菊
菊:高潔・ろうたけたる思い・破れた恋
おばあちゃんのお葬式。
「あの子、これからどうするのかしらね?」
聞こえるか聞こえないかの距離で囁く叔母たち。
「でもかわいそうよねぇ。両親がいないでおばあさんと二人きりの生活だったらしいですし…」
「まだ14でしょう?」
まるで他人事のように痴話話を広げていく。
「それにしてもあの子の周り人がいなくなっていくのね…こわいですわぁ」
私は耳を塞いだ。
どうもこの手の話は苦手なようだ。
ふと、頭の中を彼がよぎった。
優しい声で私の名前を呼ぶ彼。私と同じ名前の花が好きな彼。
「おばあちゃんもこの花に囲まれるのね…」
そっと、つぶやいた。
両親に祖母、愛しかった彼が黄色い花弁に包まれ、凛とした姿で咲き誇っていた。
菊
今回は日本の国花の桜に続き、菊。
菊といえば仏壇だなぁという印象から広げていきました。
花言葉自体には仏壇関係のものはまったくなく、また花弁の色により花言葉が少しずつ違っていて、とても興味深い花です。