僕の知ってた場所

 虫を捕っていた
 長く草の生えた 広い空き地で
 日が暮れるのも忘れて
 網を振っていた
 あの場所は宝箱だった
 ぼくのたからものだった
 そこに立っていたカンバンを
 幼いぼくはまだ読めなかった
 今僕は大きくなって
 網は持たなくなったけれども
 毎日が楽しかった頃の僕は
 確かにそこで走っていたんだ
 無数の夢(いのち)があったそこには 今
 はででおしゃれな箱と
 人が数人ぽっちいるだけで
 でも誰も悲しんだりもしないで
 知ってるかい?
 昔、あそこには小狭い空き地と
 少年の笑顔があったんだ

僕の知ってた場所

僕の知ってた場所

16歳の時の作品。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-20

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