クリスマス

空には雪雲がかかっていた

時は2010年12月24日クリスマスイヴ

私 郷原 綾香(ごうはら あやか)は東京の渋谷を歩いている――


クリスマスシーズンになると過去の苦い思い出が
自然に蘇ってしまう・・・


5年前のクリスマスのこと――

まだ私が高校1年生だったころに
当時付き合っていた彼 新崎 真琴(しんざき まこと)からいきなり
別れを告げられた・・・

私は失恋してしまった

その彼とは中学1年生の時から付き合っていて大好きだった


なのに別れなんて・・・
現実を理解できなく生きることさえ
気力を失ってしまった



あれから5度目のクリスマスが明日に控えてる

奇跡が起こると信じて今までやってきたけど
そんなものが起こる気配もない


真琴とは別れたあとも普通の男女の友だち
という関係であり、メールもやってるし
たまに休日他の友だちと一緒に遊んだりと仲は良かった


けど、あの頃のようには戻れない・・・


懐かしい――
告白したのは私だっけ


夏の暑い日

夕日が綺麗が時
真琴を屋上に呼び出したのを今でもはっきり覚えている
すでにひぐらしは合唱を始めていた―



はぁ・・・思い出せば出すほど涙が出てくるわ・・・


ふと時計を見ると今日がイヴであるのは
残り5分もない

さすが都心――

夜になっても明るく賑やかさは変わらない


今日は仕事は休み
朝から遊びっぱなし――


「あれ?雪じゃない?」


どこかのカップルの彼女が言ったのが耳に入ってきた

それを聞き上を見てみるとまだかすかだが
雪が降っていた


あれ以来クリスマスに雪が降ったことはない
今年は何かが違う


そう思いケータイで時間を確認すると
残り30秒だった――


今年のイヴも何もなし・・・か・・・


そろそろカウントダウンかな??

『10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0!!!!!!』

その時

『新着メール受信中』

と表示された


どうせ携帯会社のなんかのメッセージだろう・・・

そう思いつつわずかな期待を胸に
メールを見てみる
すると

『真琴  件名 「クリスマス」』

真琴からだ!!

『夜遅くにごめんな
 メリークリスマス!!

 こんなこと言うのは綾香に悪いと思うけど
 5年前は本当にごめん・・・

 あの時は高校に入って勉強が難しく
 授業に付いていくのがやっとだったんだ・・・

 そう言う理由もあって別れることになってしまった
 決して綾香のことが嫌いになったわけでもないし
 新たに好きな人が出来たわけでもない
 綾香と別れてからは彼女も作らなかった

 
 で何故今日メールしたかと言うと
 あれから5年で節目もよく
 これを機にもう一回綾香とやり直したい
 と思ってメールしたんだけど・・・

 本当に自分勝手な男でごめんな・・・
 

 返信いつでもいいので待ってます』



え??

なにこれ・・・

これは奇跡なのか
それとも偶然――

まさか向こうから言って来るとは思わなかったし・・・


何よ!!今更勝手なこと言って!!


・・・・・・・



そうは思ってはいたけど
メールを打つ手はスピードを増した


『メリークリスマス♪

 あれからもう5年だね・・・
 早いよぉ?

 別れてから「何で」とか理由聞かなかったけど
 そう言う理由だったんだ・・・

 5年経ってから納得した♪(笑
 

 ってか彼女作ってないの??
 真琴のことだから作ってるとばっかり思っちゃって・・・
 実は私もあれから彼氏いないんだぁ・・・;
 

 で本題に入るけど
 まだ私のこと好きなの??

 私は真琴のことを忘れようと努力したけど
 結局忘れることはできなかったょ・・・

 まだこの郷原綾香は新崎真琴好きみたいだよ♪



 本当に真琴がまだ私を好きなら
 私たちやり直そ・・・』


私ったらなに打ってるの!?
こんなこと・・・


『メール送信中』



電光掲示板の文字が霞んでゆく――

雨は降っていないのに
頬には雫が――


『マジで!?

 俺は綾香のことが好きだ!!
 大好きだ!!

 今何処にいる??
 俺は渋谷をぶらぶらと歩いてるけど――』



雪が降りしきる2010年12月25日


私と真琴が再び二人で歩み始めた日でもあり
同時に

私は奇跡があるのだと確信した日でもあった――

クリスマス

クリスマス

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更新日
登録日
2011-01-01

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