天国へのススメ

おじいさんが病院のベッドで横になっている。その周りにはおじいさんの家族と医師が座っている。

医師「おじいさんですが…。」

おじいさんの息子(以下「息子」)「はい…。」

医師「天国へ行かれるのがよろしいでしょう。」

息子「やっぱりそうですよね。」

おじいさんの息子の嫁(以下「嫁」)「私もそう思ってました。」

医師「体中の筋肉が弱って、自分ではほとんど動けない状態。天国に行くには最適の条件でしょう。」

息子「やったね父さん。ばあさんに会えるよ。」

 おじいさんが嬉しい顔をする。

おじいさんの孫(以下「孫」)「ねえ、お母さん。『天国』ってどこにあるの?」

嫁「『天国』はね、空の上にあるうんと遠いところなの。」

孫「じゃあ、もうおじいちゃんに会えないの?」

息子「大丈夫。お父さんが連れてってやる。」

孫「本当?やったぁ!」

医師「それでは明日、おじいさんを『天国』に送りましょう。」

 次の日。

 ロケットが用意されて、その中におじいさんがベッドごと入れられた。

息子「父さん。向こうでも元気でな…。」

 おじいさんの入っているロケットが、空に向かって飛ばされた。

それから数日後。

嫁「おじいちゃんからビデオレターがきてるわよー。」

孫「本当!?」

 テレビ画面に元気そうなおじいさんとおばあさんが映る。

おじいさん「元気にしてるかい?わしは『天国』に来てばあさんに出会えたし、体が自由に動くようになった。ホレッ、この通り。」

 そう言っておじいさんは、重力の強い地球では出来ないような動きを次々に披露した。

天国へのススメ

天国へのススメ

天国へのススメ

作者 帰宅・・・・・744文字

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-01

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