黒白の魔導師たち –神々のオラトリオ–
前作「黒白の魔導師たち」の続編です。
是非前作を見てから見て頂くと尚話が面白くなるかな、と思います!
何日かに一話ずつチャプターを更新していきます、良ければご覧下さい!
一つの童話があった。神が神を倒し統一する。それは昔の話だ。だが、今も尚それは終わらず戦は続く…。
第1話 「夜刻の魔導師と父と母」
ー 時は約8700年前に遡る
争いが絶えず…
命など支配されるか殺されるか、または支配するかの三択により動く物でしか無かった。
人々は突如として手に入れた「魔導」の力により
その力が強き者は弱き者を
その力が弱き者は強き者に
そんな世界…
そしてその戦乱を治めた魔導師が居た。
夜の神を従えて…
その名もオズマ=レドレシニア=ゼロ
黒白の時代を開幕させた…始祖の魔導師である。
夜の神「夜空」
又の名を「新月の巫女」はオズマが発見する。
ー力弱き少年オズマは南極大陸にて生まれ育つ。
が、幼少の頃より彼は疑問に思う。
なぜ大人は戦いを続けるのか
なぜ人々は争いの果て支配を目論むのか。
彼は僅か4つの時に既に答えを導き出していた。
「虐げる対象がいれば
選ばれし者たちは平和に統一出来る」と。
その思想は思想でしか無かった。
オズマ少年は弱い魔力が特徴である「ゼロ一族」の出身。
産まれながら体内の魔力量が少ないのである。
彼は呪った
力の無さを…
統一する平和的な方法は既に導き出しているのに
それを「実行」出来ない自分の弱さを…
彼は15の時 ゼロの村を襲ったカラー族とのたたかいの為に戦地に駆り出され、夢半ばにて死ぬこととなる。
オズマが死んで2時間足らず。
代々「ゼロ」の一族は村にて夜の神と教えられていた伝説の神を称えていた。
無論、誰も本当に存在するなど考えもしなかった。
有象無象を慕い その存在を問い続ける。
人とはそういうものである。
オズマ死後2時間が経過した時…
オズマの死体は突如吹いた運命の突風にて転がる。
そして…“偶然”が此処に発生した。
偶々、その瞬間、オズマの体が開いた「次元の穴」に落下する。
それはとある神が地球へと降り立とうと開いたものであった。
オズマの死骸は「月」へと転送される。
そこでオズマの出逢ったのは夜の神「夜空」であった。
夜空…現地球では「新月の巫女」…。
彼女はオズマの中に類稀なる才能と野心を見た。
「彼ならば 世界を 混沌と 戦乱の大地を
治めることが出来る」
そして新月の巫女は1度限りの禁術、「夜殺ぎの帳」を使いオズマを蘇生する
こうして「新月の巫女」を宿したオズマは世界一の魔導師となり、「ゼロ一族」とは思えない魔力を付け、遂には混沌と戦乱の悪神「海原の天女」を倒し争う人々の心に海原の天女が刻みつけた悪意を取り除いたのだった。
ーーーー
「「神々の聖譚曲」…
僕の好きな小説だよ」
そう話すは、1年前…
オズマと同じ「金色」の魔力を宿し、新月の巫女を従え蘇った悪神・海原の天女を倒し世界を救った神法魔導師“第一席”
ジェイク・ハザ・ダスト(20)である。
「へぇ〜! でも神々の聖譚曲?って童話じゃ無かったか??
そんな難しい言い回しや言葉でガキが分かんのかよ?」
そうジェイクに問いかけるは…
8つの神器の一つ「神剣エヴァレータ」により片目・内臓の一部を失ってまでもジェイクの為に戦った一年前の「海枯れの戦い」を勝利に導いた者の一人
ジオ・シレネード(19)である。
「神々のオラトリオが童話。
分かりやすく書かれてて、子供向けさ。
ジェイクが読んでるのはそれを大人向けにした、小説の「神々の聖譚曲」さ。
内容はこっちの方が細いけれど要点は同じだよ」
そうジオへと語るのは。
神法魔導師“第三席”
海の神を従え、「強制金凰奏々」という金色の魔力も宿せるジェイクの盟友
レイン(22)である。
この三名は旅をしている。
1年前の「海枯れの戦い」
にてジェイクが体に得た新月の巫女の力。
それがあると「神の祠」と呼ばれる始祖神たちが住んでいる空間が感じ取れるようになるのだ。
「神の祠」
通称ゴッドボックス。
その名の通り始祖の神が住んでいる空間へとつながっている穴の事である。
「始祖神」
始まりの神である。
この神たちが世界を創ったのだ。
例えば…。
「空間」を創ったのは「空間神タルタロス」。
「海」を創ったのは「海槍神ネプチューン」。
「夜」を創ったのが「新月の巫女」。
「悪意」を生み出したのが「海原の天女」。
この様に現象や物質物体には始祖となる神がいる。
始神、である。
ジェイクは倒した父である反逆組織「天狼」のリーダーであったマラバサ・ジグオク
通称ジグ・ハザ・ダストの研究所を目指していた。
そこには彼のクローンがあり、彼の死後 彼の本当の意思を語る様に用意されていた様だ。
ジェイクはそこを目指し 嫌っていた父の本当の言葉を聞き 憎しみを消そうとしていたのだ。
ーアラミス林ー
「この林の中、なのか?」
「ああ、魔眼の口付けで見た限りまず間違いは無いだろう。」
「ジオ、臨戦態勢がいいと思うよ、何がいるか分かんない」
「おいレイン!なんで俺にだけ言うんだよ!」
「ジェイクには言わなくていいでしょーが。
彼は現在地球上で最も強い魔導師なんだよ?」
「レイン、買い被りだよ?」
「いいや。 君に勝てる魔導師はもう居ない。
だからルージュさんが自ら第一席を降りてジェイクに譲ったんじゃないか」
「ルージュさんは優しいから、だと思うけど…」
ガサ ガサ
「…ジオ」
ジェイクはなるべく小さな声でジオへと声を掛ける。
「…あぁ、分かってる…」
そう言うとジオは音一つ鳴らさず二つの剣の内一つ、聖剣レファを抜く。
「…レイン、雨を降らせれるか?」
「お安い御用だよ 雨天創造…!」
……ザァァァァァァ…
ジェイク達を中心に滝の様に雨が降り注ぐ。
「魔法・火炎放射!」
ジェイクは炎を自分の真上に放ち続け、雨を回避しながら様子を見る。
視界を遮るほどの雨が降る。
ジェイクらの場所には雨粒は落ちない。
だが炎を出しているため居場所がバレバレだ。
「何者」かは、勿論狙ってくる。
それか狙いである!
バッ!!!!
「掛かった! 東の方向!」
ジェイクが叫ぶ。
「剣戟を妬む大剣戟!!!」
ジオが横一文字の斬撃を放つ。
かつて戦ったサンダルフォンの技を覚えたのである。
「ぎぃっ!!」
どさっ
「外したな!?」
「ああ、殺してねーぜ!」
「雨天創造・解除!」
雨が降り止む…。、
ーーー
「…女…?」
「いやいやジオ。これは女って年じゃないでしょー。
どうみても女の“子”だよね?」
「ああ!?“女”でもいーだろうが!」
「いいや。 まだ“子”だよ!」
バチチチチ…
「二人とも、くだらない争いは止めるんだ。
ほら、治療してあげないと…」
ジェイクが言い争うジオとレインを宥める。
「ジェイク。治療する必要は無いんじゃない?
殺気出して襲いかかってくるのはどうみても普通の女の子じゃないけどなぁ」
ジオに肩を少し切られ、気絶しているのは…
見た感じでは12〜3の女児である。
髪はストレートにて長め。
背中の真ん中まであるだろう。
顔立ちは整っていて背丈は目測だが150後半であろう。
つまり、どうみても敵ではなくただの女の子なのである。
「何故こんな子が殺気を出して襲ってきたのだろう…」せっせと治療
「ジェイクは相変わらずお人好しなんだよなァ。
殺しに来たんだろうぜ俺らを。
ほっとこーぜー」
「ジオ。君は冷たい人間なんだな」
「んだと!!」
バチチチチ
「…ふう、これで良し。
ごめんね、いきなり斬りつけて。
さて。何処に運ぼう…
取り敢えずこの辺りに建物は研究所しかない、もしかしたら父のクローンが何か知ってるかも知れない、送り届けよう」
「おう。ジェイクがそう言うならいいぜ」
「僕も無問題さ」
「ありがとう、二人とも」
「…ん…」
ーーージグ研究施設ーーー
「此処か。父の研究所は…。」
「…綺麗だな割と」
「僕もだよ。天狼のリーダーが住んでた場所とは思えないや」
「でも中では俺らが殺り合った「坊や」みたいなのが実験で作られてたんだぜ。
そう考えるとちょっとな…」
「そうだね…。 でも、行くしかない。
僕は此処まで来たしこの子の事もあるから進む。
二人は来なくてもーー」
「おいジェイク、おせぇぞ。早く行くぞ」
「何してるの?時間がないよ、日が暮れるよ」
タタタタタタ ガチャ
ウォースゲー!
ジオ!コレミテ!!
ウオ!!マジカオマエ! ナンカロボットガヒトリデニソウジシテルジャネーカ!
ジオ!!コッチモホラ!!
マジカ!!!! ナンダイインダヨ!!!
「…………テンション………上がってたんだね…………」
ジェイクは驚き呆れながらも2人の後をついて扉の中へと入った。
ー研究所 中ー
「ふう。あ、いた。
ジオ、レイン。騒いでは…って聞いてないね。
レインは動く掃除ロボットの集団をめっちゃ見てるし、ジオはジオで剣を研ぐ機械みたいなのに熱心だし…。
…へぇ、 父さんも普通に魔具や研究もしてたんだな。
掃除ロボットや剣を研ぐ機械。そんなものまであるなんて。」
「う……ん……」
「!? 目覚めたのか?」
「!! や…っ!」
バッ!!
少女はジェイクの腕の中から飛び抜け臨戦態勢だ。
「ふーっ、ふーっ!!」
「待ってくれ。落ち着いて欲しい。
攻撃したのはごめんね、でも聞いて欲しい。
僕たちは君をなんとかしようとか考えてはいない、ただクロ… 父さんに会いに来たんだ」
「父さん…!?
誰!此処にはヒトは私しかいない!!」
「!」(喋れるのか…?)
「ええと、父さんと言うか…
父さんのクローンと言うか…」
「くろー…ん 分からない言葉で私を騙すつもりだな!
させない! ジグと私のこの場所を誰にも邪魔させない!!」
そういうと少女はナイフを構える。
(しまった、履物の中に刃物を隠し持っていたのか… )「そのジグが僕の父さんだ、お願いだから話をーー」
カキィンッ!!
「きゃっ!」
ナイフが弾き飛ばされる。
「!? あ、ジオ! やめるんだ!」
「無事かよジェイク…。
おいクソガキ。 人のボスに何向けてんだ」
「やめるんだ、僕は大丈夫だ。
君もやめてくれ、ジグに合わせて欲しいだけなんだ!」
「それってコレの事?」
「レイン…? その首…」
「機械の首だよ。向こうの部屋に転がってた。
首元にジグ1機と書いてたからこれじゃないかな。」
「! やめてっ、ジグに触らないでーっ!」
バシッ
「うわっ… 」
少女はレインからクローンの首を奪い取る。
「…そうか、キミはそれを護ろうとしていたんだね…」
ジェイクはジオを宥め、そっと少女に近付き膝を落とす。
「…大丈夫だよ。 安心して。」
「う……う…」
「誰がやったの?」
「……ほんのちょっと前……
ここに勝手に入ってきた……
大きな刃物を持った…ヒトに……」
「そっか、それでジオを見て勘違いして僕らを襲ったんだね。
安心して欲しい、僕らはその人とは何の関係もないよ」
「……ほんと?」
「…約束する。君を守る」
「……分かった」
「! 信じてくれるのかい…?」
「…なんか…分かんないけど…
アンタからは……もやもやしたもの…感じない…
暖かい…そんな感じがするから……」
(へぇ。この子、悪意を感じ取れるのか…。
不思議な子だ、僕のは強制金凰奏々だからアレだけどジェイクの純水な金凰奏々は暖かいと感じ取れる訳か…)
「…そうか、ありがとう
必ず僕らが君の大切なジグに酷いことをした奴らを見つけて見せるからね。
…ジオ、レイン。
少し寄り道、していいかな…?」
「お前は相変わらず甘いぜジェイク。
…ま、それがお前だ」
「ジグオクのクローンが匿ってた子、まあ事情は分からないけどね。
でもそうならジェイク、君の妹と言っても間違いではないから助けたいと思うのはおかしくないよ」
「二人とも、ありがとう。
ねぇ君、名前は…?」
「…」
「名前、無いのか?」
「…」コクン
「…なら、僕が君の名前を付けるよ。
君の名前はハル。」
「ハ…ル?」
「おいジェイク、それってお前の母ちゃんの…」
「ああ。 父さんが強制金凰奏々と共に伝言としてレインに渡してくれた言葉の中にあった母の名だ。
…この子は僕が護らなくてはならない。
父が、そして父のクローンが。
破壊し死んでまで守ろうとした、きっと何か意味がある。
だから僕がその役目を受け継ぐ。」
「ハル…。良い…名前」ニコ
「!おお、こいつ笑ったら中々かわいーじゃねーか」
「こらジオ、怖い顔で近付くなって」
「んだとレインてめぇ!!」
「なんだい?やるのか??」
バチチチチ
「…ふふ」
「ハル、どうした?」
「なんかおかしい。ふふ。」
「…ふ…そうだな…」
不思議な少女ハル。
それは亡き父・ジグオクが生前、何処かで拾って育てた子だと分かった。
だがジグオクは妻・ハル・ハザ・ダストが白の貴族に「黒」と言う理由で殺され、復讐のために同じ怒りを持つ黒を集め「天狼」を作ったのだ。
その時、息子であるジェイクは生まれたばかり。
このまま自分の元にいては殺されてもおかしくはない。
だから父であるマッドレインに託した。
そして…ジグオクは自分に「強制」の魔法をかける。
白檄変化、黒色王土、黒白音覇、金凰奏々。
これらを強制的に体に宿す改造だ。
それにより人格も記憶も変わってしまうことは分かっていた。
だが力が必要だった。
復讐に纏わり付かれたジグオクは遂にその力を自分に施してしまう。
…そして…
息子であるジェイクを、息子だと認識も出来ないまま…
息子に殺される事となる。
だがジグオクはそれもわかっていた。
記憶も、人格も変わってしまった歪んだ自分を止めてくれるのは、幼き頃離れ マッドレインの元で優しく育つであろう自分の息子に…
倒される、それを望んでいたのだ…。
だからジグオクは自分のクローンに強制金凰奏々の力を渡しておいて、誰かが正しい道でそれを使える日が来る事を待たせていた。
息子への伝言と共に…
その二つを授かったのはレイン。
そしてそれは海枯れの戦いにて自分の息子を助ける事となるのだ。
ジグオクは失敗した。
妻を殺された怒りで全てを捨ててしまった。
だがジェイクはそれを背負い世界を救った。
この少女ハルもそうだ。
ジグオクが捨てられていた黒の少女を拾った。
だがジグオクは記憶と人格が変わる。
だから自分で殺さないように研究所の地下に自分のクローンと共に閉じ込め育てさせた。
その黒の少女を…
15年かけ、息子が守ると決めたのだった。
「魔法でハルの細胞を見させてもらったよ。
この世界に生まれて15年だ、だから君は15歳。」
「 さいぼう?」
「はは、大丈夫。
君は15歳って覚えとこう、年齢の事だよ。
僕は20歳。君より5年早く生まれたんだ」
「…私…自分の年も…名前も知らなかった…
昔、捨てられちゃったの。
ちょっとだけ覚えてる… お母さんの顔…」
「私に名前をくれてありがと…その…ジェイク…」
「…! …ああ!」
「おーいジェイク、ハル、早く行くぜ。
もう準備出来てんだよー!」
「ジェイク、君の魔眼の口付けが必要だぞ。
襲った奴らを探さなきゃ」
「よし、行こうハル!」
「うん!」
こうしてジェイク達の新たな戦いは幕を開けたのだった。
2話へ続く
嘗て…大戦を混戦へと発展させた一族が在った。それは今も在り続け、竜を従え尾を唸らせていた…。
第二話「夜刻創造vs龍騎王」
カーッ バサッ バサッ
「うおおおおお!! 落ちるって!!」
「わっ、馬鹿剣士!押すなよっ!」
「るっせぇ狭いんだよタコ魔導師が!」
ガミガミ ナンダトコラー ヤンノカボケー
「…あの二人、喧嘩してばっかりだね…」
「そうだね…。ハル、振り落とされない様にね」
ジェイクの魔眼の口付けにより、ジグの研究所を襲った二人組が拠点にしている場所が分かった。
奇襲を仕掛ける為空から大鳥に乗って移動している。
ちなみにこの大鳥はジェイクの召喚魔法である。
「ジェイク!この鳥4羽だせなかったのかよ!」
「ごめんね、召喚魔法ってのは自分が出逢った動物に魔法で話しかけて、同意の上召喚陣を組み、仲間にするしかないんだ。
僕が過去に出逢った怪鳥はこの二羽だけなんだ」
「そうか…おいレインどけ落ちる!」
「嫌だ、君こそ退くがいい!」
「くそ、魔力察知さえ無ければ浮遊魔法で飛ぶのによ〜」
「ま、まあ、我慢してくれよ二人とも…
もう着くよ!」
「ジェイク…あれ…」
「ん? …着いたね」
ハルが指差す方向には焚き火の煙。
恐らく二人が食事でもしていたのだろう。
「いいかい、ジオ、レイン。
伝えた通りにやるんだよ?」
「よっし、任せろや」
「うん、了解だよ」
ーー悪党の拠点ーー
「ああウメェ… 此処に拠点を張る最中にまさかニワトリが通りかかるとはな…」モグモグ
「ああ、ご馳走だ。
…にしてもベイリオン様は良くわかんねー命令を下されたな。
元天狼の拠点を襲って…
奴のクローンの動力源を奪ってこい!なんて…
使えんのかねぇ、こんなちっせぇチップ」
「まあ俺らみたいな末端の雑魚には分からない事もあるだろーよ
もういいじゃねぇか、簡単に手に入ったしこれで俺らも上層部の仲間入りさ」
(水球時雨…!)
カーッ バサッ
「なんだ?」
「あー? …んだよ大鳥かよ。
…あ、お前さ、まだ腹減ってる?」
「同じ事思ってたぞ。
あれも食うか…!」
ジュッ!
「?火が消えた!?」
「なんだ!?」
ガサガサ…
「後ろの林から物音…! 誰かいるのか!」
「姿を現せ!!」
「俺はな…」ザッ ザッ
「敵か!!」
身構える二人組。
「一年前の戦い…
最後ちょっと戦っただけで…
ジェイクの為に何もしてやれなかったんだ…」ザッ
「ち、近付くな!殺すぞ!!」(なんだこいつの気迫…!)
「……もうあんな惨めな思いはしたくねぇ
だから俺は… もう変わった…!」
「“魔力投影” 《魔公王》!!
鳥籠の呪縛!!!!!」
ガコンッ!!!
地面より精製される鉄の檻。
そう、これは…
「サンダルフォンの技だ…
そして…魔力投影 《像炎王》
像大剣!!!」
ギャァァァァン!!!!
凄まじい音で鳴り響く金属音。
これはリベータ王の技だ!
ジオは二人を閉じ込めた檻を像大剣で斬りつけ大きな音を出した。
二人組は戦き、気を失った。
ガサガサ
「ジオ、流石だよ」グッ
「おう」グッ
「…ま。 剣の腕前だけは褒めてあげるよ」
「るせーなー。 ほら、次はお前の番だろうがよ」
「分かってるよ、やってやる」
レインは鳥籠に近付く。
「始神融合! 宿れネプチューン!!」
ギュオオオッ
「海神の虚言!」
ギンッ
レインは不思議な目で二人の目を見つめる。
すると…
「……この……さ…き…25…キロ…東…
我ら……主君…ベイリオン…様が…
われら…を…遣わ……せ…た」
「目的は?」
「ジグ……オクの…クローンの……動力…源…の…IC…チップ………の回収……」
「そう、ご苦労」
フォンッ…。
始神融合は解除される。
「東に25キロの地点にこいつらのボスが居るみたいだよ。
名はベイリオン。
聞いた事ない名だけど…誰かな…」
「おい、今のどーやったんだよ」
「ん? ああ今のか? 今のはね。
ネプチューンの猛毒を瞳に映す技だよ。
その目を見たものは脳内が痺れ、嘘を隠せなくなるんだ」
「自白剤みたいな効果かよ…
……てめぇも魔法だけは立派じゃねーか」
「お互いにね…」ニコ
(うーん。この二人は仲が良いのか悪いのか)
「ジェイク…こいつらが…ジグをあんな目に…」
「許さない…許さない!!」
「…マズい… やめるんだハル!」
ハルは護身用にともう一度ジェイクが持たせたナイフを振るい鳥籠へと走り出す!
「おいジェイク!この鳥籠は触れるだけで切れるんだぞ!」
「ハル!ダメだ! その鳥籠の中には入れない!!
それは隙間じゃない、結界が貼ってあるんだ!」
「許さない!!」
ハルには声は届かない…。
「ジェイク、ジオに鳥籠を解除させるんだ…!
この距離からじゃ走っても間に合わなーー」
そこまで言い、レインは理解する。
海神の虚言を掛けてない方の男が気を取り戻している。
鳥籠をもし解除すればハルは即座に襲われるだろう。
神速移動を使えば敵を殺すのは容易だが、幼いハルに血を吹きかける事になる…
(く… こうなったら…夜刻ーー)
キュィィ…
(!? 何のつもりだ…!)
ダダダダ…
「殺す! お前達だけは!ジグの仇!!」
鳥籠に触れる僅か1センチ。
その手を止めたのは…
「新月の巫女!!」
新月の巫女…夜空だった。
「え… なんで…体が…動かない…!?」
「………ダメ………切れたら………痛い…よ?
憎しみ……復讐心……それは……
“悪意”の源……
その波紋を…… 「僅か」だからと見逃せば…」
・・・・
彼女の様になる……
( 海原の天女の事か…)
ぺたん
「なに…誰…」
座り込むハル…。
駆け寄るジェイク。
「大丈夫かい!?」
「…!ジェイク…」ぎゅー
「怖かったね、もう大丈夫だ。
これは新月の巫女。
僕の仲間だよ」
「なか……ま? 私は……貴方の……下僕…」
「いいや。昔伝えたよね。
あれ?タルタロスには言ったけど君には言ってなかったかい?
僕は主人と下僕の関係に君達となるつもりはないよ。
神と人でもない。
君は“夜空”。僕はジェイク。
それだけだよ?」
「………やはり…面白い子……ァはっ♪」
「ありがとな、夜空…。」
「ううん………礼には……及ばない…」
そう言い残し新月の巫女ーー夜空は、ジェイクの中へと戻っていった。
新月の巫女は少し戸惑った。
それはジェイクに名を呼ばれたからだ。
誠の名…「神名」を…。
神名。
それは人が勝手に名付けた訳ではない、神たちの本当の名前。
「新月の巫女」は、夜を創った創造の女神。
だから彼女は新月の巫女と呼ばれた。
一部の書物では月夜見と呼ばれた。
だが彼女の神名は「夜空」
これは、神たちが本当に心を明け渡した者にしか託さない物なのである。
タルタロスの神名は「空影」
ネプチューンの神名は「毒腺」
「海原の天女」は…
と、この様に、神たちにも本名は存在するのである。
「ハル…」
「おぉぉ、さすが新月の巫女だな!」
「そうだね、姿を見たのは大戦以来だ」
「ごめんなさい…ジェイク…私…」
「いいんだ。 君は何も悪くないよ。
…ベイリオン… こんな純真な子を此処まで追い詰めたお前を僕は決して許さない…!」
「そうこなくっちゃな、ジェイク!」
「僕らはいつでも準備万端だよ」
「ジオ、レイン。
二人は此処でこの二人を見張ると同時にハルを護っててくれないか?」
「!?」
「僕らは足手まといかい?」
「そうじゃない。
ジオもレインも頑張ってくれた。
次は僕の番だ…。
ベイリオンは聞かぬ名…
神法魔導師第一席として情報のほとんどない危険な地には一人で行くのが定石」
「…なるほど、そういうことだね」
「分かった、俺らはお前を信じてるからな。
無茶だけはすんじゃねーぞ!」
「ジェイク…行っちゃうの…?
やだよ… ジェイクも…お母さんも…
また私を…一人に……」
「一人じゃないさ」
「!」
「ジオやレイン…そして…
“なにより僕が心として側に居る”」
「…!!」
「此処にいてね…。
ジオ、レイン、…任せたよ」
「おう!」
「ああ!」
「始神融合…! 空間の神!!
タルタロス!!」
ギュオオオオオ…!
「空間の選定者!!」
空間への穴を開け、三人が見守る中ジェイクはその穴の中へと入っていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
ージグ研究所 東方面 凡そ32キロの地点ー
「ベイリオン様!
ジグの動力源を奪いに行った者たちからの連絡が定時を超えてもありません!」
「……何… 分かった… 私が見よう」
◯ベイリオン・プロト・コル(25)♂王型魔力
「奴の動力源は神の祠を開くのに大切な鍵…。
雑魚共に取りに行かせたのは私の失策か…」
「ど、どうされますか!」
「お前。 マラーとカーサー兄弟を呼べ」
「は、はい!」タタタタタタ
「さて…。魔眼の口付け!!」
「! こいつは…
第一席が上空から突っ込んできてる…だと?」
「お呼びですか?」
「ベイリオン様ァ! やっと我々を使いたくなったんですねぇ!」
「……此処か…」
「金凰奏々“前奏” 灼熱ノ空!!!」
「なんだ奴は!」
「空から…!! あ、熱ーー」
ガッ!ドガッ!
「ごふっ!!」
「いでぇっ!!」
ズザザザーッ
スタッ。
マラーとカーサーを弾き飛ばし、ベイリオンの前に立つのは…
金色の魔力を宿した我らがジェイクであった!
「貴様がベイリオンか…?」
「…ならばどうする?」
「貴様に“返さなければならない”
悲痛の一撃を渡しにきた…」
「謂れのない暴力だな…。
第一席、貴様の邪魔をしたつもりは無いが…」
「穢れなき少女が流した血の涙…
痛みはこの熱よりも熱く尊いものだ…」
灼熱ノ空は金凰奏々による太陽の魔力を使ったジェイクの技である。
つまり、一帯の温度を爆熱的に上げる技である。
「…俺は金凰奏々そのもの。
この暑さに適応している。
だがベイリオン、貴様は良く耐えているな」
「この龍騎王にこの程度の熱…
笑わせてくれるな」
「龍騎王…!? まさか…ベイリオン…
ベイリ… オム… !!!!!」
「フ… 貴様はやはりそうだ。
関心の無いことなど覚えてもないのだ!!」
ベイリオン。
又の名を… いや、誠の名を…
「ドグ・ラーゴン・ベイリオム…
龍の民の末裔か…」
龍の民。
オズマの大戦時、世界を荒らしていた大戦の中心となった一族である。
彼らは今で言う「龍」そのものである。
だが彼らの住処 龍神の谷 は
始祖神「龍神 ティアマト」を宿しに来た一人の魔導師の手により滅ぼされ、ティアマトも奪われた、と聞いていた。
「…お前は生きていた…
ドグ・ラーゴン・ベイリオム…
5年前の龍神の谷 奇襲事件の際、お前だけはたまたま別の地に居たから…
そしてお前のその任務も俺は把握している…
第一席を受け継ぐ際にルージュさんより教わったのだ…」
「フ…何もかも…知られているのか?」
「お前は…龍神の谷を復活させる為…
蘇生の始祖神が住む神の祠を探していた!」
「…」
「お前が探している始祖神は「蘇生神 クトゥルフ」…
そしてクトゥルフの神の祠は特別で…
召喚陣にて召喚するしかない…
その召喚陣の発動条件は「ウロボロス」
7つの魔力を融合した物でなくてはならない!
それらを結合させる為に必要不可欠な物が…
ジグの動力源に使われていた…つまり!!」
「ーーそうだ。 ジグオクは私の計画を分かっていた!
だから!奴は!
自分のクローンに「蛇龍石」を動力源として隠した!
許せぬ… 一族を復興させようとして何が悪い!!
5年前…我らの平和な日常と…
我らの崇めていた龍神様を…
奪い取った魔導師・クロノスだけは許せぬ!!!!!!」
「…魔力の強い龍神の民が戦争を起こせばまたこの世界は荒れてしまう…
父はそれを防ごうとしたのだ!
だから! 息子であるこの俺が…
それだけはさせない…
復讐に滴るな! 理不尽にやられたお前達に我慢しろと言うのは筋が通っていないだろう!
だから代わりに俺がクロノスを倒す!
そして龍神を返してもらおう!
それでも譲れぬか!!」
「……一族の仇を…他人任せ……ハ…ハハ…ハハハハハ…
龍化の術!!」
ベイリオンの体がどんどん龍と化して行く…。
「待て!そう言うつもりではーー」
「ウオオオオオオ!!!!」
「くそ…龍神の民特有の龍化の術か…
人型の龍… 魔力が跳ね上がった…
こうなれば、倒して話を聞かせる…しかない!」
「金凰奏々!!」
ジェイクは再び魔力を練り直す。
「ウオオオオオオ!!」ブンッ
大きな爪でジェイクを切りつける。
「はっ!」バッ!
ジェイクはそれを回避する。
(なぜだ、これほど魔力が跳ね上がっても爪で攻撃してくるだけ…!?)
「掛かったな… 龍炎火山!!!!」
「しまーーー
ドォォォアウウウウン…
まるで噴火だ。
飛び上がり回避したジェイクにベイリオンは遠く離れた場所からでも見えるほどの火炎を撃ちはなった。
ジェイクはその中である。
ー拠点ー
ドォォォアウウウウン…
「…!ジオ、レイン…あれ…」
「おいレイン、あれってよ…」
「なんて魔力… まるで…噴火活動中のマグマ溜まり…」
ーベイリオン拠点ー
「ハーッハッハ!
龍化して知能が無くなったと思ったか!?
甘いのだ…貴様達はいつもいつも物事を短絡的に見たまま判断する!
理屈や屁理屈だけで生き延び 座椅子に踏ん反り返る貴様など… 真の力の前では灰塵同然!」
「夜刻創造 “融合 夜空”」
「…馬鹿な…!」
完全に焼却したハズの火の中から…
黒い魔力を纏った…神々しき魔力…
「今のは…かなりやばかった…」
「そう…ね。 なん…ちゃっ…て? ぇへ♪」
「夜刻創造“後奏” 魔力守護…!」
「た、ただの魔力守護ごときで今の火を耐えたのか!?
いや、奴の背後…まさかアレが…
昨年オズの方角に感じた…
伝説の…」
「新月の巫女なのか!?!?」
「夜刻創造“夜想曲”
月・夜刻・夜空・夢想曲!!!」
ジェイクの周りから闇色の魔力がこぼれ出る!
「ぐ…あぁ…っ ! これは…幻覚…!」
「この技は、対象者の脳に直接負担をかける技だ。
お前は夜の幻覚を俺が解かない限り永遠に彷徨う」
「こんな…も…のォォ!!!!」グググ
「夜刻創造+白檄変化 “開闢”
無動不重力・始!!」
ベイリオンの辺りの空間を完全に固定する。
「うご……け…な…」
「よし、今だ! 「切替」!
黒色王土!!」
「夜空、融合解除! そしてそのまま自立して動け!」
「…うん…ひひ♪」
ヒュォンッ
ジェイクに宿っていた夜空は分離し、一人でに空中に浮く。
黒色王土になったジェイクが動けないベイリオンに浮遊魔法で突っ込んで行く。
「行くぞ、話し合いが出来るようにお前の魔力を魔力世界へと封印させてもらう…!」
(レインにしたのと…同じ!)
「や…め!!!」
最後の力を振り絞り動こうとするベイリオン。
しかし…
「……動かさ…せない…よ?」
夜空が無動不重力・始を強化する!
「黒白の矛=漆!!」
ドスッ!!
「か………!」
「一応、説明してやる…。
この矛で貫かれたものは傷は無いが…
魔力を魔力世界へと封印する…
俺が解かない限りお前の魔力はこれでゼロだ、さあ、話を聞いてくれ…」シュウゥ…
「夜空、ありがとう!」
「ええ……やはり…貴方と戦うのは……
楽しい…ェへっ♪」
ジェイクに戻る夜空…。
無動不重力も解ける。
倒れこむベイリオン。それを腕で受け止めるジェイク。
「見事……だ…
やはり…新月の巫女を…宿…し…
海原の天女…を…倒した…だけはある…」
「手荒な真似をしてすまない…。
話、聞いてもらえるか?」
「…」
そのジェイクの言葉に首肯かないベイリオンでは…なかった。
龍神の民。 最強の戦闘民族。
その王、龍騎王。
彼の強さは嘗ての大戦時の龍騎王「モルドス」とも張り合うだろう…。
オズマが手こずった相手。
ジェイクはそれを完全に圧倒した。
彼は…現時点最強の魔導師である!
第3話へ続く
夜空は夜空を見上げる。そして月を見て髪を靡かせる。破壊と蘇生の狭間…人は何に縋るのだろうか…。
第3話「神剣エヴァレータ」
「……う 」
「! 起きたか…?」
「此処は… !貴様…。」
(!?魔力が練れぬ… ふむ、なるほど…)
「そうか…。 私は負けたのだったな…」
体を起こすベイリオン…。
「僕が言うのは違うと思うが…
大丈夫か?」
「ああ…。 それにしても貴様、此処にずっと居て私の部下に狙われなかったな…」
「さっき僕が倒した二人の貴方の部下に話をつけたら二人きりにしてくれた。
話、出来るか?」
「…ああ」
「僕の怒りはもう貴方に返した。
穢れない少女の痛み…
伝わったのならもう強奪や殺戮はしないでくれ…」
「…ジグオクのクローンを取りに行かせた時に何かがあったようだな…」
「貴方の送り込んだ部下二人がジグオクのクローンを破壊した。
しかしジグオクのクローンは、出征不明の少女を匿い育てていた、それだけだ」
「……そうか。」
「確かに…私にも目的はあった。
別に理由もなく壊したり殺したりしているわけではない。
蘇生の始祖神「クトゥルフ」を呼び出す儀式魔法「ウロボロス」の召喚陣には7つの魔供物が必要…
その一つ「蛇龍石」
それがジグオクのクローンの動力源に使われていたことを私は知った。
取るには壊すしかない。 …私にも使命はあったのだが…
負けた以上認めるしかない、すまなかった。」
「……次は僕が貴方の願いを聞く番だ」
「? なぜ貴様が私の願いを聞く。
貴様の仲間の少女の親役を私は壊し殺したのだぞ。
恨まれる道理は有れど願いを叶えさせる道理はない」
「あるさ」
「…なんだ、その道理とは!」
「僕が“第1席”の最高神法魔導師だから…だ。」
「な…」
「君の一族も龍神も…
全てとある魔導師に言われなき迫害を受け全てを壊されたのだろう…?
それはしていいことじゃあない。
僕は少女の涙と怒りと痛みを、渡した貴方に返した。
次は貴方の涙と怒りと痛みをその魔導師に返すんだ。
これは世界を纏める真王の直属魔導師である僕の仕事。
…魔導師の事を教えて欲しい」
(この男は… 本当に本心で私を助けようとしている…
ずっと…疎まれてきた…。
強靭すぎる肉体と 龍化してしまう技…
強すぎる魔力と… 大きすぎる体…。
歴史にも刻まれていた。
私たち龍神の民は昔から恐れられていた。
…そんな私たちを助けようと…)
「…私の…願いは…」
「願いは、なんだ?」
「……私の仲間を…平和な日々を奪った……
魔導師クロノスを… 倒して欲しい…!」
(私が倒せば… それはただの戦争になる…
この男は… 自分一人で関係ない私の罪を背負おうとしている…)
信じてみよう…。
強き夜の魔導師を…!
「引き受けた。 任せて。」
魔導師 クロノス 。
本名 クロノス=ネメシア(35) ♂ 王型魔力
彼は「黒白時代」はずっと黒として地下に閉じ込められていた。
否、抵抗せずワザと閉じこもっていた。
だが1年前の海枯れの戦いにて「海原の天女」が倒れ、黒が白に認められ、真王ミッドナイトの死により黒白時代が終わりを告げた日。
彼は目覚める様に地下を飛び出しとある神の祠へと向かった。
神の祠を探し出す方法は2通りある。
1つは、何かの始神を体に宿せば自然と見える様になる。
2つは、ルージュが夜空を呼び出す際に召喚陣を完成させていた様に、ベイリオンがクトゥルフを呼び出そうと儀式魔法ウロボロスをしようとしていたみたいに。
儀式魔法にて召喚する事ができる。
ジェイク達が海原の天女に勝利し世界を守り、黒白時代が終わりを告げたとテレビやラジオが報道している最中…。
彼は海原の天女によって崩壊し、まだ復興段階の王都オズに進入。
瓦礫の山からミッドナイトの杖「メドゥン」を奪った。
ミッドナイトは海枯れの戦いの大戦時、ジェイクとの戦いに3つの神器を使い杖は使わなかった。
クロノスはその杖を奪い、龍神の民が住む地より少し離れた龍の洞窟と言う鉱石の取れる洞窟に入る。
そこで儀式魔法をメドゥンを生贄に発動。
儀式魔法「メドゥンの杖」を生贄に召喚。
の召喚陣を使い…
クロノスは 命の神ノアを召喚した。
そして始神として体に宿し、龍神の民をその力にて襲う。
龍騎王であるベイリオンは二人の部下と共にウロボロスの素材集めをしていた為不在。
そして龍神ティアマトを奪いに来たが…
そう、5年前に既に“誰かの手により”奪われていたのだ。
つまり…
5年前、龍神の民を襲い 民を殺し
龍神ティアマトを奪った魔導師とはクロノスではないのである。
クロノスは5年前は地下にいた。
不可能である。
殺された民のダイイングメッセージや、様々な見当違いなどによる考察ミスにて
ベイリオンは龍神の民奇襲事件の犯人をクロノスだと勘違いする。
だが真実はクロノスは少し前の日にこの拠点(元龍神の谷)をティアマト目的で来訪。
だがティアマトはいない。
クロノスは、再び別の始神を目指してベイリオンの部下には何もせず帰った。
何もしていないのである。
だがベイリオンもジェイクもこれを知らない。
後にこの勘違いがジェイクにとって大きな事件につながるがそれはまた別の話…。
ーー
「クロノス。その名は何故か聞いた事があるな…」
「恐らく書物で見たのだろう。
やつは昔の神法魔導師だ」
「!? いつの時代の?」
「ルージュの2つ前だ。」
ーー
神法魔導師 歴代“第1席”
初代一席 オズマ
二代目一席 ??
三代目一席 ??
…
…
…
15代目一席 オザム=ストレム(ルージュの祖父)
16代目一席 クロノス=ネメシア
17代目一席 ヘル
18代目一席 ルージュ=ストレム
19代目一席 ジェイク・ハザ・ダスト
ーー
「そうか、だから僕は知ってたのか…。」
「ああ、恐らくそういう理由だろう…」
「分かった、色々ありがとう」
後これ…」
ジェイクはそう言うと巻物を1つベイリオンに渡す。
「…これは?」
「それは魔力空間の召喚の巻物だ。
さっき封印した貴方の魔力が入ってる、少しでも魔力があれば部下にでも召喚させて。
そしたら貴方の身体に魔力が戻る」
「……良いのか? 貴様を攻撃した男に…」
「関係ないよ? もう、そんなことしないと信じてるから…ね?」
「……貴様! 少し待て!」
「えっ!?」(お、怒らせたのかな!?)
そういうとベイリオンは部下たちを下がらせていた拠点に入っていって、2分ほどした後帰ってきた。
(魔力が戻ってる…)
「よし…龍化の術!!!」
「えっ!?!?」
(まさか…見誤…っ)
「よし、この状態でなくてはな。
ん?何臨戦態勢を取っておるのだ」
「え、一体何を…」
「貴様。いやジェイク。
お前見た所 火の魔導師で間違いないな?」
「え、あ、はい」
「確かにお前は強い。
だがもし金凰奏々や新月の巫女を引き剥がす魔法とかがあったらどうする。
お前本人の魔法で進めるのか?」
「それは…」
(確かに…。
僕自身の力の最大の力は“黒白音覇”。
黒と白の魔力を100%の状態で混ぜ合わせ使うことの出来るモード…。
金凰奏々はオズマが力を貸してくれたから宿った力、夜刻創造もそうだ。
金凰奏々が宿ったから宿った力…)
「私たち「龍神の民」は炎の技を得意とする一族だ。
だからお前に炎の技を一つ授けよう。
この先お前が倒れぬ様に…な」
「ベイリオン…恩に着る!」
そしてジェイクは召喚魔法・鷲にジオたちを呼ぶ言伝を持たせ飛ばせ、三人と合流する。
その日は3時間半、ベイリオンは全ての力を持ちジェイクを鍛えた。
ー翌日ー
ー拠点のテントー
「…ん…ふぁぁ… ぁあ''〜」
「んん…うる…さいよジオ…」
「…」スースー
「んあ?…あー、ハル起こしちまうな」
「僕も起こしたよ…。」
「あ?オメェは良いんだよ雨野郎
お前なんか雲の上で寝て落ちて逝け」
「朝から酷くないか!?
君こそ剣を鞘に仕舞う時に間違えて腹を刺して擬似切腹して命も仕舞え!」
「んだとてめぇ」
「なんだいやるのかい?」
「二人とも…やめて?」ニコッ
「お、おう」
「ごめんね、起こしたね」
「溺愛してるね」フフ
「! ジェイク! ってボッロボロじゃねーかよ!
まさか夜から今までずっとしてたのか?」
「うん、今やっと終わったよ」フラフラ
「大丈夫かい、ジェイク!」
「ジェイク…」
「レイン、ハル、ありがとう、ただ少し寝るね…」ドサッ
ジェイクは倒れる様にジオの寝ていた布団に倒れ眠った。
「よっぽどだな…」
「そうだね…」
「ジェイク、死んじゃうの…?」
「いや、大丈夫だよハル。
疲れただけさ、今日は1日ジェイクの横に居てあげてくれるかい?」
「…うん!」
「ジオ、君と僕は交代でジェイクとハルの護衛だ。
何が起こるか分からないからね」
「お前に指揮されるのはアレだがまあそーだな。
分かったぜ」
「一々突っかかるなよ…。
最初は君が護っててくれ、僕は神法魔導師第三席として龍騎王に話があるから」
「あいよ。 しっかりな」
「うん…!」
(ふたりとも、なんだかんだ仲良いよね…えへへ
なんか楽しいなぁ)
ーベイリオン テントー
マラー「ベイリオン様は今お眠りになられた。
恐らくこの分ではそちらのジェイク殿と同じ位眠られるだろう」
カラー「分かったらとっとと帰りな!
ハーッハッハァァ」
「なんだと?」
マラー「レイン様、お許しください。
此奴は脳まで龍化が少し進んでおりまして、何でもかんでも挑発するのです。
お怒りをお鎮めください…」
「…分かったよ!」
ーー
「ダメか、話したいことあったのにな。
明日まで待つしかー」
キュアアアアアン!!
「!?ジェイクのテントの方!?
…まさか!!」
「浮遊魔法!」(間に合ってくれ…!)
ージェイクテントー
「ジェイク!皆!」バッ
「レイン。お帰り」
「!?」(ジェイクが目覚めて…)
「あっ、お前は…」
「んー? あっ!おっ久しぶり!レ〜インッ♪」
そこに居たのは神法魔導師第4席
ルレン=オン(17) ♀ 王型魔力
であった!
「ルレン!? 何故お前が此処に…!?」
「えっへへー! ジオくんに会いに来たんだ!」すりすり
「やめろうぜぇ寄んじゃねーよ!」
ワーワー ドタバタ
「ジェイク、君の疲労は…」
「ああ、どうやらルレンが治してくれた様だ」
(あのルレンが… 幾ら神法魔導師第一席だしあの戦争で共に戦った仲とはいえ簡単に回復するなど…)
「あのね! ジェイクさんを回復させたらジオくんに褒められるかなーって思ったんだ!」
「あ、そういうことね」ぬぼーん
「ジェイク… この人…誰…」(袖を掴む)
「あ、大丈夫だよ。
この子は、僕やレインと同じ神法魔導師の一人、ルレンさ」
「? ジェイクさん、その子誰ですかー?」
「この子は僕の父のクローンが匿っていた少女だ。
父のクローンは訳があって破壊した。
だから僕が代わりに守る事にしたんだ
一人にしてはおけないからね」
「なるほどねー!
あ、旅のアレになるなら、私がオズでジャッジ真王の元保護しよっか?」
「え…ヤダ…ジェイク達と離れたく…ない…っ」
「ルレン、気持ちは嬉しい。
だが僕は同時にこの子に世界を見せてやりたいんだ」
「ルレン。その子ハルって名付けたんだよジェイク」
「それって…」(お母さんの…。
そっか、ジェイクさん。
その子に…温もりの面影を見てるんだね)
「分かった!」
「大丈夫。ハルはこれからも僕らと旅をするんだよ!」
「ほんと…?…よかったぁ!」
「邪魔するぞ」
「あ、ベイリオン。昨日は1日付き合ってくれて助かったよ…。
おかげで力を付けられた」
「構わん。お前には世話になる…。
…そこの女性よ。
お前の連れてきた5人ほどの治療魔導師、助かったぞ」
「いーえいえ! 全てはジオくんの評価のためですからっ!」
一同が思った事を要約(それジオの前で言っちゃいけねぇ!!!)
「そう言えばルレン。どうして君は此処に?」
「ルージュさんが王宮から此処を魔眼の口付けで見て、ベイリオンさんとジェイクさんが傷付いたと教えてくれたんだ。
ジオくんもいるし、他の用もあるし!」
「他の用?」
「うん!…ねぇジオくん。ジオくんさ、1年前の戦争の時…あれが終わった後私に話したよね」
「…まさか」
「うん。 あの時…」
ーーーーー
「海原の天女! これでトドメだ!!
“臓器の一部”を供物に80%の力を宿せ!エヴァレータ!!!」
ーーーー
「あの時…確かに俺は感じた…。
初めてエヴァレータの力を70以上開いた時…
何かが… エヴァレータの中に何かが…
俺に語りかけた気がした…
その声がハッキリ聞こえる前に海原の天女によって弾き飛ばされ気を少し失い怪我を負ったからな、良くは覚えてないが…」
「うん。そして私それをその日から王宮1の博識のおじちゃんに調べて貰ってたんだ。
それが昨日、わかったの。
だからそれを伝えに来た!」
「…なにっ!? …頼む、教えてくれ!」
いいよ。 少しだけ難しいかも。
ーーー
神剣エヴァレータ。
それは8700年前のオズマによる統一戦争の際に産まれた負の遺産である。
所持者の体の一部を供物に捧げればそれ相応の技を繰り出す魔剣の一つだ。
“神剣”とは、神の持ち物だったのでそう名付けられてはいるが、もはや魔剣である。
そしてその剣を大戦時持っていた神が…
ーー
ルレン「蘇生神…クトゥルフ…」
ジオ「な…」
ベイリオン「ジェイク、クトゥルフは…」
ジェイク「そうだね、貴方が召喚しようとしていた始神だ」
レイン「それが…神剣エヴァレータの元々の持ち主…」
「うん、そうなるねっ。
それで、ベイリオンさんが召喚陣「ウロボロス」を完成させていたら…
ジオくんは間近に居たからね、取り込まれていたかも。」
「!? ルレン、まさかー」
「そう。
「蘇生神クトゥルフ」の眠る「神の祠」は移動式で…
クトゥルフの神の祠は“神剣エヴァレータ”そのものだったの…!」
神剣エヴァレータにクトゥルフは眠っている。
クトゥルフの存在する神の祠の術式は神剣エヴァレータに組み込まれていたのだ。
「ならば私がジェイクに止められずクトゥルフを召喚していれば、召喚陣の上からは出ず遠く離れたエヴァレータの持ち主…つまりジオの腰から現れたということか…」
「そうなるの。
エヴァレータで自分の体を供物にし、供物にした体を蘇生しまた供物にする。
“蘇生の神”だから使えたんだ、エヴァレータはね。
それでもう一つ。
クトゥルフは“悪神”なの」
悪神。
それはオズマ統一戦争の際
「オズマの敵」
となり、世界を混沌にさせていた神たちの事。
全ての元凶は悪意の権化・海原の天女だ。
だがその海原の天女の部下ではないが意思に賛同し力を貸していた神がいる。
その内の1神がクトゥルフである。
オズマは大戦時、海原の天女戦の前にクトゥルフと戦い、クトゥルフをクトゥルフの持ち物エヴァレータに封印しその剣を封印の祠に封じた。
ジオの一族“シレネード家”の物が弱った封印を誤って解いてしまい、エヴァレータは代々継がれてきたのだ。
「つまり…。あの時聞こえた声は…」
『ヨコセ…ササゲロ…カラダ…ニクタイ…』
「…」
「おじちゃんの言うには、ジオくんの肉体を得て80%まで解放したエヴァレータは、クトゥルフがいつ出てきてもおかしくないみたいなの。
だから、ルージュさんと私、あとジオくん。
この三人で、クトゥルフの力を唯一抑えられる“良神”である「破壊神ブリケト」の神の祠にいこう」
破壊神ブリケト。
大戦時、オズマに共感しオズマの元で海原の天女と戦った破壊の神。
名はどう見ても悪だが…。
彼は自ら何かを破壊するという事はしない。
朽ちる物は朽ちる。それが常識。
なのに昇天する魂を蘇生するクトゥルフは世界の倫理を壊している。
それを止めるために奮起したのがこのブリケトである。
“ 破壊”の始神だが心やさしき神だ。
「…ジェイク…」
「うん、行っておいで」
「だがよ…」
「僕は大丈夫。
ジオもルージュさんが居るし君自体強いだろう?
僕がいけないのは残念だ
本当は僕も行きたい…でも…」
(ハルを一人にしては置けない…
そしてそんな悪神の近くにもいけない…分かってくれ、ジオ…)
(分かってるぜジェイク…)
「僕と君は、なんだ?」
「…親友だ ばーか」ガシッ
「……必ずまた共にいこう」
「約束だ。 後クトゥルフやブリケトがなんかあってワーワーなったら直ぐ来てくれよ?」
「…はは。当たり前だ!」
ハルは5人の治療魔導師と外で遊んでいる。
この日、ジオとジェイクは別々の道に進んだ。
ー夜 出立の刻ー
「レイン。…ジェイクを頼む」ペコリ
「…ルレン、ジオを頼むよ」ペコリ
「「…ふ…はははは!」」
「元気でな、エヴァレータの中のアホを封印したらまた旅しようよ」
「ああ、お前こそ俺が追いつく前に死ぬなよ弱いんだから」
「なんだと? 行ってくれるじゃないか腰下げ剣悪神野郎!」
「ピンポイントに傷付く事言ってんじゃねーよ!!」
ワーワーワーワー
「…ルレン、ルージュさんに伝えて欲しい」
「なんですかっ?」
「ジオを…本当に頼みます、と…」
「…仲が良いんですね。羨ましいです!
つたえますよ!」
「安心しろジェイク。私も行くのだからな」
ベイリオンはジェイクがクロノスを倒してくれる約束をしてくれたお礼にとジオの旅に付くそうだ
「助かるよ、何から何までありがとう…」
「言うな、友であろう」
ジェイク、レイン、ハルはこのまま東に真っ直ぐ、サンダルフォンの居た「キングタウン」へ。
そこにクロノスが居たという情報があるからだ。
ジオ、ルレン、ベイリオン、魔導師5人は一度オズへ。
そしてジオ、ルレン、ベイリオン、ルージュの4人で破壊神ブリケトの神の祠の場所へ。
物語はまた動き出す
再開の日を迎える為に。
次回
キングタウンに着いたジェイク達。
そこで見たのは依存したサンダルフォン亡きキングタウンの活気溢れる姿だった!
だがその水面下は… とある魔導師が支配していた。
その魔導師とは…
第4話へ続く
雨が降り出して人はそれを遮ろうとする。しかしその思惑は永久を拭う様に。無駄で愚かで小さく泡沫で…。
第4話「雨と夜空」
ジオらと別れ ベイリオンの拠点を後にしたジェイクとレインとハル。
三人は嘗てサンダルフォンが術で完全に支配していた「依存した街」であったキングタウンへと向かっていた。
クロノスをそこで見たと言う情報が入ったからだ。
「ジェイク、ジオのこと…
気がかりかい?」
「うん? …まあ、気になってないと言えば嘘になるよ。本当はとても心配だ。」
「そっか。…こっちは僕に任せても良かったのに」
「レイン、君のことも気がかりさ。
1人でなんて残しておけないよ!
それにベイリオンから約束を受けたのは僕だし、ハルの事もほっておけない。
ジオにはルージュさんやルレンやベイリオンが付いてくれる、安心はしてるよ。」
「そっか、いい奴だねジェイクは…」
「ジェイク…わたし、迷惑かけた…?」
「違うよ。僕がハルに色んな世界を見せてやりたいんだ!」
「!…ありがと…えへへ」
「うん」ニコッ
(ジェイク…。 ハルにやはり家族の面影を抱いてるんだね…。
父も母も幼くして別れたし、父は憎んでいたとは言え自分で殺してしまったんだから…
そして父が“強制”の魔法と妻・ハルが白に殺された事によって豹変したことも後で知ったんだしな…)
「ジェイク、この丘を登れば…
もう見えるよ!」
「ああ、そうだね…!
ハル、見てごらん。
これが…」
「……大きい……!」
「中心都市・キングタウンさ!」
目下に広がる街。
大きく広大で…
とても賑やかだ。活気がある。
嘗ての街の様相を知るレインやジェイクにとってこれは驚きの光景だ。
(神法魔導師第一席の1ヶ月に1回の公務である“魔眼の口付け”で世界の様相を知る…
先月した時は此処までの活気は無かったが…
思えば今日は丁度その日か…!
キングタウンの宿でして結果をジャッジ王に送らなきゃね)
二人は少し驚きつつも足を進める。
ハルは隠してはいるが初めて見る巨大な都市に胸の高鳴りを抑えきれていない様だ。
ーキングタウン 正門ー
「此処はキングタウンです!」
「ようこそいらっしゃいました!」
「へぇ。サンダルフォンの時代は門番なんて話しかけてもシカトだったのにねぇ
ねジェイク。ここも変わったね」
「そうだね…」(それにしても…)
「わぁ…」パァァ
トテテ…
「わっ、ハル、一人で走っちゃダメーー」
ドンッ!!
「きゃっ」
「…っ?」
ハルは門を抜け走った。
するとその入り口付近の酒場の前で人にぶつかる。
「!?ハル!」 ダッ
「ハルちゃん! クッ…」サッ
レインとジェイクは急いで駆ける。
そして転んだハルの元へと寄る。
「大丈夫か!? 怪我はない!?」
「う、うん…」
「ハルちゃん、走っちゃダメだよ?」
「ごめんなさいレイン…」
ハルの安全を確認するとジェイクは急いで顔を上げ腰を上げハルがぶつかった人物に謝罪を入れる。
「申し訳ーー えっ!?」
「誰にぶつ… …わぉ」
「レイン、私いけないことしちゃった…?」
「い、いやー。 あはは… うーん…
むしろ…いや… 多分大丈夫…かな?」
兵「こ、この無礼なー」
「待て。 大丈夫じゃ」
兵「し、しかし…」
「くどい。この者達は我が盟友じゃ。
先に宿れ戻っておれ」
兵「…はっ!よ、よく見るとジェイク様…
わ、分かりました!」
走り去る兵士二人。
そこに居たのは…
「ど、どうして此処に… ジャッジ王!!」
現真王・ジャッジ(73) ♂ 王型魔力
であった!
「むははは! ジェイク、レイン、旅立ってから割と早めの再会じゃのう!
そのワシにぶつかった少女は無事かの?」
「え、ええ… 申し訳ありません…」
「良い。 ルージュより話は聞いておる。
ルージュはジェイク、お前を相当心配していての。
暇があれば魔眼の口付けでお前達の様子を見ていたのじゃよ。
じゃからその少女がどういった経緯でそこに居るかは知っておる。
…これ嬢ちゃん。 此処は街じゃ。
あまり急いで走ってはならん。
分かったのう?」
「は、はい。 ごめんなさい」ペコリ
「むははは! 良い良い!」
「ジャッジさ〜ん このジュース奢って〜」
「なぬ? 仕方ないのぅ。無駄遣いするでないぞ」カネワタシ
「さっすが!!!」タタタタタタ…
「レイン…なんか子供みたい…」
「はは、レインにとってジャッジ王は特別なんだよ。
子供の頃 レインはこのジャッジ王に負けてね。
それで当時ジャッジ王が治めてたバラン帝国の専属魔導師になったんだ」
「…おとうさん、、みたいなのかなぁ」
「そうだね」ニコッ
「のうジェイクよ、ワシはお前と此処の王に用があって来たのじゃ
サンダルフォンの後継、現王・カワードに取らせた宿がある、お前達も其処に泊まるとよい」
「有難う御座います、王よ…
助かります…!」
ガヤガヤ
おい、見ろよ…あれ…
ガヤガヤ
キャーーー!ジェイク様ーーー!
ガヤガヤ
すげぇ…真王と神法魔導師二人…
戦争の英雄ばっかじゃねーか…
ガヤガヤ
「…騒がしくなってきたの、宿に向かうとするわ」
「そうですね…レイン! レイン!」
レインはジャッジから貰ったお小遣い(額が異常)を楽しそうに使っている。
「聞いておらぬの…」
「甘やかし過ぎです…」
「いいなぁ」
「嬢ちゃんにもーー「真王」」
「だ、ダメかの?」
「はい。ハルにはレインの二の舞にはなって欲しくないですので。。」
「そ、そうか…。 なら嬢ちゃん、行く途中に飲み物でも買ってやろうかの!
ジェイク、そのくらい良いじゃろう?」
「ほんと?…嬉しい!」
「…ふふ、 ええ、何から何まで…ありがとうございます」
「うむ。ワシとお前の仲じゃ。
レインはどうする?」
「彼も神法魔導師第三席です、一人で宿まで来れます。
私たちだけで取り敢えず向かいましょう」
「そうじゃの。
よし、ジェイク。ワシを護れ」
「はっ!」
?「アレは…真王…… フ…ハァ…」
ーキングタウン 宿ー
「わあ… 綺麗…」タタタ バフッ
ハルはベッドにダイブする。
「素敵…」パタパタ
「ほほ。楽しそうじゃの」
「ええ…良い部屋ですね…」
「うむ、隣の部屋には兵士を二人泊まらせておる。
何かあれば寄越そう。
さて。
本題に移るが…良いか?」
「はい。あ、レインが居なくても大丈夫ですか?」
「うむ。お主が聞けば良い話ーーーー」
此の 世界は…………
黒と…白が無くなり………… 平和に…なった
我が理想の……世界は……崩れた……
「殺意の波動」
「!?」
「!!」
「えっ?」
「逃げろハル!!!!!!!」
『バア』
ドガァァァァァァァァァァァァァン!!!
宿は吹き飛ぶ。
想像を絶する魔力爆発。
宿の半径600メートルは消し炭となる…
「…… ケ」
「…やる… さすが…って所…」
煙の中 姿を現したのは…
「夜刻創造“後奏”!!
魔力守護!!」
「な、なんじゃ今の… 誰じゃ!!」
「ジェイク、、こわい…こわいよ…っ」
「ぐ… お前は…一体…」
ジェイクは二人を地面に下ろす。
「大丈夫かジェイク!」
「酷い怪我…!」
ジェイクは部屋に突然現れた魔力の塊からハルを守る為、右肩を少しえぐられた…。
「大丈夫だ…ジャッジ王!
……ハルを頼む…」
(口調が変わっておる、既に夜刻創造に入ったのか…
ジェイクがいきなり夜刻創造を出さなければならないとは…こやつ一体…)
「分かった、命に代えても守るからのう!」
ジャッジはハルを連れ場を離れる。
「ジェイク!」
「大丈夫…」ニコッ
「さて…… 誰だ…お前は…」
「………キミの…中の… 神に聞けば…?…ケ ケケ…ケケケ…」
(ピエロの様な仮面… なんだこいつは…)
「始神融合! 宿れ“夜空”!!」
キュィィ…ン
「……まさ…か?」
「夜空、こいつは一体…」
「…逃げ…なさい… 童…
まだ貴方の…勝てる相手ではない…」
「ケケケ 夜空 やはり 生きていた」
「!!誰なんだ!?」(夜空が此処まで脅えて…)
「彼は……“海原の天女”に悪意を宿した……
“争い”“負”の権化… 絶祖死神“雨々”…!!!!!」
ーーーーー絶祖死神 雨々ーーーーー
童話「神々のオラトリオ」
小説「神々の聖譚曲」
両方で語られていない…
9000年前、、 人間だった海原の天女…
神名・“村雨”に「悪意」を渡し、神にした張本人。
つまり… 戦争を…争いを巻き起こした元凶なのである。
彼の素顔は誰も見たことがない。
「魔力世界」を永遠に彷徨っているとされていた伝説の神。
人々は彼の事を「死神」と呼んだ。
だが実際はそれよりも遥かに悍ましい…
名だたる「悪神」達を創り出した「創世の悪神」
それが絶祖死神“雨々”…!
「何故……貴方が此処に…!!」
「私が産んだ… ケケ… 村雨…
それを壊した童 それを見に来た」
ズンと重く響く声…
どうみても生物のソレでは無かった。
「夜空、つまりどういうことだ!」
「世界中に散らばる…開祖“始神”たちの…間で……恐れられていた…… 悪意そのもの…
彼は…海原の天女、いいえ…村雨の……
産みの親と言っても…過言…ではない…わ」
「私の思想を継ぐ クトゥルフ・サタン・セイレーン
…童 お前は誰よりも強い…」
(! 気付かなかったが…
こいつが現れた瞬間から…
俺たち以外の時が止まって…)
「殺意の波動…よ… 雨々の…魔法の一つ……
爆発の…半径20キロの…時空を停止する……」
「グ… 何が…目的だ!!」
「……お前を殺しに来た… ハ … ハハ…。
永い刻を…寝ていたからか…
感情や…性格が…錯綜している…な……フハハ…」
「段々と……彼に戻りつつある……
逃げるなら今…ね」
「夜空…暫く見ない内に…知能も停止したか?
……私から逃げられる者など…
始祖神・オリュンポスくらいだ」
始祖神オリュンポス。
この世界を創った始神。
彼の神の祠だけは何処に存在するか…不明である。
世界が…地球が出来たのは遥か昔のビックバンである。
そして生命らしい者が地球に凡そ25億年前産まれる。
一つは触れた花は咲き 触れた水は潤う。
一つは触れた花は枯れ 触れた水は穢れる。
一つの生命はオリュンポス。
一つの生命は雨々。
彼らが互いに育ち… 争い…
オリュンポスの勝利にて世界に生命が次々と生まれていく。
そして今に至る。
だがオリュンポスとの戦いにて死したと思われた悪神 雨々は…
9000年前、ゼロ一族である 「流零 村雨」という少女の内なる悪意に目を付けた「意識だけの存在」になった雨々は…
村雨を人から神へと300年間かけ昇華させた。
そして300年後である今から8700年前…
嘗て自分が完遂出来なかった「オリュンポスの意思」
つまり平和の意思を破壊しようと村雨を使い世界を終わらせようと次々と神達を悪神に堕とし乗り込ませる。
が、夜の神を宿した同じゼロ一族のオズマと夜空の手によりその願いは無に帰した。
そして村雨を海原の天女にする為に魔力を使いきり、夢半ばにて雨々は再び永い眠りにつく…
8700年後。 人間の魔導師「シベリア」「ミッドナイト」の計画にて海原の天女が復活する。
その魔力は8700年間の間溜まり続け 統一戦争の時とは比べ物にならないほどであった。
そして村雨と夜空のぶつかり…
ジェイクの魔力…
その全てが交差し… 漏れた魔力を吸い取り雨々は意識だけだが再びこの世界に目覚める。
遠い遠い年月を経て…
恐ろしき意思を携えて…
「……何億年も……混沌を望むの…?」
「当たり前だ…。
私の意思は途絶えておらぬ。
この世界にまだ私を召喚した者がいた…」
「…!? まさか…貴方… 誰かに…融合して…」
始神融合には二通りある。
ジェイクと夜空の様にジェイクの体を基調とし夜空が宿り、夜空の魔力を体内から流しジェイクが使う。
もう一つはその逆。
神を基調とし、人間が神を召喚する為だけの人柱とするやり方。
雨々は誰かに融合させ 後者を実行してこの世界にいるのだ。
「…クロノス…」
「…さすが と言わんばかりの眼力だな。
……村雨を壊しただけ有る」
「クロ…ノス? 童…なぜわかる…?」
「何となく…そんな魔力を感じた…」
「お喋りも此処までにしよう
…お前達を…消す作業に移るとしよう…!」
「融合なら……雨々の100の…力では…ない…わ
勝てるかも…しれない… 立ち向かう…?」
「ああ…!夜刻創造!!“前奏”!
月影堕とし!!!!」
雨々の真上の空間を落とし、押しつぶす!
「このまま圧し潰す!!」
グググ…
「…この程度か… 夜空…」
「!? 童…それではダメ… !」
「! …ならば!
夜刻創造+金凰奏々+黒白音覇 “鳳凰”
炎絶・夜月ノ舞!!!!!」
空より陽射しが5射…。
雨々を襲う!
「太陽の光を絞って直接当てる…!
海原の天女の奥義を参考にした…!!
世界を終わらせる?そんな事させない!!!
争いも平和も…全てが積み重なり人が出来て行く…!
その繋がりを断ち切らせはしない!!!!!」
ビュアアアアアアアアア!!!!!!!
5本の超熱光により雨々は動けない。
「童… アレを使う…」
「!?本気か!? …街が…」
「私が抑える… 良い? …出し惜しみなど…勝てはしない…!」
「…よし!」
ジェイクは浮遊魔法で上空へ上がる。
空が暗くなる… 朝が夜になる…
「夜刻創造 “序曲”!!!
月打ちの奇跡・“水面”!!!!!!!!!!」
海原の天女を倒した奥義…!
あの時よりも威力は跳ね上がり、月から光を射出し雨々に当てる!!
「ウオオオオオオ!!!!」
「だから……甘いのだ…… 見せてやろう…
“音の無い世を” 」
「魔力無効の陣=壱」
フォンッ…
「な… そんな…」
「…やはり……無駄なのね…」
5本の超熱光も、月の奥義も…
全て、無効化され 魔力は消えた。
「馬鹿な…奥義が…」
「フ!」ギュオンッ!!
「速ーー ぐあっ!!」バギャァァ!!
ドサッ!!
落下するジェイク。
「童!!」
「夜空、お前は後だ」
(始神封印の陣=弍)
「しま…っ! 動けない…っ!!」
「さて…。 絶=零」
手より放たれた10本の黒い棒。
ジェイクに刺さって行く…
「がっ! あっ! ぐぁぁぁ! 」ドスッ!ドスッ!ドスッ!
「その黒棒は魔力を吸い取る。
完全に魔力を吸い取られ死ぬか 傷で死ぬか。
まあ大体は後者だがな」
「かは…っ うあ…ぁぁ…!!」ドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッ!!!!!
「さて…ほう…。流石金凰奏々を宿した青年…
この黒棒10本刺して死なぬか…。
まあいい…勝手に出血多量で時期死ぬ…」
「夜空…次はお前だ」
「……っ!! …雨々……!!!!
よくも…よく……も'''!!! よくも!!!!
よくも!!!!!!!」
「我々“神”にとって害になる存在を消しただけだ…。
貴様にとっても…“慈悲”を知る「一人の童」は邪魔であろう…」
「………あ…ぁ… また……1人……
やっと…………………………………………
やっと!!!!!!
やっと!!!!!!!!!!!!!!!!
「愛」を知る…… 童に…出逢えたのに……
貴方のせいで…また…また…!!」
夜空はそう言うと始神封印を弾き飛ばす。
「夜空法衣!! 」
夜空は黒の法衣に身を纏う…
「 “夜想曲”!!
夜創りの悲劇《意思剥奪》!!!!」
夜空は怒りに身を任せ奥義を撃ち放つ!!!
「……童の為に… 夜の神が乱心か…」
(この借り物の魔導師の肉体を使った融合では…夜空の本気は受けきれんな…
……フ… “主体”が死ねば契約した始神も同時に消える…
ここは逃げの一択…だな…)
「雨隠れ」
ザパァァァン!!!
雨々は泡沫となり居なくなった。
…しかし…
「逃げ切れると…… 思わな…いで!!」
ギュオンッ!!
「な…!?」(時空間移動魔法 雨隠れを強制的に引き戻した…!?)
雨々に夜空の奥義が直撃する。
「ぐっ!」(これは…しまった…
主体のクロノスの魔力と感情を封印する技…
意思剥奪… チィ…雨隠れ“舜”!!)
ヒュォンッ!!
「はぁ、はぁ、…雨々の魔力と感情を消し去るのは無理だったが……
奴の…主体は…消し飛ばした…はず…」フラッ
夜空は落下する…。
「時が…動く…… 誰か…童…ジェイク…を…」
ドサッ
夜空は倒れる。
「が…………イル………ソラ……………………………………皆…………………」
第5話へ続く
死…。それは神々ですら恐れる生命の終点。大切な者の死ほど早く訪れる…。
第五話「喪失へと続く消失」
辺りの止まった時が動き出す。
雨々がこの場から離脱したからだ。
ーとある場所ー
フォンッ
ドサッ
「く…流石は…“夜空”という訳か…
まさか私への攻撃ではなく私が宿っている魔導師の感情と魔力を永遠封印するとは…
もうこんな体要らぬ…
また宿主を探さなくては……夜空…め!!」
フォォォンッ
音を立て 雨々は消えた。
そこには魔力と感情を夜空の奥義により剥奪された抜け殻となったクロノスだった。
ーキングタウンー
「ジェイク! 新月の巫女!無事か!!」
ジャッジとハルが駆け付ける。
「!!!ジェ…イク…やだ…やだよ…」
「く…見てはダメじゃ…。」
ジャッジはハルの目を隠す。
「新月の巫女…大丈夫かのぅ?」
「……私は…力を使い…疲れている…だけ…
童…童は…?」
「……残念じゃ…
絶命しておる……
皆に何て言えば良いのじゃ…ジェイクが…殺された…」
黒としてこの世界に生まれ…。
仲間と共に 最悪の時代を平和へと導き…
「悪意」に蝕まれた災厄・村雨の形の果ての姿である海原の天女も倒し…
第1席となったジェイク・ハザ・ダスト…
享年20、若過ぎる戦死を遂げた。
「童………………………………………」
「うっ…ぐすっ…うわあ…ああん……」
ハルはジェイクの死体に抱きつく様に泣いている。
ジャッジも言葉を失い項垂れる…。
絶祖死神・雨々。
始祖の力は最恐の名高い物だった。
あのジェイクが抵抗すら出来ず殺された。
この世界に彼を倒せる魔導師はもう…。
「……私は……もう二度と……」
ーーーーーー
「イルソラ!! お前は死ぬことはねぇ!!」
「貴方と共に戦ってきた… 私も貴方に寄り添い 運命を遂げる…わ!」
「違う!! この光に飛び込めばお前は死んじまう!
いいかイルソラ、良く聞け!
セイレーンは倒せなかった、封印しただけだ!
いつかまた…奴を蘇生させる輩が現れる筈だ…
その時…必ずまた「金色」は産まれる!
その金色をお前が導くんだ…
俺の「黒白の意思」と共に!!」
「待って…オズマ…!! この光は……
世界を統一する魔法…「夜刻の絶縁」……
飛び込んだ者の魔力を吸い世界に魔力を与え続ける、つまりこの世界を平和にするために貴方はひとりで太陽に成らなくてはならない…
そんな孤独に貴方を…っ!!」
「……イルソラ、俺な。お前に出会えて良かったんだ。
確かにこの光に飛び込めば記憶も殆ど失い 人格も変わっちまい、人でも無くなり神になっちまう…でもさ。
俺この世界が好きなんだ。」
イルソラ、お前に恋をしたー。
「!!」
「だからお前を死なせたくは無いんだ。
転送魔法・月送りの約束=刻」
「!!オズマ…!私も…貴方が好き……!
だから…私を…一人にしないで……!!」
「へへ… お前を月に封印する、そしてその封印を解いた者…それが俺の意思を継ぐ「金色」だ。
きっとそいつは俺の血を引く、魔力を引き継いでくれるさ。
俺と同じ平和の思想を持って…
そいつを俺と思うんだ。そして世界がまた壊れたらそいつとお前で戦うんだ。
お前は俺に宿ってる時は2メートルもあるけど一人で「夜の神」としている時はたった160センチの可愛い奴だからなぁ。心配だぜ…お前を一人にするの…神なのにな…はは。
……なあ、イルソラ・・・?」
暫くの間… お別れだ
「オズマ!!!!!!!」
キュイイイン!
フゥンッ
「!こ、ここは…月…? オズマが…戻らないと…これは…封印魔法…月に……オズマ…オズマ!オズマ!!…オズマ……」
ーーーーーーーーーーーー
「何千年も待って…………………やっと…会えた……「オズマの意思」………
私の…力が足りない…から…二人を失った…」
「新月の巫女…」
「何が……神…よ…… 人…一人…護れない…
何が…何が神なの……何も成せない…!!」
「!?新月の巫女!落ち着くんじゃ!!
魔力が暴走しておる…!!行かん!
ハル!此処から離れるのじゃ!!」
バッ!
ジャッジはハルを掴み空中へと浮き、離れる。
「あ…あ……」
夜空はあり得ないほどの魔力を漏れ出させ…
怒りに任せ… その力を放っている。
キングタウンは壊れ始めた…
その時だ!
キュインッ!!!!!!!!
「う……………」
夜空の額に手をかざす魔導師。
夜空の魔力は落ち着いてくる。
「……すまなかったな。 一人にして」
「オズ………マ…」ポロポロ
夜空はオズマに抱き着く。
目の前に居るオズマはオズマだが記憶もほぼほぼ無く 人格も変わってしまったオズマだ。
それでも夜空は泣きついた。
その姿は夜の神ではなくまるでただの…
「……寂しかったか。夜空。
永かった。だがもうお前を一人にはしない」
「……それ…は……約束…?」
「…約束しよう… 夜の神よ」
「! 貴方…記憶は…」
「分からぬ… 細かい事は何も思い出せぬ…
だが…私は…夜空、“お前を愛していた” 。
それだけは…ハッキリと分かる」
「オズマ… 9000年近く…待たせて……私を…」
「すまなかった。 良く耐えた 良く堪えた
もう離しはしない… お前を愛している」
「私も……好き…よ…オズマ…」
「あれが…始祖魔導師…オズマなのか…
なんと言う魔力じゃ…」
「あ、あの人…誰なの…」
「あのお方は8700年前に世界を統一しての…
平和を何千年も見守っている「最初の魔導師」じゃ… 意識だけの存在で触れる事など出来ないハズじゃが…」
「人の世の王よ 此処へ」
「!…ハル、ジェイクを抱きしめているのじゃ…」
「わかった…気を付けて…お願い…」
「大丈夫じゃ!」ナデナデ
「お初目に掛かりますのぅ…
ワシが現真王ジャッジですじゃ。
始祖魔導師 オズマ様とお見受けします」
「額を上げよ 額付く必要は無い
人の世の王よ、遅くなってすまなかった。
私がもう少し早く体を完成させる魔法を発現させていれば駆け付ける事が出来た」
「いいえ…貴方は既に世界を2度救われている…
伝承によれば…
海原の天女を封印し、海原の天女の残した天体を壊すほどの魔力爆発を光に自分を犠牲に抑え…
太陽を創った… 貴方は充分過ぎることをしてくれましたが
今を創るワシらが何も出来ず…」
「これは神の仕業
お前達が悔う事では無い
して人の世の王よ。
私の意思を継ぐ「金色」を私の前へ」
「分かりました…
ハル、少し離れてるのじゃ」
「う、うん…」
「ジェイク…。 死したか…。」
「…」
「夜空、此の者は世界の為にまだ必要だ
蘇らせるぞ」
「!……出来…るの?」
「ああ…。蘇生神・クトゥルフ。
奴の神の祠を探しだす。
そして奴は悪神。 タダでは言う事は聞かないであろう。 そして奴を倒すそして従わせ蘇らせる
…これしかあるまい」
「まだ……望みがあるんですのぅ!」
「人の世の王よ 安心せよ
我が意思 こんな所で絶やしはしない」
だがこのまま置いておけば腐敗する…。
ふむ。」
オズマはそう言うとジェイクの体に手をかざす。
「…始神昇華」
ギュォォッ
ジェイクの体が光に包まれ、タルタロスが出てくる。
「何奴…! 私を主人の契約召喚から無理矢理引き剥がし召喚させるとは…
こんな事が出来る人物…まさかお主、オズマか?」
「タルタロス、久し振りだな。
大戦の時は助かった。幾度となく世話になったな」
「生きていたのだなオズマ…」
「辛うじて、な…」
「オズマ…今ジェイクの中で聞いていた。
我が主人をどうか頼む」
「そのつもりだ。 お前の力で此奴の体を保存しておいてくれ」
「分かった、冷凍空間に保存しておく
だがそれでも死体の腐敗が進む。
期限は日にちに表すなら3週間と言ったところだ
頼むぞ」
タルタロスは空間を開きジェイクをワープさせ、消えた。
「さて…。人の世の王よ。
クトゥルフは知っているか?」
「今まさにそのクトゥルフを倒す為にこの世界の実力のある魔導師が向かっております…」
「そうか…。奴は強い。
貴様も向かうがいい」
「そのつもりです…
オズマ様はどうなさるのですかな?」
「…私にはジェイク復活に向けてしなくてはならない事がある。
それが「雨々」を抑える事だ。
奴に邪魔をされてはジェイク復活が滞る…。
私が奴の意識体を抑えてる間に復活を試みよ。
分かったな?」
「意識だけでも攻撃してこれるのですかの?」
「雨々を舐めるな。
意識体だけで2億年も漂っていられる魔力を持つのだ。
私にしか抑えられん
…夜空!」
「分かってるわ…。少しの間…また貴方にやどる…わ」
「共に行こう…イルソラ」
「ええ…ゼロ…」
始神融合…!!
「こ、これが…平和を創った魔導師の真の姿…!」
「久々だな、夜刻創造は…。
行くぞイルソラ… 全ての歪みを正しに行く!」
「ええ… 行きましょう、新月が宵闇となる前に…!」
キィィィ…フォンッ
オズマはこの場から消えた。
「…なんと言う魔力…この場にいるのが場違いな気がしてくるレベルに…
ワシも行かなくては…
ハル!お主も一度オズに…!!」
振り返った先にいたハル。
その真上の三階建の建物。おそらく宿屋だ。
オズマの魔力で壊れ、ハルの上から落下してきていた!!
「ハ、ハル!逃げるのじゃ!!」
(神速移動の出来ないワシのスピードでは救えん…!! なんてことじゃ…!)
「神速移動!!」
パシッ
ガラガラ…ドスーーン…
「は、ハルーっ!」
「ジャッジさん、大丈夫」
「!レイン!」
「目覚めたらこれだ…。
何があったか教えてくれない?」
ハルは恐怖で気を失ってはいるが、怪我はない。
レインが助けたのである。
「お主こそ何をしていたのじゃ!?」
「僕?ジャッジさんからお金もらって買い物してたらね…
いきなりよく分からない奴に襲われたんだ。
「雨々」とか名乗ってた」
「!」(先にレインの元へ行っておったのか!)
「勿論攻撃的な魔力を感じたから応戦したよ。
金凰奏々にもなった。
でも…ネプチューンを出そうとした時…
“体からネプチューンを引き剥がされた”」
「!!!?」
「な、なんじゃと!?」
「ネプチューン…奪われたよ…
奴は多分始神を狙ってる。
ネプチューンを僕は宿していたから分かるけど…
あの気は龍神の谷に似ていた、つまり…
5年前、ベイリオン達龍神の民から龍神ティアマトを奪った魔導師ってのは雨々だと思う。
そして僕のネプチューン、…もしかして奴は始神を集めているのではないかな。
それで、そのあと記憶がないんだ。
まるで時でも止まっていたかの様にね。
気がついたら辺りがボロボロ。
ジェイクの新月の巫女やタルタロスは無事かなって思って来たんだけど…ジェイクは?」
「…話す、聞くのじゃ」
ジャッジは全てをレインに話した。
レインは涙をこぼす。
だがすぐにクトゥルフを倒すことを決意する。
雨々の目的は何なのか。
ジェイクとしばらくの別れをレインは心の中ですると…
ジオ達の向かっているクトゥルフの神の祠に単独で向かうのであった。
ーー太陽ーー
「…オズマ…なぜここに?」
「用意をしに来た。
“金凰奏々” …太陽の魔力を持って行く」
「そう…。オズマ、雨々は何故ずっと争うの…?」
「分からぬ。奴が今始神たちを出現させ、奪い自分の物にしている。
その使い道も目的も分からぬ…
なぜ…今になってまた世界を壊そうとしているのだ… させぬ…させぬぞ…」
次回 Vsクトゥルフ!?
始神たちを集めている雨々の目的は?
そして真の…
第6話へ続く
死を運命だと受け容れられる。そんなに人は強くない、勿論神も…。人も神も表裏一体、悲しみに生きる生命だ
第6話「破壊と豊穣の神」
ーーーバラン帝国より遥か北の地ーーー
〜ジェイクの死より2時間前〜
「ここか… 」
ジオ、ルージュ、ルレン、ベイリオンの4名は「王の崖」と呼ばれるバラン帝国から北へ遥かに進んだ先にある場所へと着いていた。
「ルージュ、どうやって神の祠を出現させんだよ」
「私が説明しよう」
ベイリオンは空間に紙を精製する。
「これが蘇生の神 クトゥルフの召喚のやり方を書いたものだ。良く見てくれ、説明する」
1、“神の祠”を察知出来る様に「始神」を宿した者を2人以上用意する
2、クトゥルフは他の神とは違い、視認しただけでは入れない。
なのでクトゥルフの神の祠の扉を開ける為の「儀式魔法」を完成させる。
3、その儀式魔法とは儀式魔法「ウロボロス」
7つの決められた鉱石を神の巻物へと魔法で結合。
4、それを「神法魔導師」クラスの魔力を持つ者が召喚する
5、これら全てをクリアしたら、離れた位置に神剣エヴァレータを置き、剣よりクトゥルフを召喚する
「…だ。
つまり…
1の条件は、ルレン、ルージュが居る為満たしている。」
「うむ」
「うんっ!」
「そして2。 これは3と混ぜる。
3、ウロボロスだが6つ鉱石は私が既に集めて巻物へと結合している。
最後の一つがジグオクのクローンの動力源になっていた「蛇龍石」だがそれはジェイクより授かっている。」
「そして…。神法魔導師は此処に2人も居る。
更にクトゥルフの神の祠でもあるエヴァレータはジオ、お前が持っている」
「…ってことは、もう出せるんだな…」
「ああ」
「ねールージュさん」
「?なんだルレン」
「クトゥルフの神の祠って神剣エヴァレータそのものなんでしょ?」
「ああ、クトゥルフはエヴァレータの中に眠っている」
「ならなんでこんな崖に来たの?」
「それは… 此処が「破壊神 ブリケト」の神の祠がある場所だからだ。
クトゥルフを抑えられるのは良神・ブリケトのみ。
彼をジオが体に宿すのだ」
「なるほどっ!」
「よし、ジオ。エヴァレータを渡すのだ」
ジオはエヴァレータをルージュに渡す。
「結界魔法・霊魂の陣!」
エヴァレータを地面に刺し、その周りに結界魔法を張る。
「これでブリケトを召喚しても呼応してクトゥルフが生まれることはない。
さて…ルレン、やるぞ」
「はーいっ!
おいでっ!私の神さま!
ヘスティアちゃん!」
治療の神 ヘスティア
「お久しぶりだよルレン。 って言っても1年ぶりだね」
「そうだね! じゃあ、早速なんだけど私に宿ってくれる?」
「うん、いいよ。 始神融合だね」
ギュオオオオオ
「よーし、宿したよ!」
「出でよサイクロン!!!」
「我が名 妖霊王サイクロン。
ルージュ、融合だな」
「ああ、宿れ」
ギュオオオオオ
「私も大丈夫だ」
ベイリオンは龍化の術をする。
ルージュ、ルレンはジオ、ベイリオンより前に立ち王の崖に向け手をかざしている。
ジオも聖剣レファを構えている。
「良いか。 ブリケトは良神だが破壊神。
奴は自分を召喚した者をいきなり襲うそうだ、理由は「召喚した者が悪意を持つ者ではないか」を確かめる為…。」
「よーし、いくよーっ!」
「「召喚魔力 送信!!」」
手のひらより魔力が王の崖へと注がれる!
「「解除!!」」
ガチャンッ!
魔力を浴び、出現した神の祠の扉が開いた、その瞬間!
扉を破壊し、中から大きな魔神が出てくる!
「我が名 破壊神ブリケト!!!
貴様らを試す者!!!」
「来るぞ!
黒白音覇 “後奏”
魑魅魍魎!!」
ルージュはサイクロンの手を体から出しブリケトを掴む。
「龍炎火山!!!」
爆熱を捕まえたブリケトへと注ぎ込む!
「今だ、斬れジオ!」
バッ!
「うおぉ!! “魔力投影”【魔真王】!!
生命斬り!!」
そう、ミッドナイトの技だ!
まだ燃えるブリケトの体をサイクロンの手ごと斬りつける。
スパァッ!!!
「よし! 畳み掛けるぞ!」
ルージュの掛け声と共に、後ろに下がったルレン以外が技を構えまだ煙立ち昇るブリケトの元へと走っていく!
「神法・絶対破斜!!」
バギギ! ズドトド…!!
「なっ!」
「チィ…」
「くそ!」
「きゃっ!」
地面が斜めに上がっていき、ブリケトは「一」の様な平原の大地を「V」の形の様に地面を曲げた
三人は滑り落ち、真ん中へと転げる。
「ぐ… まさか走っている大地を盛り上げ真ん中へと我々をまとめるとは…」
ルージュも突然のことにより浮遊魔法が間に合わない。
立ち上がろうとするが床がV字型に曲がっている為上手く立てない。
「ベイリオン、ルージュ、上だ!」
その真上、ブリケトが神法を構えている。
「神法・蟻地獄!!」
「ソラ ソラ ソラ ソラァァ!!!」
ブリケトは空間に石の槍を大量に作り出し、V字型に曲がった地面の真ん中へと何本も雨の様に飛ばしてくる。
「魔力守護!!」
ギギギギギ ガキーーン!! バギャッ!!
ルージュはベイリオンとジオを魔力守護で護り、石の槍の雨を防ぐが…
「数が多過ぎる! 魔力守護が割れるぞ!」
「ぬぅ…両サイドは大地の壁…
マズイぞ…」
「……ルージュ、1分。
1分でいい、魔力守護を保てるか?」
「…よし! 魔力をふんだんに注ごう!!」
ルレンは離れた位置から雪魔法でブリケトに攻撃を仕掛けているが治療魔導師のルレンの攻撃など意に介さずブリケトは石の槍を投げつけてくる。
「…よし……」
ジオは魔力守護の中でレファを鞘に納め、居合斬りの体制をとる。
(この技は…エヴァレータの刀身の強度なら問題なく打てる…。
だが、レファでは折れてしまう
だから折れない様に魔力を注ぎ込みながら斬るしかない、だがそんな事をすれば魔力があまり多くない俺だと体が耐えられず体が壊れるだろう…
だがそんな事… 気にしてられる場合じゃない!!
俺のエヴァレータの為にルージュもベイリオンもルレンも死なせる事などできない!!)
「溜まった!! ルージュ!ベイリオン!今だ!」
「魔力守護…解除!」
ルージュは魔力守護を消した。
石の槍が頭上より襲う!
「魑魅魍魎・白檄の掌!!」
ルージュの始神融合・妖霊王 サイクロンはまるで黒い太陽の様な形をしている。
球体である。
その球体から日本の白い手が両サイドへ伸び、大地の壁を破壊する!
「龍炎火山!!」
あのレインが噴火と変わらないとまで言った程のベイリオンの上へと打ち上げる炎魔法。
口から出た灼熱は石の槍を穿つ。
「はぁっ!!」
そしてベイリオンは魔力で龍炎火山を二つに割る。
ジオの通り道を作ったのだ!
ちなみに上から槍を投げていたブリケトは龍炎火山を魔力守護で防いだ。
そしてその隙にベイリオンとルージュは両サイドの壁を壊したので左右へと逃げる。
「行くぞ…!浮遊魔法!!」
ジオは炎の中を上へと上昇する!
その時だ!
「ジオくん! ジオくんの体を私が「常に再生」する!
だから恐れず本気を出してっ!!」
ヘスティアを融合させ浮遊魔法で後ろから叫ぶルレン。
その声はジオに届いた!
「!…はは、ありがとよォ!!!
ルレン!!俺とお前の相性は…」
「…見事!」
“ 最高だ ”!!
「治療魔法・再生と再世!!!」
「よし、これなら…!
“魔力投影 神速王+魔力投影 天狼王”…!!」
シュピンッ!!
「!?速ーー」
ジオは神速移動を超える速度でブリケトの背後へと移動した!
リーヴのヘルメスの靴と同じ速度だ!
「雷神・雷獣王!!!!」
稲妻の様にジグザグに斬りつける。
雷を帯びた剣はまるで虎の様にブリケトの肉体を狩った。
ーーーー
「見事だ人間たちよ。
私を相手に良く勝利を得た。」
「斬ってすまねぇな…」
「構わぬ。そこの人の魔道士が回復をしてくれている。
いきなり襲った事は謝罪する。
だが我々「始神」の力は悪の心を持った者が無闇矢鱈に使っていい物では無いのだ。
貴様たちが悪かどうかは見極めた。
…其処の剣士よ。 我は貴様に宿ろう」
「!?」
「ほう…」
「なるほどな」
「わぁ〜!」
「何故俺なんだ?」
「其処の闇魔力の魔導師…。
貴様は間限…いや、この世界ではサイクロンか…。
を宿している。故に我は宿せぬ」
「間限…ほう…」
「そして治療魔導師。
貴様もリアシーが宿っているな。」
「リアシー?」
「? リアシーじゃないのか?」
するとルレンの中のヘスティアがルレンの背後に現れ話す。
「ブリケト、こっちの世界じゃヘスティアって呼ばれてるよ!
それでお願いね!」
「リアシー。 ヘスティアか、分かった」
「そして炎の貴様は龍神の民…
ティアマトの子孫達だな。
つまり我々“始神”の加護など無くとも強い。
故にバランスのため我々始神は貴様らの魔力の中には住めないのだ」
「そういうものなのか。知らなかった」
「消去法かよ…」
「いいや。悲観するな。
例えその闇魔導師がサイクロンを持っていなくても
治療魔導師がヘスティアを携えていなくても
龍神の子孫が龍神の民では無くても
我は貴様を選んだ 見事な斬れ味だった」
「…ブリケト… これから…頼むぜ!」
「うむ、我が主人よ。 我を宿せ」
「始神融合“破壊神ブリケト”!!!」
ギュオオオオオ!
「これが…始神融合… すげぇ…魔力だ
知らない魔法の術式が頭に浮かんでくる、ブリケトの技か…」
「うむ、そうだ」
「宿していても会話出来るんだな」
「よしジオ。本来の目的を果たすぞ」
「ああ!」
ーーー
ー神剣エヴァレータの前ー
「ブリケト、お前にしかクトゥルフは倒せないと聞いた、だからお前を召喚したんだが…
どうやればいい…?」
「…ふむ…確かにエヴァレータ…。
中に奴の魔力と鼓動を感じる
……おのれクトゥルフ。やはり生きていたか。」
ー破壊神ブリケトとクトゥルフの関係ー
破壊神ブリケトの技に一つこんなモノがある。
「絶対分解」 と言う魔法。
これを拳や武器に流し込むと、当たった対象を完全に破壊し組織体を分解するのだ。
勿論1撃につき相当の魔力を消費する為、何度も使うなんて不可能である。
組織体を分解するので治療魔法でも治すのは相当困難。
長い時間をかけるしかない、戦闘中の再生など以ての外である。
大戦時、クトゥルフを抑えるべくブリケトは立ち向かった
ブリケトが破壊し、クトゥルフが蘇生する。
クトゥルフの技は「創造蘇生」
これは回復では無く蘇生。
体の組織や細胞体が壊れてもそれを蘇生するので問題ない。
だから彼はエヴァレータを使えたのだ。
だがクトゥルフもブリケトと同じ。
部分的な蘇生なら(しかも自分の)何度でも大した魔力は使わない。
が、自分以外の人の死を蘇生するのは4000年ほどに1度しか不可能である。
自分自身の蘇生も1000年に一度程でないと魔法は再構築されないのだ。
どんな技にも欠点とリスクがある、ということだ。
ーーーー
「よし主人よ、エヴァレータの前に立つのだ
他の者は1歩下がるのだ」
ブリケトが指示を出す。
ブリケトを始神融合したジオはレファを握り皆より1歩前にエヴァレータへと近づく。
「さて、準備は良いな?皆の者」
「構わぬ。してブリケト。
奴を倒すのに我々の始神も必要か?」
「いや…。始神をあまり同じ場所で何体も出現させるとどうなるかわからぬ…
私、クトゥルフ、最低でも後1体だな」
「分かった、なら私のサイクロンは控えよう」
「えっ? 戦闘ならルージュさんのサイクロンの方が向いてますよぅ!」
「いや…。戦闘面は心配にはならんが回復は尽きれば終わる。
ルレン、お前の治療魔導とヘスティアが必要になるだろう…」
「…分かりました! 頑張りますっ!」(ジオ君の為!!)
「では始めよう。
もう一度確認するが封印ではなくまずわざと蘇生させ、そこの龍の民の末裔の仲間を蘇らせる…のだな」
「ああ…。すまないブリケト。
確かに一度天命を全うした魂を呼び戻すなど以ての外だろう。
だがそれは「天命を全う」出来た時だけだ。
私の仲間たちは…
理不尽に殺されたんだ…!」
「…ふむ…。 特例だ、主人の仲間ならば特例もありだろう
一度だけだぞ…。蘇生は世界の倫理を壊す」
そう言うブリケトの目は…
覚悟を持った目だった。
「愛する者の死こそ早く訪れ…
夢の中だと思っていた“決別”が現実になる。
人間は決して死を受け容れる事は出来ない
神々も死など真にも捉えていない
だが「破壊」の名を背負って分かった。
物に 人に 生命に 神に
死など必ず訪れる それが運命だ」
「…」
ベイリオンを始め、皆その言葉を真摯に受け止めている。
「よし…では皆の者、始めるぞ」
「気を落とすなベイリオン。
確かにブリケトの言う事は正しい
ーーだが人はそんな簡単に割り切れない。
お前の気持ちも分かる、それを組んでの特例をブリケトは許してくれたのだ」
「…うむ、すまないルージュ…」
「王離神濁!!」
ブリケトはエヴァレータに魔法をかける。
そして…剣から人型の魔力の塊が現れる!
「出るぞ!アレが…」
「「悪神クトゥルフだ!!」」
ー次回予告ー
遂に現れた蘇生神・クトゥルフ。
その思想は危険そのものだった!
そして…その時…
雨々の野望が明らかになる!
七話へ続く
嘗ての“厄災”。それらを制した金色の魔導師。女神は何を想うのか…。
第7話「再臨」
ギュァァァァァ…
辺りに旋風が巻き起こる。
埃は散り、砂も散る。
枯葉は崩れ、記憶は薫る。
そこに現れたのは “悪神”と名高い神…
蘇生神、クトゥルフ…
「………侘びた……」
「動くぞ…!」
「待ち侘びた……“殺戮”の時を!!!」
クトゥルフはそう叫ぶと、自分の足元に刺さっているエヴァレータを引き抜く。
「馬鹿な!サイクロンの魔力で組んだ封印魔法をかけた剣をいとも容易く引き抜く…だと!?」
「皆、気を抜くでない…
主人よ、行くぞ!!」
「ああ! みんなはサポートに回ってくれ!!」
「「「了解!!」」」
「いくぜ…! “魔力投影” 【魔公王】
鳥籠の呪縛!!」
「まず奴を閉じ込める!!」
「フハハハハハハ!!!
人間よ!! この魔力…こんなチンケな魔力…
久方振りに斬るぞ、エヴァレータ!!!」
ガコンッ
鳥籠でクトゥルフを囲う。
クトゥルフは4メートルもある為、鳥籠も相当大きな物になる。
到底今までのジオの魔力では不可能だが、ブリケトが居るためその魔力は桁違いである。
「よし!閉じ込めた!」
「私が行こう! ベイリオン、炎をもっとだ!」
ルージュは自分の武器を翳す。
ルージュの武器は特製。
剣杖(けんじょう)と呼ばれる武器である。
魔力の込め方により先端が変わるのだ。
剣にもなり杖にもなる。
剣杖・幽霊剣である。
「よし、幽霊剣を杖に…!」
「龍化の術! 行くぞ、どうなっても知らんぞ!」
「構わぬ、来るのだ…!」
「猛炎大縄!!!」
ベイリオンの口からまるで縄の様な形で炎が飛び出す。
相当の高熱だ!
ルージュはそれを杖に吸収していく。
「ぐ…やはり流石 龍神の民…なんて炎量だ…っ」
「ヘスティアちゃん!いっくよ〜!
再生と再世!」
ルージュの体が常に回復する。
「よし…行くぞクトゥルフ!」
「(フ…あの炎……)」
「主人…クトゥルフが大人しすぎる、何かあるぞ」ボソッ
「分かった、鳥籠を強化しておく!」
「杖→剣 !」
杖が剣に変化する。
「行くぞ!此処まで炎魔法を溜めれば貴様の体を焼き切る事など容易い!!
そしてこの炎を我が闇で収縮する!
行くぞ!
魔断の矛⇆完成の頂!!!」
ムチの様に剣から尾を引く炎。
そしてそれをしならせながら鳥籠へと剣撃を叩き込む!
ズバァァァン! ボォォ…
切り口が発火し、クトゥルフの首は落ちる。
「!」
「!?やったのか?」
「まだだ!奴は蘇生の神!其処を狙っておる!」
ブリケトは叫ぶもルージュは空中。
だがこれも仕方ないのである。
なぜなら…
此処まで彼らはクトゥルフは強い、クトゥルフは恐ろしいと頭に刷り込ませて来た。
なのにいざ戦ってみれば瞬殺出来た。
驚き、対応が遅れるのも分かるであろう。
ルージュはその不意を突かれ高速蘇生したクトゥルフに背中を貫かれる。
「ルージュ!!」
「ルージュ! くそ…!」
「ルージュさんっ!!!」
「甘いのだ…ちっぽけな人間よ…」
「がは…ぁ…」
エヴァレータは、ルージュの背中から貫き完全に肺を貫通している。
浮遊魔法でクトゥルフへと向かい飛び、斬り抜けた後背後からの強襲。
普通は避けれない。
相当な魔力を使って斬ったので浮遊魔法も咄嗟に早くはできない。
その状況でルージュはそれでも尚心臓への一撃を肺へと逸らした。
「しま…った……」
ブンッ!!
クトゥルフはエヴァレータを振り下ろし、刺さっていたルージュは吹き飛ぶ。
「! クソ…! 」(ダメだ!飛ばされる速度に追いつける訳…
…!この術式…そうか、ブリケトの技を今俺は使えるんだ…ならば!)
「神速移動!!」
ギュァァァァァッ!
パシィッ
ジオは、落下寸前のルージュに神速移動で追い付き受け止める。
「ルージュ!しっかりしろ!」
「ぐ…ジ…オ…ブリケト…の…ゴフッ…
ブリケトの…絶対分解を使うのだ……」
「ど、どういうことだよ!」
「主人、クトゥルフを倒すのに私が必要な理由を知らずに私の神の祠を出したのか!?
私の絶対分解ならいかにクトゥルフと言えどあんな高速に蘇生は出来ん。
その隙を突いて奴を弱らせる封印を施す
それが作戦だ、良いか!?」
「ああ、分かった… だが絶対分解とは…」
「私の技だ、戦いの中で進化せよ、マスター」
「分かった… 任せろ、ブリケト。
お前を使いこなしてみせる…!
ルージュ、此処で動くなよ!」
「すま…ないな…」
ルージュはヘスティア融合のルレンがかけた再生と再世により少しずつキズが治っていく。
再生と再世 、とは。
対象に一定の再生魔力を与えそれを使いながら遠隔治癒する技。
勿論肺が一つ潰れたのだ。
そう簡単には治せない、少し向こうでベイリオンはクトゥルフと戦いルレンは躱しながら遠隔治癒をしている。
ジオが神速移動を構えた時。
向こうで悲鳴が聞こえる。
「がぁぁぁっ!!」ドサッ ゴロッ
「そんな… ベ、ベイリオンさん!!」
ベイリオンの龍化の術は解けている。
そして…ジオの目には…
「上半身と…下半身が……真っ二つ……!?」
ベイリオンは真っ二つに斬られていた。
このままでは龍神の民の生命力とは言え出血多量で死んでしまう…。
「く…そ…よくも…よくも…!!
神速移動!!」
ビュオオッ!
「クトゥルフ!!!!!!!!」
「ーー!!!」
バギィッ!!
ジオは力の限りクトゥルフを蹴り飛ばす。
4メートルもあるクトゥルフが宙を舞い吹き飛ぶ。
250メートル先まで地面を擦り転がっていく。
「ベイリオン!!!」
「ジ……ジオ………………すま…ん…
かてな…かった…は…はは…
私の……願いのせいで……ルージュが…それに……あんな…凶悪な…やつの…封印を解いてしまった……ゴホッ…」
「ベイリオン…お前のせいじゃねぇ…
奴の封印は、もう一度奴を弱らせるしかない。
つまり遅かれ早かれ出すしか無かったんだ…」
「じ、ジオくん!」キッ
「ルレン……」
ルレンは涙を浮かべた、だがそれでいて決意の込めた瞳でジオを見つめる。
「ルージュさんも…ベイリオンさんも…
私が命懸けで繋ぎとめてみせる…だから
だから…あの神様を倒して…!
お願い…お願い…!!」
スッ
ルレンの頭に手を乗せるジオ…
「二人の命を繋いで… 俺があのクソッタレを倒して…
何もかもが終わったら…」
「俺の嫁になれ。 ……いいな?」
「!!!! …はい…っ!」
「ふ… 神速移動!!」
ジオは吹き飛ばしたクトゥルフの方へと飛んで行く。
ブリケトとジオ。
もう戦士は二人しか残されていない!
「ルレン……私より…先に…ルージュを…」
「るっさーい !
ベイリオンさんもルージュさんも同時に治すの!!
あ、死んだら呪うからね!
ベイリオンさんが死んだらジオくんのお嫁さんになれないから!!!
体ちぎれたくらいで死ぬなんてばーかばーかだからね!!」
「か、体千切れたくらいでって…」ぬぼーん
「すぅーっ。 ルージュさんもだよーーーっ!」
ルージュは遠くで手を振った。
「えへへ… よーし、私頑張るっ!!」
ーーー王の崖→陽炎の森ーーー
「ぬう…やはりブリケトを携えた人間だけある。
私を此処まで蹴り飛ばすとは…」
体に乗った折れた木などを払いクトゥルフは立つ。
そこにジオが飛んでくる。
「クトゥルフ、俺が相手だ…!」
「貴様。 よくもまあ此処まで飛ばす程のデタラメな威力の蹴りを出せるものだ。
剣の中から見てた限りお前はいつもジェイクに助けられるだけのお荷物だったのだがなぁ。
お前の方耳と片目、内臓。
美味かったぞ…ハハハ…」
「この野郎… 蹴りに雷撃を込めた…
今の俺には体に魔力を宿す「体・魔力装填」が使える様になったんだよ!
俺の一部はな… 力の対価でお前に渡した物だ!
今更…」
ジオは剣を構える…
「悔いてなどいない!!!」
「来るがいい!!」
ギンッ! キンキン! カキィンッ!!
「(グ…やはり強い… 悪神だけはあるか…!)」
「やはりこの程度! お前などジェイクのお荷物でしかないのだよ!!」
「絶・微進化!!」
「主人! 逃げろ! 空間の微生物を成長させる技だ!!」
「何ッ!?」
ジオの周りにかなりの速さで生物が生まれていく。
正しくは周りにウヨウヨといる微生物が急成長し、巨大化しているのだ!
ミジンコなどの微生物か蜂ほどの大きさになり、魔力を帯びジオを攻撃する。
その数、およそ100体。
「羽音がうるせぇ! 視界が遮られる!
飛ぶぞ!!ブリケト!」
「よし…!」
「浮遊魔法!」
ジオは虫たちを跳ね除け上昇する。
勿論虫たちはそれを追ってくる。
「よし此処だ! 」
(かつてジェイクが…
下から追ってくる坊やをこの技で沈めた…
上から…いくぜ!)
「慈愛!!!」
………しかし……。
「…!?」(なんだ!?慈愛が発動しなーー)
「主人っ!」
ドガッ!!
「ぐあっ!!」
「主人!何をしてる!」
ジオに宿っているためジオと共に下に落下する。
クトゥルフが神速移動でジオの更に上に移動し、ジオを叩き落とす。
そして地面へと落下したジオへと虫たちが襲いかかる。
(チィ…人間に宿っている状態で私自身が魔法を使うと普段の3倍は魔力を消費するのだが仕方ない!)
「魔力守護!」
ブーーーーン
羽音だけが鳴り響き虫たちは何度も何度も魔力守護に体当たりする。
「ジオ!どうしたのだ!」
「……痛っ…すまねぇブリケト、融合中は痛みも共有してんだろ…?
大丈夫か?」
「この程度、気にするものではない…
それよりどうしたのだ、クトゥルフは速いとはいえ反応くらいは「慈愛が発動しなかった」出来…なんだと?」
「慈愛が…発動しなかったんだ…」
「慈愛は契約した永王が生きてる限り発動する…
ハズだ…」
「ジェイク……まさか……
慈愛!! 慈愛だ!! 早く出ろ!!慈愛!!
うおおお!!!!! 発動だ!出ろ!!出ろォ!!!」
「落ち着くんだ!」
〜上空〜
(奴は何をしている?
…そうか、奴はブリケトを宿したばかりで知らぬのだな。
始神たちは全員、遠く離れていようと魔力を察知できることを…)
ー魔力守護 中ー
「主人、私たち始神の技に遠く離れた魔力を察知出来る技がある。それを使ってくれ」
「……魔力察知…」
ジェイクの魔力は感じられない。
…つまり
死んでいる、のだ。
「…嘘……だろ…」
ドクン
ドクン
「「「うわアアァァァ!!!!!!」」」
ジオの体が赤く光る!
「ぐっ!!」
ギュオンッ!!
魔力守護は、始神融合が解けたブリケト(大きさが宿ってる時は2メートルほど、普段は4メートル)の大きさにより割れてしまう。
虫たちは魔力を帯びたブリケトの体表に触れほとんどが死滅する。
「何が起きている!!」
そこにクトゥルフが降りてくる。
「やはり其奴もそうなる…か…」
「どういう事だクトゥルフ!
貴様何を知っている!」
「そうかブリケト。お前は奴に宿ったばかり、奴の下の名は知らぬのだな」
「どういう…!?… エヴァレータ、下の名……
ま、まさか!!」
「ーーそう、奴は“シレネード家”の生き残りだ」
シレネード家。
ジオたちの一族。
代々神剣エヴァレータをその頭目が継いでいた。
だがとある理由でジオ以外は滅びた。
シレネード家で黒なのはなんとジオだけである。
2分の1の確率で黒に生まれるのに皆白である。
だから助かったのだ… 呪いの夜より…
「グァォォ…!!!!!」
「主人! く…始神融合が引き剥がされるなど聞いた事もない!」
「それはお前より先にとある野郎があの体に住み着いているからだ
“鬼”の野郎がな」
悪鬼 “羅刹”
シレネード家の人間に代々宿る赤鬼である。
シレネード家が全滅した理由。
それは集落を鬼が壊したからである。
シレネード家の心の中に羅刹は移り住み生きている悪鬼である。
それは大戦時の残響、オズマが倒した鬼である。
生命力の衰えた鬼は自分たちの魔力と似たシレネード一族を狙い体の中に住み着いた。
そしてその住み着いたシレネード一族の人間の心が弱ると体を奪って蘇ろうとする。
そして中途半端な融合になり、シレネード一族はその時暴れた羅刹を抑え込むために全滅した。
そして最後に集落に一人残った鬼を発現させたシレネード一族の戦士。
ジオの弟、ミサンガは自ら命を絶ち鬼を道ずれにした。
だが…ミサンガは知らなかったのだ。
否、知らされてなかったのだ。
……兄・ジオの存在を……
ミサンガは残る自分が死ねば羅刹も移るところが無くなり死ぬと考えた。
その考えは正しかった。
続々と戦いを仕掛けたシレネード家の者たちを皆殺しにしたのだ、羅刹も弱っていた。
だが、遠く離れた地下にいたジオ、その中に羅刹は移ってしまった!
そして今…それが発現する!
「ギャァァォオオォォオ!!!!!」
もうジオの面影はない、聖剣レファは地面に転がっている。
羅刹だ。 およそ3メートル。
化け物である。
ジオの体は魔力に包まれ羅刹の中だ。
そこにいたのは赤鬼。
武器は「血潮の斧」
伝説にある武器だ。
「主人の魔力が…かなり小さくなっている…!」
「あの野郎を発現させるのに相当の魔力を持ってかれたみたいだなァ。
おいおいブリケトよ。どうする?
早くせねば貴様の主人は死ぬぞ?」
「ぐ…」(クトゥルフに羅刹…
流石にキツイか…)
「だが、このままでは私も負けるだろうな。
羅刹は伝説だ。
奴を弱らせジオを殺す。
そうすればあの化け物も消え去る」
「なんだと? させるものか…羅刹は倒す、主人は救う。
手を貸せクトゥルフ!!」
「……致し方ない 今だけだ ブリケト…!」
「ギィ…… 頭が……割れる……
やっと…出れた……
…?なんだてめぇら… ぶっ殺す」
グイッ
斧を振り上げる。
「!! マズイ!!」
あのクトゥルフが焦っている。
「鬼落とし!!!!」
ドォォォォォオォォォン!!!!!
「が…っ」
「なにっ!?」
ブリケト、クトゥルフは麻痺する。
魔力を込めた地面への一撃。
振動にも魔力が乗り、動けない。
「ぬうっ!!!」
ズバァァッ!!
クトゥルフの体は半分になる。
だが高速蘇生する。
「速いなこのクソ野郎」
「!? …治った? 分かんねぇななんだお前」
「絶対分解…!」
ドンッ!!
斧を破壊する。
「血潮の斧が一撃で割れた…だとォ!
てめぇ!!」
ゴキッ!
「ぐぅ…っ!」
ブリケトの片腕は殴られ粉砕する。
羅刹は飛び上がる。
「鬼来・飛神針!!」
全方位に魔力で作った針が飛ぶ。
まだ完全に動けないクトゥルフとブリケトに刺さる。
(!これは!)
「魔力が練れん…!」
「これでお前の蘇生もなくなるだろーがァ!
死ねぇ!!」
ガッ ガッ ガッ ドガッ バギィッ ドガッ ドガッ!
何度も何度もクトゥルフを殴る羅刹。
斧などなくても魔力を込めた鬼の拳、クトゥルフと言えど相当のダメージだ。
「が……う…」
「クトゥルフ! …貴様!
絶対破斜!」
羅刹の周りの大地をV字型に盛り上げる。
そのまま挟もうと試みる。
「鬼掌!」
両掌から衝撃波を放ち大地を砕く。
「くそ!魔力が練れないから大した壁を作れん!」
「鬼走!!」
ドダダダダ!
神速移動とまでは言わないが速い速度でブリケトに近付く。
「鬼車ァ!!」
ドガガガガガガガガガ…
連続の打撃。
相当のラッシュである。
「鬼鈍! ギャァァォオオォォオ!!」
ドガッッッッ!
頭に鈍痛。
ブリケトは声もなくその場に倒れ込む。
始神を僅か10分で2神も倒した。
羅刹は強すぎる…。
「この体は俺様に馴染んでやがる!!
相当心が弱ったな!ハーッハッハァァ!」
ジオのジェイクを失った悲しみは相当のものである。
ミサンガが発現させた時よりも遥かに強く羅刹が召喚されたのだ。
「ブリ……ケト…! しまった…これほど強いとは…ぐ…」
「が………主人………」
「「雨粒一線!!」」
ギュァッ!
「なんだ!?」
羅刹が退く。
「なんだよコレ…」
駆けつけたのは金色に輝くレインであった!
「ここは確か陽炎の森…もう見る影もないな…
向こうに体が千切れたベイリオンや死にかけのルージュさんと回復してるルレンがいた。
…見た所鬼か…? 見た目で判断するのはアレだけどね。
お前…
……誰?」
(なんと高圧な魔力… なんだコイツ…
人間のクセに…!)
「誰だろうと関係ねぇ! 全員殺す!!」
「鬼走!!」
「速ーー」
「打鬼!!」
「魔力守護!」
バギィッ!
魔力守護ごとレインを蹴り上げる。
※魔力守護は球体
「うわっ!」
そして羅刹は飛ばしたレインを魔力守護ごと掴む。
「鬼帯び爆散!」
高い場所からレインを地面へと魔力を込め投げつける!
ドガァァァァン!!
「ぁ''…… 魔力守護がなかったら死んでたね……
なんてやつだよ…」
ヒューー ドスン
地面へと降り立つ羅刹。
「てめぇも大した事無かったなァ。
…ココでてめぇの人生も打ち切りだな
ハーッハッハァァ!!」
「始神ーー ネプチューン…居ないんだ…
くそ…ごめん、ジェイク、ジオ…
ジオ?あれ、この魔力…まさかシレネードって…」
「死ね!!」
「ーーっ!!」
目を瞑る。
ーーその時
………甘い……の……ね……ァハ…
「海神死坡」
「ぐうっ!」
衝撃波。 羅刹は吹き飛ぶ。
「お前……は……なぜ…!?!?」
「…私…を倒した……クセに…ひひ…
負けそう…なんて… おかしい」クスッ
「海原の天女!!!」
そこにいたのはあの日、友と戦い倒した…
海原の天女であった!
第8話へ続く
その魔王。女神を退け海を歩き月を従えてー。
第8話「女神へのラブソング」
「…違う… !? 青くない、大きくない…
君は誰なんだい!?」
「私?…今貴方が言ったじゃない…」くすっ
(魔力は完全に海原の天女だ…
だが…あの巨体はどこにいったんだ!?
身長は僕より下…つまり175以下、ただの女の子じゃないか!
…まさか、なんらかの術で海原の天女に…)
「貴方の…滝、中々だったよ…」ニコッ
「! …ホントに海原の天女なのかい!?」
「うーん。ううん、少し違うかな。
私は 流零 村雨。
今はもう「海原の天女」じゃないよ」ニコ
(きゃ、キャラが全然違う!!!
誰なんだお前は!!!)
心の中でツッコむレイン。
クスクスと笑う可愛い少女。
だが…
「奴は…」
羅刹は驚きたじらっている。
(あの羅刹のビビリ様…。
この子はホントに海原の天女なのか!?)
「それより…今更どうやって生き返ったんだ…!」
「あの戦いの時、ジェイクに負けたけど…。
魔力を少し貴方に残していたんだ。
同じ「水」の魔導士、だから混ざり合った
「心」住めた」
「! 心に、住んでたのか…」
「うんうん そーゆーことだよ。
私を助けてくれた貴方のピンチだし出てきちゃった」
「どういうことだ、お前は世界を滅ぼそうと…」
「アレは悪意の権化 海原の天女だったから。
海原の天女の時は人々や生物の「悪意」や「敵意」なんかの悪の感情を全て魔力として吸収してたんだ。
だから心も荒んでたし会話も成り立たなかった
脳が悪意に支配されてたからね」
「70億…動物も含めれば果てしない数の悪意を一人で受けていた…」
「そっ。 それが感情の中で最も強い魔力が宿る感情「悪意」を力に変える代償。
そしてその技の名は「魔道封印の術」
人を悪神にする禁呪術…ってとこかな、9000年前に雨々に掛けられたんだ」
海原の天女とはー。
海原の天女とは自発的に生まれた災厄ではない。
世界が出来た時に同時に出来た神・雨々によって生み出された「悪意の総称」である。
つまり、代々「誰か」が“海原の天女”の名前を雨々によって植えつけられてきたのだ。
だが皆、悪意に耐え切れず死ぬか自殺した。
だが唯一村雨だけは。
雨々の血を引く子孫である村雨だけはその強き魔導と最強の身体により悪意を全て受け止めることができた。
海原の天女の完成である。
だがこの術「魔道封印の術」には使用者と対象者にはリスクが存在する。
使用者の場合、つまり雨々のリスク。
まずこの技を発動する為に必要な魔力は成人魔導士100人分と言われている。
それを自分の体で払うのだ、意識体の雨々にはかなり苦しい。
雨々はこの技の発動により9000年間眠ることとなる。
そして対象者のリスク。
これは多い。
1、人の時の記憶がなくなる
2、会話も出来なくなるほど脳が蝕まれる
3、常に何かに対して恨みを持ち怨念を持つ
4、体が巨大化し、口調も狂った様になる
5、思想が凶悪になり、世界中の生命体の悪意を一人で受けなければならない
6、寿命と言う概念が消失する
7、体が青く染まり、染色体が死ぬ
8、頭髪が長くなり、そこから伸びない
9、千切れた細胞組織は二度と治らない
10、世界中の悪意が途絶えた途端、死亡する
これほどのリスクが対象者にはある。
だがそれらを上回る程の能力を得る。
それは…
1、圧倒的に強い
もともと人の時も最強の魔導士、最強の剣闘士であった村雨。
それは果てしなく…。
2、水を操る魔導を得る
3、“悪神”を従えることが出来る
つまり、クトゥルフは村雨の部下である。
4、殺されなければ死ぬことはない。
病原体が体を侵せない。
寿命が無くなる。
だが魔道封印の術を一度受けたものはどうしてももう人には戻れず人格も戻ることはない。
だが…
「そんな術が掛かってたのか…
…!?なら何故君は今人に戻れている!?」
「それはね。」
少しさかのぼるね、あの戦いの時ー。
私はジェイクに負けて、体が消えていったの。
悪意を打ち消す月光に体が耐えられなくなってね。
そしてどうしてでもジェイクと君、レインを殺そうとあの時は海原の天女だったから頭の中を色んな策と焦燥が駆け巡ったよ。
それで思いついたのが魔力を少し同じ水魔導士のレインの中に住ませようかなって。
でも魔道封印の術のリスクは完璧で。
「本体」である海原の天女から私・村雨の意識を魔力に乗せレインに移った瞬間、消えかけたの。
つまり海原の天女の巨体の中でなくてはもう生存することは出来なかったのね。
でも… その瞬間、雨々が目覚めたの!
そう、この技には技本体にもリスクがあったの…
それは…
「そうか… 術者が自分に掛けたのか…」
そう、さすがって所かな。
雨々は私の敗北を感じ目覚め、自分に魔道封印の術をかけたの。
それが新しい悪意の権化、絶祖死神なの。
私が海原の天女だったのは女だったから。
男が「悪意」を魔力として受け取る神になると「絶祖死神」になるの。
「雨々は神なのにまた神になったのか…」
「そう、悪意の長、悪神にね。
そして悪意は一つにしか行かない。
私はたまたまレインの中へと行こうとしてたから、お役御免って感じで魔道封印が解けたの。
そして…力を使い果たして今まで君の中で寝てた。
でも羅刹の魔力を感じて目が覚めた。
久しぶりだね、羅刹」
「…やはりそうか… 海原の天女様…
……いや!俺様は信じねーぞ!!
てめぇみたいな小娘がセイレーンなワケあるかァァ!!
やっと…世界を支配できんだよ…
邪魔すんじゃねーよ!!」
「鬼走!!」
「!来る!」
「丁度いいね、下がってて。
本物だってことまた教えてあげる。
もう「悪意」から魔力を貰えないから昔ほど何かはできないけどね…」
そういうと海原の天女…改め 村雨は魔力を練る。
「鬼落とし!!」
手で地面を割ろうと空中から村雨を襲う!
「……甘い…ね?」
バジィッ!!!
「バカな…!!」
「嘘でしょ…」
始神であるブリケトも、悪神であり強いクトゥルフも。
神法魔導士であるレインでさえも勝てなかった悪鬼 羅刹の一撃。
まだ19歳の168cmの少女が3メートルの鬼の一撃を片腕で止めて見せた。
「私は私を雨々の地獄から救ってくれた二人の魔導士を守る為にまたこの世界に足を落とした…
もう、着ける大地を間違えはしない。
羅刹、… 下がりなさい…!」
「(な、なんて威圧だ…!! 僕でさえも足が竦む… こ、これじゃ…海原の天女の時よりも強い…)」
村雨はもう水魔導士ではない。
だが、名残で今までの技が使える様になっている。
それは普通はありえない。
…つまり
村雨は 本当の天才である。
だが今までの様に尽きない魔力はもうない。
悪意から貰えないからである。
だが小さな体に秘めた魔力は才を表していた!
「レイン、濁流を」
「あ、ああ! 水波起こし!」
濁流が現れ、村雨はその波に乗り羅刹へと突き進む。
「魔力精製! 妖刀“村正”!
私の父の剣…そしてそれを継いだのがこの私!
私は雨々にさらわれ勝手に海原の天女にされて…
沢山の人を傷付け世界を壊した。
だから…せめて !
恩人くらいは守る!!」
「バカな… セイレーン様… 裏切り者めぇぇ!!!」
「致死・碧命霧斬!!!」
ズバァッ!!!
X型に羅刹を斬る!!
「ぐぁぁぁっ!!!」
「今だね、魔神式・混合未術!
先天淘汰!!」
村雨は妖刀村正に魔力を込め、黒い手を出す。
そして斬った羅刹の体の中に入れ、ジオを取り出した!
「ジオ!?」
(やはり羅刹の中にいたのはジオだったのか…!)
村雨は取り出したジオをレインに渡す。
「こんなに血だらけで…」
「それは返り血、だよ!
洗い流してあげてね」
羅刹はその場に切り裂かれた肉体と共に崩れ落ちる。
心から心へ。
転々と移り住んだ最強の鬼はたった一人の少女の手により葬られた。
「ふう。…さて、後はこれだね
悪神召喚の陣=蘇生神」
村雨は召喚魔法を発動する。
すると、少し離れた場所で倒れていたクトゥルフが村雨の元へと呼び出された。
シュウンッ
「!? …やはり村雨様…」
「久々だねクトゥルフ。
私の命令、まだ訊けるよ…ね?」
「…っ……当たり前です…
貴方に忠誠を誓ったのだから…」
クトゥルフは諦めたように項垂れる。
勝てないと感じ取ったのだ。
「主人は無事か…っ」
ブリケトも傷を抑えながら駆けつける。
戦いは村雨の手により終結したー。
ーー1時間後ーー
「ん……あ……ここは…」
「目覚めたかい!ジオ!」
「レイ…ン? なぜここに……俺は…一体…」
「それは後で説明してあげるよ、とにかく無事で良かった。
魔力を殆ど解放してるからまだあまり動かない方がいいよ」
見たところ急遽作った特設テントの中だ。
隣にはルレンが寝息を立てて眠っている。
「ルレ…ン…
…!ベイリオンやルージュは…!?」
「ああ、無理に身体を起こしちゃダメだよ。
それとそこは心配しないで。
なんとね…
ベイリオンは体を何とか癒着してルージュさんも肺は回復して二人とも今安静にしてるよ!」
「……フ…そうかよ…」ニヤッ
(ルレン…約束、守ってくれたんだな…)
「すー、すー」スヤスヤ
ー外ー
「大丈夫かい?ジオ」
レインはジオに手を貸し歩いている。
「痛っ…いや、大丈夫だ…
アレが…さっき話してくれた鬼の死骸かよ…」
「ああ、そうだ。
万一を考えて結界に閉じ込めてるんだ」
「あんなモンが俺の中に…
迷惑かけたな…」
「いいんだ、大丈夫さ
それに謝罪とお礼なら彼女に…」
「!目が覚めたんだね。 おはよ」
「これが海原の天女………
未だに信じられんねーよ…」
「君にもあの日は迷惑かけたからね、願いを叶えてあげる。
…一つだけどね」クスッ
「願い…? ジェイク…を…はは、無理だよな…」
「出来る。私を舐めるな」
そう言いながら立ち上がるのはクトゥルフ。
「私は私以外の蘇生は4000年に一度だが可能だ。
…仕方ないから村雨様の命に従い実行してやる」
「人を蘇らせるのは倫理に反する、が…。
主人の願いを叶えるのは始神の役目。
私の力でないことが悔やまれるが…な。」
ブリケトも横から出てくる。
「出来るのか…!?
!だ、だが、ベイリオンは…仲間を…その為に…」
「それは大丈夫だよ。
あの龍神の民の子には死んだ仲間の記憶を渡したの。
かつて「悪意」の中に「心」が混じって飛んできた事があってさ。
その中に龍神の民の心があったから見せたの
そしたら… 運命を受け入れて、友であるジェイクを助けて欲しいと逆に頼まれたよ」
村雨は話す。
「なら…出来るんだな…海原の天女…」
「一つ条件があるかな」
「!な、なんだ! なんでもやるぞ!!」
「私の名前は「村雨」、だよっ」
「……ふ、了解、村雨…!」
………此処は……
何だ…此処は…一体……
「白い…世界…?」
何だよここ…僕はどうなって…」
『初めまして』
「!? 誰だ!?」
『私の名はジグ。 まあつまり…』
「…父…さん…」
『会えてよかったよ、ジェイク。
我が息子よ…
……なんてな、一回言ってみたかったんだよ』ニコッ
そこに居たのはジェイクの父・ジグだった…。
「…なんだ、死んだんだね僕は…はは」
「そうだな、だがお前は良くやった」
「…父さんってそんなキャラだっけ?」
「はは、お前が知ってる私は“強制”を体に打ち込み過ぎて狂った私だろう。
本来はこんな感じ、さ」
「…そういや父さんと話すのは本当に初めてだね。
僕が倒したんだもんね…ふふ」
「中々の攻撃だったぞ、良くそこまで育ったもんだ。
マッドレイン…つまりお前の爺ちゃんに任せた甲斐があったってもんだ」
「あ、そうだ、父さんからの手紙、貰ったよ。
父さんの開発した「強制」のおかげで助かったんだ」
「ああ、空から見ていたよ。
良く頑張った、私はお前を誇りに思う。
こんな私が親で済まない、だが私は私で在りたかったのだ。
お前の母、つまり私の妻を白に殺されて私は気が気で無かった。
赦してしまっては私が私じゃなくなる
…それだけは「ハザ」の名を持つ者として矜持がある
その道のり、人としての道を踏み外した私を倒し世界を統一した、お前は私の大切な息子だ」
「父さん…」
「だが…」
「だが…?」
「もう少し長生きするべきだ、世界にはまだお前が必要だ
今世界は再び暗黒へと突き進んでいる。
黒白が消えた今…奴の…いや
お前は“私の息子”だ、もう父が世話を焼く年でもない
私は死んだ人間 もう教えることはないさ
何も教えられなかったが…
せめて…この言葉だけでも教えよう」
「!?父さん、何を…僕はもう死んでーー」
ジェイクの体が光る。
「 行け、愛する息子よ
“ジェイク”の名を轟かせるんだ
……信じているぞ ジェイク…!」
「父さん…!!」
(なんだ、これは…どうなってるんだ
白い世界が…………………………光に…)
ーーーーーーーーーーーー
「蘇生置換・転生!!!」
ギュアアン!!! 輝きがほとばしる…!
「………ん……ッ!」ガバッ!
「!! ここ…は…」
「ジェイクーー!!!」ダダダダ
「じ、ジオ!? うわっ!」
「ジェイクぅーーー!!!!!」
「レインまで…うわーっ!」
ワーワーワー
「…フフ、おかえり、、
ジェイク・ハザ・ダスト、救世主様…」クスッ
「…村雨、か?」
「! …キミは相変わらず何度も私を驚かせてくれるんだね。
蘇って3言目に生きてるのが不思議な私のことを驚きもせず言い当てるなんてさ」
「夜空から聞いていた、お前の本能の名も姿も。
その魔力。 レインの中に“何か”が居たのはずっと分かっていた。
…お前だとは思わなかったけれどね…。
もう…救われたんだね?
悪意の海から……もう…」
「…ありがとう ジェイク…」
海枯れの戦い。
それは災厄・海原の天女を倒した戦い。
悪意の権化となってしまった魔神をジェイクと夜空は倒した。
そして世界を救った。
だが…それだけでは無かった。
荒んで狂ってしまった「磔の女神」、村雨を地獄の海から救い出したのだ。
こうして…かつての敵は味方となり
一人の神、いや。一人の少女さえもジェイクは救ったのだ。
その時。
ヒュィォン
「ワープホール?」
「ジェイク!俺の後ろに!」
「…!はは、大丈夫さ」
そこから出てきたのは…
夜空だ。
「ジェイク………」
「夜空…、心配かけてごめんね…?」
「いい…よ…ぁは…♩ また……宿る…ね?」
「ああ、融合だ!」
「待って新月の巫女… オズマや雨々はどうなったんだい?」
「二人で…雨々と……戦った…わ…
なんとか…彼を……撤退まで…追いやった…わ
しばらく…大丈夫…… オズマは…私を…ジェイクの元へと……送った後彼を追った…わ」
「後で全て話してくれ、夜空」
「ええ…… 村雨」
「夜空、また会えたね…」
「随分…長い時間…かけた…ね
やっと……笑顔も戻った…んだね…」
「…夜空、見守ってくれてたこと、知ってるよ。
ありがとね、おばさん♩」
「…怒 生意気…お子様…」
「私も実質9000歳なのに…お子様?
さっすが2億5000万歳ね」クスッ
「……フフ…」
(あの二人が笑い合ってる…レインクンワケワカンナイ☆
いやいや、ふざけるのはやめよう…
なんかいい風景だ…そしてその中心に居るのは…)
「ジェイク…やっぱ君は凄いや…!
僕らが認めた… 一人の王
この世界を救うのは…もう君しかいない…!」
「ジェイク……村雨…気付いてる…?
……この魔力………やはり雨々の…目的は…」
「ああ、分かっている、奴は強い。
だがそれよりも強い奴を雨々は召喚しようとしているんだ
雨々が始神を集める目的…
それは…」
「夜空の「父」を召喚する召喚陣…
“神魔の陣” ……やはり予想通り。
いつかは再召喚される日が来るのは知ってたよ
…やるしかないね あの人が生まれるなら」
「私を産んだ…… 私は夜の神
そして…父は「月」を作り出し…「黒の魔力」を初めて宿した生物… 東の国の書物に…神々のオラトリオに……出てくる…私の父……」
-“D”uke'Vampire-
「デューク…ヴァンパイア…!」
デューク・ヴァンパイア
夜空の実父にて魔神。
彼の妻、つまり夜空の母は…である。
彼は大戦時、既に封印されていた。
否、自らしたのだ。
とある目的のために。
雨々はデュークを召喚して世界を恐怖に陥れてもっと悪意を作り出そうとしている。
だが、その思惑が…
後に悲しい事件を引き起こすことになるが
それまだ先の話。
今は…村雨と夜空が和解したこと。
それを微笑むべきなのだろう。
また一人、仲間が増えたのだった!
第9話へ続く
それは過去の残響。 魔王と呼ばれた“それ”は世界の定理を壊して歩く。
第9話「新月の魔王・新月の女神・新月の巫女」
ー黒煙のほら穴ー
「…ぐ…ふ… やはり…オズマ…貴様は強い…」
「追い詰めたぞ雨々…
もう逃がしはしない…!」
「意識体になった私ではお前の相手をしてやれんな…
ふははは…大人しく眠っていれば良いものを…」
「それは貴様にも言えるな、雨々。
貴様も貴様とて死した幻影だ、この世界に姿を現すべきでは無かった」
「…少なくとも…お前よりは長生きしている
この程度の状況など脅威にも感じぬ」
「…強がりを…雨々!!」
「強がり? 笑わせるなオズマ…
いくら貴様が強かろうと貴様は知る事は無いのだよ
伝説の始神「オリュンポス」の恐怖を…
戦った事のある私にしかその恐怖は分からんのだ
オリュンポスの魔力に比べれば貴様など…
歯牙にもかけんよ」
「ならば歯牙にも掛けず跳ね除けて見るといい…!
金凰奏々“開闢”
完全光後・結界!!」
光の速度で雨々は四角い結界に閉じ込められる。
「その結界は私の合図で全てを遮断する…。
光も音も魔力ももうお前には届かない、貴様を封印する」
「……だから甘いのだ、オリュンポスを…真の恐怖を知らない貴様らは…」
「何がーー!!?」
ドクン
心臓の音が鳴る。
ドクン
何処から聞こえるものだろうか。
ドクン
自分ではない だがそれも少し後まで。
ドクン
「それ」が何かを認識すれば…
ドクン
この心音は自分のものになるだろう。
「…………………グォォォ…!!!」
「!しまーーっ」
バギャァァッ!
「それ」はオズマの首を蹴る。
ありえないほどの魔力。
禍々しき姿。
畏怖を呼び込む声。
悍ましい牙。
整った顔立ち。
銀髪に棚引く髪。
腰に携える黒い刀剣。
2mはある人型の化け物。
「甘いと言っただろうが…
このほら穴に入った時点で召喚陣を時間差で発動させてるに決まっておろうが…」
光の結界は解除される。
「……闇が…具現化して行く…
魔力が……纏まって行く……
ああ……ーー」
莫大な魔力が完全に纏まった…。
「“D”uke'vampire、調子はどうだ…?」
「……貴様の魔力……雨々……?」
「ああそうだ。 全く、貴様が産まれるより何億年も昔に居なくなっていた私のことを良くもまあ普通に当ててくれるなお前は…」
「雨々、お前はずっと何処かで生きていた…のだろう?
常々魔力を感じていた…。
…所で、貴様が私を蘇生したのか?」
「ああ、そうだ」
「なら完成しているのだな?」
「…何がだ?」
「…!!」
ビュオッ!!
バァァァン!!
「ぐあああっ!な、何をする“D”uke'vampire…!」
「悪意の権化め…
私の蘇生陣を完成させ私を蘇生させる者は「太陽の化石」を用意しろと書物に書き残して私は自らを封じたのだ
なのにいざ蘇れば「太陽の化石」は愚か私の事を戦闘目的で始神召喚したというのか…雨々!!」
オズマは意味を探るべく、倒れたフリをしながら話を聞く。
「グァ……私は…絶祖死神…書物など読まなくても…お前の召喚陣くらいわかる…グァァァ…」
壁に雨々を押し当て、首を締め上げるヴァンパイア。
「太陽の化石は我々始神には触れない秘宝!!
そしてその化石を掘り出す行為も始神には不可能!
そして「“D”uke'vampire」である私がこの世界に目覚めている限り「太陽の化石」は姿を現しはしない!
だから自らを封じていたのに…貴様のせいで…
また再び私は…眠らなくてはならないのか…!?
眠るのにも1000年かかる… 貴様…私利私欲で私の大切な大切な目的を邪魔して…!!!」
「待つんだ…“D”uke'vampire! や、やめ…」
黒く悍ましい魔力がヴァンパイアを包む。
「夜刻創造…!!」
(アレは夜空の変化技…やはり此奴…“D”uke'vampireで間違いない、夜空の父か…!)
「我が怒りと魔力を刀身に受けその刃を手の中に引き抜かせよ!!!
天世界の門・オーロラサークル!!」
魔剣・オーロラサークル
別名ミリオンジェノサイダーは伝説の魔剣だ
ヴァンパイアの持ち物とされて伝えられてきたが本当に持っていたのだ。
「D・魔死・虚空斬!!」
剣より放たれる「35」本の斬撃。
斬撃が斬撃を生み、最早交わす余地なし。
「…グッ!!」
雨々はその力で35本の斬撃を交わして行く。
だが…
「夜刻創造“開闢”
不動無重力・零!」
「!!しまっー!」(オズマ!? 警戒を怠ったか…くそ、クソがァァ!!)
「沈め!!!」
スパッ!!!
「か……!」
この日、何十億年間も世界への復讐を目的に意識だけになりつつも生きていた亡霊・雨々は「魔道封印の術」ごと絶命したー。
これから悪意は一箇所に集まらず空へと消えるのだろう…。
「……誰だ?」
“D”uke'vampireはオズマを睨みつける。
「…私は“夜空”の主人だ…」
「…………助太刀は感謝する…が…
貴様も私蘇生への計画に携わったのか…?」
「私は雨々を壊す為に此所に来た」
「そうか…。夜空は元気なのか…?」
「お前に負けず劣らず 強い始神だ」
そうオズマが伝えると“D”uke'vampireは少し笑った様に見えた。
「我が神名・“無の神”…貴様は?」
「私は… オズマ・レドニシア・ゼロだ…」
「ゼロ…?あの弱き魔力のゼロ一族の末裔か?
それにしては悍ましい魔力…夜空を融合したから、か?
それとも…オズマ…まさかお前に…」
(オリュンポスの魔力は金色だったと聞く…。
幾ら夜空を融合したからと言えゼロ一族がそこまで強くなる筈がない、つまりこいつはオリュンポスの…)
「ふ…フハハ…雨々、貴様…戦ってて気付かなかったのか…フハハ…これは傑作だ…」
「お前もこの世界をどうこうしようとするのか…!?
ゼロの名に懸けそれはさせんぞ…」
「安心しろ…もう我が怒りへの報復はした。
…だが私の目的の邪魔をするなら貴様の息の根を止めなくてはならないな」
「目的とは…なんだ…!?」
「我が妻の復活だ」
「な…に!?」
(無の神の妻… つまり…夜空の……母…)
ーージェイクサイドーー
「夜空、お前の父が復活したのは感じた…」
「え…え…。 お父…様が蘇った…のなら…
私が…行かなくてはならない…わ」
「そうだね、あの人が蘇ったなら私も付いていく。」
「夜空、勿論僕は君の主人だ。
僕も行くよ」
「ジェイクが行くなら俺とレインも行くぜ、な!」
「ああ、何処にだって付いていくさ…!」
「…ありが…とう……貴方達…」
「新月の巫女、君の母は誰なんだい?」
「そういやそーだな、父は“D”uke'vampireで母は誰なんだ?」
「母……そうね…助けて…貰うんだから…話さなきゃ…ね
私は…魔力を練る…から…村雨…頼んだ…わ」
「いいよ、仕方ないなぁ。」
ーーー2億5000年前ーーー
そこはね、まだ人間はいなかったの。
神が次々と物質を作っていったよ。
その中の一つ。
月ほどの大きな天体を作った神が居た。
その名を…
「“D”uke'vampire」。
神々の中で最も鋭い魔力を持っていたの。
そしてその神々の王は暴れてまわったわ。
その神の王を…丸くした「女神」が居たの。
その女神が…
ーー
「ラー。 イラー・ヴィーナス」
「!?!?!? 」
「村雨!それって…」
ジェイクが立ち上がる。
「太陽の女神・イラー・コスモと関係はあるのか!?」
「うん、そのイラー・コスモこそが夜空の本当の母。
彼女は活発に動き爆発寸前だった太陽の活動を抑えるために自らを太陽に封じ、夫である“D”uke'vampireが助けに来ないように太陽へと近づく道を「太陽の化石」に封じ込め、始神では触れない、「永遠の影」と言う谷へと封じ込めたんだ」
「つまり…“D”uke'vampireは…」
「うん…」
永遠の影に向かっている…!
「……お父様は…配下の…神を召喚…出来る…
戦争になる…必ず…大きな大きな…」
「“D”uke'vampireは…妻を救う為にこの世界に戦争を起こそうとしている…のか…!!」
ーー黒煙のほら穴ーー
「ゴ……フ………………」
「やはり邪魔を企てたか、始祖の魔導士よ」
「この…私を……歯牙にもかけず…」
「私は“永遠の影”に行き ヴィーナスを助けなくてはならない。
方法はどうにでもする。
始神が近付けない結界があるが…
もう2億年も経ったのだ、弱まってる筈だ」
オズマは倒されていた…
8700年前
悪神達を薙ぎ倒し、世界を統一した始祖魔導士・オズマを歯牙にも掛けず無の神は圧倒した。
「私には時間がない…」
「時間が……ない…
私には…時間が無いんだ!!!!!!!」
「ぐっ!!」
オズマは暗黒のほら穴へと落ちていく…
「生死を確認している時間も無い…
私は…行かなくてはならない…」
無の神は空へと飛び立つ!!
悪夢が今 幕を開ける。
ーー王都 オズーー
「全王国へ報らせろ!!!
戦争が起きると!」
ジャッジ達はジェイクからの伝言を受け全王国へと「戦争退避命令」を発令する。
全王国はそれを受け、皆戦争体制へとシフトしていく…。
ーキングタウンー
「訪れるのだな…何億年も起きていなかった戦争が…」
「隊長去年「海原の天女」が世界を襲ってますよーーーーー」
「うるせぇぇぇぇ言ってみたかったんだよボケがぁぁ」
ーー砂漠の集落ーー
「ヘル様! 王都より伝令です!」
「分かっております、兵よ。
亡き夫・リベータが認めた友達の戦いをサポートするのです!」
ーーバラン帝国ーー
「親帝王様! 先代のジャッジ王より連絡です!」
「なんじゃ!」
「すぐに戦争が起きます!
準備を怠らないでください!」
「よし、全兵に国民を護らせろ!」
ー1日後 王都オズー
「父は……必ず“此処”…を攻める……」
ー新月の巫女 “夜空” ー
「そうだな…。 永遠の影の場所を記してある書物がある」
ー神法魔導士 第二席 “ルージュ・ストレム”ー
「ルージュさんとベイリオンさんはまだ大怪我してるんだから無理しちゃダメなんだからね!
ね〜ジーオくんっ♫」
ー神法魔導士 第四席 “ルレン・オン”ー
「お、おう」(しまった余計に結婚とか勢いで言うからくっつくからうぜぇぇぇ)
ー黒白の騎士 “ジオ・シレネード”ー
「こらジオ、戦いの前にいちゃいちゃしてちゃ死ぬよ?」
ー神法魔導士 第三席 “レイン”ー
「君たち実は仲良いでしょ? えへへ」
ー海原の天女 “流零 村雨”ー
「むははは! セイレーンがこんなやつだとはのぅ!」
ー真王 “ジャッジ”ー
「こやつら…本当に仲が良いな、ジェイク」
ー龍騎王 “ベイリオム・ドラ・コン”
「よし…行こう!!!」
ー神法魔導士 第一席ー
“ジェイク・ハザ・ダスト”
世界が唸る
「…此処か…」
戦いが始まる…!
次回
無の神Vsオズの魔導士たち
戦争。それは避けては通れない「矜持」の交錯、そして想いは錯綜していく…。
第10話「戦争、開戦!」
「グォァォォォォ!!!!!!!!」
ドガァァァン!!
街が壊されていく。
街を踏みつけるのは血の神・ブラディオスだ。
◯血神・ブラディオス (男神) 血の始神
王都・オズは相当の広さを持つ。
東西南北に門があり、中央に王宮を構える。
王都は高台にあり、山の頂上にあるような感じだ。
そこに 東西南北全ての方角の門を踏み潰す4体の神。
北・血神・ブラディオス
西・大地神・ガイア
東・戦姫女神・ヴァルキュリア
南・天空神・ニケ
ー北ー
「無の神も神使いが荒い…
この程度の文明を壊す為にわざわざ戦争を起こすとは…」
「待て!!」
「…私を止めに来る… 勇敢な戦士か
名を名乗ると良い、人よ」
「我が名 ベイリオン…否!その名は弱い自分を戒める為に付けた名…
もう隠しはしない、友が私を此処へ導いてくれた…!!
我が名 ベイリオム・ドラ・ゴン!!
竜の血を引く 龍神の民の王だ!!」
「ティアマトの資産か。
ならばその資産私が血に流してくれよう!!!」
「来い…もう私は何も怖くない…!!」
ー西ー
「う、うてーっ!」
「うおおー!」
火の玉や弓矢を次々と打つ王都兵達。
だが。
「歯がゆい… 私にその程度の魔力や武器は効かない…」
◯大地ノ神 アース・ガイア(女神)大地の始神
「私の魔力守護を壊すことが出来たのは無の神だけ…
それにしても人の気配が少ない…。
予め私たちが来ることを分かっていた様ね。
既に民達は逃したか…」
「ならば私がお前の魔力守護を叩き割ってやろう…
行くぞ間限」
「承知した…!始神融合だ主人…!!」
「…さて…やろうか…」
ルージュが始神融合をした状態でガイアの前に立つ。
戦いが始まる。
ー東ー
兵「隊長!北 西 南からの報告では3m〜以上の始神が出たとの報告!
し、しかし…此処は…」
隊長「う、うむ…私より小さい…女の子…」
「ふふ。私を侮る、のですね人よ。
この大きな大きな門だって私が壊したのですよ?」
隊長「子供が紛れたのか?
補導しろ!」
兵「は、はいっ!」
「私に…近付かないで…!」
スパァッ!!
近付いた兵士全員が真っ二つになる。
隊長「そ、その剣は…!!!!」
「私の名はヴァルキュリア。
戦の女神です。
この剣はスラッシュソード。
さあ、やりましょうか!」
◯戦姫女神・ヴァルキュリア(女神) 戦いの始神
「次は貴方を…斬りましょう!」
「いーやお嬢ちゃん。 俺と斬り合ってくれねーか?」
「こらジオ君!じゃなくてアナタ!
私たちと、でしょ!」
「お、おう」(こいつなんで付いてくんだよお前ルージュに付いて回復すんじゃねーのかよ作戦ガン無視かよぉぉぉぉ)
「…私の前でいちゃつくとは…」
(ブラディオス様に振られたばかりの私に…!!!)
「許しません…私的に殺します!」
「どいつもこいつも恋愛脳すぎんだよォ!!
えぇいもういい! いくぞルレン!」
「はいっ、アナタっ!」
「斬ります…!!」
ー南ー
「地上とはちっぽけだ!!
だからガイアの野郎も胸がないのだ…
重力に従うばかりでは胸も退化するばかりだ!」
「ぬあっはっは! 確かに小さい胸は魅力が無いよのぅ!
お主とは良い酒が飲めそうじゃて…!」
「人間の王かァ。 貴様もそう思うか!」
「うむ! …じゃがの。」
◯天空神・ニケ・プリュァルエントル(男神)天空の始神
「小さい物には小さいだけ…夢や希望が詰め込めるのじゃよ…?」
「…貴様ら人間のその小さな身体に何が入る…!!!
小さいのは胸だけで良いんだよボケがァ!!!」
ー東ー
「むっ!どこかで貧乳を馬鹿にする声が聞こえるっ!!」
「はあっ!」
「ぐっ!」
ガキーン
「く、強い…!」(ちくしょうルレンのせいで雰囲気ぶち壊しじゃねぇかぁぁぁぁ)
「ひ、貧乳!? 貴方私のことどこまで馬鹿にすれば気が済むんですか!」
「い、いや俺は別に言ってなーー」バキッ
「どこ見てんだよーーーーーっ!!」
「ぐわあああああ」(ルレンてめぇは敵なのかよ味方なのかよはっきりしやがれええええ)
「私というものがありながら!
人の…いや人じゃなかったよぅ、神のおっぱい見るとは!
そして神様も神様だよ!ほらそこに正座!!」
「えっ、えっ!?」オロオロ
「ぐふぅ…」チーン
ジオが体を起こしてみればヴァルキュリアを正座させ「その胸の大きさ(およそF)で貧乳のワードに反応するとかアホなの!?」という説教をぶちかますルレンの光景。
ジオはそっと目を閉じたのであった。
ーー王宮ーー
トコ トコ トコ
カチャ…キィィ…
「…居ない…」
バタン
トコ トコ トコ
カチャ…キィィ…
「……此処も違う…」
トコ トコ トコ
カチャ…キィィ…
「……一体何処にーー!?」
(後ろ…!?気付かなーー)
「炎掌!!」
掌に炎魔力を溜めて攻撃する!
とある神は背中から殴られ、扉を開けた部屋に吹き飛ぶ。
そした飛ばした男はその部屋に入り鍵を閉める。
「探していたのは俺だろ…?
コソコソしなくても名前を呼べばすぐ来たさ」
「…私に気付かれない様に…か。
中々やるじゃないか
さすが「ジェイク」だな」
そう、ジェイクだ!
既に夜刻創造に入っている。
「これは…一度死んだ時とある神にあの世の世界で貰った力だ…。
お前が誰かは知らないが派手に外で4体の神に暴れさせ、俺をこっそり殺す為に内部に何体か紛れ込んでる様だな、大きくない始神たちが。
お前もその一人って所か…?」
「…惜しい、な。 紛れ込んでいるのは私一人だ」
「…カマをかけたが…どうやら本当に一人らしいな」
「私は…不死死歩。無の神よりお前を殺せと仰せつかった…
そして…自分の「娘」を救い出せ…と…」
(夜空を俺から引き剥がすつもりか…!)
「行くぞ…不死・死童砲!!」
闇魔力の放射!
「魔力守護! はぁっ!」
放射を受け流すと、ジェイクは神速移動で不死死歩の懐へと飛び込む。
「オーバーフレア!!!」
腹部へと手を当て、両掌から爆熱を射出する!
「ぐっ!!」
衝撃波の様に飛んだ爆熱を腹部に当てられ、部屋の壁をぶち壊し不死死歩は王宮の3階から庭へと落下した。
ジェイクもそれを追い、壊れた窓から外へと飛び出す。
「チィ…」
スタッ
「起き上がらせる隙も与えはしない!」
ガッ!!
ジェイクは倒れこむ不死死歩の顔へと魔力を宿した蹴りを当てる。
1、2、3発。
そして小さな炎の塊を何個も空間に精製する。
「魔炎・時雨!」
ズドドドドドド…!
「ぐぁぁぉ…」
「トドメだ…! 夜刻創造“後奏”
炎舞の稽・舌炎!!」
鞭の様にしなる炎を作り叩きつける!
「…不死・召喚!」
その炎を不死死歩は「何か」でガードした。
「!! り、リベータ王!?」
「が…ぁぁ」
「フ…」
不死死歩は立ち上がる。
舌炎を受け倒れたのは不死死歩ではなく、死んだ筈の亡き友・リベータ国王であった。
「私は黄泉の国の死者の始神。
1分〜3分しか召喚出来ぬが最近(過去100年前ほど)死んだ者なら召喚出来るのだ…
勿論生き返らせてるわけではない、死者を呼び出しているだけだ…。」
「リベータ…っ お前!!!」
「ぅ''…」
「勿論魂は縛り付けてある…
残念ながら会話など出来ないさ」
「不死・召喚《狼王・真王》!」
そこに現れたのは…
「父さん…ミッドナイト…」
操られた父・ジグと元真王・ミッドナイトだった!
「う''…う''…」
「う''ぁ''…ぁ…」
「行け濶歩兵供」
「グォォ!!」
ミッドナイトが剣で斬りつける。
「くそっ!」
ジェイクはそれを躱す。
「ハァァォ!!!!」
「父さん!正気を取り戻してくれ!!」
ジェイクは父の剣を杖で受け止める…。
「よし…“死の演奏・第一曲 Serenade”」
不死死歩の体は黒い魔力に飲み込まれていく…
そして姿が変わっていく。
「ぐ…!あれは変化魔法…!黒色王土に似ている…!!」
「ウォォォ!!! “破滅の形態変化”!!
“Serenade” 複合式魔術砲!!」
「!!! 」
(複合だと!?
魔術本でも最上クラスに位置する技…
炎・水・氷・雷・雪・地・白・黒・闇・光の魔力全てを少しずつ混ぜ合わせ放つ…!
だからどんな属性で作った魔力守護も何かの魔力が分解してしまい防御できない…!)
「この場から離脱をーー!」
ダメだ。
それは出来ない。
ジェイクの直ぐ背後には王宮。
離脱すれば地下へと隠れさせた大量の城下町の民が生き埋めになり死ぬこととなる。
「海原の天女」の死骸をシベリアが隠していた「環球の祭壇」へと民全員を収容しているのだ。
それにミッドナイトと父・ジグが攻撃を繰り返すため離脱そのものが困難だ。
不死死歩の魔力も溜まって行く…
東西南北の仲間たちの魔力も少しずつ減ってきている…
戦況はかなり不利。
だが…!
「魔炎死覇!」
ジェイクは体から炎魔力を放ちミッドナイトとジグを吹き飛ばす。
「ぐぉ!」
「ガァォッ」
そしてジェイクは夜刻創造を消す。
「始神融合! 出でよタルタロス!!!!」
タルタロスを召喚し、融合する!
「タルタロス!! 僕と融合したから僕自身の「金」の魔力も使ってワープホールを具現化出来るね!?」
「うむ!可能だ!」
「よし!踏ん張るよ!!」
「承知!!」
「月影淘汰の術“完成”!!」
ジェイクはタルタロスを宿した状態で手に魔力を溜める。
「何の魔法かは知らないが全魔力を注ぎ込んだこの魔術砲は防げない!
死せよ魔導士!!!」
「複合式魔術砲“放物”!!!!!」
10色に輝く魔術砲。
ジェイクを襲う!
「…!今だ!! 投影!!」
「うおおお!!!」
ジェイクは放物が当たる直前にて両掌を魔術砲へと向け広げる!
すると大きなワープホールが現れる!
「な、なにっ!? まさか貴様…!
タルタロス何て名前だから分からなかったが…
空影なのか!?」
「ぐうっ!!やはり、すごい魔力…っ!」
ワープホールへと魔術砲が入っていく。
アクセス先は宇宙の果てだ。
「ぐぐぐ…あ、不死死歩…!
相変わらず包帯巻いたうさんくせぇ顔だな…!」
踏ん張りながら叫ぶタルタロス。
「グォォ…! こうなれば…魔術砲を動かして王宮を…!」
「それはさせないかな、ぁはは♪」
背後に現れる「膨大な魔力」。
そう。これがジェイクの作戦だ。
ーーー回想 作戦室ーーー
「で!私はどこで何と戦うの?」
「村雨はジョーカーだ。
つまり、ここぞという場面で俺が呼び出す。
地下で魔力を殺して隠れててほしい」
「えー。夜空のおばちゃんは戦うのに私は待機ぃ?」
「お、おい村雨…早く謝れって…
新月の巫女めっちゃこっち見てるぜオィ…」
「えっ? あ、あっ、夜空ごめんってば、あはは…」
「…こ…ろす…!」
「待て待て待て待て」
ワーワーワー
「村雨…。大丈夫。君はやってくれると信じてるよ。
あの時戦った拳、魔力。
僕は分かる。君は根はいい奴だ」
ーーーーーーーー
そうして待機していた村雨をワープホールで不死死歩の背後へ呼び出したのだ!
「しまっーー !!」
「遅い…よ?
妖刀“村正” 一振り
刺し殺し海神乱舞!!」
ドス!ドス!ドスッ ザグッ ドスッドスッドスッドスッドスッ!!!
「ガァァァァ!!!!!!」
「!!」シュウンッ
「!?」シュウンッ
ミッドナイト達は消える。時間だ。
魔術砲は完全に宇宙の果てへと飛ばした。
シュウンッ!
ワープホールが消える。
「ハァ、ハァ、さすがだよ村雨…!」
「ぐぅ…主人、一度体で休む…」
「ああ、ありがとうタルタロス!」
始神融合を解く。
「ううん、大丈夫!
やっと暴れられるっ!」
妖気を放つ剣を携える村雨の足元で倒れる。
「お前……一体…」
「海原の天女…と言えば分かるかな?」
「…知らぬ…小娘ごときに…」
「そっか。夜空のお父さんが倒して配下にした神だもんね、私より遥かに前に生まれて無の神の中にいたんだもんね」
無の神が召喚できる神は全て彼が過去に殺した神である。
神の死体にヴァンパイアだけが出来る契約魔法にて好きなときに召喚できるのだ。
感情は縛られないが命令には背けない体になる。
その状態で死ねば契約魔法は解除され永遠の死が訪れる。
「ふふ。…?ジェイク、あれ見て?」
「なんだ…? !!なんだあの巨人は!」
4メートル以上ある巨人が王宮へ向かって街を踏み潰しながら進んでくる!
「ここに体当たりするつもりか!?」
「そうだね。そしてアレは血の神ブラディオス」
「!ベイリオンさん…負けたのか!?
確かに、クトゥルフ達との戦いで千切れた体もまだ完全に癒えたわけではないんだ、無理したのか…っ!」
「アレに王宮に当たらせる訳には行かないね」
スパッ!!!
「がぁっ!!!!」ゴロッ
不死死歩の首は斬られ、絶命する。
「君は魔力で見たところ不死だね。
だから妖気を纏う剣で封印するように殺せば死ぬ。
残念だったね♪
さて、ジェイク。君は早く次の作戦に向かうんだ!
あの巨人は私が…えへへ、やってあげよっかな!」
「出来るのか!?」
「離れてて…!」
「行くよ!! 覚醒!!!!!!」
グォン!!!!
空間がねじ曲がる!
魔力が膨れ上がる!!!!
「ば、バカな!もう魔道封印はかかってない筈なのに!?」
「ヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
「「「「!?!??!?」」」」」
始神も王都兵もジオ達も全員が振り返るほどの甲高い叫び声。
そこに居たのは…
5m以上もあり全身蒼く染まる巨人。
だが人はそれを知っていた。
「海原の…海原の天女!!!!」
そう、村雨は海原の天女へと変化した。
「ジェイク……早く行きなさい…
大丈夫。もう悪意は無いわ…」
「なんだやつは!だが関係ない!
王宮ごと沈めてやる!」
「海中遊泳」
「!?」
ブラディオスの行進が止まる。
「いぎが…でぎな…ご…こひゅ…ー」
「アレは!僕とレインにかけた辺りの酸素を消し去る技…!」
「さて…。
この辺りの始神全てを片付けるわ…
ジェイク、皆に離れるように伝えて」
「わかった! タルタロスごめんもう一回だ!」
「よし、少しは休めた!」
ジェイクは仲間達の耳元全てに小さなワープホールを繋げた!
「その場から離脱せよ!」
「「「了解!!」」」
全員が退く!
ー西ー
「はっ!」バッ
「!?…離脱…どうして!?
街を守るために私の前に立ちはだかったのではないの…?
そしてあの巨人…一体あれは…神でもないし…」
ー南ー
ギンッ!ギンッ!!
「ハァ、ハァ、むは、むははは!
ニケよ、良い戦いじゃった!
すまぬが用事ができたでのぅ!」バッ!
「ぁ!?逃がすかよてめぇ!!」
「くぅ…やはりワシでは倒せぬし逃げれぬか…!」
その時ジャッジの真横にワープホール。
待機していたレインだ!
「滝壺雪崩!」
「ぐぉっ!ま、前が見えねぇ!」
「行くよ王様!掴まって!
神速移動!」
「すまぬのぅ!」
ー東ー
「むきぃぃぃ!!」
ギンッ ギンッ カキーンッ
「黒剣雷剣!」
「再生と再世!」
スパァッ!バチチチチ…
「ぐうっ!」
ヴァルキュリアの肩を切り、雷が流れヴァルキュリアは動けない。
「よし…始神融合ーブリケト!!」
「神速移動!掴まれルレン…ってなに抱きついてんだァァ!!」
「うふふ♪」
ー王宮 庭ー
「よし!退避完了だ!海原の天女!」
「行くわ…」
「水楼王神ノ舞」
「今度は世界中の水とは言わない…わ♪
この王都の周りの海の水を少しだけ…」
空中へと水が集まる。
海をすべて持ち上げる昔ジェイク達に向けて撃った技だ!
「少しって…空が覆われたよ…」
「そしてこれをそのまま流さず…
始神だけ流す…わ!」
ズォォォッ!!!!!
激流は街の道路を流れ、なるべく家を壊さないように流れていいブラディオス含む4体の始神を北の門へと流していく!
「な、なに!?な、なんて激流…きゃぁっ!!」
「そんな!この私が流れに逆らえない!?」
「なんだよコレ!! 滝の後は激流かよ!?」
「私の体で抗えない…なんて魔力だ!!」
そして北の門へ水は全て流れ着き、始神たちは北門の前で転げる。
海原の天女はそこまで神速移動する!
「ぐ…なんだお前は…!」
激流で体が麻痺している始神たちは空を見上げ浮かぶ蒼き巨人を睨みつける!
「私は…悪意の副産物…」
「悪意の副産物…!?
雨々の子孫か!?
だが待て、、雨々の魔力は無い…
奴は死んだはずだ!!
海原の天女って事か、お前は…
なぜ雨々が死んだ後もお前が存在するんだよォ!」
ニケは怒鳴りつける。
「確かに…魔道封印の術は雨々と共に死に、絶祖死神も海原の天女も消えたわ。
悪意が一箇所に集うことはもうなくなった。
けど…ね?
・・・・・・・
私は天才だから」
そう。
もう成れないはずの海原の天女に村雨がなれる理由。
それは「天才」だからである。
一度なった肉体。
たとえ悪意から膨大な魔力を貰わずとしても自分の力だけでその姿に変化し、海の魔法を操れるのだ!
もちろん魔道封印の術はかかってないので悪意は集わない。
何度も言うが…
“村雨は1億年に1度”と言われた夜空以来の「天才」である!
「さて…ジェイクは私の奥義を跳ね除けた…わ。
今の私はこの技が奥義じゃないけれど…
行くわ…!」
ジオ達も王宮へと付き、魔法で北門を見守る…!
「ジェイク…」
「ああ、レイン。あの技だ。
海原の天女最後の技…」
「混沌と混濁の海原・“旺”!!!!!!!」
激流の水を再び浮かしその水を使った相当な魔力のこもった魔道砲!!
「ぐぉぁぁ!!!」
「きゃああああ!!」
「ああああっ!!」
「ぬぁぁぁ!!!」
パァァァァン!!
「……ァはっ♪ 死ンじャっタ♪」
4体の始神は、一撃で木っ端微塵となった。
これが「海原の天女」
改め、村雨の本気である!
「強い…やはり村雨は天才…」
「僕らよくアレに勝てたよねジェイク…」
「悪意で体も心も弱っていたんだね。
…魔道封印の術は色んな意味で失敗だったんだな。
あれが何も衰えていない村雨の本気だったんだね」
ー北門ー
海原の天女から村雨へと体を戻していく。
「ふぅ。 あれ?体が…」フラッ
「大丈…夫?」
フラつく村雨を支えるのは…
「えへへ…ありがと夜空」
「やはり…強い…わ…ね」
「ううん。夜空には勝てないよ。
久々の海原の天女化で疲れちゃった、でも取り敢えず王都防衛作戦は成功だね」
「ええ…みんなとジェイク……そして貴方のおかげ…
私は…王都の周りに…居た12体の始神を…殺してきたわ…
もう王都への…攻撃を目的にする…始神はいない…わ…
取り敢えず…ここは勝ちね…」
そう。
夜空は、王都の外に待ち構えていた始神たち12体を次々と倒していたのだ!
戦争はまだ続く。
無の神は妻・ヴィーナス復活に向けて遮るジェイクたちをまだ狙ってくる。
だが一時的とはいえ、ジェイクたちの勝利である!
ー魔城ー
「ヴァンパイア。
オズへ向かわせた18体の始神が全て殺されたぞ」
「何… さすが我が娘、そしてそれを宿した者たち…
恐らく夜空が私の考えを読んでいるのだ
伏兵もそうだが、ヴィーナス復活を阻止しようとしているのは恐らく夜空だ。
夜空は知っているのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヴィーナスが復活してはならない理由を…
だが私はしなくてはならない…
たとえ…」
夜空を殺してでも…!
《次回予告》
王都「オズ」防衛戦を奮戦の末、ジェイクたちは勝利した!
そしていよいよジェイクたちは魔城へと乗り込み、ヴァンパイアの目的を止めに行く…!
しかし…太陽は活発に動いていた、その時…
第11話へ続く
生み出された光明の巫女。永遠とは小さな花を踏み潰す連鎖の事である。
第11話「殺戮の女王、去なき鳳凰の巫女」
ー王都 オズー
「すま…ない…」
ベイリオンは倒れている。
ルレンは回復を試みる。
「無理もない… 体を裂かれた次の日に戦争、あのブラディオスを止めていたのだ」
賞賛を送るのはルージュ。
だがそのルージュも疲弊しきっている。
「ルージュさんっ!おバカですか!?」
「なっ…」
「ルージュさんも昨日刺されたばっかでしょ!
無理しすぎですっ!!」
「な…。そうか。ふはは、すまないな。
回復、頼むな…。」
ーーーーーーーーー戦力ーーーーーーーーーーーー
ー王都軍ー(◯…今後も戦争に参加出来る
△…参加不可 □…その他)
ジャッジ真王…◯(疲れ有り)
ジェイク…◯
ジオ…◯
ルレン…△(負傷兵の治療の為王都に残る)
レイン…◯
ルージュ…△(負傷)
ベイリオン…△(負傷)
夜空…◯
村雨…□(休憩後、合流)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「レイン、戦力紙に書いてくれた?」
「ああ、出来たよ!」
「よし…。作戦を伝える!」
ジェイクは皆を集める。
「まず。ジャッジ王はここで離脱してください」
「…まだワシはやれるぞ?ジェイク。
世界の窮地。
ヴァンパイアが世界を支配すればもう平穏は訪れまい。
出し惜しみしていてよいのか?」
「貴方には生きて、壊れた世界をまた立て直す「真王」で居て貰わなければならぬのです。
…世界は必ず私たちが救います、王よ…!」
「…分かった、分かったぞジェイクよ
お主の覚悟もな…」
「ええ…! そして夜空」
「…私は…行くわ…よ?」
「いや、すまない。
聞いてほしい。
夜空は村雨についてくれ」
「「「!!!?」」」
「オイオイジェイク、それはねーぜ流石によ…
疲れ切った王はともかく、夜空は主戦力の一人だろうが、それこそ負けてはなににもなんねーぞ!?」
「こら、ジオ。ジェイクには考えがあるのさ」
「………正気?」
「ああ、奇怪だろう?」
「…ふふ、そう…ね…」
ジェイクの魂胆はこうだ。
無の神の城に乗り込むのだ。
まず決めたメンバーで襲撃。
そして回復した村雨と夜空の神々コンビで第二軍を設ける。
波状攻撃だ。
「よし、僕と共に城に乗り込むメンバーを言うよ…!」
ーー魔城ディストラクション 前ー
「さて、ここからはもう「死」を本当に視野に入れなきゃダメだ。
…良いね?」
ージェイク・ハザ・ダストー
「ああ、俺は最初からよ。
お前に付いて行くと決めてんだ。
…無論、最後までな…!」
ージオ・シレネードー
「君を「永王」と定めたんだ。
僕だってどこまでも付いて行くよ。
命を、輝かせよう!!」
ーレインー
「我々も今回は作戦に加わる。
世界はやはり我々も大切だ。
主人たちよ、導かれ 神として戦おう!!」
ー破壊神・ブリケトー
ー空間神・タルタロスー
「タルタロス! ブリケト!城の周りの始神を抑えてくれ!
ジオ!門を切れ!!
僕は「月咲・死炎」の変化に入る!!」
「よし! 魔力投影【魔公王】
剣戟を妬む大剣戟!!!」
ズバァァァッ!!
門は切り裂かれる!
「ウォォォ!! 絶対破壊!」
「くそ!ブリケト!始神を裏切るのかーーっ!!」
「やかましいな…お前らは始神じゃねぇ、悪に身を渡した「悪魔」だ!」
「空間の選定者!!」
「右手が…っ!」
「さらばだ風の始神よ!
…ゆけ!ジェイク!!」
「その声だ…小僧…やってこい…!」
「月咲・死炎!!!!」
ジェイクの体が炎に包まれる!
そして光り輝く…。
「ジェイク、それが君の「新変化魔法」なんだね…!」
「…ああ、夜刻創造を超える変化魔法。
どこで覚えたかはまた後で話す、行くぞレイン、ジオ!」
「「おう!!」」
ー皇帝室ー
「無の神様、3人侵入しました…」
「…外で暴れるのがブリケトと空影では仕方ない…。
そうだな。
…夜空の主人は私が殺そう、残る二人は我が右腕と左腕をぶつけろ」
「了解です…無の神様…」
ガコンッ ガコンッ
鎖が解かれていく。
「…兄様が復活した魔力を感じていた…。
無の神の復活…また暴れられる…のだなぁ!!」
◯時間神・ヒルコ
ガコンッ ガコンッ
鎖が解かれていく。
「待ちくたびれた、無の神よ…」
◯色彩神・テンペスト
ー魔城 夢の間ー
「ジェイク、ここ…」
「夢の間、とかかれているな。
この中はどうなっているか分からない…
どこに行けば無の神がいるのかも分からない、魔力は察知出来ないようにされている…」
「ああ、そうみたいだな…」
その時だった。
ヒュォンッ
「!?」
バギャッ!!
「ぐあっ!!!」
何者かに剣の上から蹴り飛ばされるジオ。
「ジオ!!」
ジオは吹き飛び、夢の間の隣の隣の部屋まで壁を打ち抜いて飛んで行く。
そしてその後を白い何かが追っていく。
「追うぞレイン!」
「ああ!ーー!?」
ジオの元に駆けつけ様とした二人を何者かが蹴り飛ばす!
「ぐあっ!」
「チィ…! 炎掌!」
「…ほう」
レインはジオとは逆の部屋の壁を打ち抜いて、また何者かがその後を追う。
ジェイクは何者かと夢の間にて対面する。
「…目的は3人を引き離す事か…!
“D”uke'vampire!!!!!」
“魔王” “D”uke'vampire ー無の神ー
「さて…そろそろお前の息の根を止めるとしよう…
我が妻 復活に向けて…お前は邪魔だ、ジェイク」
「させない…ヴィーナスを解放することが何に繋がるのか分かっているのか!
太陽を抑えている太陽神を太陽から解き放つのだぞ、太陽は再び魔力を経て膨張をきたし…
この世界を飲み込む…!!」
「それがどうした… 「この世界」の為に何故我が妻が犠牲にならなくてはならない、ジェイクよ…。
コスモはもう何億年もこの世界を守った英雄だ。
どれだけ私の妻の加護に甘えるつもりだ!!!」
「コスモ!? それは神名ではないはず…」
「やはりそうだ、貴様ら人間は自分たちを護る者の名すら知らぬのだ
我が妻の名はコスモス・ヴィーナス=セレスティア…
愛の始神だ…!
その昔…地表の魔力を吸い過ぎて膨張を繰り返し…
地球そのものを飲み込もうとしていた太陽に我が身を投げ捨てて乗り込み…
その膨張を自らの魔力で抑えて自らを太陽に封印した。
分かるだろう…その孤独が…!」
「何億年も…意識のある状態で…一人…」
「それを! その闇になぜコスモを一生閉じ込めなくてはならない!?
愛した女を…救えずに…止めることも出来ずに…
何も出来なかった自分への戒めだ…
ジェイク…お前たちを殺し…コスモを救い…
二人だけになった地上で!
未来の夢を抱きながら二人で災禍に包まれて逝こう!!
邪魔をするな!!!」
ジェイクに襲いかかる無の神。
ジェイクの答えは…。
「ヴィーナスも…お前も…悲しい思いをしてきたことは分かった…だが無の神…いいか…
父であるお前と! 母であるヴィーナス!!
“両方”を失った夜空の気持ちはどうなる!!!」
「…!!」
「何も救えないだろう…
何かを救うには何かを犠牲にしなくてはならない…
全てを守れはしないだろう…
俺は全知全能の神ではない…
だが…だからこそ…
俺は!!自分の信じる描く「平和と未来」を!!
祈るように… 護るべきなんだと
“死王”より教わった!!!」
「何ッ!? ジェイク、まさか貴様その変化魔法…
死王にーー!?」
ドガァァァァッ!!!
「ぐうっ!!!」
無の神は弾き飛ぶ!
「俺は雨々に殺され…
あの世で…“死王 リッチーロード”に逢って力を貰った…!
リッチーロードは言っていた、、これ以上悲しみながら死ぬ魂を増やさないでくれと…!
お前の野望で世界が焦がれれば多くの人が悲しみ夢半ばに散ることになる!
その成れの果ての姿が「不死死歩」だということも知っている!」
「ぐ…死王リッチーロード…死の世界、死の概念に存在する永遠の王…まさか実在したとは…!
しかもリッチーロードに逢っただと…
死王に導かれた存在…ジェイク…ハザ…ダスト…
……貴様ァァ!!!」
「行くぞ、もう迷いはしない…!
始神召喚…!!!!
嘶け、死王リッチーロード!!!!」
「「「始神融合!!!」」」
ジェイクの体が白の魔力に包まれていく…
「ジェイク、貴様…! リッチーロードを…宿したのか…!?」
「死王!行くぞ!!」
「ほほ、良い。 無の神か、死の世界まで届く怒りの魔力、感じておったぞ…!!」
「死炎・舞曲迂曲!!」
「これは…」(これがかの有名なリッチーロードの“消えない炎”別名“死炎”…
紆余曲折してこちらへ来る、躱すしかない!)
「はぁっ! D・鎮魂歌!!」
歌が聞こえる。
まどろみの世界へと誘う魔法…
ーーまどろみの世界ーー
「…ぐ…ここは?」
「どうやら奴の自世界のようじゃの…
ワシはお前に全ての魔力を預け黙る。
喋れぬほどの魔力をお前に注ぐ…
よいか?奴はこの世界にワシらを閉じ込めるつもりじゃ…
まどろみを破壊するのじゃ!」
「よし! 爆炎!!!」
「ハァァァアアアアア!!!!!!」
時空が歪む…。
「ジェイク…我が月の魔力を貴様に注ぎ込む…!
「ジェイク!」
「!?オズマ!?なぜここに!?」
「雨々との戦いにてやつに此処へと閉じ込められた、出る魔力を貯めていた所でお前の魔力を感じた…!
私も“始神”だ、宿せジェイク!!」
「オズマを宿す!
そんなこと考えたこと…無かったぞ…!
行くぞオズマ!!!」
!ーーー始神融合ーーー!
「D・破神!!!!
詠澪堕慧!!!!!!!!!!」
まるで天体。
巨大なまどろみの世界を飲み込むほどの巨大な黒の球体。
「沈め!!!!」
「月咲・死炎! “結晶”
零・死炎=炎球奈落!!!!」
「どうするつもりだ、ジェイク!」
「オズマ!貴方の炎を使い天体ごと全てを焼き尽くす!」
「ウォォォ!!!」
(力を…力を貸してくれ…! コスモ!!)
「世界をお前たちの心中の為に使わせはしない!!!!」
「飲み込め!!!!」
炎が黒の球体を飲み込んで行く。
「バカな…なぜ…人如きの貴様の魔力で!
私を止めることが出来る!?」
「俺はな…! 一人で此処まで来たんじゃない…!!
様々な仲間や 多くの神が力を貸してくれて……
その想いを蔑ろにする訳にはいかないんだ!!
なぜなら!この星は! 皆がお前と同じ様に「愛する者」が居る世界だからだ!!!
そしてそれは俺が一番良く分かっている!
だからこそお前に抗える!!!!」
(ジオ…レイン…ブリケト…タルタロス…死ぬなよ、今からこの空間ごと魔城を破壊する…!!)
「愛する…者… ッ…!!
世界中の人の為に…
なぜ私が妻を犠牲に、私たちが礎にならなくてはならない!!
コスモが何故人柱にならなくてはならんのだ!!!
お前たちは平和でいいかもしれんが…!
コスモを止められなかった私は後悔ばかりだ…ッ!」
「ヴィーナスも!!!
“平和”を愛したから!!!
何よりも、お前を!ヴァンパイア!!!」
ジェイクの魔力が大きくなって行く!
「お前を守りたかったんだ、ヴィーナスは!」
「私の…為……っ」
「迸れ!!! 炎球奈落!!!」
「ー!しまっーー!!?
グワァァぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ー魔城ー
「ハァァ!破壊だァァ!」
パァァァン
「ブリケト!あれを見ろ!」
外で溢れる始神達の相手をしていたブリケトとタルタロスは城の方を見る。
何やら黒い球体とそれを包み込む炎が見える。
「あれは主人の魔力!
遠い空間に感じていたが今はそこにいる!」
「おそらく無の神の自空間を破壊したのだ!
マズイぞ、あの球体は天体に近い、アレが弾ければ…
魔城は吹き飛び、この辺りにクレーターが出来る!」
「逃げるぞブリケト、空間の選定者!」
ー魔城中ー
「ぐ…ゴフッ…」
「ハハハ…どうした人間の騎士よ!
その剣を振ってみろ!」
「言われなくても…っ!
魔力投影・魔公王! 鳥籠のーー!?」
(やはり変だ!
右手が動かない、まるで時間でも止まったかのように…!?時間神、まさかこいつ…)
「魔性・蒜蠱!!」
「ぐぁっ!なんだっ!?
右手が痛み出して…っ!?」
「時間を操る凶蟲・蒜蠱だ。
それをお前の手に打ち込んで右手の時間を止めて停止させていたのさ!
さーて! 殺してやるぞ騎士よ!
いでよ 魔蟲・蠱惑百足!!」
ヒルコは魔力精製にて空中へ百足を生み出す。
「こいつの酸で脳味噌溶かしとけ、人間♡」
ニタァ、と笑うヒルコ。
だが…!
「海中遊泳!」
「ギュァダァ…ッァ…アァァ…」
「百足!? 蒜蠱まで…
どうなってる!」
「畜生達の口元辺りの酸素を無くして、窒息死させただけだよ。
さて。 …良くもまぁズルいやり方で仲間をいたぶってくれたね、ヒルコ。
時間神?…ただの蟲の神の君がなにカッコつけてるのかな」
「ば、バカな!? その魔力…お前まさか…海原の天女!?」
「半分正解、いや、やっぱりハズレかな…」ニコッ
「行くよ…! 海神死坡!!」
体から出る魔力の衝撃波。
蒜蠱は吹き飛び、百足は体が千切れ、ヒルコも吹き飛ぶ。
「うわぁっ!」
「今だよ、ほら、斬っておいで?」
「ああ、すまねぇ!村雨!
神命なる神剣エヴァレータよ…
その刀身を再び我が手に収めよ…!」
ジオは聖剣レファを仕舞い、今まで使わなかったエヴァレータを抜く。
「我が指を生贄に主人を呼び出せ!エヴァレータ!!!
始神召喚・クトゥルフ!!!」
ギュォォォ!!
「行くぜクトゥルフ!」
「供物は要らん。 さあ、殺れ!」
「ま、待て!やめろ!!!」
「魔力装填“絶命斬”
黒白/孤影斬!!!!」
斬撃がヒルコを襲う!
ヒルコは斬撃を受け止める!
「こ、こんなもの…ォ!!!」
「グギギ…ッ!!!!」
振り下ろせないジオの剣を、村雨が握る。
「!!」
「力、貸してあげる。
妖力装填“妖” 」
妖力が剣に注ぎ込まれる!
「うおおお! 斬ァァァァ!!!!」
「そんな、そんな!
世界を支配できるんじゃなかったのかよォ!
どうして…!何億年も生きてきて!!
こんな所で…!!
ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
ズバァァァァァァァァァン!!!
「……成敗…!」
「よし、やったね」
「エヴァレータに戻るぞ」
クトゥルフはエヴァレータへと戻って行く。
その時、背後に夜空が現れる。
「…みん…な」
「!?新月の巫女!!」
「夜空、来たね」
夜空の手にはレインが抱かれていた。
「レイン!?
…ってかお前らどうしてここに…」
「父の…魔力を…強く……感じた…」
「そう、だから飛んできたの。
ジェイクは私が治り次第来いと言ってたからね、今しかないと思ったんだ」
「も…う 盤面は…最終局面……
それと…この子…」
「レイン、大丈夫かよ」
「あ…ああ、すまない…」
「何やってんだよったくよ!」
「お前も…魔力…死にかけてたろうが…」ゴホッ
「仕方…ない。 この子が…戦った…のは…
色彩神コントラスト……大戦時も…最強に近かった…存在…」
「新月の巫女来るまで…耐えたんだから許せよったくよ…」
「父の…魔力…ジェイクも……オズマも…
ここから離れる…掴まって」
そして、魔城と魔城周辺は莫大な黒の魔力にて消し飛び、大きな大きなクレーターが出来た。
ー元魔城 中央部ー
「わた…しの城と……配下たち…が…」
「…無の神…もうやめるんだ…」
ジェイク、オズマは倒れている無の神を見下ろしながら宥める。
「“D”uke'vampire。
もう戦争は終わりにしよう…。
コスモは自らを犠牲にしてまでお前を守ったのだ。
そして娘の夜空も…な。」
「人の…神魔導士… 貴様も……痛みを知るのか…?ゴホッ…ゲホッ…」
「もう喋るな…。
私もそうだ…。
夜空と…民達を守る為に自らの記憶と体を犠牲に人から神になり世界を統一した…。
今も夜空への愛は確かに感じているがそれが偽物ではないと断定できる何かはない
痛みと毎日 戦いながら生きている…」
「そう……か…」
「オズマ、ヴァンパイア。
貴方達は同じ痛みを知る者。
俺には分からない、大切な者の為に大切な何かを失う悲しみと勇気
それは…多分かけがえのない「優しさ」…」
「ジェ…イク… オズマ… …? イル…ソラ…?」
「!?皆!」
「夜空…」
後ろから皆が駆け付ける。
「レイン!しっかりして!」シュウゥ…
ジェイクは月咲・死炎を解き、レインへと駆け寄る。
「おいジェイク、今魔法で眠らせてんだ、起こしちゃダメだぜ。
それより聞いてくれよ、時間の神とやらを倒したんだぜ俺!」
「そ、そうなのかい? さすがだねジオ!」
「へっへーん」ドヤァ
「私の力ありきだけどねー」
「はぁー?お前が来なくても俺が斬ってたからな!」
「あのまま寄生されて死んでたよ?」
「てめえええ」
「わーこわーい」
「…おか…えり、オズマ…」
「ああ…。 …フ、ただいま、イルソラ」
「…父さま…」
「イルソラ…大きく…強くなった…な…」
「もう母さまの事は…そっと…しておこう…よ。
私は…自らを引き換えに…世界を守った…母さまと…
その人の…その「守りたい」って…力を生み出した存在…“父さま”、貴方を…誇りに思います…わ」
「イル……ソラ…」
「ああ、私もお前を…
“愛している”」
ド
ク
ン
「愛している」
《愛している》
“愛している”
【愛している】
(愛している)
〈愛している〉
〔愛している〕
‘愛している’
[愛している]
{愛している}
「「「愛している」」」
ドクン
ドクン
ドクン
「!?なんだこの魔力は!!??」
「父さ…ま!?」
「グォォォァァァァア!!!!!
あぁ…!!ぁぁぁぁぁぁ!!!!
うわぁァァ!!!!!!」
「父さま!! …オズマ…!?」
「…! さがれ夜空!」
「っ!」 バッ!
ヴァンパイアの体が宙へ浮く。
口や鼻から魔力が漏れ出している。
「どうなっている!?」
ジェイクはオズマに問う!
「…封印…蘇生魔法…“言霊”…
まさか…私たちはとんでもない勘違いをしていた…
コスモは人のために太陽になったのでもヴァンパイアのために自らを犠牲にしたわけでもない…!」
「どういう…!」
「“愛している”、ヴァンパイアが夜空を心から愛し、その言葉をかけた途端に発動する時限式の封印蘇生魔法!
自らを太陽に封印したコスモは今日このタイミングでヴァンパイアが夜空に「言霊」を言う未来を予想していた!
…つまり!!」
「コスモが…降臨する…ッ!?」
「イ…夜空…! 逃げ…逃げ………
ア''イ''シ''テ'''イ'''''ル''''''''ーー」
輝く光。
もう目をそらせない。
ヴァンパイアの体は何かに取り憑かれ変化する。
「お前が…コスモ…ヴィーナス!!!」
「…やっと…事が成せる…
妾は“太陽” ヴィーナス=コスモ…
光を殺す“災害”じゃ…」
それは禍々しき姿。
そして圧倒的な魔力。
誰が呼んだか。
彼女は「災害」
遂に世界と対面する…!
最終話へ続く
ーー愛情、それは「やがて」を知る魔法ーー。
最終話「夜空と呼ばれた巫女 黒白と呼ばれた魔導士」
圧倒的な魔力。
皆がそこで凍りついた様に黙る。
「…………………」
コスモはジェイクの横を素通りする。
その姿は本当に「災害」。
髪は長く 地面を引きずる長さだ。
「……変わり果てた …凍土」
「!?皆飛べ!!」
ジェイクの叫び声に全員が飛び上がる。
大地は凍り付き、クレーターの大地は凍った。
「大地とは…この様に凍て冷えていて当然であろう…。
妾の知っている世界は…もっと凍えていたぞ…」
「まさか…貴方は氷河期から既に存在を…っ!?」
「氷河期…後の子たちは妾には思いつかない名前を与えるものだな…
さて… 貴様たち いつまで妾の視界に入っているの…だ?」
「陽光・傾斜線」
太陽の魔力を帯びた光線が仲間を貫いていく…!
「ジェイクあぶねぇ!! ぐあっ!!」
「ジオ!!」
ジオはジェイクを庇い撃たれる。
「イルソラ!!」
ピュオーーン…
光線はオズマの体を貫く。
「オズマ…私をかばって…」
「ぐわぁっ!!」
「見えないだ…と…」
ブリケトにタルタロスも撃ち抜かれる…。
「レイン!
妖刀“村正” 妖気斬!!」
キィンッ!
村雨が弾く。
「…さて… 征こうかの…」
コスモは空へと浮かび、どこかへと飛び去った!
「ぐぁぁ…」
「ジオ…僕をかばって…!」
「な、なーに…動けねぇ…レインの…意思も組んだのさ…はは、俺らならこうする、お前を守る…
だからお前は……俺たちの意思を組んで…
奴を倒してくれ…!!」
「…分かった…!
夜空!村雨!行くぞ!!」
「ええ…!」
「うん、行こう…!」
「月咲・死炎!!
俺はコスモに転送魔力を乗せている!
奴の背後に飛ぶ、攻撃を用意しろ!」
「分かった…わ… “夜刻羽衣”!!」
「夜空の黒装束の羽衣… 本気なんだね…
なら私も…やるしかないよね…?
覚醒!!!」
「行くぞ、月臣転送!!!」
ーー上空ーー
「…………? まさかーー」
「月咲・死炎 “結晶”
想出放炎!!!」
「夜刻創造 “夜刻羽衣”
心滅!!!」
「海神重圧…!」
バァァァン!!
海原の天女による海の魔力の重圧にてコスモは背中を押されそのまま落下する!
落下の途中に月咲・死炎による放射された炎と夜空の月の魔力の封印を受け魔力が練れなくなる!
そして浮遊魔法が途切れたコスモはそのまま地面へと激突する。
「やったか!?」
「当たった…わ」
「私の攻撃もヒットしたよ…」
「ふむ…」
起き上がるコスモ。
ジェイク達も地面へと降り立つ。
「魔力の流れを感じぬ…
妾の魔力をせき止めるとは…の」
「コスモ! もう止めろ!」
「何故じゃ…? 「もう」?
妾はまだ何もしておらぬ…
目的を成すためとは言え…
何億年も醜い命を護ってきてやった恩も忘れたのか…人間は愚かじゃの…」
「く…目的…!?」
「妾の目的も知らず 倒そうとしていたと言うのか?
…ひ…ひひはは…ははは…はは…
何億年も…寝ていたから…
笑い方を少し忘れてるわね…
仕方ないの、教えてあげる…」
コスモは空へと浮かぶ。
(もう私が封印した魔力が流動を見せている…わ
さすがお母様…)
「妾の目的…それは…
創世神・オリュンポス様を蘇らせる事じゃ…」
「!?!?」
「…まさか…とは思ったけど…」
「そういう事…。
雨々と渡り合い、倒し世界を守った…
最早誰も見た事がない創世神を今更蘇らせてどうするの?」
「妾はこの世界に飽きているの…。
数億年前…妾が無の神と呼ばれる吸血鬼に出会った所から始まる…かの。」
ーーーー三億年前ーーーー
妾は既に当時の最強を誇っておった。
…誰も気付かないほど 魔力を隠していたがの。
それを気付いたのか…いや、奴は孤独に見えた妾に一目惚れしたのじゃろうな。
それがデューク。 後の無の神じゃ。
「貴方は…一人で寂しくないのですか…?
こんな暗い 洞窟の中で一人…」
「…どなたか存じませんが放っておいて頂けませんか?」
「いや、お節介ですまないがこんな場所に少女を一人おいてはおけない…」
「私の魔力は凍て冷えるモノ…
近付く者 全てに被害を与えましょう
私は“災害”…分かればお立ち去り下さい」
妾は先も言うたが最強の魔力を誇っておった。
凍える銀幕の魔力じゃ。
…全ての者を傷付ける程にな…
だがあの男はそんな妾を封印洞窟から引っ張り出しおった。
宝を求めてズケズケと洞窟に入り込み
誰も来た事の無かった最奥までたどり着き…
主であった妾の腕を引き 妾に世界を見せた…。
「ほら、ごらん。
貴方が見るのを止めた世界はこんなに輝いている…!
街も…神も…人も…動物も…大気も…全てが!
輝き、麗しく…希望に満ちている!
こんな世界を見ないで死ぬなんてもったいないっ!
私が貴方を護ろう、ささえよう
側で貴方を愛そう! 私の名はデューク!
後に大王になる器だ! はーっははっ!」
…なんだこの男は…。
あの時は少なからずそう思っておった。
妾は「災害」
生まれ持った強い強い魔力に人生を狂わされたのじゃ。
そう簡単に人は信じられなかった。
じゃが…
共に暮らす内に 愛をつぶやかれ
愛をささやかれ
妾の心も 確かに揺れたのは認める…。
楽しかった…
日に日に奴に惹かれ…
妾も最後は彼を愛した…
じゃがある日のことだった…。
「…デューク」
「ん! どうしたコスモ?」
「…出来たみたい…子供が…」
「…ほんとか! やった! やったぜコスモ!
はーっははっ!」
独特な笑い方で…
無邪気な顔で若き彼は喜んでくれた。
妾も嬉しかった…じゃが…
吸血鬼と…災害のハーフ…
夜空の兄である“雨雲”はその強すぎる魔力を体に宿せず産まれて15分で死んだ…
「!? 私に…兄…!?」
「そうじゃ…お前は妾たちの二人目の子供…」
そしてそれを嘆いたデュークは妾に魔法をかけた。
魔力を抑える魔法じゃ。
妾もそれで良いと思った。
そして5000年後。
今より2億5000年前、二人目の子を授かった。
その子にはデュークが「鋳天(イルソラ)」と名付けた。
後に宵闇の夜の空を作った神としてお前は「夜空」と呼ばれ始めたのじゃがな…。
妾の魔力を抑えたとは言え…
夜空、お前も相当強くなった。
また死んでしまわないかとデュークは悩みに悩み…
遂に2歳の誕生日…
夜空の心拍が一度止まったのじゃ
その時デュークの言った一言…
“災害の魔力… もうどうしようもないな”
諦観したその一言…
妾はこの世界を去る事を決意した…
夜空の心拍は戻り、その次の日…
妾はデュークの元を離れた。
デュークも疲れていたのは知っていた。
あの時世界は第一次世界大戦時だったからの。
そして妾はその時、オリュンポスが怒りで放ったと「予測」された魔力のせいで膨張を始めた太陽を抑えるという名目で太陽の莫大な魔力を吸い取る事にしたのじゃ。
それが何億年もかかった。
妾はデュークに夜空に「愛している」と言えば復活できる次元式封印魔法をかけ…
「…オリュンポスに会い… 奴を倒し…この世界を裏で操る神になる為に」
「父さま…母さま…」
「コスモの目的とは…
オリュンポスを倒し創世神になる事だったのね…」
「……… コスモ…お前に一つ伝える事がある…!」
「神速移動!」
「! 陽光・圧縮!」
「はっ!」 ジェイクはそれを避ける。
「炎掌!」
「むっ…!」
コスモを弾き飛ばし、空中で掴み地面へと叩きつけ2、3回投げつけ 殴りつける。
そして地面にコスモを転がし上にまたがる。
「コスモ…いいか…
お前は“災害”なんかじゃない!!
お前は“コスモ”だ!!!」
「…!!」(この男…デュークに似て…)
「はぁあ! 炎網!」
ジェイクは両手を天に衝き、炎の球を作る
「結晶炎王弾!!」
そのまま顔面へと両手で炎球を叩きつける!
「夜空! 村雨!」
「! 始神融合…っ!」
「村雨じゃなくて今は海原の天女なんだけどね!
始神融合!!」
「ぐ…中々の魔力じゃの小僧…」
(夜空と…村雨を宿した…!?)
「これが今の俺の…全力だ!」
ー“月咲・死炎” −夜刻羽衣− ‘覚醒’ー
フードの付いた長い黒いコート。
夜刻羽衣を纏い…
銀の髪の中に混じる青い髪。
襟足が少し伸び…
妖刀“村正”を腰に
魔導杖“ウィドー”を手に…
今そこにジェイクは黒白を操る魔導士となる!!
「…妾の目的…邪魔させはせぬ…
オリュンポスに勝とうと溜めた魔力は使うわけにはいかない…
太陽の魔力は温存じゃ、妾の魔力で相手をしてやる!!」
「鳳凰羽衣!!」
赤い羽衣。
夜空の母だけはある、やはり夜空と似た魔力だ。
ジェイクは右手に剣、左手に杖を構える。
「征くぞ!人の魔導士よ!!」
「鳳凰の巫女…貴様の好きにはさせない!」
「太陽剣“アポロ”!」
コスモは剣を魔力精製する。
「圧斬・微塵!!」
「妖力装填“妖” 千子村正斬!!!」
目にも止まらないコスモの斬撃!
それを全て弾くジェイク!
この太刀筋は融合した「村雨」のものだ!
「夜刻創造“結晶”
月落ちの燦々!」
「がっ!!!」
超光がコスモの視界を奪う!
ジェイクは夜刻羽衣のフードに目を隠し光を遮る!
「ぐぉぅ…ぉ…目が…」
「妖力装填“妖”+月咲・死炎
天帝の嘶く雷!!!」
空を覆う黒雲より嘶き降り注ぐ雷鳴!!
コスモの体を狙う!
「ぐぁ…く! 永遠守護!」
「なにっ!? 魔力守護の上位互換…」
雷撃を弾くコスモ!
「…舐めるな人の魔導士よ!!」
ガッ!!
「ぐあっ!!」
ジェイクは脇腹を蹴られ何キロも吹き飛ぶ!
コスモも浮遊魔法で付いてくる!
2キロ吹き飛んだ所でジェイクの体が止まる…
「が…はっ…」
「立てぬか魔導士よ… ならば八つ裂きにされて死ぬが良いわ!!」
剣を振り下ろす!
「こうなれば…!」(夜刻の姫君+海妖の女王…
夜奪=海落!!)
「!! 剣が空中で止まーー …そうか、これは…」
「へへ、そうさ…」
「空気中の水分を操り剣を抑えているのか…?」
「それと…夜空の魔力も込めてんだぜ、コスモ」
「夜空の魔力… ! しまった!」
「魔力守護!!」
ドガァァァァァァン!!!!!!
大爆発が起きる!
夜奪=海落。
村雨と夜空の魔力を足した技だ。
村雨の海の力で空中の水分を操り剣を受け止める。
そして夜空の夜の魔力で一瞬あたりを真空にし、酸素だけを残し…
ジェイクの魔法で火をつけた。
そして魔力による小爆発が起き、辺りが真空で酸素しかないため大爆発となったのだ!
「ぐぁ…ぁ…」
ジェイクも大怪我を負っている。
魔力守護で守ったとは言え自分の真上で爆発が起きたのだ。
「うぁぁ…おのれ…」
コスモは防御が間に合わず、左腕が燃え千切れた。
まさに圧倒の戦い。
二人の戦いはもはや誰も手を出せないほどのモノとなっていた…
「小僧ーーッ!!」
「ぐ、動かなーー ぐあっ!!」バギャッ!
怒ったコスモがジェイクの首を蹴る!
「死ね…小僧が!
よくも我が左腕を…!
鳳凰羽衣“不死鳥”!」
コスモは空中に燃える鳥を精製する!
「…死に絶えよ…! “燃鳥怪鳥”!!」
「ギャォーーッ!!」
不死鳥はジェイクへと突撃し、爆発した!
ドガァァァァン…
煙が晴れる頃、ジェイクは両手両足を地に着いていた…。
「がぁぁ…魔力守護が…割れてしまった…」
「この技は永遠に続く…不死鳥とは体が弾け飛んでもまた蘇るのじゃ…
お主に太陽の魔力は使わないと決めたが…
温存している場合でもないの…
認めよう、お主は強い…
オリュンポスに挑むのは少し先延ばしじゃ…
お主の魔力も奪う、だからまずは死体になれ…ジェイク!!」
不死鳥が再生していく。
もう一度突撃してくるまでおよそ10秒。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…」
ジオ…
いつもどんな時も僕の側に居てくれてありがとう…
君に託された世界…
必ず守るからね…
レイン…
最初は敵だった君も…今じゃ親友だ…
君に救われた命でもあるんだ、また君もこの世界を僕に託したのだろう
必ず守ってみせる…!
ルレン…ルージュさん…ジャッジ王…ベイリオンさん…
タルタロス…ブリケト…クトゥルフ…サイクロン…ヘスティア…ネプチューン…
夜空…村雨…オズマ…
父さん…母さん… 爺ちゃん…
「ジェイク、お前なら出来る、俺は信じてるぜ!」
「ジェイク。無茶しちゃダメだよ?」
「ジェイクくん!帰ってきたら治療だからねっ!」
「ジェイク。私はお前を信じるだけだ、任せたぞ」
「ジェイク!むはは、ワシもお前を信じてるぞ!」
「ジェイク。我が友よ…龍の加護があらんことを!」
「主人…アンタに宿って良かった、そう思っている」
「ジェイク…我が主人が使える王よ、頼んだぞ」
「ジェイク、蘇らせた命、もう散らすでないぞ」
「ジェイク。ルージュが認めた魔導士よ…」
「ジェイク君、ルレンと一緒に治してあげるから」
「ジェイク、助けてくれたお前を信じている」
「…みんなの声が聞こえる…
俺に立ち上がる力をくれている…!」
「ジェイク…待ってるよ…
私、寂しいけど!
ジェイクが頑張ってくれてるの知ってるから!!
私いつまでも待つから!がんばって、ジェイク!」
ハル…寂しい思いさせてすまない…
「ジェイ…ク。 この私が…認めるのは…史上二人目……オズマにはない何かが…貴方にはある…わ
ぁはっ♪ …君を見込んだ私…やっぱ…すごい…ひひ♪」
「おーいジェイクー。 私を倒したくせにあんなババアに負けてんじゃないよー。
私も力を貸してあげてるでしょ?
…海原の天女の天才さ、貸してあげるね!」
「ジェイク。…かつてお前は私を憧れと称したな。
……今はとっくに…もう始祖魔導士の私を超えているよ。
…どこまででも行け、黒白の魔導士よ…!」
「ジェイク。私は道を踏み外した。
…お前にはそうはなって欲しくない。
いや、ならないだろう…
お前にはこんなにも仲間がいる。
父さんと違う 未来を守ってくれ、ジェイク!」
父さん…
「…ジェイク。私がつけた貴方の名前。
全てを守る…何もかもを愛せる…
“イチジク”の様な強い枝葉と…
その枝葉に実る“数多の仲間”を…守れる様に…
いってらっしゃい、ジェイク!」
何故だろう。
凄く…凄く力が湧いてくる
それはいともたやすく手に入ると思っていた。
“行ってらっしゃい”
“おかえり”
“愛してる”
“がんばれ”
「ウォォォ!!!!!!!!!
月咲・死炎!!!」
「なにっ!? 消えかけてた炎が再び灯っただと!?
…だが関係ない!
不死鳥よ、奴の命のゆらめきを消すのじゃ!」
「ギャォーーッ」
飛んでくる不死鳥。
立ち上がるジェイク!
「これは…仲間たちの思いを込めたメロディーだ!
音階!!!
“前奏”“後奏”“間奏”“夜想曲”“小曲”“開闢”“結晶”!!!!!
+
“奥義”!!!!!!!!」
「小僧の魔力が跳ねていく…!!」
その時、ジェイクの体から村雨が飛び出す!
「ジェイク、そのまま行って!
絶・海中遊泳!」
「ギャォッ!!ギャァァッ!!」
「不死鳥!!!」
不死鳥は止まる!
「殺せなくても止めることくらいなら出来る…よ?」
「行くぞ…コスモ!
いいな夜空! ありったけ練り込め!!!」
「ええ…!」
「もう…もうこの世界の支配などどうでもよい!!
ジェイク…お主だけは…お主だけは殺す!!!
全てを否定してやる!!!!!」
「お前が世界の全てを拒むなら…
俺が“影”になろう!
お前が世の中の光に屈折するなら…
俺が“鏡”になろう!
もうお前は一人じゃないんだ
あの輝きの天体の黒点に隠れてはいないんだ!
お前は災害じゃないんだ!!
お前は一人の男を愛した「コスモ」と言う優しき人だった!!
生まれながら人から避けられてたのは俺も同じ…
黒として生まれ育ち つい最近まで迫害を受け!
痛みと寄り添い生きてきた!!
だが今は…今だから…黒として生まれ育ったからこそ!!
““痛み合う事が出来る””!!!
「世迷言を!! 叩き殺してくれるわ!!!
孤独な天体を…私の覚悟を…恨みを…全てを…
この魔法に乗せお前を消すことで証明する!!」
「太陽天体‘孤’
破磁≠神月王球!!!!!!!!!」
太陽と同じ温度の熱球!!!
「燃え散れ!!!」
「 永遠死炎 “夜空”
曲解の旋律・月波炎線ー廻ー!!!!!!!!」
輝く…月の魔力の高熱線…
デューク…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……なぜ…あの…み…ミコの…ぶつかりで…この星…は無事なの……」
「僕と夜空以外のみんながタルタロスに魔力を与えて、爆発と熱を遠くに飛ばしたんだ。
遥か彼方…それこそ太陽よりも彼方にね……」
「そう…か… 妾は…どうなって…おるの…じゃ…」
「貴方は…もう…消える寸前…
クトゥルフが命をつないでくれてます…」
「……負けたのじゃな…妾は…」
「…僕には仲間がいた… 負けとは言えない…本当に負けていたのは僕の方だった…
貴方は最後の最後で…魔力を弱めた…
きっと心に変化があったんだ…そう思ったよ…」
「…そうじゃ…な…
妾にも…人の心はあった…様じゃな…
この体…デュークの体を…乗っ取ったもの…
流れ込んできたのじゃ…
涙を流し…あの日の様な顔で謝る…デュークの顔が…
何があっても…どれだけ道を踏み外しても…
やはり妾はデュークが好きだった…様じゃ…フフ…」
「母さま…」
「夜空…迷惑かけたの…妾も…妾も…お前を…
“愛している”ぞ…」
「…っ 母さま…っ、、」
「お別れの時間じゃ…」
コスモの体が宙に浮く…。
「デューク…こんな私を迎えに来てくれたのですか…?
災害と呼ばれた私を…」
「当たり前だろう? …ちゃんと伝えたはずだよ。
「「君は災害なんかじゃない、コスモだ」」
…ってね。
あの日のこと、ごめん。
許してもらえるとは思ってないけどーーっ」
「んむっ!」
「むむ… っぷあっ、お、おいコスモ…
娘の見てる前で…」
「ふふ、いいじゃない♪ あはっ♪
楽しいな、久しぶりに…!
バイバイ夜空、バイバイ黒白の魔導士
心のわだかまりと翳り 本当の意味で救ってくれてありがとう!」
「さらばだジェイク… 夜空を頼むぞ」
そう言うと…デュークとコスモは手をつなぎ…
空への階段を昇っていった。
…楽しそうに… 何も…迷わずに…!
「コスモ、デューク、今まで世界を守ってくれてありがとう…
太陽はコスモのおかげで膨張が止まった。
世界を守ってくれたんだ
…後はもう…二人で静かに…さようなら、神々よ!」
「父さま、母さま…私…二人の子供に生まれて…
本当に…よかった…わ…ぁはっ♪」
ーこうして、太陽の化身と神の王との戦いは終結を迎えたー。
「!ジェイク!!」
「?…ハル、ただいま」
「う…ぐすっ…ジェイク〜っ!」
「おぉっ、いてて…よしよし…
待たせてすまなかったな…」
「コラ、ハル、ジェイクはボッロボロなんだから突撃しちゃダメだよ!」
「レインの方が…死にかけじゃん」ぎゅー
「はは」なでなで
「な…」ガビーン
「「あははははは!!」」
「ジェイク、よくぞ守ってくれた。
皆の者もよくぞ戦ってくれた…
王として、、皆をたたえよう。
よくやった!!」
「王よ…フフ…ありがたきお言葉!!」
「ジオ君、私も撫でて欲しいな?」
「は?嫌だよ ルージュにでもしてもらえよ」
「あーあ。がんばったのになー」チラッ
「…うー…」
「ジェイクくん回復しなくていいのかな?」チラッ
「…くっ…」イライラ
「わーたーしーのーおーかーげーでーくーとぅーるーふーにーかーてーたーのーにーなーー」
「わーったようるせぇなぁぁぁ」なでなでなでなでなでなでなでなで
「えへへっ♪ 勝った♪ ふふーん♪
…ってジオくん髪の毛ひっぱりすぎ抜けちゃうハゲちゃうううう」
「あー?聞こえねーなー なでてほしーんだろ?
いくらでもしてやるよ オリャァァァ」
「いやぁぁぁ〜っ!!」
「仲が良いのは良いことだな、ルージュ」
「ああ。ベイリオン。お前はこれからどうするんだ?」
「ティアマト様も無事だったし、龍の谷へと帰るさ、私は王だからな。
…だが何かあればすぐ駆けつける、もう私たちは友だと信じている」
「…ああ、助かる…友よ!」
「…オズマ?」
「自分より大きな神の頭など撫でられん
なぜ私より2センチも大きいのだ夜空」
「…割とそう言うの…気にするのね…フフ…」
「レイン」
「ん、村雨…今回は色々ありがとうね、君のおかげで助かったよ」
「うーうん。いいの。
前オズをめちゃくちゃにしちゃったし、君たちに迷惑かけたしそのお詫び。
…でさ、君さえよければーー」
戦士たちは戦いの疲れを癒し
日常へと戻っていく。
オズは全世界に「戦争勝利」と「戦争終結」の宣言をした。
これにより世界中の緊張は解かれ、世界中に平和が訪れる事となる。
乱発生していた神の祠は村雨と夜空が2ヶ月かけ全てを閉鎖する。
デュークのした行為は完全に跡形もなく根絶された。
だがこの数年後。
再び世界は暗黙へと突き進む事となる。
だがそれはまた別のお話。
黒白の魔導士は 2度 世界を救い
二人の神を 愛を 守ったのだった。
ーーとある地下ーー
?「これでもない…これでもない…
くそ、覚えておけジェイク…ジグの息子よ…!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
ー6ヶ月後 王宮庭ー
「…」
「ジェイク」
「?ああ、ジオ。 どうしたんだい?」
「あ、それあれか?
お前の父ちゃんと母ちゃんの墓か?」
「うん、何も埋まってはないけどね…
・・・・・・・
ジャッジ元真王が作ってくれたんだ。
母の命日は知らないけれど、父の命日が今日だからさ」
「そっか。 …なあジェイク、久々に手合わせしないか?」
「えっ、ダメだよ、僕も今はーーの身で君もーーだろう?」
「いいんだよそんなモン!
俺とお前は王と部下の関係の前になんだ?」
「わかったよ、“相棒”!」
「よし、行こうぜ、“相棒”!」
その昔 黒白の魔導士 ありけり。
その者 怨念と 悪意に染まった一人の巫女と
その者 絶望と 無念に染まった一人の神の王を
救い 世界を安寧に導いた
ーー彼を人は「黒白の魔導士」と呼ぶーー
黒白の魔導士たち〜神々のオラトリオ〜
ー完結ー
黒白の魔導師たち –神々のオラトリオ–
こう言った少年漫画のような展開と世界観が好きな方はどうか見てやって下さい。
処女作・黒白の魔導師たちの続編です。
前作もこの星空文庫さんに、掲載しておりますのでよれけばそちらからどうぞ!