ゆれるあららぎ

 正午過ぎに起き、だらだらと服を着替える。

ちょうど一週間前、ネギと一緒に切った薬指の先がまだ痛む。

切った翌日の深夜にひどく血が出るため不安になって救急外来へ自転車をよたよたこいで行ったのは思い出すと可笑しい。


 外へ出ると予想外にあたたかかった。

黄や赤の葉が落ちる手前の木々に日の光が柔いかげをつくらせていた

かげを浴びながら大学へ向かい、サークルのリーフレットを大学構内のいたるところに貼った。

喫煙室のベンチにあたかも忘れ物のように折って置いてきたそれは、来たる喫煙者に見てもらえるのだろうか


 そういえば初めて喫煙したのは指を切った日のことだった。

薬指の痛みを紛らわすためにひどく酔っぱらって、人の煙草を奪いとって吸ったのだ

煙草を吸う女なんていいと思わないが、似合う似合うと囃したてられて悪い気はしなかった

その後は吸っていない

たまの夜、煙草が片手にあれば外に出て散歩でもするのに、と思うときはある。

ゆれるあららぎ

ゆれるあららぎ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted