もしも男子の俺が突如女子校に通うことになったら

もう本当に下手くそなのでハードルを下げてご覧ください!

驚きの新・高校生活

なぜ人は異性を求めるのか。なぜ一人では生きていけないのか。頑張れば一人でも生きていけるんじゃないだろうか。いや無理だ。男という生き物は必ず異性を意識する時期がある。それは高校生活。共学であれば色々な出会いがあるだろう。うまいこといけば交際なんてことも夢じゃない。だが男子高に通っている者は夢を見て終わる。気の毒だが大学に行って出会いを見つけることをお勧めする。だがもしも、もしもだ、そんな男子高に通っていた一人の夢見る男子が突如女子校に通うことになったら……どうするのか。
俺、逢坂廼(おうさか のぞむ)は今まさしくその問題にぶち当たっていた。

「……は?何言ってんだよ母さん……」
「だから明日から廼は女子校に通うのよ」
「いやいやいや!待て!色々と待て!何回聞いても理解できないんだけど!?」
「とにかく!転校の手続きは私が全てやっておいたから」
「よし母さん、病院に行こう。頭がおかしくなってる」
「病院に行くのはあなたよ。なんで理解できないの?明日から通う学校が変わるだけじゃない」
「その明日から通う新しい学校が女子校だから理解できないんだっての!」
「はぁ……どうしちゃったのかしらこの子。ねぇあなたー、廼が女子校に通う意味がわからないんですって」
「廼。これを見てみろ」
「んん?なんだこれ?」
「一週間前の朝刊だ。一部の女子校で一人だけ男子を生徒にすることで女子の学業のモチベーションを上げるという政策ができたらしい」
「ええええ!?なんだよそれ!俺知らないぞ!そんなの!!」
「この情報は新聞でしか公開されてないからな」
「だとしても、男子の誰かが気づきそうなもんなのに……」
「理由は知らんが、その女子校に一人だけだからな。お前は運がいい」
「わぁい!嬉しいなぁ!……じゃなくて!マジで言ってんのかよ!」
「あら、もっと喜ぶと思ってたのに」
「現実味がないんだよ!おい廻!お前からもなんか言ってやってくれよ!」
「んー私はねー……」
彼女は俺の妹の逢坂廻(おうさか みら)。高校一年生。俺の一つ下だ。ややこしい名前だが、俺は廼。妹は廻。微妙に違う。そこんところヨロシク!
「大好きなお兄ちゃんが同じ学校で嬉しいけどなー!」
「お前に聞いた俺がバカだったよこんちくしょう!!」
可愛いんだけど極度のお兄ちゃん大好き人間、いわばブラコンなのである。
「はぅぅ……お兄ちゃんと学校が同じだなんて……みらって幸せ者ー!」
「ちょっと黙っとけ廻……!」
「ほら廼。制服だって届いてるのよ」
「いやだ!スカートを履くなんて!!」
「違うわよ、ほらズボンじゃないの」
「むぅ……女子校に男子の制服で行くのか……なんかややこしいな」
「え?お兄ちゃん女子の制服着たいの!?なら私が貸してあげるよ!」
「なんでそうなる!妹の制服を着て学校に行くとかただのド変態じゃねぇか!」
「変態のお兄ちゃんも好きだよー!」
「あぁもう!抱きつくな暑苦しい!」
もう少し兄への愛を抑えてはくれないだろうか……俺の理性が……。
「ほらほら二人とも今日は寝なさい。明日はあなたの新しい学校生活が始まるんだから」
「その新しい学校生活の場が女子校だから寝れないんだよ母さん……」
「お兄ちゃんと学校でスクールラブ……」
「兄妹でそんなのねぇから……」
「二人とも、おやすみ」
「はぁ……おやすみ」
「おやすみなさぁーい」
俺は多分不安と同時に期待していた。なんでかって?女子がたくさんいるからに決まってるだろ。俺はなかなか下がらない瞼を無理やり下げて眠りについた。

〜翌日〜

カーテンの隙間から射す朝日に照らされて目が覚めた。鳥のさえずりが妙に心地よい。こんな柔らかい朝は久しぶりだな。そして俺の横には可愛い寝顔の廻がいた。
「お前……また勝手に入ってきたのかよ…」
「ふゅぇ……?あぁおはよお兄ちゃん……」
「あぁおはよう、頼むから布団に入ってくるな……」
「ええーなんで?子供の頃はよく2人で寝てたじゃん」
「俺はもう子供じゃないんだよ!」
「お兄ちゃん寝てる時にみらにに抱きついてきてたもーん!」
「はは……んなバカな……」
「みらがウソついてるって言うの……?」
「ぐはぁ!!くそ!可愛い!」
上目遣いの涙目は男の憧れだ。それが見ようと思えばいつでも見れる環境に俺はいる。最高だよな、これだから廻を疑うことを忘れてしまう。これって俺もシスコンになるのか?
「早く朝ごはん食べて学校行こ?」
「そうだな。今日もむさ苦しい1日の始まりだ」
「もぉー、寝ぼけてるの?今日から新しい学校に通うんだよ?」
俺の頭に昨日の驚くべき記憶が蘇ってきた。
「……昨日のは……夢じゃなかったのか…」
「夢じゃないよー!今日からお兄ちゃんと同じ学校に通うんだもーん!ほら!ここに制服あるじゃん!」
部屋のハンガーには昨日見た新しい制服が掛けてあった。
「……よし。もうどうにでもなれ!今日から俺は女子校生だー!」
「イェーイ!ドンドン!パフパフ!ってお兄ちゃん窓に足掛けて何してるのっ!?」
……自分で行って恥ずかしくなった。間違って窓から飛び降りてしまうところだったぜ。
「はぁ……着替えるか…」
「手伝う!!」
「いらん!!」
「もぉー!照れ屋さんなんだから!」
「うるせぇ!お前も早く着替えろ!」
「うん!そうする!よいしょ……」
「待て待て待て待て!自分の部屋で着替えろ!何回言えば分かる!」
「ぶー……けちんぼ」
「何がだよ!はやく行け!」
「はぁーい」
廻は不満そうに俺の部屋を出て行った。なんで不満そうなんだよ。
俺は新しい制服を着て鏡の前に立ってみた。
「へぇー、意外とちゃんとしてんじゃん」
カッターシャツの襟元には青いラインが入ってて、胸ポケットにはその高校のマーク的なものが刻まれている。スボンは黒に近い灰色だ。ブレザーは黒に近い紺色で腰の近くには左右どちらもポケットが付いていて、左胸にもポケットがあり、マークが刻まれている。ネクタイは白と青のラインが斜めに入ってる。俺は一目見て気に入ってしまった。
「お兄ちゃーん?着替え終わったー?」
「ん?あぁ、終わったぞ」
ドアを開けて廻が入ってきた。
「うわぁ……すごい!!かっこいい!」
目を輝かせていきなり褒めちぎってきた。
「そ、そうか?確かに自分でも気に入ったけどよ」
やはりベースは女子の制服なようでスボン以外はほぼ同じだった。
「てか改めて見ると廻って制服似合ってんな。超かわいい」
「ふぇ……?そ、そんな、いきなり褒められると……照れちゃうよ……」
こうして廻の反応を見るのが俺の密かな楽しみでもあるのだ。
「二人ともー!朝ごはん食べて学校行きなさーい!」
「「はーい!」」
俺たちは朝ごはんを食べて歯磨きをして、靴紐結び、家を出た。
「いってきまーす!」
「いってきまーす」
「はい、いってらっしゃい」
母さんが見送ってくれるのがなぜか新鮮に感じた。

いつもと違う道を歩くので少し緊張していた。
「お兄ちゃん、ネクタイ緩んでるよー」
「なんか息苦しくてな。やっぱ締めといた方がいいよな?」
「どっちでもいいよ、かっこいいから」
「お、おう。サンキュー」
本当にこいつは羞恥心というものがない。よくこんなこと恥ずかしげもなく言えるよな。
「み、廻ちゃん……今日は何色のパンツ履いてるの?」
俺は試しに廻に恥ずかしいことを質問してみた。これは恥ずかしい。だが……
「ん?今日はピンクだけど?ついにお兄ちゃんも妹のパンツに興味がっ!?」
ほらこれだもん。こいつどんな頭してんだよ。普通赤面して悶えながら言うだろ。
「お前はすげーな……」
「えー?そんなことないよー!……あ、ほら!見えたよ、ここがお兄ちゃんが転校する《聖アヴェマリア女学院》だよ」
「へぇー……でかいなー……」
ものすごく綺麗でパッと見ただけで校舎は3、4棟くらいある。
「ここが……俺の新しい学校」

悲しみの少女の記憶

男が一人転校してくることを知ってる人は少ないのか、登校してくる女子達に変な目で見られている。だがこの時の俺はそんなことは気にしていなかった。
「す、すげぇ……女子が……こんなに……」
俺は初めて見る世界に興奮せずにはいられなかった。
「むぅぅ……!浮気はダメッ!!」
「浮気って……お前な……」
呆れていると後ろから声をかけられた。
「あなたが《女上生徒》ね。初めまして、生徒会長の霧山美園です。覚えておいてね」
「は、はい!よろしくお願いします!」
綺麗な人だなぁ……サラサラの黒髪のロングヘアーで鋭いながらも全てを包み込むような優しい目、スカートはやや短めで……そんでもってそんでもって巨乳っ!!
「す、すっげぇ……なんだこれ……」
「もう!お兄ちゃん!そんなとこばっか見て!いくら私が小さいからって……!」
「あら、廻のお兄さんだったの?どうりで可愛いはずだわ。抱きつきたくなっちゃうわ」
「え!?そ、それは……」
「お兄ちゃん!!!もう!美園さん!お兄ちゃんをからかわないでください!」
「からかってなんかないわよ。可愛いのはほんとなんだから」
「お兄ちゃんは私のものなんですっ!美園さんにはあげません!」
門の前で妹と美女の生徒会長が俺を取り合っているという異様であり嬉しい光景が広がっていた。
「あはは……えっと、すいません、俺まだ勉強不足で……《女上生徒》ってなんですか?」
「簡単に言えば女子校に転校してくる男子ということよ。『女』を『上げる』から《女上生徒》よ」
「なるほど……女子校でも男に見られるということが女性の部分を上げることに繋がるんですね」
「理解が早くて助かるわ。そういう子、私好きよ」
「いんやぁ〜それほどでも〜」
「むむむぅ……お兄ちゃん……」
俺の後ろで怒りの炎が燃え上がっていた。
「ん?待てよ?それならいっそ共学にすればいいんじゃ?」
「ここの女子校には男子との関わりを苦手とする人が入学してくる子達がいるのよ。だからここは男子一人だけが上限なの」
「へぇ……そうなんですか……」
「生徒会のメンバーにも男子が苦手な子がいるわよ。ほら、噂をすれば……」
遠くから女の子がテトテトと歩いてきた。
「……おはようございます」
髪の毛は綺麗な白銀でツインテール、かなりの童顔で背丈は俺のみぞおちくらいだ。お世辞にも高校生に見えるとは言えない。
「お、おはようございます。今日からこの高校でお世話になります、逢坂廼です。」
初対面なので自己紹介は忘れずに。
「………………」
ただその女の子は黙り込んでいる。
「えっと……あの……」
「ほら、あなたも自己紹介しなさい」
美園先輩がその女の子に自己紹介するよう促すと……
「……イヤです」
「……え?」
意味がわからなかった。
「はぁ……あなたって人は……彼女は二年生の松原咲輝(まつばら さき)。生徒会の書記をしているわ。とにかく男が嫌いなのよ」
「は、はぁ……ってことは俺、嫌われました?」
「嫌われたと言うか、会う前から嫌いという感じかしら」
そ、そんな……1日目でもう嫌われ者かよ……ヘコむわ。
「……男なんて生き物、消滅すればいいんです。視界に入るだけで吐き気がするです」
わぁお……すんごい嫌われよう、逆に清々しいっすね!
「な、なんでそんなに男を嫌うんですか?な、何か理由でも?」
「……あなたに言う義理はないです。せいぜい私に近づかないようにするですよ」
無愛想にそう言うと彼女は行ってしまった。
「お、俺……転校初日で心折れそうっす……」
「き、気にすることないわよ、 そのうち慣れるわ」
「そうだよお兄ちゃん!私がついてるからね!」
これからうまくやっていけるのだろうか……不安になってきたな……。
「咲輝が男を嫌う理由…知りたい?」
「え、美園先輩知ってるんですか?」
「えぇ、咲輝本人に聞いたわ」
「教えてください!お願いします!」
「……分かったわ。生徒会室で話しましょう」
「じゃあ私は担任の先生にお兄ちゃんのこと説明してくるね」
「あぁ、ありがとう」
「では、行きましょう」


俺は生徒会に案内された。
「失礼します……」
「そこに座って」
俺は近くのソファに腰掛けた。
「それで……理由というのは?」
「彼女にはね、5つ年上のお姉さんがいるの。名前は松原詩織さん。頭も良くて綺麗な人で、私も何度かお世話になったことがあるわ」
「へぇ……いい人なんですね」
「ええ、とてもいい人だったわ。だけどあの事件が起こって、姉妹は楽しい生活から一気に奈落に叩き落された」
「……あの事件?」
「詩織さんはその日はかなり久々の仕事の休日で咲輝と買い物をしに行ったの。大好きなお姉さんと過ごせて、咲輝はとても喜んでいた。だけど、帰りの夜に通り魔に襲われたの。」
「通り魔……ですか」
その事件なら知ってる。確か20代前半の若い女性が通り魔に襲われたって、あの被害者は咲輝先輩のお姉さんだったのか……。
「詩織さんは咲輝を避難させるために、ナイフを振り回している通り魔に素手で立ち向かった。そのおかげで咲輝は逃げることができて警察を呼んだの。だけど、通り魔はいなくてそこには、衣服を剥ぎ取られて、無数の切り傷を負った詩織さんが倒れていた。幸い、命に別状はなくて傷ももう消えた。だけど心の傷は全然癒えなくて、笑い方を忘れてしまった。……これが咲輝が男を嫌うようになり、笑わなくなった理由よ」
そ、そんなことが……なんてひどいことを……
「ひどいっすね……絶対に許せないです」
「ええ……到底許されるようなことではないわ」
「詩織さんってまだ入院とかされてるんですか?」
「ええっと、確か学院の裏の私立病院に入院してるはずよ」
「俺、行ってきます!」
「え!?何言ってるの!?詩織さんは今はまともに話せる状態じゃないのよ!?」
「でも!何かしないと前には進めない!」
「あ!まちなさい!廼!」
俺は生徒会室を飛び出し学院を飛び出し、病院に飛び込んだ。
「俺は……これから楽しい学校生活を送るんだ。そのために、この学院の悲しいものを全て壊す!」
この女子校に来てまだ1時間も経っていないのに、俺は人のために動いてる。まったく……話が急すぎるよな。だがな……俺は女の子が泣いてるのを見過ごすほどバカじゃない。俺は、二度と女の子を泣かさないと決めたんだ。
「待っててください咲輝先輩…!俺、絶対詩織さんを闇から救い出しますから!」
「あの……病院内はお静かに……」
「あ、すいません……」

美しき女神の呪縛を解くとき

「あはは、すいません。あの、松原詩織さんの病室ってどこですか?」
注意してきた看護師さんに詩織さんの病室を聞いてみた。
「えっと、あなたは詩織さんの知り合いか何かですか?」
「えぇ……まぁ……」
詩織さんを過去の呪縛から解放するなんて言えるはずもあるまい。
「今はやめておいた方がいいですよ。事件のショックでまともに話せる状態じゃないですし」
やっぱりか……けど俺は……
「大丈夫ですよ、ちょっと様子見るだけなんで」
「ふむ、わかりました。詩織さんの部屋は2階の突き当たりです」
「ありがとうございます!」
俺は階段を三段飛ばしで駆け上った。

「ここか……」
病室の扉の横に松原詩織と書かれている。
俺は息を飲んでノックをした。
「…………」
返事はない。寝てるのか?
「し、失礼しまーす……」
こんな状況で入るのもおかしいけどな。
「……………っ!」
思わず見惚れてしまった。白銀の長い髪を背中の所でまとめていて、長く整ったまつげ、青く澄んだ瞳は宝石のように輝いている。顔立ちもとても綺麗で、世の中にはこんな綺麗な人がいるのかと思うくらいだった。
「あの………詩織さ……松原さん?」
「…………」
まだ、ショックを受けてるみたいだな。
「あの……俺、今日(聖アヴェマリア学院)に転校してきた、逢坂廼です!」
とりあえず自己紹介はしておこう。
「…………え?《聖アヴェマリア学院》……?」
「は、はい!そうです!《女上生徒》っていう特別枠で!」
「……そうなんだ、美園から聞いてるよ。……咲輝は元気そう?」
「んーやっぱりまだ、元気はないみたいですね……って松原さん!?話せるんですか!?」
「あ……バレた……?」
「え!?どゆことすか!」
なんか身体は元気みたいだけど……
「本当はね、もうなんともないんだ。身体も元気だし、事件のことも気持ちの整理もした。だけど、なんかね、勇気が出ないんだ。外に出歩く勇気が出ないんだ」
「そ、そうなんですか……勇気……勇気……あ!いいこと思いついた!」
「え?なになに?」
「そこのベランダに出てみるのはどうです?」
「う、うぅ……」
やっぱり不安なのか……
「大丈夫。俺が松原さんの手を握ってますから」
「う、うん……頑張ってみるよ」
「よし!そうと決まれば……はい」
「ん?なに??」
「手ですよ手。手を握ってください」
「あ、うん、よいしょ……うわ!」
「おっと!!危なかった……」
多分足に力が入らないんだろうな。あんま動いてなさうだし。
「よし、大丈夫……そのまま一歩一歩」
「うん……!」
俺は、ベランダのドアを開けて、少しずつ詩織さんを牽引した。
「ほら。できたじゃないですか!」
「う、うん!ありがとう!……風が気持ちいいね……」
「………あ!そ、そうっすね」
いかん、思わず横顔に夢中になっていたわ。
「こんなに外が気持ちいいと思ったの、久しぶりだなぁ……」
「それは良かったですね!……あの、松原さんがこんな元気になったのって、誰かに話したんですか?」
「ううん、まだだよ」
「え?美園先輩にもですか?」
「うん、ちょっとね……あの子ああ見えて結構硬くって、そのことを考えたら言うに言えなくて……」
いやいや!絶対に言った方がいいだろ!
「それに……言ったらあの手この手で退院させようとするだろうし」
宣言撤回。言わなくて正解だ。
「でも、咲輝先輩には行った方が……」
「うーん、なんか怖くって……」
「え?何がですか?」
「わかんないんだけど……喜んでくれるかどうか不安で……」
なんだ、そんなことか。
「大丈夫ですよ!きっと喜んでくれます!」
「それならいいんだけど……それはそうと、なんで廼君は咲輝のことを先輩って呼んでるの?あの子一年生だよ?」
「へ……?えええっ!」
た、たしかになんであんな子供っぽいのに先輩だと思ったんだろう。俺ってバカなの?
「それはそうと廼君は学校はいいの?もうだいぶ時間経ってるけど……」
「あ、ああぁぁぁぁぁぁあ!!」
わ、忘れてた……!俺の輝かしい女子校デビューが……!
「し、失礼します!やっべぇ……!完全にアウトだ!」
俺は高速でお辞儀をして、疾風の如く病室を出た。

「ありがとう……私を救ってくれて……。私、一目惚れなんてしたことないのにさ、廼君、君は悪い子だよ」

病室を出るときに何か聞こえた気がしたけど、それはベランダから吹く風に紛れてよくわからなかった。

遅刻の出会い

大変大変!遅刻遅刻!大遅刻!もぉ!せっかくの高校生活なのにぃ!いきなり遅刻なんてついてないよぉ……!なんていう冗談は置いておいてと、うん、ヤバイ。完全にアウト。
俺は走りながらスマホの時計を見た。……オーマイガ……30分も過ぎてるじゃないか。
「まぁでも、詩織さんが元気になってくれたからよしとするか」
俺は満足していた。あんなキレイな人の役に立てたんだから。
信号が赤だったので止まる。信号無視はいけません。
すると、不意に後ろから声をかけられた。
「よっ!お前も遅刻かぁ?感心しないねぇ」
「……え?あ、はい!すみません!……ってあなたも遅刻じゃないんですか?」
「アハハハ!まぁ堅いことは気にしなさんな!」
いや全然硬くないけどね。
「お前さん、《女上生徒》だろ?美園から話は聞いてるよ。あたしは神岡悠里、よろしくな」
「は、はい!よろしくお願いします」
な、なんか……色々とすごい……クリーム色の髪は後ろで一つにまとめられていて、彼女が笑うたびにその髪は華麗に踊っている。ほんのり褐色の肌はとても健康的で美しく、大胆にシャツの胸元部分は広げられ、谷間が目に入ってしまう。ブレザーはきているものの、ボタンは外されていて、袖は肘のところまで捲り上げられている。スカートは太ももを見ろと言わんばかりに露出されていで、なんかもうすごく目のやり場に困ります。
「あの……神岡先輩?」
「アハハハ!悠里でいいし、タメ口でいいよ。あたし、そういう堅苦しいの苦手なんだ」
「えぇ…でも……」
「いいって言ったらいいんだよ!男ならウジウジしない!」
「あぁもう!わかったよ!……ゴホン……ゆ、悠里はなんで遅刻なんかしたんだ?」
「ふふん、理由は特にないさ。寝坊しただけだ」
「おいおい……大丈夫なのか?」
「まぁなんとかなるっしょ!アハハハ!けど、毎度毎度遅刻なんかしてよく生徒会続けられてるなって自分でも思うときはあるよ」
「え……?悠里って生徒会なのか!?」
意外すぎる!!遅刻なんかしちゃだめじゃん!
「やっぱ驚く?確かにあたしって生徒会って柄じゃないもんなー」
「そりゃ驚くだろ……どんな仕事やってるんだ?」
「そりゃ風紀委員!これしかないっしょ!」
「そ、そうか……頑張れよ……」
もはや何も言うまい。
「てか早く行かないとヤバイよな……ちょっと急ごうぜ」
「あ、競走?いいよ〜負けないかんね!」
「子供じゃないんだから……まぁ、せっかく急いでるしいいか」
「そうこなくっちゃ!いくよ……よ〜い……ドン!」
次の瞬間……俺の横を勢いよく風が吹き抜けていった。
「は、速ぇ!」
「ほらほら〜置いてっちゃうぞー!」
俺も走りは速い方なんだけどな……
「もう見えない……」
あそこの角を曲がったみたいだ。近道なのか?
角を曲がると壁に寄りかかって足をかばっている悠里がいた。
「悠里?どうしたんだよ?」
「あり?せっかく隠れたのに、バレちったか!」
「なんで隠れたりなんか……お前もしかして足……」
「アハハ……挫いちゃった……大丈夫大丈夫!歩けるからさ!」
「大丈夫じゃないだろ……見せてみろ」
「いやいやいや!いいって!」
「そういうわけにもいかんだろうが……早く見せろって」
「ええっとええっと……へ、変態!スケベ!」
「なんでそうなる……別に変態でもスケベでも構わねーよ。それより、お前の足の方が心配だ」
「む、むぅ……調子狂うなー……」
悠里は渋々足を見せてくれた。
「うっわ……こりゃひどいな……これはさすがに歩けないだろ」
「そ、そんなことないさ!今から走ってみようか?」
「バカ言え、こんなの見た以上それは何が何でも阻止する。ほら、乗れ」
俺は悠里に背中を向けて、腰を落とす。
「おんぶなんて、恥ずかしすぎだろう……」
「今俺たちは遅刻してるからここの学生に見られることは無いと思うぞ?」
「そ、そういうことじゃなくてさ……」
「ほれ!さっさと乗れって」
「う、うん……ありがと……」
悠里はおずおずと俺の背中におぶさった。
「結構軽いんだな、悠里って」
「そおかなー?それにしてもおんぶなんて何年ぶりだろ?久しぶりだなー!あ!学校見えた!」
「言ってる割には楽しそうだな……」
こちとらあんたの二つのお山が背中に押し付けられて理性を保つのに苦労してるっていうのに……!
「てか、手の指とかちゃんとしてんだなー、なんかいいな」
手の爪は長過ぎず短過ぎずベストな長さに保たれている。ネイルとかもしてないみたいだ。
「……!へ、へぇ……そうなのか!そんなとこ見るの廼だけだしなー!」
「さりげなく名前とかで呼んでくんのも、俺好きだわ」
「す、好きって!!まだ今日会ったばっかだし!」
「会ったばっか?何を言ってるんだ?」
「なんでもない!!!」
よくわからんが、嫌われてはないよな?もう本当に女子に嫌われたくないよ……
そうこうしているうちに門の前まで来た。
「ここでいいよ!ありがとな!廼!」
「おう!気にすんな!また乗っけてやる!」
「あんな恥ずかしい思いはもうごめんだな!」
「ははは、そうかよ。じゃ、俺は職員室に遅れた言い訳でもしてくるわ」
「OK!まともな理由考えろよー?」
「わかってるって、じゃあな!」

「……廼の前では……女の子でいさせてくれよな……」
俺は必死に言い訳を考えていたのだから、こんなドキドキする言葉なんか聞いてなかった。

波乱の予感

俺はノックをして職員室に入った。
「あのー……今日からこの学院に転校してきた《女上生徒》枠の者ですが……」
「あっ、はいはい!逢坂廼君ですよね!私が担任の桃瀬由莉奈です!ではでは、さっそく教室に行きましょー!」
ち、ちっちゃ!なんだこの人!?本当に先生か!?
俺は心で叫びまくっていた。
「せ、先生……今、おいくつ?」
「もー!女の人に年齢を聞いたらダメなんですよ!29歳ですけど!」
えええ!!この容姿で!?もうすぐ三十路!?
「ま、マジすか……そうだ、えっと、遅刻しちゃったんですけど……」
「次からは遅刻しちゃダメですよ?次遅刻したら……!」
「……したら?」
「激おこですからね!(*`へ´*)」
ぐはぁ!なんだこの破壊力は……!しかしなぜかあざとくない……!
「は、はぁ……気をつけます……」
「ではでは、気を取り直して!教室は3階の左の突き当たりです!」
な、なんでこんな元気なの?疲れを知らないの?
桃瀬先生はテトテトと走って階段を上っていった。うん、かわいい。

「ここが……俺の新たな教室……」
扉を開いて、中に入ると教室は一気にざわついた。
「みんなー!静かに!静かに!転校生を紹介しまーす!ちょっと皆!静かに!静かに……静かにしてょ……」
静かにしてあげて!じゃないと先生泣いちゃう!泣いちゃう!くそぅ!ここは俺が!
「みなさん!!えっと……《女上生徒》の逢坂廼です。よろしくお願いしまーす!」
ん?おーい。聞いてますかあなた達。
「お、お兄ちゃん!!」
ん?この聞きなれた声は……
「おー、廻か。お前もこのクラスなんだな。」
「うん!やったぁ!お兄ちゃんと同じクラスだ!!」
「ちょ、お前!声がでかいんだよ!恥ずかしいからやめてくれ!」
「もぉ!照れ屋さん!」
「……あぁうるせー……」
教室は相変わらずざわついている。
「廼君ってシスコンなのかな?」
「絶対そうだよ〜」
「本当にいるんだね〜」
い、いかん……!このままじゃ俺は転校初日からシスコンオーラ全開のヤバいやつと思われる!
「あ、あの!あいつは確かに大事な妹ではありますが!決してシスコンってわけじゃ……」
「ひどい!お兄ちゃん私の事嫌いになったの!?」
「だからそうじゃなくて!お前のことは大好きだけど!」
「やっぱりシスコンじゃない」
「シスコンは隠せないのね」
「せっかく期待したのに、よりによってシスコンとはね……」
……どうすればいいの?おらもうだめだ。
「ではでは!廼君の席はあそこにしましょう!!」
えー、どれどれ……なっ!
先生が指差した席の隣には俺が早々に嫌われた松原咲輝がいた。
「よ、よりによって……なんてことだ」
はぁ……しょうがないか。
俺は席に黙って着いた。
「お、おーい、咲輝ちゃん?これからよろしくな?」
「軽々しく話しかけないでください。気持ち悪いです」
「あ、そう……」
俺、死ぬんじゃないかしら。
「ま、まぁ……君が俺をどう思おうが自由だけどな。これだけは報告しとくよ。」
「……なんですか。早く済ませてあっち行ってください」
む、むぅ……難しいな……
「詩織さんに会ってきたよ」
「……え……?な、な……」
「ははは、そりゃビックリするよな。詩織さん……あの人は強いよ。あんな事件があったのに、笑顔がすごく輝いてた。少しだけだけど外にも出れた。風が気持ちいいって言ってたよ。もう事件のことは克服してるはずさ」
「……じゃあなんでお姉ちゃんは早く言ってくれなかったですか……」
「…これはあくまでも俺の推測だけど、心配して欲しかったんじゃないかな」
「え…?」
「すごく辛くて、そばに妹がいてくれて……そんな時間があの人にとってはすごく貴重だったんだろう。だから許してあげて欲しいんだ。詩織さんを」
「……知ったような口…聞くなですよ。勝手に話に入り込んでくるの、迷惑です…それに…お姉ちゃんのこと、軽々しく名前で呼ぶなですよ……」
「ごめんな、だけどほっとけなかったんだよ、咲輝ちゃんがさ」
「そういうの、心底キモい……ですよ」
「へへ、だな!」
なんかお節介な気もするけど、まぁよかろう。
「なぁーんだおい!あたしのことは無視かぁ?廼!」
「!!!??」
いきなり後ろから抱きつかれた。な、何奴!!
「ん……この手は…悠里か?」
「よくわかったなぁ!よっ!同じクラスだな!」
「そんなわけないだろ……先輩なんだから」
「何言ってんだ廼?お前さんが勝手に呼んでるだけだろう?何を勘違いしてんのか知らねーが、お前さんとあたしは同期さ」
「えぇ!!まじか!だってそんな…その、色んなとこが成長しまくってて、大人のイメージだったし……」
「具体的にあたしのどこが成長してんだよ〜?ほれほれぇ〜言ってみ〜?」
「誰が言うか!!」
恥ずかしすぎるわ!!
「ち、ちょっと神岡さん!不純ですよ!離れなさい!」
桃瀬先生がぴょんぴょん飛び跳ねながら何か叫んでいる。なにそれかわいい。
「そうだよ!!お兄ちゃんから離れて!悠里!」
「いいじゃね〜か別にぃ!あたしだってこいつ気に入ってんだからさぁ〜」
うん初耳よ?そういうことは早く言ってくんない?心の準備がね?ね!?
「ダメ!お兄ちゃんは私のものなの!ね!お兄ちゃん!」
「え?まぁ、家族だし……」
「なーに言ってんだ!廼はあたしがもらうんだよ!な?あたしのもんになればあたしを好きにできるんだよぉ?」
「え!それって……そういう…」
「おおおおお兄ちゃん!!!」
「冗談だって!廻も悠里も落ち着け!冷静に考えろ!廻はお兄ちゃん好きなのはいいが普通の恋愛もしろ。悠里も俺なんかよりよっぽどいい奴がいるって。だから取り合うのはやめとけ。な?」
「またその話!聞き飽きた!!」
いやだって……聞いてくんないじゃん。
「言っとくがあたしは…誰でも好きになるわけじゃないよ?」
「そりゃそうだろ。誰でも好きになれるっていう気持ちがわからん。」
「そういう意味じゃないんだけどな……」
「え?じゃあどういう意味なんだ?」
「なんでも!!ふん!」
「なんか今回はお兄ちゃんがひどい気がするよ……」
「え!?なんで!?俺なんもしてないよ!?」
「……まだ話は終わってないですよ」
「さ、咲輝ちゃん!?あーくそ!なんかゴチャゴチャしてきたぁ!」
「お兄ちゃん!」
「おいはっきりしろよ廼!」
「……話終わってないです」
「誰か……!誰か助けてくれー!!」
俺は初めて、身の危険を感じた。

引き寄せ合う女神たち

「はぁ……ただいまー」
「おかえりーお兄ちゃん」
「いないと思ったら先に帰ってたのか」
「え!探してくれてたの!?」
「あーうんーそれそれ」
「なんかテキトー……」
ダメだなこりゃ。疲れすぎてなんの気力も湧かない。
「お兄ちゃん〜!お腹空いたー!!」
「たまには自分で作れよ……てか母さんに頼めよ。てか声でかい……」
「だってお父さんとお母さん一ヶ月外国にラブラブ旅行しに行くってさっき行っちゃったもん」
「えー!?マジで……!」
あのバカ親め……!また勝手に!
俺の両親はたまに勝手に2人で旅行とかに行く。仲良いのはいいんだけど、せめてなんか言ってけと毎回思う。しかもその間の家事全般は俺がやることになる。
「お兄ちゃん〜!ごーはーん!!」
「あぁわかったから静まれ!とりあえず荷物置いてくるわ」
「あ、そういえばお兄ちゃん!」
「んー?なんだ?」
「大好き♡」
「はいはいおれも大好き」
「またテキトー……」

「はぁ……疲れた…」
階段を上がって自分の部屋のドアを開けると……
『あんっ♡すごいっ!もっと!♡もっとしてぇ!♡お兄ちゃん!♡』
俺のパソコンで卑猥なゲームをしている悠里と咲輝ちゃんがいた。
「よぉ!廼!お邪魔してるよ!」
「……私は悠里さんに無理やり連れてこられただけです」
「な、な、なんじゃこりゃぁ!!!!」
「なにって……《そこはダメ♡妹と禁断のスキンシップ》だけど?」
「タイトル聞いてねえよ!!!」
「逢坂君はこんなのを見て一人でいやらしいことしてるですか。キモいですね」
「ちょっと咲輝ちゃんお黙れ!!!第一俺はこんな類のゲームはやらん!!……犯人は…廻ぁ!!」
「お兄ちゃんそういうの好きでしょ!!どお!?妹をめちゃくちゃにしたくなった!?」
「ちょっと待っててくれ2人とも。こっちに来い廻」
「んー?なになに?あ!ついに私を!?」
「このやろう!!訳の分からんことを!!」
「あははは!!やぁ!♡あんっ♡しゅごいよぉ〜!♡」
「たかがこちょこちょでややこしい声を出すな!!」

〜数分後〜

「はぁ……♡はぁ……♡んっ♡」
「なんでそんな変な声のままなんだよ……」
俺は再び自分の部屋に戻った。
「おいおい!お前廻になにしたんだよ!!すげー声聞こえたぞ!?」
「……ついに廻さんに手を出したですか。もう手遅れですね」
「こちょこちょしただけだ!昔からあいつがいたずらをした時はそうするようにしてる。これまでげんこつとか家から締め出すとか色々したが、ちっとも反省なんかしてないからな。一番あいつが苦手なこちょこちょをしてるんだよ。ま、そろそろ慣れ始めたかな」
「へ、へぇ……そうなのか…」
「んで?なんで2人は俺の部屋にいるんだ?」
「いやぁ、廻が来いって言うし、咲輝も行きたそうにしてたしな!」
「私は別に……」
「まぁとりあえずお茶でも入れてくるわ」
「あ、あたしも手伝う!」
「おぉ、サンキュー」

「にしてもよ、なんで廻はそんなにブラコンなんだ?」
「さぁ、昔から俺が甘やかしすぎたってのもあるんだろうけど……」
「てか、廼もだいぶシスコンだろ〜」
「まぁ、家族として愛してるけどな」
「そりゃそうだ!」
なんて素朴な会話をしながらお茶を入れ終わり、部屋に戻った。が……
「なにやってんだあの子は……」
部屋のドアが少し開いていた。その隙間から見えてしまった。
「スーハー……スーハー……これが廼君の匂い……いい匂い……むにゃむにゃ……」
咲輝ちゃんが俺のベッドに顔を埋めて眠っていた。
「咲輝ちゃーっブグ!!!!!?」
「静かにしろっ!」
「プハァ!なんだよ……!」
「普段はツンツンしてるのに本人のいないところではこんなデレデレなんだぞ?萌えるだろ!」
「お前はなにを言ってるんだよ……ていうか……!」
垂れとる咲輝ちゃん!よだれが俺のベッドに垂れとるよ!
「むにゃむにゃ……廼君優しすぎるですよ…そんなの……好きにならないはず……むにゃむにゃ……」
「おいこれ俺が聞いちゃまずいだろ!あー!お茶入れてきたぞ!!」
「バカ!大声出すんじゃ……!」
「にゃっ!?へっ!?……ふぅ」
咲輝ちゃん……!ごめん!バレバレなんだ!
「咲輝ちゃん、もしかして眠い?」
俺は何にも知らぬふりをして話しかけた。
「……別にそんなことないです」
「咲輝ぃ……あのベッドにあるあのいやらしいシミはなんだぁ?」
「ひぃゃ!!こ、これは……」
触れないようにしてたのにこいつ……!
「まさかぁ?廼のベッドでズバーンなことやバキューンなことをしてたんじゃないだろうなぁ?」
「し、してないですよっ……」
「そうだぞ悠里!咲輝ちゃんはただ俺のベッドで寝てただけで!そのシミは単なるよだれだ!変なこと言うんじゃない!」
「おいおぃ……言っちまったな……」
「あ、……」
「……み、見てたですか……」
「いや……わざとじゃ……」
「そ、そうだぞ咲輝、だから落ち着けって…」
「…………!」
「「いやぁぁぁぁぁあ!!!!!」」

そこから数時間、俺と悠里は綺麗なお花畑で遊んでいた。

「……ん?俺はいったい……」
「やっと起きた!!お兄ちゃん!」
「あぁ廻。って膝枕やめろっ!!恥ずかしい!」
「おぉ起きたか廼!いんやあひどい目に遭ったな!」
「……少しやりすぎました。ごめんなさい」
咲輝ちゃんがぺこりと頭を下げる。
「いや、俺の方こそごめんな?」
「っ!……ゆ、許してやるですよ…」
そう言うと咲輝ちゃんはそっぽを向いてしまった。
「じゃあさ!2人とも夜ご飯食べて今日は泊まっちゃおう!」
「おい待て、なにを勝手に……」
「マジで!?いいのか!!」
「……断るのも失礼ですね」
「よし決まりっ!お兄ちゃん!みんなの分のご飯よろしく!」
「はぁ……わかったよ…」
流れで倍の量のご飯を作ることになった。

もしも男子の俺が突如女子校に通うことになったら

はいこんにちは!チョコモナカでございます!
いや〜初めて書きましたよ!結構自分では面白いと思うんです。自分では……
一人でも多くの方に見て頂けたら幸いです!
ではではでは……また!

もしも男子の俺が突如女子校に通うことになったら

男子高に通う逢坂廼(のぞむ〕は女子との触れ合いを夢見ていた。そんな廼にありえない知らせが!!なんと転校することに!その転校先は《女子校》!?男が女子校に通うなんて前代未聞!!

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  • 青年向け
更新日
登録日
2015-04-27

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  5. 波乱の予感
  6. 引き寄せ合う女神たち