禁じられた恋 ver.N

読んでくださる方、ありがとうございます。
テーマは至極真面目なもので単なるエロ小説では無いのですが、テーマ上際どさを出したかったのでR指定にかかる表現を盛り込みました。
気をわるくされたら申し訳ありません。
ただ、主旨は登場人物のヒロインと同年代の方たちにも読んでいただきたいテーマなので、R指定無しにできないか悩みましたが敢えて初校のままで公開します。
できれば、たくさんの方に指摘していただきたい作品です、よろしくお願いします。
※文章表現で、わざとセリフに、「 」つけていません、それでもできるだけ判別できる流れにはしたつもりですが、ダメならすぐ直します。
筆者

絹田先生、変な噂立ってますよ?
教頭派の赤垣先生に耳元で囁かれる。
時期は若葉が生い茂る季節、3学期末の夏休みを1週間後に控えた朝の教員控え室での事。
どんな噂ですか?
校内女生徒とデキてるって、あなた独身でしょ?それだけで噂立ち易いから。
僕はそんな後ろ指を指される事絶対して無いですけど。
信用ある学校に働いてるんだ、身持ちは固くて丁度いい、何人か世話してるから、良かったらいい娘紹介するよ?
派閥の引き合いだと直感して、
今の所間に合ってます。
そう断ると、眉を指で弄る仕草をしながら続ける。
君は理事長派のホープだ、逆タマで昇進狙ってるんでしょ?
そんな、周りの邪推でしょう。
理事長に目を掛けられてるからって、あんまりがっつかない方が、ね!
赤垣は、意味ありげな笑みを浮かべて、教頭席の方へ去って行った。

彼は絹田洸(キヌタ・コウ)、白百合ミッションスクールの教師として二年目を迎える27歳。
物語は、意気盛んな彼に不審事が囁かれた事から始まる。

午後、洸は今日も理事長室に呼ばれた、勧められフカフカのソファーに座るなり、理事長が切り出す。
今、私が次期理事長選において、大事な時なのは、君なら解るね?
理事長は、ゆっくり首を振りながら鼻で溜め息をつく。
承知しています、実は教頭からさっき゛誘い゛がありました。
そうか、どうやら教頭一派は巻き返しを狙っているようだな。
洸はここへ赴任以来、理事長に何かと目を掛けて貰っていた。

絹田は答える、
僕は理事長についてゆく覚悟です、教頭派などになびく事はありません。
顎髭を撫でながら絹田を見据え、
君には期待している。だがこのまま理事長の座を失えば、私達の約束された将来は無いからな。
はい!
君、身持ちの方は大丈夫か、私生活に乱れは無いだろうね?
ご安心下さい、過去問題になるような事も無く、今もありませんので。
9月前に理事選会議がある、これを乗りきれば安泰、そうなれば私は一人娘を君に預けようと考えているんだが。
えっ僕が理事長のお嬢様と?
うむ、君が頼りだ。
理事長!お役に立たせて貰います。
うむ、君を見込んで正解だった!
洸は運がが巡ってきたほくそ笑んだ。

8月末中間決算後の理事長会議で、何も無く前任継続が承認されれば、反旗を掲げた教頭派の立場は、致命的になる。
伏線の絹田獲得には失敗したが……教頭は赤垣を呼び次の一手に動いた。

所変わって、ビジネスマンが憂さ晴らしに集まる繁華街、まだ夜には間があると言うのに、様々な事情の大人で賑わい始めていた。
その中で、今年高校生になった楓香(フウカ)は、大人の街を徘徊していた。
最近は学校をサボる日も多く、今日も学校に行くフリしてブラブラ、校則は厳格で禁止されているが、気にしない。
街にはナンチャッテ制服組が多いので、少し工夫すれば、簡単にはバレない。
その格好は、ギリギリパンツが隠れる短いスカート、大きなリボンで可愛さを誇張して、ブラウスは薄く、うっすら下着が透けていて、制服の清楚感と錯綜して独特の色気を出している。
こう言ったナンチャッテ制服は、大人の街でインテリを気取った男の、隠れた欲望を刺激するには効果テキメンだ。
彼女らは経験でその事を熟知していて、楓香も、そんな大人の事情を承知の上で繁華街にやって来る。
最近は、大人っぽいナンチャッテ女子高生に成り済ましするテクが上手くなった。
すれ違う際、意味ありげに目線を合わせると、大抵素直に本音は現わさずに、危ないよとか、悩み事相談に乗る、とか勝手な都合を押し付けてくる。
だが本音は解っている、そんな下心丸出しな輩は、タイプでもさらりと断る。
複雑に歪んだ男の性を肌で知る楓香は、ネクタイ族のメッカを流しながら、危険と隣合せな大人の事情の間で本命探しを楽しんでいた。
楓香はネクタイを締めた堅そうなエリートで、少しワルなのが好みで、歳はひと回り位離れていても抵抗は無かった。
でも彼らは面と向かって簡単には誘ってこない、世間体重視の大人の事情をまだ15歳の彼女は理解出来なかった。
エロい視線を悟られ無いよう、目を反らす根性無しが多く、中には、
「早く帰りなさい!」
と、鼻の下を伸ばして説教をタレる技巧派も居るが、目は絶対領域に釘付けの偽善者で、彼女の求めるチョイ悪なネクタイ族は現れなかった。

間も無く会期末夏休みを控えたある日、
絹田洸は、自分を見る目が変わっていくのを感じ取っていた。
校内では若輩の自分に頭を垂れる教師が現れてきたのだ、これが理事長効果で、出世階段を昇っている事を実感する。


その週末、洸は息抜きで久し振りに街へ繰り出した、ここ暫く理事長の為に動き回ったストレスが溜まっていた。
たまにはリフレッシュしないとな。
久し振りにバーへ入る、明日は休みだし、自分の明るい前途に気を良くして、心置き無く飲んだ。

小一時間程経った、のっけにロックをストレートでイッたのが良くなかったようで、思ったより酔いが早かった。
少しの間意識が飛んでいたようだ、見回すと、相変わらず客がいいムードで飲んでいたが、ふと違和感を感じ、カウンターの隅に目をやると、若い女が座っていた、違和感とは彼女が若すぎる、いや幼くて場違いに思えたからだ。
ガラ悪な男達と話す姿は、危険な印象を持ったが、関わらない事にして飲んだ。

暫くして甘い香水の香りにくすぐられ意識が戻ると、カウンターに人は居ない。
ハッと横を見る、カウンターにいた女が目に飛び込んだ。
き、君は!
気がついたっ、大丈夫ですかぁ?
目の前の彼女は馴れたメイクで幼く見えせていた。
君、未成年だろう?
フフフ、幾つに見える?
成人には見えないな。
嬉しい、皆にそう言われるよ。
そう言う目は妖しく光り濡れた唇から舌をチラッと覗かせて微笑みながら、
何処かで会ってない?
覚えないなぁ。
小悪魔の常套句に警戒する。
そっか人違いかも、ゴメンナサイ。
素直な謝り方が新鮮に感じて引き込まれた洸は、彼女を知りたくなった。
さっきの、男達知り合い?
あ、見られちゃった?ううん、何時ものナンパみたいなモノよ。
あーゆうのと付き合わない方がいい。
心配してくれるんだ、嬉しい。お兄さんここには、よく来るの?
いいや、久し振りにね。
ふーん、見た風インテリっぽいね。
湿っぽくなるから言いたくないけど、高校教師してるからだろ。
うわぁ先生?知的な感じ。でもチョッとワルっぽい先生、憧れちゃう。
それ、ナンパ?
あはは、結構ネクタイフェチかも先生?
こんなとこで先生は変だな、俺は洸と言うんだ、君は?
あたしは楓香、一緒に飲んでイイ?
いいよ、楓香はよく来るのか?
この街は来るよ、洸みたくステキな彼と出会いが無いかなぁって。
上手いね、カレ居るでしょ可愛いのに。
うわー洸の方こそ褒め上手ね。
本当にそう思うから。
ありがとうウレシい。本音言うと淋しくて満たされないから、こんな所来ちゃうんだろうな。
楓香は仕事はしてないの?
まあお金無くなったらバイト位かなぁプチ家出してプラプラ、恥ずかしいね。
夢とか無いの?
そうだな、洸みたいな人のオヨメさん?
ちょっとおどけたように振る舞う、
ぷっつ、面白い冗談。
ふふ、そう冗談ね……
洸が楓香を覗くと、ちょっと憂いのある瞳が彼の男心を揺さぶる。
淋しいの、今日一晩でいい、洸と一緒に居させて?
プルプルと彼女の瞳が震える。
洸は警戒感が酔いで薄らいでいたせいか、いとおしいその華奢な肩を抱いた。
その後はお酒を勧められた他は、彼女の艶かしさと、心地よく匂う香水のシトラスの香りで余韻だけが残り、後は記憶が無かった。


翌日目覚めた洸は、慌てて飛び起きた。
周りを見回す、ホテルの一室のようだ、とっさに昨日の事を思い出す。
楓香!
探したが誰も居ない、財布はあったので置き引きでは無いようで安心した。
ベッド横のテーブルに、小さなメモが置いてあるのを見つけ取って見ると、
楓香よりと前置きした上で、
洸へ今夜はありがとう、また会おうね。
そう書いてある。
シャワーを浴びながら醒めた頭で思い返すが、ここに来た記憶が無い。
スッキリしないままホテルをチェックアウトする。休憩料は支払い済だったがが、泊まった分延長料を支払って出た。

時計を見るとまだ午前7時回った所、昨晩飲んだバーから然程離れていない繁華街の中。
朝の街の通りは人気が無く、ごみ袋が積み上げてあり、雑然としている。
洸は、その間を縫うように歩いて、近くのスタバに消えていった。


その数日後、終業式当日朝に洸は理事長に再度呼ばれ、部屋に入るなり、
絹田先生、本当に身綺麗なんだろうね?
厳しい質問に、たじろぐ。
やましい、事は別に……
繁華街で未成年とホテルに入るのを見たと、ある筋から話が入った。
そ、それは濡れ衣です!
楓香の事が甦り焦る、過ちは無かったと気負うが、内心ドキドキだった。
そうか、噂レベルだが校内請もあるので謹慎して貰う、夏休の間ほとぼりが消えるまでゆっくり休め。
どの位広まってるんですか?
窓の外に目を向けたまま、彼に背を向けて理事長は続ける。
少し生徒の間に漏れた可能性があるが、噂レベルだ、安心したまえ。
微妙ですね、大丈夫かな。
謹慎中は行動を慎んでくれ?事が大きくなると私でも抑えられん。
理事長、今も僕を信用してくれますか?
信じて無ければ、こんなタイミングで君は呼ばん、きっと教頭派の仕業に違いないからな。

理事長室を出て職員控え室へ戻る、廊下で女生徒とすれ違うが、さっきの話の後のせいか、噂されているようなやましさを感じる。
教師が校内生徒と性的関係を持つ不審事が、派閥関係者の間で噂される、いわゆる大人の世界の事情で、ようやく渦中の人となった実感が湧いてきた。

自分は加害者?ハメられたのか!


その日は気をもんだ甲斐もなく何事も無かったが、その夜予想もしなかった電話が入る。楓香からだった。
何で俺の番号知ってるんだ?
言いたいことは色々あると思うけど、これから直接会いたいの。
と彼女は言った。

暫くして絹田は、指定の交差点の前に着いて、楓香に電話をいれる、
今着いた、どこにいる?
角のマック二階席で、直ぐいく。
それだけ言って直ぐ切れた。

楓香は間も無くマックの2階に現れる、既に洸が座っていて対面の楓香が、
ゴメンナサイ。
いきなり頭を下げる。
出鼻をくじかれた洸が、怪訝な顔で彼女を除き込んで、
うちの学校で俺と女生徒がホテルに入るのを目撃した噂は君との事だよね?
こんなに大きな話になる筈じゃ……
筈じゃあ?裏が有りそうだ、話して。
楓香は観念したように今までの経緯を話した。

楓香が街に居るとき、一人のネクタイ族が声を掛けてきた。聞くともなしに彼の話を聞くと、理由は分からないが有る事をして欲しいと頼まれたと言う。
暇でもあったし、お金もくれると言うので、気軽に引き受けた。
誘った男と飲む振りして、指定のホテルに連れ込むだけって言われたから。
その男が俺と言う訳か。
大した事じゃないのに大金くれるから、少し変だなって後悔はしてたの。
お陰で俺は学校では援交教師扱いだ。
本当にゴメンナサイ、あたしどうしたらいいの!
そう手で顔を覆って泣き崩れる楓香。
こんな所で泣くなよ人が見るだろ?泣きたいのはこっちだぞ。
洸の事なら何でも言うコト聞くから、言って?
ここに呼んだ事も罠じゃ?
疑われても仕方ないよね、でもここは誰も知らない。
処で、何で君が俺の連絡先知ってる?
洸が教えてくれたじゃない。
俺が?酔ってたから覚えないが。
あの夜の事が気になってたし、それに……
ん?それに。
うん恥ずかしいけど、洸にもう一度会いたくて、つい。
どういう事?
偶然だけど洸はあたしのタイプだから、タイプじゃ無かったらこんなことしなかった。
口が上手いな、今更。
本当よ、でなきゃ連絡取ったりしない、洸に嫌われたくないから。
まあいい、だったらどうしたらいいか考えてくれ。
洸の学校で証言すればいい?
いや、その前に誰が俺をハメたかだ、依頼主どんなヤツだった?
スーツの似合う四十代位のシブイ感じ。
他に特徴はないの?
左腕にダイバーウオッチ?文字盤の周りに目盛りがぐるっと付いてるヤツ、それと太くて黒いセルフレームメガネ掛けてたよ、洸よりマッチョっぽかった。
楓香の好みじゃないのか?
うーん、洸のイジワルぅ!
そうかOK参考になったまた連絡する。
洸、もう行っちゃうの?
いいか?楓香はもう一蓮托生だからな、逃げたら解るよな?
逃げる訳ないよ、洸と一蓮托生なんて嬉しいもん。
それはどうも、じゃな。

切っ掛けは掴めた、長居は無用と急いで洸は店を出た。
さてどうしたものか、自分を陥れようと楓香に言い寄った男とは誰なのか?覚えがあるとすれば、派閥絡みしか無い。
犯人を探し当てたとしてもシラを切られたら元も子も無い、慎重に行動しないといけないが、余りゆっくりも出来ない。
まずは楓香の証言との擦り合わせから始めるべく、行動を開始する。


数日後、洸は学校の職員室に居た。
職員一覧の顔写真で対象者を調べていた、そこへ教頭派の赤垣先生が入ってきた。
お休み中、精が出ますねぇ。
ええ、ちょっと仕事が残っていて。
噂で大変な事になりましたねぇ、流石のホープも風前の灯火ですか?
おっしゃいますね、まだ噂でしょう?それに僕は身に覚えがありませんが。
火の無い処に煙はって言うじゃないですか。ま、日頃の言動にはお互い注意しましょうよ!
ご自慢の扇子を振りながら教室を出ていった。
クソッ!今に見てろ!
今は、悪態をつくのが精一杯だった。
続けて写真を探す、あった!
赤垣先生の隣の写真の顔、ボヤッとだが高価そうな眼鏡を掛けた先生が居た。
顔だけだが繋がった。
浅岡英明、か……
今度の夏季出勤日に確かめる事にした。

洸はさらに数日後、街で変な光景を見る。
楓香を見かけたのだが、男と話してる、しかし相手が良く見えない。
場所を移動して見ると写真で見た男風だった、ハデな眼鏡を掛けている。
もしかして浅岡先生なのか?
だとすると二度も浅岡は楓香と接触している、絹田は身を引き締めた。


その夜自宅に居たとき、楓香から電話が入る、昼間の事があったので迷ったが、悟られたくないので出てみる。
昼間繋がらなかった、何処に居たの?
街にいた間、携帯の電源を入れ忘れていたのだ、恥ずかしいので適当に、
自宅で寝てて携帯切ってた。
そうなんだ、今から会いたいんだけど。
一方的だと思いつつも、
今日じゃなきゃダメかい?
そう焦らしてみる。
さっき街で洸の学校の先生と逢ったわ。
楓香から言い出してきたので少し安心して、
何だって、どういう事だ。
その事で会いたいの、今どこ?
じゃあ都営線O町駅前のファミレスまで出てこれる?
いいよ。
楓香はまだ信用出来るかもしれない、
洸はあまり目立たない黒っぽい服装で身支度して家を出る。

18時に示し合わせした。
楓香は、車の中で電話が切れた後携帯を閉じため息をつく、隣には彼女に不釣り合いな男が座っている。
男は顎で指図する、複雑な表情でゆっくり頷いて彼女は車を降りた。

予定通りの店で落ち合って座る二人。
さっきの話、詳しく聞かせてよ。
洸が急かすように楓香に尋ねる。
街あるいてたら突然呼ばれて、昼は珍しいけどナンパかな?と思ったら……
それで!
うん、中年の男意外な事言うの。
意外?
未成年がこんな処で遊んでちゃダメだって、目が点になっちゃた。
誰なんだ?その男。
アタシもシラケちゃって聞いたの、そしたら先生だって、えっつ?って感じ。
学校の先生だって言ったのか?
白百合ミッションスクールの教師で、赤垣だって。
バカな、名前間違ってないか?
ううん間違いけど、バカなって?
何でもない。
洸は一瞬口を滑らせて自重する、自分が見た事と辻褄が合わないない、あれは少なくとも赤垣先生では無かった。
楓香は別の話をしてるのか?それとも話をすり替えているのか、迷いつつ悟られないよう平静を装い、
その先生は君を未成年と思って注意した、それだけ?
あたしを知ってたみたい、洸とホテルへ行っただろう?って。
赤垣先生が噂を知っていても、相手が何で君だって分かったんだろう。
さあ、それも目が点だった、赤垣先生の情報役に立ったかな?
あ、そうだなありがとう。
今日は付き合ってくれないの?
楓香は、シェイクをチューチュー音を立てて吸いながら上目使いでねだる。
暇なのか?
久し振りに洸に逢う切っ掛けだったの、今日は帰りたくない気分……
そう言ってシェイクで濡れた唇を舌で舐めて目を反らす。
済まん明日登校日なんだ、準備があるから今日は行かなきゃ。
仕事大変だね、うん解った。
また何かあったら連絡頼むわ。
洸は先に店を出た。
楓香はその後からゆっくり出て何処かに電話する、暫くしてやって来た黒っぽいセダンに乗った。


翌日登校日朝、職員控室に久し振りに先生が集まってミーティング時に、洸は浅岡の顔を確かめる。
彼を見つけて驚いた。
間違いなく楓香の言った特徴の人物だが、昨日楓香と会っていた人物と同じだったのだ。
理事長の話では、彼は教頭派側では洸と同じ期待のホープと呼ばれているらしい。
昨日は気付かなかったが、思いの外若く洸より少し上30過ぎ位で、聡明そうに見えたし体格もガッチリしていた。

浅岡は楓香と二度も接触している、次に何が在るのか?

その日の午後、洸は別棟への渡り廊下を歩いていると、前方で女生徒と話す浅岡の姿を見かけ物陰に隠れて、様子を観察した。
軽い言い争いになっているようだ。
君に昨日忠告したが、あの格好は何だ!
あたしの自由でしょ?
あんなフシダラな身なりで街を歩いたらアブナイだろう、悔い改めなさい。
聖人ぶってそれだけ?失礼します。
そう言って生徒は此方に向かって走ってくる、洸は見えないように隠れた。
目の前を通り過ぎていく生徒の顔を見て驚いた。

楓香だった!

彼女がここの生徒だったとは驚いた、浅岡はそれを知っていたらしい。
洸はとっさに浅岡を追いかけた、声を掛けられて彼は振り向く。
浅岡先生、今の見ました、彼女をご存じですか?
落胆した顔の彼は思い出したように、
いや、名前までは。昨日街で短いスカートで歩いていたので、風紀の顧問として注意した彼女がここに居て、驚いてね。
彼女、ここの生徒なんですか?
あまり見掛けないけど、そうでしょう。彼女から話し掛けてきて、大事な話があるから放課後会えないかって。
彼女から、ですか?
目付きが嫌らしい感じがしたので、断って昨日の事を注意したんです。
話が繋がった、彼の話は嘘が無いようだが、洸はかまをかける、
彼女とは昨日初めてじゃないでしょう?
いいえ、昨日が初めてですが。
彼の目は真っ直ぐ洸を見ている、嘘では無いと思った。
今度は浅岡が言い返す、
あなた、絹田先生ですよね?あの子と噂されてるでしょう?ホントかどうか知りませんが、お互い立場上注意しないと足下すくわれますよ。
僕は潔白です!
そうですか。あなたがどうなろうと知らないが、生徒を派閥争いの道具に使うのはどうですかね?
僕が浅岡先生に彼女を仕向けたと?
違いますか?
先生達こそ、僕をハメようと。
こっちはそんな事してませんよ、ホームルームがあるので失礼。
浅岡は教室に消えていった。

噂を広めたのが教頭派で無ければ、誰なんだ?

その放課後、洸は楓香が校舎から出てくるのを待ったが、遂に現れなかった。
仕方なく一人帰る彼の横を、黒のベンツが追い抜いていく。
理事長の車だった、それを見送りながら洸は理事長に相談してみようと思った。

数分後車で帰る理事長の携帯が鳴る、
洸が掛けてきたのだ。
おう、絹田君か取り込んでるんだが、何だ?……おお、その事なら……
車の中、ゆったりとした後席で会話をする理事長の隣には当たり前のように楓香が座っていた。
二人を乗せた黒塗りベンツは、暫くはばかるように街を周って、郊外のホテルに消えていった。


洸の知らないところで事実はとんでもないものだった、その真犯人は理事長だったのだ。
彼は以前から、女生徒を欲望の犠牲にしてきた、関係者は薄々知りつつも見てみぬ振りを続けた。
しかし、欲望を遂げる度に新人教師に濡れ衣を着せる事で罪を逃れた。
端から新米の洸は、理事長の奇行の代替えとして目を付けられて、架空の派閥争いのどさくさに罪を被せられようとしていたのだった。
そもそも援交の噂を流したのも理事長で、楓香のパトロン気取りだった。
彼は、教頭を恐れていたのでは無い、次世代を担うナンバー2の、洸と浅岡が力を付けるのが怖かった。
洸は既に手中にあるが、堅物の浅岡が中々骨が折れた。

理事長は楓香が失敗した事をホテルに連れ込み知った。
彼は彼女をベッドの上で責める、
楓香、失敗したな!
後ろから腰を突き上げながら、唸った。
突き上げに揺れながら、
もう、自由にシテください!
今更私から離れられる訳ないだろ?
もう、こんな状態耐えられない、もう許してください。
ダメだっ、まだまだ躾が足らんようだ、今日は帰さんぞ……ウッ!
唸って、そのまま楓香にもたれ掛かる、
楓香も荒い息を整えながら、思い返す。


彼女はセックスは初めてでは無かった。
家族の関係が濃密だといえば聞こえはいい、でもそんな簡単には片付けられる事じゃなかった。
小さい頃から楓香は、親に内緒で兄弟の間は文字通り゛濃密゛なカンケイにあった、しかし兄と、特に長男とは、兄妹を超えた関係にあった。
楓香も優しい兄が大好きで、彼の求めることは拒まなかった、だからある時から求められた性的な要求も受け入れた、実兄が初めての相手だった、彼が15、楓香は10才の事だった。

近親相姦

人に言えない禁断の秘密を彼女は自ら喜んだ、大好きな兄との共有の秘め事なのだから。
小さいうちは何の罪も無かった、でもやがて分別のつく年頃になると流石に躊躇するようになる、しかしそれに反して兄の要求は過激になっていく。

結局、兄が見合いして結婚するまで関係は続いた。彼は跡継ぎである、家を出ることもなく、嫁を持つ身に成った後も彼女と同じ屋根の下で暮らすことになる。
楓香は人のいい嫁に引け目を感じて兄との関係を絶ち切ろうと健気に努める。
その気持ちも知らず、長男は結婚したことで家庭での影響力を強め、次男は元より両親も暗黙の了解の様な空気が出来つつあった。
あくまで兄は馴れ合いを良い事に彼女との関係を求めてくる、拒み続けるが、やがて家に居づらくなって、家に帰らなくなることが多くなる。

そんな心が荒んでいた今年の4月に、理事長は手を差しのべる様に声を掛けてきた。初め優しく相談に乗ってくれたが、事情を知ると本性を現し求めて来た。
彼女は抵抗も虚しく、流石に避妊はしていたが好き放題された。
その後も、彼は兄との秘密を盾に体を求めて来たが応じるしか無いと、されるがまま今日に至っていた。


モーターの音で我に返ると、何やら理事長が準備している。
薄暗い中で目を凝らして見ると、嫌らしく回転する器具を手にして悦に浸る理事長が見えた。
嫌っ、ナニそれ?
見たかったんだ、コレで歓喜にのたうち回る楓香の恥体を。
その性具のサイズは彼のソレの倍はありそうだ、黒く唸っていた。
ソレをどうするの?
知らないのか?お兄様のと比べどうだ、ん?肉親とセックスする様な変態娘にはこのサイズがお似合いだな、ククッ。
兄の事言わないで!
その時別の少女、風花に成り変わって、無意識に豹変していた。
言うコト聞くからさ。
イイ娘だ、今夜はコレで楽しもう。
楓香は観念した。風花はトキメいていた、理事長は獣の顔になっていた。


同じ頃、新橋繁華街、
洸ははムシャクシャした。
真面目に出世街道まっしぐらと信じて疑わなかった、その結果がこれである。
学校の生徒は堅くて嫌いだ、でもそれは正直真面目な自分への投影だと気づいていた。
親から立派な大人に成れ、と期待されて立身出世の為にやりたい事も我慢して、教えられた通り長いものに巻かれながら生きてきた、その結果立派どころか最低の大人に成り下がっていた。
立派な大人の犬と化していた我が身を呪い、蔑む。

自分も立派な大人を育てたいと恩師に憧れて、社会的に信用あるミッションスクールの先生になった、しかしそこで見たものは、理想とは程遠い現実だった。
女先生は若さに嫉妬してピリピリ過剰反応するわ、男は言うにあらず娘を持つ親父先生でさえ、エロ眼鏡で鼻の下を伸ばしている始末。
信頼できるのは理事長だけだった、彼は自分の絶望に手を差し伸べて、希望へと導いてくれた。
聞くと、同じ年の頃想像を絶する苦労をされたらしい、その苦労を希望に昇華して努力を惜しまなかった結果、今の自分があると。
そんな立派な理事長が、自分に共感して何かと目をかけてくれたり、娘のと交際を約束され、校内で最も出世に近い存在と疑わず、理事長を盲信した。
さっき理事長に電話を掛けた処、休み直前に騒がれた事態がPTAの知るところとなり収集がつかなくなったと言う。
聞かされていた周囲の反応とは裏腹に、学校での立場は無くなり、依願退職で事を納めると理事長に言い納められた。
話が違うと食い下がると、関係者以外は情報を漏らさないと約束してくれたが、実質上の首切りだ。
絹田は、家に戻る気が失せ、経由駅の新橋で降りた。
目の前が真っ暗で、未だ何が起こったのか自覚さえない、当然だ何もしてないのだから。
分けが判らないうちに援交教師のレッテルを貼られ、期待した未来が消えていく、それと同時に自分が信じていたものへの信頼が音を立てて崩壊していく。

段々腹がたってきた、自分の盲信への怒りで心の深い所、何かがプチっとキレた音がはじけた。
どうせ鬼畜扱いされているのだ、こうなりゃ何しても同じと思い詰めた。
ストレス発散に繁華街。なんとなくムラムラしていた、ネクタイを乱暴に緩め、プライベートモードへ切り替える。
今の自分は、欲望に正直だった、

27の若い独身教師が、女子校生好きで何が悪い!

と、開き直ったりもした。
今まであった理性のタガが外れて、彼を止める物は無くなる、抑圧されていた欲望に従順な雄と化したのだ。
ここ数週間忙しくて性的ストレスを発散する間がなかった。
こうなれば、今夜は誰でもいい!ケダモノに徹してやる!
女なら未成年だろうが、どうせ援交教師なんだ、それなら何でも出きる!
そう勇んで獲物を探す、何度か言い寄ってはみたが、適当にあしらわれた。
諦めかけたその時、彼好みのナンチャッテ女子の後ろ姿が目にとびこむ、少女は一人フラフラ歩いている。
慣れてない洸でも隙だらけと、手に取るように判る。
彼は少女を追って見ると、やがて彼女も意識しているのが解る、ゲーセンや雑貨ショップなど、お互いつかず離れずブラブラしながら次第に距離が縮まっていく、そしてついに客入りの多そうなマックにどちらともなく入る。
少女は店内を歩き、二階の人に目立たない席に座って洸を見た、彼は、確信を持って少女の隣に座って声をかける。

洸は彼女の前に回って驚いた。
少女は、楓香だった!

風香は服装が乱れていた、実は今先程理事長の所から逃げて来たばかりで、彼女も自暴自棄に陥っていた。
虚ろな目を洸に向けて、崩れるように彼にもたれ掛かった。
楓香!
しかし顔つきがおかしい。急に妖しい目になって、
何で、名前を知ってる?
別の人格のようだった。気付かず彼は、
もうどうでも良くなった、お前とムチャクチャしたい。
少女は何とも言えない訴えるような、今にも壊れそうな瞳で見たかと思うと、
洸もアイツと一緒のケダモノなんだ……
とニヤケる風花に、
どうでもいい、ケダモノになってやる。
その言葉に、楓香の人相が戻って、
そんな言い方しちゃイヤ!
その一言で洸は学校の教え子たちが目に浮かんだが、振り切って悪魔になる。
何今更、俺が好きなんだろ?
また淫乱娘、風花に戻る、
好きって、そんなに自信あるのぉ?
そんな成りして、今更未成年ヅラで拒否らないよな?
まさか、いくつにみえるぅ?
うーん、二十歳!
ピンポーン、今年ハタチになったばっか。お兄さんタイプ、遊んで?
未成年って言ったら白けるもんな解ってるぅ、じゃ呑んでもいいよな?
イクイクー。
親指を立て握りこぶしを上下に激しく振る風花。
二十歳って言ってるんなら、堂々とイッテOKだろ。
と洸はニヤけた。

オシャレなバーに移って洸はカクテルをドンドン飲ませ、風花が酔ったのを良いことに、
家に帰らなくっていいよね?
帰りたくないし、帰さないで。
よし飲もう!今日は返さないぞー。
ウレシー!
話につきあう、時間は10時を過ぎたが、帰る気配がない。彼女はその気だと確信した上で敢えて、
これからは大人の時間だ、帰らないんだ?
私の自由でしょ?
酔ったせいか、否定しない。
じゃ、大人の楽しみしようぜ!
何をしちゃうの?
♂(オス)と♀(メス)がスルコト、解るだろ?
あたしとエッチしたいんだー。
そう言いつつも、少女は彼を意味ありげに見つめてくる。
彼はそっと彼女の足を撫でて、殆ど丸見えの下着の上からなぞる、直ぐ彼女は反応する。
その仕草はまだ幼かった。
あーん、強引なんだね、どこにイク?
我慢できね!ここでコッソリ。
見えないように、腰を密着させる、
もうこんなになってるんだ、解るだろ?
腰を腿におしあてアピール。
ばれちゃうよ?
ほうら、固いのあたってるだろ?ここ感じる処……
ダメツ!ここじゃイヤッ。
しかたない、場所変えるか。
せっかちなんだからぁ、好きなんだね。
カワイイ君をムチャクチャにしたい気分なんだ。
うわー今夜はケダモノに成りたいのね?
娼婦みたいな事言うとシラケる。
こういう幼カワイイのが良いんだショ?
うるさい、あ、ここでいいだろ!
店をソソクサと出てすぐ、人気の無い裏路地に風花を連れ込む、
アン、焦っちゃイヤ。
と言いながらも、身を委ねる少女。
拙い腰を持ち上げ、右足を抱えて腰を何度も密着して擦り付ける。
ほーら、ビンビンだ!そっちは?
知らナイッ!
当たった……
ゆっくり腰を突き上げ、生暖かい肉壺に分け入る。
この瞬間が堪らない。
少女はそのリズムに合わせてカワイイ声を出し身を預けてくる、何か慣れてるように感じたがどうでも良かった、それにバレるとヤバい、事を急いだ。

フーッ、我慢出来なく気がついたらやっちまっていた、出したのか中に……?
意識する間もなく事を終えて、お互い充実した顔で路地を出て人に紛れて歩く。
フーッ、最高の締まりだぜー。
シクシク、そんな言い方。
どうかした、帰りたいか?
全然!帰りたくない気分、今日はイヤな事忘れさせて。
OK、朝まで楽しもうぜ!
二人はネオン街へ消えていった。

うつらとした中、洸は携帯の目覚ましで起こされ、我に返って辺りを見回す。
ホテルの一室だった。
昨夜からの記憶がハッキリしないが、かなり酒を飲んだらしく頭痛が酷い、ベッドに腰掛けて思い返す。
風花と一夜を過ごした事を覚えている、まさかと思ったが彼女の姿は無い、でも相当な事をした様な気がするが、もう猛々しさは何処かに消え失せ、本来の自分に戻っており実感が湧かない。
いくら憤った末の一夜の戯れだったとはいえ、未成年少女と関係を持ったのは、流石にマズかったと後悔する。
出来ればこのまま苦い思い出で終わって欲しいと正直願っていたが、そうもいかないだろうと心が傷んだ。


結局理事長に会うことは出来なかったが、帰り間際後ろから声が掛かる、省みると楓香が一人で立っていた。
オマエ、ここの生徒の癖に嘘ついたな?
気持ちが混乱してて、つい……
おまえ、まさかタカる気じゃ?
違うよだ、納得してたもん。
俺の事知ってたのか?
うん、春の入学式からずっと。式で先生の前に立っていた、覚えてない?
イチイチ見てないから、じゃあそれから俺にホレたって?
ちょっと気になってただけ!
ちょっと、それでエッチしちゃった?
悪いこととは思ってないし、でもバイバイバージンだったりして。
ウソ!マジ?気付かなかった。
マジメ女子嫌い?
あんなとこにいて、よく言うな。
処女だよ?動機マジだったから。
じゃマジな動機って?
本命カレシ探し。
ならまだ原宿でしょう、なんで新橋?
それ。
おまえ、ネクタイフェチ?
フェチ言うな!堅そうな大人がいいの。
今の俺は違うぞ、俗な底辺で生きることになりそうだ。
???先生はそんな人じゃ無いよ。
一瞬言葉に詰まる、が気を取戻して、
それはそうと、俺が同じ学校の先生って知ってたんだろ?
途中で気づいた。
じゃ何でホイホイついてきたんだ?
うん、今は段々自分に腹がたってきた。
未成年とヤっちゃったじゃないか!歳ごまかすから。
誰でもそう言ってる訳じゃないよ、責任とって何て言ってないし。
でも、バレれば大人が悪くなるの!
バレなきゃいいんでしょ?言わないよ、でもただ体目的なら別。
魅力的に見えたのは本当だ、正直タイプだしな。
女子校生なら誰でもいいんでしょう?
今更嘘こいてどうする、俺27だからまだ範囲内だろう。
アタシはOKよ、全然タイプだし、でもこういうカンケイってドキドキね?
当たり前だ!先生と生徒が初日でセックス、格好のスキャンダル。
スッゴク強引なんだもん、ぼぅーとなっちゃった、出来ちゃったらどうしよう?
もしかして、俺中出しっちゃった?
ワカンナイ、でも初めてでもキモチ良かったよ。
ア……でも本当に初めてなのか?
セックスはイケナイとは思っていない、でもしたことはないよ信用して、あなたが初めてだから。
何も知らないネンネじゃないだろ?
一人エッチは嫌いじゃないよ。
オホン!ちょっとまたその気になってきたじゃないか、こうなれば皿まで喰らえ。
ナニそれ、教えて?
詳しくは、お楽しみにの後でな。


その後、洸と楓香は何度も体を重ねる関係を続けるうちに、情を深めていく。
次第に楓香が洸の家に泊まる事が増えてくる。
帰りたくないようだ。理由は分からないが、あまり追求はしなかったが、ある時楓香が異常な反応をした、
二号さんでいいから、ここに置いて。
二号って、そんな言い方しなくたって?
それでもいいから、結婚してくれなくてもいいから、アタシを捨てないで欲しい?
捨てるもナニも、そんな目で見たことないし二股かけるような人間じゃない。
このまま置いてもらえるなら、アタシは運命を変えれるかもしれない。
大袈裟だな。
家に帰ることになったら、死んだほうがまだマシ!
そんなに帰るの嫌なのか?だって家族だぞ、それにあんな学校へ通う位だ裕福に暮らせるだろうに。
もう、うちの事は話したくない。
まあいい、俺も暫くは暇だし金も保証されているから、居ればいいけど外出るときは気を付けてな。
ありがとう!
学校にはちゃんと行くんだぞ。
はい。
しおらしい所もあるので、やっぱり未成年だな、と思うが何とも不思議な同棲生活が始まった様だ。


理事長、最近の生徒への接触は行き過ぎでは?
教頭、君は何か知ってると言いたいのか?余り余計なことを言わぬが花だぞ。
申し訳ありません!
で、浅倉の方はどうなっている。
はあ彼は中々尻尾をだしませんので苦戦をしてます。
理事長選迄には、解っているな?
鋭意努力を!
教頭は出ていく、窓を見ながら、
場合によっては風花をまた使うしかないか……しかし風花は最近何処に?


洸は合点がいかず首をひねった。
しかし、なぜ異常なまでに帰宅を拒絶するのか?不思議で仕方無かった。
自分なりに調べてみた、
父母、兄たちと五人家族の末っ子で兄一人は家を出て独立しているようだ。
親から通知来ないの変だよな、でもお嬢様学校だし、素性はしっかりしてる筈だけどな。

更に最近変な事に気付いた、
彼女とセックスをしている時だ。
初めは気が付かなかったが、彼女も慣れてきたのか?色んな反応が出来る様になったが、時々……
お兄ちゃんイタくしちゃヤダ。
と独り言を言うのだ、一見不自然では無いようだが、普段彼の事をお兄ちゃんと呼んだ事は無かった。

じゃあ、お兄ちゃんとは誰なんだ?

元カレなのか?
機嫌のいい時に聞いてみる、
今まで付き合った奴って何人位なんだ?
気にしてくれるの?
そんなんじゃ無いけど、聞いといても良いだろう?
大丈夫、あなたが初めてだから。
エッチの事じゃ無くて、フツーにデートとかしたヤツの事だ。
無いよ、女子校だもん。
でも、繁華街ブラついてただろ?
ブラついてたのは一ヶ月位だよ、他の男に逢う前に、洸と出逢ったから。
一回はあったんじゃないか?
ヤキモチ妬いてくれるんだ、ウレシい。
そんなんじゃねえよ。
フフ、ありがとう。
どうやら、付き合いは本当になさそうだ。とすると?兄と呼ぶのは本当の兄たち……

ブラザーコンプレックス?

彼女の性癖には、まだ奥深いものが在りそうだ。


何度か不審な事があって、洸は追求したものか?どうかと悩んだが、思いきって強めに問いただした。
すると楓香はやっと認めた。
そう言わないと嫌われると思って、嫌いにならないで!
それはいいけど、大事な事を何か隠してないか?
無いよ。
上目遣いになる彼女を見て、
嘘ついてるだろ?本気で別れたくないなら、言いにくい事も全部吐き出せよ。
楓香は、苦悩の表情で何も話さない。
お互い納得づくで付き合いたいんだ、俺に相談できない事なのか?
その後、沈黙となった。

答えを引き出すのに時間がいった。
今夜は何をすることも無く、しわしわのベッドシーツの上で、何度も寝返りをうつ、わざと彼女に背を向けて寝た。
彼女は寂しくなると、擦り寄ったり、彼の背中に文字を指で描いたり、気をひこうとしてくるが、心を鬼にして寝たフリを通した。

やがてその時がきた。
いい加減疲れて本当に眠りそうになった頃、小刻みなベッドの揺れに我にかえる。
しんとした部屋に、すするような小さな泣き声が聞こえる、
流石に慌てて振り返る、向こうを向いて彼女の華奢な肩が震えていた。
肩にそっと手を乗せる、ピクンと反応して泣き止む、
お願い嫌わないで、言うから許して!
そう言って、抱きついてきた。
顔を伏せたまま身悶えて葛藤する楓香、
本当は言っちゃイケナイ事だと思うの。
そう前置きして、
普通と違うから言うのが怖い!
どんな事でも、聞いた後で見棄てたりしないから、言うんだ。
後悔してる。
それなら尚、今言わないと二度と言えなくなるぞ、大丈夫しっかり受け止めるから。
一瞬彼女が体に力を入れたかと思ったら、決心を決めたように、
もう、嫌われてもいい!聞いて。


いつの間にか窓から朝日が射していた、
長い間く二人黙ったままだった。
次第に明るくなる部屋の天上をぼぅーと見つめていた。
話を何度も何度も、理解できるまで反芻した。
やっと先程理解して沈黙した。
あまりにも重すぎる話だ、
今更聞くべきでなかったと、洸は後悔する。

もう、こんなフシダラな娘はいらないよね、帰る。
止めるが、振り払って飛び出していく。
洸が身支度して玄関の扉を開けたときには、楓香は側道へ出るところだった。
その時、黒塗りのベンツが楓香の目の前で止まる、車から理事長が出てきて、嫌がる彼女を無理矢理車に押し込んで走り去る。

辺りは静まり返る、

何で理事長が?


車中では押し問答、
逃げてから、最近顔を見せないと思ったら、アイツのところにいたか?
車から下ろして!あなたとはなす事なんてない。
なにを?お前は私のペットだ。
オモチャで楽しんだら、自由にしてくれるって言ったじゃない!
何を?これからじゃないか、さあ部屋は取ってある、楽しもう。
ヘンタイ、ケダモノ!あたし降りるぅ。
楓香は走行していても構わず、ドアノブを空ける。
危ない!と彼が停車した隙に車から飛び出た、そして形振り構わず全力でもと来た道を走っていく。
理事長は車を降りて追いかけるが、騒ぎに不審に思った警官に職質で呼び止められる。
不審尋問に動揺を悟られ、彼はそのまま警察行きとなる。

楓香は道半ばで転んで、地べたに伏せる。
もう走れないくらい、息が切れていた。
ふと前を見ると、洸が走ってきていた、彼も限界だった。
無事か?
うん……
丁度人の往来も多い中だったため何事かと、二人の周りに人が集まってきた。


警察署から出てくる楓香と洸の二人。
先程彼女を誘拐しようとした理事長の奇行によって犯罪が明るみになり、彼は現行犯逮捕、関連者の事情聴取が終わったためだ。
楓香は洸を担任名目で、引き取り者に指定し、洸も状況確認で警察に呼ばれて先に聴取が済んだ後の同伴だった。
楓香と理事長との事情は、警察から明確な説明は無かったが、洸が学校関係者だと確認が取れたため最初に説明を聞く事になった。
断片的ではあるが、洸はおぞましい理事長の真実を知って驚愕する。

歩きながら、不本意にも表に出ることのない筈だった禁断の領域を曝されて、苦しむ彼女を思いやった。
楓香は草木一つ無い大地に放り出されたか弱い野ネズミの様だ。
自分の身をただただ委ねるしか無いから、じっと彼の言葉を待っているだけだ。
洸はその言葉を探していた。
彼女を助けたい、でも正直平凡な人生を歩んできた自分には気の聞いた言葉が見つからなかった。
でもこのままなら、楓香の家族と同じじゃないかと、自分をなじり奮い立たせる。

気がつけば二人は洸の家の前まで戻っていた、何も言わずに中に入った。
二人だけの空間になった後洸は言った、
楓香、つらかったよな、兄さん大好きだったから拒めなかった、でも実はとんだ悪魔だった、それでも尊敬したかったんだよな?何も言う資格ないけどさ。
そんな言葉が自然と口についた、楓香はグッと歯を食い縛る、
そんな純な心を理事長に利用されて……
楓香はたまり兼ねて声を絞り出す、
これだけは洸に知られたくなかったから、死ぬまで隠し通すつもりだったのに。
彼女は、もう顔を上げなかった。
こんな淫乱な女と知られた、もう洸とは会わない、さようなら。
去ろうとする彼女に洸は後ろからシッカリ腕を掴んで、
楓香待てよ!理事長の欲望の捌け口に利用されたのは、君だけじゃない。
もういいよ、受け止めてくれただけでアタシはシアワセ、でももっと早く出会えてれば良かった。
俺も出世欲を理事長に利用されてたんだ、君だけが責められる事じゃない。
…………
今でも、君が好きだ!
ダメッあたしの体はとことん汚れてる、洸には相応しくないよ。
違うッツ!
居たたまれない感情が、体が動かす。楓香に覆い被さった後、目を見て言う、
俺の熱いモノ判るか?
優しく微笑む。
清めてやる、受け止めてくれるか?
目と目で確認し合い楓香は目を閉じる、
彼は祈るように熱いモノを彼女の中に沈めた、
あうっっ!
苦痛に歪んだが、彼女もそれを望んでいたかもしれなかった。
しっかり受け止めようとする心構えがあったせいか、やがてスムースに彼を受け入れた。
後は、ひたすら思いの丈彼女を突き上げる、何時に無く激しい動きに楓香は身を委ねる。
初めて奥に当たるのを感じ取るゆとりと、その荒々しい動きと裏腹に優しく真剣な彼の眼差しが目の前にある、
それは初めて感じる幸福感である。
楓香は初めての絶頂を経験する。
洸も何時にない複雑な締付けに理性を逸し、暖かなナカに思いを全て吐き出した。


やがて夏休み終了日、新たな一年が始まる。
洸は学校復帰は諦めていたが、学校側から連絡が入る。
新理事長体制の基では、解任された前理事逮捕で洸の援交の噂は消えた。
ついにこれで晴れて正式な復帰が言い渡され、新学期から元通り教師として頑張る事になった。


さて、始業式の後に洸と楓香の二人は、都内のマックで落ち合う。
こんなあたしでもいいの?別に洸に責任取ってなんて言えた義理じゃない。
俺は見捨てないよ、君が変わってくれればね。だけど一度家には帰った方が良いだろう。
そうだね、生き方変えたいの。その為にもあたし兄としっかり話を付ける!
そうか、楓香も強くなったな。俺も今回は勉強になった、俺たち今からでも間に合うと思う。
洸はゆっくり深呼吸してから、
だから自宅に帰らなきゃ。
うん!頑張ってみる。でもどうしても辛い事があったらここ来ていい?
やることやったって言い切れたら胸はって来いよ。
洸、ウレシイありがとう。
でも今回の事でご両親は心配なさるだろう。だから高校卒業するまでは来ないで済めば、その方がいいけどな。
うん、でもあのー。
ん?
出来ちゃったらどうしよう?
正直焦っちゃうかなーでも嬉しくもある、そうなったら責任を取ってキチンと話に行くよ。
じゃあ、その時は。
三人で協力して生きていこうな!
うん。


おしまい

禁じられた恋 ver.N

わたくし的に、実験的な小説です。
ぜひ一読くださった方には、ご意見や評価お願いいたします。
それを肥やしに、改善いたします。

駄文、お付き合いいただいて、
ありがとうございました。

禁じられた恋 ver.N

エリート街道を順調進んできた、これからもそうだと信じて長いものに巻かれる教師、絹田洸(キヌタ・コウ)。 しかしそれは怒涛の人生脱落の前触れだった。 やけくその状態の時に、大人の街を徘徊していた女子高生、楓香(フウカ)と偶然出会う。 そのまま一線を超えてお互いを知っていく間に、洸はドロ沼にハマった彼女の少女らしからぬ素性を知った時、彼はどん底から這い出すためにどう行動したのか?

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更新日
登録日
2015-02-09

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