俺様と俺様
リクエスト*ヘタリアギルベルト夢*
「え、さちほちゃん最近キスしとらんの!?」
『っバカ!声が大きい!』
「いてっ」
大きな声で恥ずかしいことを言うアントーニョを思わずぐーで殴る。
小さな手から放たれた拳はコンッと小気味良い音をだし、
少しばかり大袈裟にのけぞるアントーニョを、さちほは赤い顔でキッと睨みつける
『誰かに聞かれたらどうすんのよ!』
「いやぁ…言うてもロヴィはおらんし…ここ俺ん家やし」
『まったく…これだからアンはいつまでたっても彼女の1人も出来ないのよ。
女心ってのがまるでわかってないわ…』
「せやかて俺に相談しに来たんはさちほちゃんやろ?」
苦笑いを浮かべるアントーニョ。
確かに彼の言う通り、今日はどうしても困ったことがあって相談しに来たのだ
『…そうだったわ、ごめんなさい』
「えらい素直やなぁ…大体、なんで相談相手が俺なん?」
『…アンは、ギルベルトの事良く知っているでしょう?』
「まぁそやけど…そうゆうんはフランシスの方が適役っちゅうか…」
『フランシスはスキンシップが直球すぎて参考にならないのよ』
彼に色恋の相談をすれば、大体は
「そんなのベッドに連れ込んで誘惑しちゃえばいいじゃないのよ」
と言う一言で片付けられてしまう。
…と、言うわけで、他に恋人であるギルベルトのことを良く知っている人物と言えばアントーニョしかいないのだ。
そしてその相談内容と言うのが
「うーん…マンネリ解消なぁ…」
そう、マンネリ解消だ。
別に喧嘩をしたわけでもなければお互いに気持ちが離れてるわけでもない。
ハグをしたり頭を撫でたり膝枕をしたり、それなりにスキンシップはしている
ただ、その先に発展することはない。
『ギルベルトも最近何かと忙しいみたいで…
それはわかってるのよ?でも……』
前みたいにもっとイチャイチャしたいし、出来ればキスや、その先だって…。
『…このまま自然消滅しちゃうのかしら…』
柄にもなく、弱気なことを考えてしまう
そんな様子のさちほを見て、アントーニョが「せや!」と声を上げる
「ヤキモチ焼かせたったらどや?
さちほちゃんが誰かにに取られる思うたら、あの甲斐性なしもちょっとは男気見せるやろ」
『ヤキモチ?…って、でもどうやって…』
「安心しい、親分に任せとき!」
お相手はフランシス…?
『…ちょっと、この衣装はどうゆうことなの?』
「親分特製☆フリフリメイド服や!」
「ちなみに監修はお兄さんだよ~」
『私はそんな事を聞いているわけじゃないのよ!』
ノリノリな二人をキッと睨みつける。
「そんな格好で睨まれても怖くないよ?」
そんな格好、というのはもちろん今のさちほの格好のことだろう。
フリルたっぷりのメイド服にお揃いのカチューシャ、ご丁寧にガーターまでついている。
フランシスは満足そうに写真を撮りまくっている。一体何に使うのやら…
「やっぱりお兄さんの見立ては間違ってなかった!
あとはこれを現像して×××用と△△△用に……むふふ…」
『誰がさせるか』
「あ”ーっ!お兄さんのキャメラが!!!」
「ま、自業自得やな…」
カメラを蹴り飛ばして、どうにか×××用にされるのは回避したが、
問題はこの格好をして何をするかということだ
『…で、この服を着て私はどうすればいいの?』
「俺らに給仕してるところをギルに見せたら一発やん」
「あー、なるほど。お兄さんもそれに賛成ー」
『二人共他人事だと思って…
まぁ仕方がない、やるわよ、やればいいんでしょ!!』
でもまぁ、これがマンネリ解消になるなら安いもんだ。
恥ずかしいこと極まりないけれど、腹をくくってするしかない
半ばヤケになりながらも二人の作戦に頼ったのだった
**
『ご、ご主人様、お茶をどうぞ…』
「うんうん、その調子やで」
「でももうちょっとスムーズにできると尚いいんだけどね」
『…はい…』
「さちほちゃん、顔、顔、尋常じゃないくらいこわばっとるで」
誰のせいだ、と講義したい気持ちを抑え、引き攣りながらも笑顔を作る。
…と、そこに
「…さちほ、何やってんだ…?」
ぽかんとした顔のギルベルトがやってきた。
もともとそうゆう目的ではあるが、流石にこの格好を間近で見られては恥ずかしい。
「おー、主役登場やな」
「見て分からない?さちほちゃんにご奉仕してもらってたのよん♪」
フランシスはギルベルトに見せつけるかのように私の腰を引き寄せ、頬にキスをする
普段ならただの挨拶程度なのだが、頭にきたらしいギルベルトはフランシスを睨みつけた
「さちほ…お前…」
『ち、ちが…これは…』
「うるせぇ、ちょっと来い!」
『っきゃ』
やや乱暴に私の手を掴み、ずかずかとその場から離れていく。
これは嫉妬…しているのだろうか?
作戦成功…?
ヤキモチ
連れてこられたのはギルベルトの部屋。
着くなり乱暴にベッドに押し倒される
「さちほ…お前…」
『違うのギルベルト、話を…っん』
乱暴に口を塞がれ、息苦しさに思わず涙が浮かぶ。
そんなさちほの様子を見て冷静さを取り戻したのか、「わりぃ…」と申し訳なさそうに謝る
「…俺よりあいつのほうがいいのか?」
『どうしてそうなるのよ…全く、話を聞きなさい』
「お、おう…」
『……最近私たち、マンネリっていうか…その…』
事の次第を正直に話す。
するとギルベルトはさっきまでの顔が嘘だったかのようにきょとんと間抜け面になった
そして言いたいことがわかったのか、にやりと口の端を悪戯っぽくあげる
「なんださちほ、お前寂しかったのか?なんで言ってくれなかったんだよ」
『だ、だって…ギルベルトもそれなりに忙しかったじゃない』
「忙しいからって好きな奴ほっとく馬鹿がどこにいんだよー……って、ここにいるけど」
ぽんぽんと優しく頭を撫で、優しい声で言われて、思わず視界が滲む
今日はこのまま二人でゆっくり眠れ──
「しっかしまぁ、メイド服でアイツ等と仲良くしてるところを見せて嫉妬させようなんて、
お前そんなに俺様が恋しかったのかよ?」
『え、えーっと…』
前言撤回。ゆっくりできそうにない。
ギルベルトはさっきのような乱暴さはないものの
有無を言わせぬ笑みを浮かべてゆっくりとベッドに押し倒す
「そんなに恋しかったんなら…
──淋しいなんて思わなくなるくらい、愛してやるぜ…?」
『~~~ッ』
耳元で囁かれ、ゾクリと背筋が震える
「否定しないってことは、イイってことだよな?
俺もお前が恋しかった……今日はいっぱい、愛し合おうな」
ゆっくりと、優しくも深い口付けをする。
あぁ、明日はまともに動けないんだろうな、なんて頭の片隅でのんきなことを考えながら
どこかそれを望んでいた自分がいた。
俺様で馬鹿でどうしようもない馬鹿で、
でも私の大好きな人。
これからも、あなたと共に
End
俺様と俺様