抑えられない
「はぁ…」
暗黒騎士・カゲキリはため息をついた
当然だろう
鍛錬を終え、ヘトヘトの体を引きずって自室に戻ると
「カゲキリーーーー」
恋人であり好敵手である、羅刹の騎士・アマガケが酔っ払った状態でカゲキリのベッドに寝転んで、呂律の回っていない口調でカゲキリの名を呼んだのだ。
「そこからどけ」
カゲキリは痛む頭を押さえ、アマガケに言い放った
「そんなこと言わずにさぁーー一緒にねよ…?」
「……」
カゲキリの理性は限界に来ていた
紅潮した顔色で、酔って呂律の回らない声で言うのだ
カゲキリはアマガケの上に覆いかぶさる
「んーー?」
思考の追いつかない頭で、アマガケは疑問符を口にする
カゲキリの瞳は、既に雄の其れへと変わっていた
カゲキリは上からアマガケを見下ろす
男にしては長めで、サラサラとした黒髪
紫色の鋭い三白眼
悪すぎる目つき
綺麗な唇
色白の肌
筋肉のついた大柄な体
他人を恐れさすには充分すぎる容貌をしているが、今のカゲキリには猫にしか見えない
アマガケとカゲキリの体格差で、猫というのもおかしな話だが…。
誰がどう見ても、カゲキリの方がネコだ。
「いいか……、アマガケ」
「うん……」
カゲキリは、ゆっくりと唇を重ねた
補足:アマガケ:身長198cm86kg
カゲキリ:182cm70kg
一般的な体格の者と比べると
カゲキリも大柄な部類だが、アマガケと比べると小さく見える
だがそれでも、ベッドの上ではアマガケよりカゲキリの方が大きかった。
宵闇に、嬌声が響き渡る
抑えられない