あまいいちご。
リクエスト*一期一振夢
1
「美樹さん、朝ですよ」
朝の本丸、審神者の部屋に、爽やかな声が響く。
その声に美樹はだるそうに体を起こした
『う”~…いち、さん…』
「ほらほら、早く起きないと朝餉が冷めますよ?」
『ねむい…』
そう言って、再び布団に倒れこむ。
彼女の寝起きが悪いのはいつものことなので、一期一振は慣れた様子で布団に近づく
そして流れるような動作で口付け。
『んっ…………っ!!!ふは、ぁ、っ』
「ふふ、おはようございます」
息苦しさに生命の危機を感じ飛び起きると、穏やかな笑みを浮かべる一期一振と目があった。
『…一さん、起こしてくれるのは嬉しいけどその起こし方はいろんな意味で心臓に悪いよ…』
「こうでもしないと美樹さんは布団と仲良くしてしまいますからね」
『…』
否定もできずにまだ起きない頭で思考していると、乱れた寝巻きの間にするりと手を通される
「着替えましょうか」
という、穏やかながらも少しだけ裏がありそうな笑みを携えて。
『…まぁ、あまり寝坊すると短刀たちに示しが付かないしね』
「えぇ、弟たちに規則正しい生活をしてもらうためにも、美樹さんの存在は大きいんですよ」
『はーい』
慣れたように着替えの服を出し、髪を梳かすのは一期一振。
美樹は、出された服に袖を通しながら彼の手の暖かさにまたうとうとと微睡んでいた。
「…」
『っひゃわ!?』
かり、と首筋を噛まれ、ぞわっとした感覚に、頭を支配していた眠気は一瞬で飛んでいった。
慌てて噛まれたところを抑え抗議しようと後ろを向くと…
「どうかしましたか?美樹さん」
『…な、なんでもない』
相変わらずの笑みを崩さない。
そう、世話好きな彼は、少々いたずら好きでもある。
2
『おはようみんな』
部屋に入ると、一期一振の弟にあたる粟田口派の刀たちが食事をしていた
「よぉ大将、随分とお早いお目覚めだな」
『う…いや実は昨日遅くまで書類を…』
「あんま夜ふかししてっと、肌が荒れるって次郎が言っていたぜ?」
『う…』
耳が痛い。
正直私より毎日お化粧してるはずの次郎ちゃんのお肌の方が綺麗なのは事実なんだよなぁ…
「こら薬研」
「一兄はちっと大将に甘すぎるぜ?」
「私が好きでやっているんだよ」
…と、そんなやり取りをしていると
「おはようございます主様!今日も素敵ですねっ!」
『っきゃ!?…こら鯰尾くん、どこ触ってるの!』
「主様は安産型で…っ痛ぁ!?」
いきなり登場し、いきなり抱きつき腰骨を触り、そしていいきなり拳骨をはられたのは鯰尾。
なぜかよくセクハラ…もとい、少し過剰なスキンシップを取られる
「鯰尾」
「は、はーい…一兄、そんな怒らなくても…」
「今度私の前で同じことをしてみなさい。刀解しますよ」
「っごめんなさい!!!」
顔だけど、笑顔じゃなかった。
否、
笑顔だけど、後ろから本気のオーラが出ていた。
『ま、まぁまぁ一さん、そこまで怒らなくても…』
「こういうのは甘やかすといけない。厳しくしないと」
「そのセリフを大将に当てはめる気はないのかねぇうちの兄貴は」
「彼女は…」
目が合う。
柄にもなくドキドキしてしまい俯こうとするが、彼の手がそれを許してくれなかった
顎をすくわれ、みんなの前で本日二度目の口付け。
『!?!?』
「─彼女は特別、だから」
まだ起きたばかりだというのに、くらくらとめまいがする
「みんな、手を出してはいけないよ」
「「(誰も出せないよ/ねぇよ)」」
まだまだ一日は始まったばかり。
今日の早寝も断念することになりそうだ
End
あまいいちご。