ポートレイト

超能力検証番組という、くだらない番組がやっていた

超能力検証番組という、くだらない番組がやっていた。TVの中、ひとりの男が鉄製の箱の前でひたすらに念じている。どうやら箱の中にはポラロイドカメラが入っていて、念力で撮影をするというものらしい。お題は「月の裏側」だそうだ。
…どうやら撮影が終わったらしく、数人のスタッフが厳重に閉じられた鉄の箱を開ける。中からはポラロイドカメラとフィルムが一枚。自称超能力者の男がフィルムを手にとり、しばし待つとフィルムに像があらわれはじめた。
スタジオからはどよめきが起こる。果たしてそこに写っているのはどこかの部屋でだらしなく椅子に座り、とぼけた顔をした男だった。見覚えのある顔だ。私だった。
司会者は鬼の首をとったかのように念写の失敗を糾弾し、超能力者は動揺しうろたえる。どこででも撮れそうな写真ですが?と司会者が追い詰めるようにまくしたてる。
やがて、インチキなどと罵声を浴びせられながら超能力者は退場していった。

…どういうことなのだ。驚いているのはわたしだけ、というところだろうか。
まさか本当に月の裏側を念写できるやつがいたとは。地球にもなかなか油断ならないやつがいる。



++超能力者++
地球人の男
ESP:念写

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1分で読めます。「話の中に必ず超能力者がひとりは出てくる」というしばりで掌編の連作を執筆中。 超能力者の名前と能力が必ず最後に記載されてますので、答え合わせ感覚で読んでいただければ幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-09-25

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