((連載中))現代版かぐや姫

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森の入り口。登山の直前。
超美形の女の子が倒れていたら…どうしますか?

突然の出会い

それは、まさに突然の出会いだった。
中込慎也(なかごみ しんや)は、登山部の仲間数人と登山に行っていた。

「慎也ー、淳宏いねーよ?」
「は?淳宏なんでいねーの?」

残りの1人…佐々木淳宏(ささき あつひろ)がまだ到着していなかったため、慎也と他2人と淳宏を待っていたのだった。

「ねぇ、慎也慎也慎也慎也」
「うるせーな奈緒。なんだよ」

賑やかな登山部の中でも最も賑やかと言われる宮原奈緒(みやはら なお)が慎也を何度も続けて呼んだ。

「見て…あそこ」
「ん?」
「誰かいるよ?」
「はぁ?」

この登山部に、霊感の強い者など1人もいなかったはずだ。

「いや、ホントに誰かいる」
「おい奈緒、いい加減にしろよ」

慎也は本気で怖がる奈緒を若干叱った。

「いや、ホントだって。慎也も見てみなよ」

奈緒に言われ、慎也は渋々登山道の入り口をチラッと見た。

「ほら。何もいねーじゃんか…ってえぇぇぇぇぇ!?」
「ほら、いるじゃん!」

確かにいるのだ。
長い黒髪の小さい物体…いやあれは確実に人だ。

「ゆゆゆゆゆゆ幽霊!?」
「いや…足あるし幽霊では…」
「いやそこじゃねーし!てかなんであんなとこに誰かいるんだよ!」
「私だって知らないよ!」
「あれ?何してんの?」
「おい淳宏!あれ見ろ!」
「ん?」

慎也は淳宏の遅刻を叱るのも忘れていた。

「なんかいるね」
「いるよね?」
「声かけてみようよ」
「おい淳宏、お前バカなの?」
「いや、真剣真剣」
「だってもし相手が呪いの力持ってたりしたら…っておい、淳宏!」

大丈夫だよそんなの〜と余裕の表情で淳宏は"その子"に近づいていった。

あり得ない出来事

「おい!淳宏!」
「慎也!奈緒!ちょっと来い!」
「はぁ?」
「いいから来い!」

淳宏は慎也と奈緒を呼んだ。

「ぁんだよ」
「ほら…すげー熱」
「え?」

心配そうな(フリをする)慎也を尻目に淳宏は手を額にあてた。

「これやべーよ。救急車」

驚くほど落ち着いて救急車を呼んでいた。

「今日、登山どころじゃねーな」

慎也は呟いた。
このまま山に行ってもいいことはなさそうだ。
それならば病院にでも行って付き添った方がマシである。

何せ、彼女の周りには誰もいないのだから。

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  • 小説
  • 掌編
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  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-12-14

CC BY-NC-ND
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  1. 突然の出会い
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