未定

突発ネタ。

突然ですが、あなたは死にました。でもまだ生き返る機会はあります。
ここは隠り世。いわゆる黄泉の国です。
さぁ、このお面をつけて、あなたの使命を現世で果たしてくるのです。
さぁ、おいき。さぁ、さぁ、さぁ。




人間同士で発する特有のざわめきと多数の車の走行音が遠くから聞こえてきた。瞼を閉じていても眩しく強い光が瞳を射すものだから、耐えられずに横を向く。眼を開けば、その光は太陽によるものだった。太陽。私は外にいるのか。そういえば地面に接していた背中が痛い。
体を起こすと緑のフェンスが目に入る。しばらくぼうっとして理解したことに、どうやらここはビルか何かの屋上らしい。

困ったことになった。フェンス越しに下を覗くとたくさんの車と人が横行している。なぜ私はこんなところにいるのだろう。何度思い返してもこんなビルの屋上に来た記憶は無い。しかもまだ頭ははっきりと覚醒していないのか自分のことすら思い出そうと脳を巡らせている。なんて滑稽だ。私は誰だ。体を見る限りでは、男らしいが。
ひとまず落ち着くためにもう一度辺りを広く見回した。ここは東京か。遠目に東京タワーが見える。いや、それはいい。東京タワーが分かってどうして自分のことが分からないのだ。混乱しつつも、そこへ留まっていても仕方ないから、行く当てもないまま私はこの屋上を後にした。

未定

未定

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2010-11-20

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