恋…って何?

結婚している人も一度はしていて、結婚もしてなくて付き合ったこともない人も、
いちどは、思ったことがあるんじゃないでしょうか?

恋ってなんなの?
と。
そんな思いを思い出しながら、考えながら、読んでいただけたらと思います。

恋って…

私の名前は諏訪 愛歌(スワ アイカ)。
私は、今日、中学校を卒業する。
楽しくなかったわけではないけれど、楽しかったとも言い難い。
別に友達はいたし、問題もおこしてない。
ただ、面白味がない三年間だった…というだけの話し。

「愛歌!また会おうね!」

「うん、会えたらね」

「うわぁ…愛歌つめたい…」

「詩音(シオン)に言われてくないわ」


島垣 詩音(シマガキ シオン)。私の数少ない友人だった子だ。
彼女は私立の高校に行くため学校は別になる。
かなり仲良くしてくれただけあって少し寂しい。


「莉佳(リカ)もつめたいと思わない?もうめったに会えないって言うのにさ」

「う、うん、高校行っても…仲良くしたいな」

「ほら、莉佳も言ってるじゃん」

宮姫 莉佳(ミヤキ リカ)。私の数少ない友人その二。
少しおどおどしてるが、一緒に出ているマイナスイオンがかなり癒しだ。
彼女もまた、詩音とは別の私立校へ行く。


「わかったわかった。長期休みくらいなら会えるんじゃない?そこで会おう」

「長期休み!言ったね?絶対だからね!!」

「楽しみだなぁ…」


性格がバラバラな私たち。
それでも、このふたりといるのが、私にとって、この三年間、すごく楽しかったんだ。
卒業式を終え、担任や数人の友人と写真を撮り、その日は終わった。



「……暇だな」


卒業式も終わり春休み。
親は夜仕事のため昼間は睡眠をとっていて兄弟はまだ学校に行っているためやることがない。


「…あれでも見るか」

誰に言うでもなく呟きヨロヨロと立ち上がる。
目指すはリビングだ。
理由?そんなの簡単だ。
誰もいない、やりたい放題。と、なればやることは一つだ。


「折角借りてきてくれたんだし…」


母が借りてきたDVD。
なんでも仕事仲間のひとりがアニメ好きらしく、薦められたらしいアニメ。
実は私もそこまで仲良くない友人薦められていて気になっていたからラッキーだ。
内容を言えばわかる人もいるかもしれないが、まぁ、今人気の某ミュージカルアニメだ。
声優が豪華だからと、薦められていた。
元々アニメは好きだし、歌となればもっと好きだ。


「……個性的…」

当たり前ではあるものの、キャラクター達が個性的だ。
見ていて飽きないキャラをしている。
ストーリーもかなり好きなほうだったからかなり見入った。
見入った理由は、実はもうひとつある…


「…なにこれ」

今までにない。
私が体験したことのない心の踊る歌。
そう、歌が、私を惹き付けた。
今まで聴いてきた歌とは違う。
もっと聴きたいと、ずっと聴いていたいと思わせるメロディ、歌詞、リズム、そして……声。
私は、彼らの歌声に、惚れたのだ。


「ただいまぁ……なんだよ、テレビ使われてんじゃん。愛歌、友達来るからテレビ貸して」

「待ってて。あと1時間」

「はあ?!」


普段なら譲ってしまうところだったけれど、それどころじゃないんだ。
離れられなかった。
私は結局、その日で全話見て、曲をインターネットで調べて聞くほどまでにハマった。
こんなに何かにハマるのは初めてだ。
ふと、そう思った。


「…いるかな、高校にも」

アニメ好きはオタクだなんだと言われることが多い。
でも、それでもいいから、この気持ちを、誰かに共感して欲しかった。
私の友好関係は、どうなるのだろう。
そんな気持ちを抱きながらも春休みを満喫し、いよいよ、入学式になった。


「ごめんね、おばあちゃん」

「仕方ないよ、二人共仕事なんだから」


まさかの両親とも仕事というハプニング。
父方のおばあちゃんが来てくれたから、なんとか、入学式にはこれたものの、ちょっと不満だ。
教室へ行くと、パラパラと人が居た。
自分の席を確認し、とりあえず着席しとく。


「ぁ…」

「?」

「お前、愛歌?」

「え、ぁ、うん…」


私の前の椅子に座った少年が声を掛けてきた。
どこかで、会っただろうか?


「須藤 李緒(ストウ リオ)、ほら、グループ」

「あ…李緒くん」


今、ほとんどの人が使っているであろう連絡アプリ。
その中ではもうこの学校のグループができていて、何度かグループの中で話したことがあった。
でも、やっぱり見た目とイメージはかなり違う。
実際の彼は、思っていたよりもチャラそうだ。


「おんなじクラスだったんだな」

「そう、だね」

「なに、緊張してんの?」


私が口数少なく返すと笑いながらそう言われた。
仕方がない。これでも人見知りなのだから。


「困ってるから、それくらいにしたらー?」

「…んだよ由菜(ユナ)」

「嫌々、初っ端から女子に声かけてるお前が悪いだろうが李緒」


私の後ろから声をかけてきた2人の少年少女。
由菜と呼ばれた彼女は、可愛い顔とは違い、性格はイケメンそうだ。
少年の方は李緒君ほどではないがチャラそうな印象を持った。


「平気?あたし、柳 由菜(ヤナギ)。席離れてるけど、何かあったら呼びな?」

「俺、朝日 皇(アサヒ コウ)、よろしく。俺でよければ何でもやっから!」

「あ、ありがとう」


どちらも、優しい人だ。
私の第一印象は、そんな感じ。

でも、人は、嘘なんて、簡単につける生き物だ。
簡単に嘘をついて、裏切る。
それを、今の私は知らない。
ただただ、目の前のことを真実だと思い込んでいる。

でも、ひとつだけ、この時の私は、目の前のことを理解出来ない事があった。


「…あれ、あの二人って……」

「あぁ、もう付き合ってるみたいだよ 」

「え、もういるの?」

「お盛んな少年少女だからねぇ、恋の一つや二つ」


まだ、出会ってそんなに時間もたっていないだろう。
それでも、恋をして、付き合って…。
どうして、そんなことが出来るんだろう。
私は、恋をしたことがない。
歌や景色に心を奪われても、恋をしたことはない。

「……恋って…なんなの…」

私の呟きは、音の波に流され、かき消された。




その…はずだった



「へぇ……」

新しい生活


高校生活が始まって約一ヶ月。

もうすぐ体育祭がある。
早いなぁとか思いつつ、未だにクラスに馴染めて内容や感じがおかしくて仕方ない。

恋…って何?

恋…って何?

恋って何? なんで、人は恋をして結婚をするの? そんな、思いを抱えたまま初恋も迎えた事なく高校生になった、1人の少女の、 恋を知り、悩み、泣き、苦しみ、喜び、たくさんの事を体験して行く物語。 貴方がこの少女なら、どの選択を取りますか?

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-07-22

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  1. 恋って…
  2. 新しい生活