』
こうやってる今は、俺だけの可愛い妹だ。
End
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