バレンタインを君に
リクエスト*藍ちゃん夢
1
「あっれ~、怜奈ちゃん何作ってんの?」
ガチャと部屋の扉を開けられ、入ってきた嶺二に不思議そうな顔をされる
まぁ険しい顔をしてテーブルに向かっていてはその反応も頷けるのだが
『エプロン』
「…へ?」
『エプロン作ってるんだってば、邪魔しないでよ、嶺二のバカ!』
「ちょ、ちょっと、そんなにイライラしてどうしたのさ」
いつもは殆ど眉間にシワなんて寄せないのに、今日はガッツリと眉間にシワが寄っている。
ついでにクマもひどいし、指に絆創膏がいくつもある
『…ごめん、ちょっと八つ当たりした』
「いいって、それよりお兄さんに何があったか教えてよ
そんなにクマが酷いんじゃ可愛い顔が台無しだよ?」
『…藍ちゃんにあげるの』
「アイアイに?」
『うん、明日はバレンタインでしょ?
本当はチョコとかのほうがいいのかもしれないけど、こうやって使えるものの方がいいかなって思って、
藍ちゃんよく料理手伝ってくれるし…エプロン、あげたら…喜ぶかな、って………ふぁぁ…』
眠気の限界が来たのかまぶたがどんどん下がってくる。
「睡眠不足はお肌の敵だぞ、ちょっと眠りなさい!」
『…うーん…でも、…藍……』
よっぽど疲れていたんだろう、あっという間にテーブルに突っ伏し、怜奈は眠りについた
「…ってこれ、もう完成してるじゃん」
エプロンは既に完成していて、手紙にも可愛いシールが貼ってあり、完成しているらしい。
あとは多分このテーブルの上の紙袋に入れて封をするだけなんだろう
「これくらいならお兄さんがお手伝いしてもいいよね…?」
**
2
『…はっ、今何…時…』
怜奈が目を覚ますとなぜか眠った覚えのないベッドで寝ていた。
いや、驚いたのはそこにではなく。
「おはよ、怜奈。丸一日も寝てたけど」
『あっ、藍!?なんでここに…』
「嶺二から聞いた」
『そう、なんだ…』
…あれ、藍、もしかして怒ってる?
「…怒ってるに決まってるでしょ」
『な、なんでわかっ…』
ぐるり、と視点が一転する
訳が分からずにいると、今度は唇に感触が。
…ん?今のってもしかして…
『…き、きっ…』
「怜奈は無理しすぎ」
『……え?』
「ボクより年上だからって、ボクが仕事忙しいからって、頼らないのはナシだよ」
いつものポーカーフェイスが今日は感情を顕にしている
少しだけ寂しそうで、怒っているような、そんな顔だ
『…ごめんね、藍』
「謝らなくていいよ、…で、なんで寝てなかったの?」
『え、それは…』
どうしよう、まだラッピングしてない。
どう答えようかと戸惑いつつも視線を逸らすと、逸らした先になぜか綺麗に飾り付けられたプレゼントがあった
間違いない、自分が藍に渡そうと思っていたものだった
ふと、枕元の携帯を見ると、嶺二から連絡が来ていた
《ラッピングしておいたよん♪》
『(嶺二、ありがとう…)』
「怜奈?」
『え、あ…こ、これ、あげようと思って』
「?なにこれ」
嶺二に感謝しつつ、プレゼントを差し出す
藍はきょとんとした顔をして受け取り、中身を取り出す
「……エプロン?」
『う、うん……手作りだから下手だけど』
ドキドキと心臓がうるさい。
藍は変わらずエプロンをじっと眺めている
もしかして気に入らなかったのか、嫌だったのか、などと考えてしまう
…が、藍は嬉しそうだった
「…ありがとう、すっごくうれしい」
『本当?良かった…』
ほっと胸をなでおろすと、抱きしめられそのまま二人でベッドに倒れこむ
『あ、藍…?』
「好きだよ、怜奈」
『!?』
「何赤くなってんの」
『だ、だっていきなりそんな…』
「ボク達コイビトでしょ?」
そう言ってキスをする。
恥ずかしさで頭がぐるぐるしていると、一旦藍が離れ、何かを咥えて戻ってくる
「ん」
『…チョコ?』
「口、開いて」
『んっ…』
今度はチョコを交えてキスをする
頭の中まで痺れて、心ごと溶けそうなくらい甘いキスをした
『藍、恥ずかし…』
「今日はバレンタインでしょ、ほら、まだたくさんあるからね?」
そう言ってまた新しいチョコを咥えて、それを溶かすようにキス。
溶けないチョコがあったなら、あなたとずっとこうしていられるのかなぁ、なんて
ハッピーバレンタイン♪
End
バレンタインを君に