東京喰種 二次創作 姫編
金木編に続く姫編です。
前編を読んでない方はまず金木編から読むのをおすすめします。
姫編
あぁ、どうして。
どうしてこんなことになったの?
君は、苦しんでいた。悲しんでいた。怒っていた。
この世界の全てに対して。
だけど同時に愛していた。
愛していたからこそ、君は変えたかったんだ。
なのに。
なんで……
私の体はもう凍って動かない。
でも、君がそこにいることはわかるよ。
だって君は私が一番に愛したひと。
もう、顔は見れないけれど感じているよ。
触れた肌から伝わってくるの、
「愛してる」
ってーー。
ねえ、おとぎ話は変わってしまった。
邪悪な正義の手で。
眠りに落ちたお姫様は大好きな王子様のキスでさえも目を覚ますことなく、朽ちていくの。
王子は信じられず、何度もキスを繰り返す。
だけどそれは虚しいだけ。
私の針は止まったまま。
どんなに私が願っても体は冷たいまま。
もう……私の笑顔で君を笑わせる事ができない。
「いや、だ……」
ねえ、お願い。
もう一度だけ、彼の顔を見させて。
一度でいいから「大好き」だって言わせて。
だって、君がこんなにも泣いているんだもの。
わかっていたんだ。こうなることぐらい。
だけど信じたくなかった。世界を変えた先で二人が幸せになれるって信じたかった。
私が君に必要とされてるという証が欲しかったんだ。
でも……
私たちの未来を闇が包み込んでしまうなら。
もうすぐ君の声すらも聞こえなくなってしまうなら。
お願い? 神様?
もしこれが私の運命だというならーー
時の歯車が回りきってしまう前に。
もう一度、彼に想いを伝えさせて。
闇が彼を包み込むなら、私は身を呈して彼の光となって導いてみせる。
君がいない世界なんて、私には必要ない。
だからこそ私は。
最期になる前に君に想いを伝えたいんだ。
もう身体は動かないけれど、君に届けてみせるよーー
“私は”
もし君ともう一度出会えたのなら。
“私はずっとーー”
そのときは、きっと幸せになれるよね?
もう、君の声すらも聞こえなくなってしまったけど……
消滅(さいご)になる前にこの言葉を言えたのなら、私にはもう未練はないよ。
「「君の事が大好きでした」」
目を開けると風が吹く草原にただ一人。
君の姿はどこにもない。
だけど、私は
「どういたしまして」
と彼の言葉に答えた。
時の止まった少女は輪廻の輪から外され、草原で彼をただ想うのみ。
運命に導かれる少年は幻想を視たまま時を歩んでいく。
時の歯車がまた動き出す事はもう無い。
荒れ果てたその場所には壊れた時計を握りしめた幸せそうな少年の屍だけが残されていた。
姫編 END
東京喰種 二次創作 姫編
これはツイッターアカウント名、白カネキくぅぅぅんまぢ2000%ラブ!さんのを元に書かせてもらったものです。
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