軽くしすぎた言葉
とくになし。
過剰なまでに口にし過ぎたんだ。
余計な言葉かもしれない。
誰かは内罰的だと苛立ちをあらわにしたこともあったように思う。
でもふと気がつくと口をついて出てきてしまうんだ。
あなたはこの言葉が嫌いだったように思う。
口に出したり、メールの文面にそれを記したことはなかったように記憶している。
でもその言葉を僕が言うと、とても不服そうにささやかなため息をつくのだった。
言い過ぎたからだと思う。
それは分かっているんだ。
だから、肝心な時に、その言葉があまりにも軽く聞こえてしまうんだ。
余計な言葉かもしれない。
そこまで言わなくてもいいのに、とあなたは困ったようにはにかんでいた。
でもその気持ちは確かにそこにあったから口に出していたんだ。
あなたはこの言葉が苦手だったように思う。
言われ慣れていなかったのか、いつもすこし怪訝な顔をして、本当に思ってるの、と目で問いかけた。
でもその言葉を言うと、あなたは幸せそうに微笑んでくれたのだ。
言い過ぎてしまったかもしれない。
なんとなく気づいていた。
だから、肝心な時にその言葉があまりにも軽く響いてしまうのだ。
ごめんね。
ありがとう。
ごめんね。
ありがとう。
ごめんね。
ありがとう。
軽くしすぎた言葉
とくになし。