またね。

GReeeeNの『またね。』をモチーフに書きました!
よければ一緒に聞きながらお読みください✧*。

俺には、幼なじみがいる。
今までもこれからも、ずっと大切な幼なじみ。

――――――

俺は高校2年生の神山陽
かみやまよう
、生まれた時からずっと一緒の朝槻妃菜
あさつきひな
っていう幼なじみがいる。
家が隣で親同士も仲が良かったから、一緒に行動することが当たり前だった。

小さい頃から俺のことを頼ってくれたし、俺も妃菜に頼られるのが好きだったから、ずっと妃菜のお世話役みたいなもんだった。

でも、いつからだろう。妃菜に対する気持ちが、友情じゃなくて、恋に変わったのは。


自分の気持ちを自覚したのは、中3の修学旅行だった。
修学旅行定番の夜の暴露大会で、周りの男子達が妃菜のことを可愛いって言ってたり、好きだって言ってるやつがいた。
俺はそれを聞いた時に、よくわからないけど、胸にモヤモヤしたものを感じたんだ。
それからいろいろと考えて、これは恋なんだなって気づいた。

でも、自分の気持ちを伝えようとは思わなかった。
だって、そんなことしたら今までの関係がぜんぶ壊れてしまうから。
今の関係を壊すくらいなら、ずっとこのままで。そう心に決めて、ずっと心の中にしまいこんでいた。


――――――
それから俺たちは成長して、今に至る。

俺と妃菜との関係はずっと変わらない、幼なじみ。
妃菜は友達として俺のことを好きでいてくれるから、家も近いし毎日いっしょに帰ってる。
だから俺たちの関係を知らない人からは、付き合ってるの?ってよく聞かれる。
正直、こう聞かれるのはつらい。けど、俺はいつも否定する。
「こいつ?こいつは幼なじみだよ、」

――――――

ある日の昼休み、妃菜に相談がある、って階段の踊り場に呼び出された。
もちろん俺は妃菜が頼ってくれるのが嬉しくて、いい気分でそこに行く。
俺が行ったら、もうそこには妃菜がいた。
心なしかほっぺが赤い。どうしたのかと思いながら話を聞いた。

「あのね…陽ってさ、E組の石田くんと仲いいよね?」
「あ、石田?うん、仲いいよ」
「そっか…」
そう言って妃菜は黙り込んでしまった。
さっきよりも顔が赤い。なんだか目線も泳いでる。
そう思ってたら、妃菜が言った。
「あのさ…私さ、石田くんのこと、好きなんだ。できれば、陽に紹介してほしいな…」
聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
妃菜に…好きな男…?



「ねぇ、陽、聞いてる?」
「あ、あぁ、ごめん。いいよ、じゃあ紹介しとくな!」
俺には、こう言うしかできなかった。


それから、俺はもう一度そのことについて考えた。
ほんとは妃菜に好きだって伝えたい。けど、妃菜はそれを望んでない。
何度も悩んだ。何日も悩んで、決心した。

俺は、妃菜の幸せを願う。妃菜が笑っていられるように、精一杯俺がサポートをしよう。


それから俺は、二人が上手くいくようにあれこれサポートした。
いっしょに帰ることもやめたし、できる限り妃菜と会う時間を減らすようにした。

そうして妃菜とあまり関わらなくなってから数日経ったある放課後、校舎裏の人目のつかないところで泣いている妃菜がいた。

それを見た瞬間、俺は妃菜に向かって駆け出し、頭をなでてやった。本当は抱きしめてやりたかったけど、妃菜が抱きしめて欲しいのは俺じゃないから。そう思って、ただ優しく、頭をなでてやることしかできなかった。
俺に気づいた後も妃菜は泣きじゃくっていた。
その日は久しぶりにいっしょに帰った。
妃菜は全部話してくれた。
「私、振られたんだ。
今は部活で精一杯だから、ごめんって言われちゃった。
けっこういい感じだと思ってたんだけどなぁ…」
自嘲気味に笑う妃菜に、なんて声をかけてやればいいのか分からなくてずっと黙ってた俺に、妃菜はムリヤリ笑顔を作って、「ありがとう。」と言って家に入っていった。

でもその日の夜に、妃菜の泣いている声が聞こえてきた。
ああ、やっぱりつらいんだろうな。俺の前では強がって笑って見せてさ、
そう思ったら、自分の情けなさに思わず涙が出た。
なんで俺じゃないんだろう。俺だったら絶対に妃菜を泣かせたりなんかしないのに。
どんなにそう思っても、自分じゃどうにもできなかった。

次の日の朝、なんともないように妃菜は笑っていた。
きっとまだつらいんだろうけど、それを表さないでいられる、なんて強い子なんだろうと思った。
きっと妃菜には、もう俺がいなくても大丈夫。
そう思って、大学は別の道を進んだ。
俺は地元に残って、妃菜は都心の大学へ。
俺の中で少しでも妃菜に対する想いが変わってくれれば、そう思っていた。

――――――

それから6年後、無事に大学を出て企業に就職し、新たな生活にも慣れてきた俺の元に、広告やDMに混じって、一通のハガキが届いた。
なんだ?と思って裏を見ると、久しぶりに見た、大切な幼なじみの幸せそうな笑顔。
その隣に、妃菜と同じくらい幸せそうに微笑む見知らぬ男。
朝槻じゃなくなった妃菜の名前。
そして、『結婚しました』の文字。

いろんな感情が込み上げて、それを噛み締めて、俺はつぶやく。

「…おめでとう。」

またね。

誤字脱字、読みにくいところがありましたら指摘お願いしますm(_ _)m
読んでくださりありがとうございました!

またね。

GReeeeNの『またね。』をモチーフに書きました✧*。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-11-04

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work