菊

菊:高潔・ろうたけたる思い・破れた恋


おばあちゃんのお葬式。

「あの子、これからどうするのかしらね?」

聞こえるか聞こえないかの距離で囁く叔母たち。

「でもかわいそうよねぇ。両親がいないでおばあさんと二人きりの生活だったらしいですし…」
「まだ14でしょう?」

まるで他人事のように痴話話を広げていく。

「それにしてもあの子の周り人がいなくなっていくのね…こわいですわぁ」

私は耳を塞いだ。
どうもこの手の話は苦手なようだ。

ふと、頭の中を彼がよぎった。
優しい声で私の名前を呼ぶ彼。私と同じ名前の花が好きな彼。

「おばあちゃんもこの花に囲まれるのね…」

そっと、つぶやいた。
両親に祖母、愛しかった彼が黄色い花弁に包まれ、凛とした姿で咲き誇っていた。

今回は日本の国花の桜に続き、菊。
菊といえば仏壇だなぁという印象から広げていきました。
花言葉自体には仏壇関係のものはまったくなく、また花弁の色により花言葉が少しずつ違っていて、とても興味深い花です。

花言葉シリーズ第二段。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-10-19

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