遠近感

傘は、いつの間にかその存在を忘れられる。
天候の悪い日が終われば、記憶から消し去られる。

一緒にお出掛けしたかと思えば、置いてけぼりにされる。
壊れたら、捨てられる。
使い勝手が良くて、いつでも換えが利く。

一番近くて、一番遠い存在。

あんなに身を挺して守っても、最後に待ち受けているのは過酷な運命。


そんな運命でも、あなたが雨に濡れないように、
日差しに照りつけられないように、傘のようにそっと寄り添っていたい。

一番近くて、一番遠い存在。
嬉しいけど、哀しい存在。

そんなあなたと、僕との関係。

遠近感

遠近感

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2015-01-21

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