夢の裏、ベルの音。

いつかの話…。
懐かしいのにどこで聞いたかもわからない君は誰?
『いつか会いに行くよ。』
そういった君は何者?
今、その言葉を返せるのなら、俺は______

夢堕つる

昔何処かで聞いたベルの音_
懐かしいのにどこで聞いたかもわからない。
覚えていることといえば、暗闇の中、誰かが泣いていた。
でも、名前も思い出せない。
『いつか会いに行くよ。』
今、少し思い出したかもしれない。
でも、そんな考えは後ろの席で幼馴染みの羽月直が肩を叩いたおかげで消えて行った。
「何?直。」
「いや?優里がぼ〜っとしてたから、どうしたのかなって。」
「え?何、そんな事で僕は思い出せそうな事を放棄してまで…。」
「思い出せそうな事?初恋とかか?」
初恋は…って、こいつは馬鹿なのか?
色恋沙汰を持ってくる女子なのか?
男子生徒に男子生徒が初恋の話……。
「直、良いことを教えてやろう。」
「ん?なんだ?」
「俺は知ってしまった。直は馬鹿なんだな。」
「え、それ酷くない?全然良いことじゃないじゃん。」
「良い事だ。高校1年生になると言うのに、初恋とか言ってる、馬鹿。これからは、馬鹿が治りますようにって意味を込めて、馬鹿直って呼ぶわ。」
「えぇ!?それ、絶対違う意味を入ってるよね……!」
と、いつものたわいない話をしているうちに、ベルの音の事、誰かが泣いていた事をすっかり忘れていた。

夢の裏、ベルの音。

夢の裏、ベルの音。

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更新日
登録日
2015-08-23

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