*星空文庫

腹パン

緑谷式 作

 いい天気である。快晴である。人々も動物も皆、元気に暮らしている。
おだやかである。雲の流れも変わらずして、鳥たちも皆、元気に暮らしている。
その中で 僕だけが、不機嫌である。なんでかと言うと、僕はあるちょっとしたことで
友達と喧嘩をしたのである。理由は言えない。
考えていないからである。
 その時、僕は商店街を歩いていた。とある
魚屋が目に入った。「安いよ、安いよ」と言って商売に励んでいる。なぜか知らず僕は腹がたったのである。その魚屋を腹パンして、僕は逃げた、走って逃げた。でも誰も追ってきはしない。
 そうしてそっとまた元の場所に変装して戻ってきたのである。魚屋をそっと見る。魚屋は元気に働いていた。なぜか知らないが、僕はその魚屋の顔がむかつくのである。また腹がたつ。きっと前世でなにかの因縁があったに違いない。僕はその日、そうして魚屋を三度、ぶった。そうして逃げた。家に帰って何も知らないふりをして、僕は夕飯の時に酒を飲んだ。そうしてそれきりである。魚屋のそのあとは誰も知らない。

『腹パン』

『腹パン』 緑谷式 作

  • 小説
  • 掌編
  • 冒険
  • ホラー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2015-01-17
Public Domain

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