多次元随筆②

多次元随筆②

まだ夜が明けぬ時間から、
京都市内は正月以来の大雪が降っていました。
朝の五時に、私はホテル内のカーテンを開けて、 いつものようにロビーにあるお客様用のテレビのスイッチを入れました。
それはNHKの五時のニュースが始まって間もなしでした。 突然、画面の上にニュース速報のテロップが流れたのです。

リアルタイムⅡ

まだ夜が明けぬ時間から、
京都市内は正月以来の大雪が降っていました。
朝の五時に、私はホテル内のカーテンを開けて、
いつものようにロビーにあるお客様用のテレビのスイッチを入れました。
それはNHKの五時のニュースが始まって間もなしでした。
突然、画面の上にニュース速報のテロップが流れたのです。
その内容はネット上に後藤健二さんの命が失われた主旨の映像が、
投稿されたとの一報でした。
その時、ニュースを読み上げていたアナウンサーが慌てるほどの一報でした。
徹夜明けで油断していた私も、心から驚きました。
最悪のシナリオが、世界に向けて又ひとつ書き加えられた瞬間でした。

私は昨日の時点で、
ヨルダン政府が拘束されているパイロットの「生存証明」を求めていることに対して、
ISIL〈又はISIS〉が沈黙を通していたことで、
すでにパイロットは生存していないだろうと思っていました。
もしそうであればISILはこの先どう出てくるだろうと、私は心配していました。
人質交換を言い出したISILは、今更「実はもうパイロットの命は無い」と、
居直ることはできない状況に追い込まれたに違いありません。
この状況下で、私に理解できたのは、
ますます後藤さんが救出される可能性が遠のいていくだろうということでした。

もしかしたらISILは、パイロットの死亡を隠し通して、
あわよくば国境での人質交換を、契約不履行で強行しようと考えていたのかも知れません。
しかしヨルダン国は慎重に、パイロットの生存確認にこだわり続けたのです。
そして、その思惑が困難に成ってしまったISILが、悪魔の知恵を借り次にとった行動が、
人質である後藤さんを殺害し、その過程をビデオを流すことであったに違いありません。
残酷卑劣な行為を意図的におこない、世界世論を『恐怖』で被い尽くそうとする作戦です。
それで連合国を撹乱し、国民感情が敵対しあうように仕向けた、策略に違いありません。
これは生命の根源に存在する、最も醜悪な無慈悲の成せる業に違いありません。
この世で人が成し得る最悪の行為であります。

ですが聡明な皆さん、さらに知っておくべきことがあります。
戦争と言うものの本質には、それがどんなに正義のための行為であると思えても、
正義に言い訳は存在しないのです。
それは必ず、戦争を起こしたこと自体が最悪の行為であるのです。
気をつけなければいけないことがあります。
それは人が怒りで満たされると、
それまで抱いていた正常な考えさえ覆される〈くつがえされる〉 ことが、
起こり得るということです。
 
どういうことかと言いますと、
悪に覚えのない私たちでさえ、起こし得る残酷であるのです。
戦争は立場が逆転すれば、天使でさえ残酷な行為を起こし得るということです。
それが戦争なのです。――例を挙げれば、
昭和初期〈ほんの少しの過去〉に、『日中戦争』と言う愚かな戦いがありました。
この戦争の本質は、日本国と中国の軍隊が起こした陣地取り合戦です。
それまでに日本国はすでに韓国を併合していました。つまり正義の名の下の植民地支配です。
この中で、今でも後を引いている問題に『南京大虐殺』という史実論議が存在します。
これが史実で存在したという中国側と、史実は捏造だとする日本側の政治閣僚がいます。
――しかし、ストップ!
どちらが正しい主張であるかなどと争う中に、解決策など永遠に存在しないのです。
唯一の解決策は、『平和』という崇高な概念の共有でしかあり得ません。
まず互いに戦争の愚かさを認め合う『対話』の中に、それは存在するでしょう。
不戦のための教育こそ、大事なのではありませんでしょうか。
それはこれからでも決して遅くはない英断だと、私は信じます。
そのために、まずそれを知る政治家による、勇気ある行動が大事なのです。
後藤健二さんは庶民の立場で、命までかけて、
過酷な環境にいる子供たちの姿を、世界に向け報道しようとしていたのでしょう。
――政治家は、恥じるべきです!

もう一つ、世界第二次大戦という戦争がありました。
これはもともとドイツが世界連合に対して起こした戦争です。
その時日本は、日中戦争のさなかで戦いは長期化してしていました。
その打開策としてドイツ〈イタリア含む〉と同盟を結びました。そしてその勢いを借り、
ハワイの『真珠湾急襲』という、決して正義ではない行為でアメリカ国と開戦を始めたのです。
つまり、世界を相手に闘いを自ら起こしたのです。
――このことと、現在のISILの蛮行を重ねることに抵抗を感じる人は多いでしょう。
しかし、これが戦争の本質であります。
この世には立場が変われば、正義が悪魔に成り得る方程式が存在することを、
私たちは知るべきでありましょう。

私が次に心配していることは、今後の日本政府の動向です。
いま世界と日本人の多くが、悪魔の卑劣な策略に強い怒りを抱いています。
これまでテロに対して無関心を装ってきた人々でさえ、
後藤さんに降りかかった不幸に際し、 言い知れぬ恐怖を抱いたに違いありません。
――まかり間違っても、その国民の心情を利用することは許せません。
『平和憲法』の改憲などは許されない行為です。
『戦後七十年』にあたる今年こそ、日本国が世界に向けて平和を説き、
『平和立国宣言』のための『闘い』を始める年ではないでしょうか。


悪魔は『聖戦』という口実で世界を滅ぼそうとします。

正義は悪魔の撲滅のためにとの言い訳を使って、
短絡的に軍事力で攻略を謀ろうとするものなのです。

私たちはまかり間違っても目の前に存在する、戦争への道筋を選んではいけません。
世界平和への貢献と称し、
自衛隊が武器を持って戦線に参加する道筋を選んではいけません。
先にも申し上げたように、
日本国が世界への貢献として成すべきことはただ一つです。
そう『平和立国宣言』なのです。
何故ならば、途絶えることのない民族間の争い、慈悲心のない宗教間の争い、
これらを止める方法は、純粋に中立した理性でしか成し得ない偉業であります。
つまり武器を持たず『平和的対話』を行う使命を持った国が、
この地球上に存在すべきなのです。

私の心からの提案は、先の章で申し述べましたが、
この今日と言う世界中が恐怖を共有したタイミングに、もう一度述べます。
どうしてかというと、目に見えないところでこの機会を利用して、世界貢献を謳い、
先進国と歩調を揃えるべきとして、
危うい場所へ皆を連れて行こうとする輩が存在するからです。
目に涙まで湛えて。

『本来、日本が外交戦略で世界に向けて語り、発信しなければならないことは、
偽善に似た『資金援助』や、『全面的な支持』という言葉のごまかしではないのです。
語るべきは、完全なる『非武装への道のり』であり、
言うべきそれは、世界に先駆けての『平和立国宣言』ではないでしょうか、
そうでないと人類が、
地球上に『平和』なる歴史を実現することは、
不可能の領域に到るのではないかと、私は心から危惧しています』

私はこの主張を投稿することを迷いました。
でも悪魔の集団に対して、
幸い私は、『無口を通す勇気』を持ち合わせていないのです。

H27年02月01日13時

多次元随筆②

後藤健二さんに捧ぐ。

多次元随筆②

まだ夜が明けぬ時間から、 京都市内は正月以来の大雪が降っていました。 朝の五時に、私はホテル内のカーテンを開けて、 いつものようにロビーにあるお客様用のテレビのスイッチを入れました。 それはNHKの五時のニュースが始まって間もなしでした。 突然、画面の上にニュース速報のテロップが流れたのです。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-04

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