玄太『部活か...何にするか...』
第1章 『入部先』
ここ東京都立桜洲高等学校は偏差値52で進学率、就職率ともに安定した
男女共学で普通科の学校だ。
そして俺はここを第一希望で受験して無事受かった。
実のところ受験勉強は一切してなかった。
謎の自信があったのだ。
そして入部してから2週間が経った。
社交性が取り柄の俺はすぐに友達ができてクラスのムードメーカー的な存在になりつつあったが俺にはひとつ悩みがあった。
それは学校生活で学業、恋愛の次に大事な部活である。
小さい頃からやんちゃだった俺は運動が好きだった。
小学校でも野球クラブやってたし足もそこそこ自信があった。
中学でもそれを活かしてバスケットボール部で活躍しようとした。
けど技術的な面で挫折し幽霊部員となってしまった。
先生「これで今日のホームルームは終わりにします、あと大淀は後で俺のところに来なさい。」
???「起立、気をつけ、礼!」
一同「ありがとうございましたー」
玄太「はぁ...」
先生「おら、早く来い。」
先生「呼ばれた理由は分かってるな?」
玄太「入部先、ですよね。」
先生「ああ、そうだ。本入部まで時間が無いぞ、仮入部どころか見学も行ってないじゃないか...どうするつもりだ?我が校には帰宅部など無いぞ」
玄太「わかってます...今日こそ行きます」
先生「今日はどこか見学いくまで着いていくからな」
玄太「はい...」
そう、ここは部活が強制なのだ。
そんなことは入学前から知っていた。
説明会の資料で見たからだ。
ーーグラウンドーー
先生「そのまま校門にUターンしてくんなよー!」
玄太「さて...どこの部活から行くかな...」
ーーテニスコートーー
玄太「テニスいいよなぁ、女子可愛い子多いし見学だけでもして行くかな」
???「おっ、玄太じゃん!テニス部くるのか!?」
玄太「おっす、なんだ航平じゃないか」
こいつは園田航平。 見た目は結構イケてんだが根っからのオタクである。
お調子者でよく俺と一緒に説教される、今のところ一番の友達だ。
玄太「まあ、入りたくないわけじゃないけど...。」
航平「女子多いしな~、けどみんな彼氏持ちだぜ」
玄太「げっ、まじかよ...やっぱみんな中学の頃からいる感じか」
航平「ああ...まあ見学してけよ!」
玄太「いや、今日中に決めたいし色々見て回るよ、テニス部は経験者多くてきまづいしやっぱ遠慮しとくわ」
航平「おぅ!そっか、じゃあな!」
ーーハンドボール部ーー
玄太「あ、ここは無理だ」
ーー野球グラウンドーー
「ワ-ワ-ワ-バッチコ-イ」
「オ-ライオ-ライヘイヘ-イ」
玄太「うわ、さすが甲子園出てるだけあるな..レベルたけぇ...」
???「あっ!玄太くん!」
玄太「ん?あ、由紀じゃん」
こいつは高橋由紀
クラスの男子からの人気度はNo.1
ちなみに巨乳だ。
由紀「玄太くん、野球部来るの?」
玄太「いや、まあ一応野球やってたけど練習見てたら入る気失せちったわ」
玄太「由紀はもうマネージャーしてるの?」
由紀「うん!先輩たちみんな気さくで可愛いんだよ~、優しくて頼れるし面白いからもう通っちゃってる感じ!」
玄太「ははは、それは良かった。」
由紀「入部しないのかぁ..残念だなぁ...」
玄太「ん?まぁ、そろそろ違うところ見てくるわ!」
由紀「あ...うん!がんばって見つけてね~!」
ーーラグビーグラウンドーー
玄太「あっ、これはありえないわ」
ーー校内自販機前ーー
玄太「やっぱ見つからないなぁ...あと残ってる運動部は水泳、バドミントン、卓球、バレー、剣道、柔道、弓道、バスケ、陸上...どれも嫌いなものばっかりだな...」
先輩A「なー、誰か三十円貸してくれ!」
先輩B「はぁ!?またかよ、この前の120円まだ返されてねーし!」
先輩C「ま、まあ三十円くらいでそんな...僕が出すよ...」
先輩A「ありがとう!!!!!」
玄太「(あれは何部だろ...軽装な割には結構傷が目立つな)」
先輩B「あ、君新入生だね」
玄太「あ、はい!」
先輩B「入部先は決まった?」ニヤニヤ
玄太「いえ、まだですけど...」
先輩A「お前こっちこい!!!!」グイグイ
先輩B「うん、くるべきー」
玄太「えっ、ちょっ」
先輩C「本当、みんな乱暴だなぁ...」
ーー第1章 『入部先』 完 ーー
玄太『部活か...何にするか...』