ハチャメチャな恋
リク*ルーマニア夢
1
私には、好きな人がいる。
「きゃー!ルーさん!今日もかっこいい!」
「ちょっと抜け駆けしないでよっ」
「何よっ!!」
彼女たちの注目の的である、ルーさんだ。
彼はかっこよくて優しいし、頭だっていい。
女子たちに適当に挨拶をし、こちらに駆け寄ってくる
「おはよ、知恵」
『っ、お、おは、よう…』
「宿題やってきた?あれムズかったよなー」
『え、あ、うん、難しかったよね…』
へらっと笑いながら、隣の席に座る。
ここは彼の席であって、席替えで偶然隣になれてそりゃ嬉しかったけど。
今では嬉しい半面、女子からの目線が怖い。
彼も、なんでこんな私に話しかけてくるんだろう
もっと可愛い子いっぱいいるのに…
「さ、授業始めるぞー」
「あっ、…ごめん、おいら教科書忘れちゃってさ、見せて貰ってもいい?」
『へ?…うん、いいよ』
「ありがと」
にかっと、特徴的な八重歯を見せて笑われると、心臓がドキンと跳ねた。
教科書を見せるために机をくっつけ、必然的にふたりの距離も縮まり、跳ねた心臓がさらに早鐘を打つ
笑いかけてくれるってことは、少なくとも嫌われてはいない、のかな?
『…(でも…)』
昔のことを思い出して、すぐに気分が凹む。
この高い身長のせいで好きな人にからかわれ、振られて以来、誰かを好きになるのが怖い。
きっと好意なんてもたれてるはずがない。
そう自分に言い聞かせて、先生の言葉に耳を傾けるのだった
**
放課後
「っはー、終わった終わった!」
まさか今日の教科書を忘れてくるなんて、神懸り的な忘れ方じゃないかな…
とも思ったけど、言うのをやめた。
「…なぁ、知恵」
『な、何かな?』
クラスメイトが部活に足を運ぶ中、クラス委員を任された私と、意外にも副委員を自ら引き受けた彼だけが残った
「…本気でおいらが忘れたと思ってんの?」
『…?なんのこと?』
「教科書だよ」
『?忘れたんでしょ?』
「……態と忘れたんだけど。」
『…………え?』
わざと?なんでそんな…
「ってか本当に気づいてないの?なんで俺が副委員引き受けたか、とか。」
『それは…誰もやりたがらなくて埓があかないから…』
「だぁもー!違う!!」
痺れを切らしたように椅子から立ち上がり、顔をズイっと近づけてくる
「…知恵のこと好きなんだよ」
『………』
驚きすぎて声が出なかった。
え、聞き違い?
「聞こえなかった?」
『…え、あ、…えーと…』
「おいらが副委員やったり教科書わざと忘れたりしてんのは、知恵が好きだからだっつってんの!!」
『!?』
嘘だ。
嘘だ、だってこんな…
「…な、なんで泣いてんの?」
『…だ、だって私が、そんな…』
「そんなに信じられない?」
『…』
無言でうなづく。
すると、不意に顔が近づいて…近づいて?え?
ちゅ。
『!?!?』
「驚き過ぎ…でも、これで信じてくれた?」
『…で、でも私、ルーさんより背も高くて…可愛くないし、ブスだし…』
「おいらの好きな子のこと悪く言うの、やめてくんない?もっかいキスするよ?」
『う…』
「知恵は可愛いよ。背だって、今に抜かしてやるし。…他になにか反論は?」
『な、ない、です…』
「ん、じゃあ改めて……付き合ってください」
『よ、よろこんで…?』
ハチャメチャな恋だけど、なんとかなる…のかな?
End
半ば強引に
ハチャメチャな恋