今夜限りの月
「おう、こんなとこで、ラッキーだな」
お前は相変わらず嫌らし気な微笑を語尾に含ませ襲来した。
僕は逃げたかった。
寝汚いお前を置いて、夜が明けない内に混沌なる床を抜け、左様なら。
月め、今夜みたいに明る過ぎるのは止めろよ。今夜限り、今夜限りだ。
一年前もこう考えたんだよ、僕は。
他人の臭いが染み付いた身体を世界に見られないように、影を選んで歩いた。
今夜限りの月
「おう、こんなとこで、ラッキーだな」
お前は相変わらず嫌らし気な微笑を語尾に含ませ襲来した。
僕は逃げたかった。
寝汚いお前を置いて、夜が明けない内に混沌なる床を抜け、左様なら。
月め、今夜みたいに明る過ぎるのは止めろよ。今夜限り、今夜限りだ。
一年前もこう考えたんだよ、僕は。
他人の臭いが染み付いた身体を世界に見られないように、影を選んで歩いた。
今夜限りの月