無人呼吸

魚はエラで呼吸をするんだって

私は人間です

私は人間です

なぜ人間なのでしょう


人間と人間の間に生まれた子供は

人間です


私は人間ですので

人間と人間の間から生まれました。


魚は魚です

魚は人間ではありません。


私は人間

私の家

「昨夜未明東京都都内にあるマンションにて17歳の少年の死体が発見されました。死体付近にあったボトル口部に毒が付着されていたそうです。」

朝からなんという不吉なニュースであろう。
しかも17歳だなんて私と同い年ではないか。

テレビを横目で見ては興味なさげにし朝食を済ませる。

それにしても今日は暑い。
こんな暑い日になぜバイトが入っているんだ。

今日は8月14日
お盆に備えての品出しがある。


「嗚呼・・・。今日は友美(トモミ)とショッピングだっけな・・・。」

ショッピングは10時から15時
今は10時24分
起きたのは10時

どっちみち遅刻だ


朝食はいつも通りのヨーグルト。


ダイエットをしているわけではない。
腹が空かないのだ。


中途半端に食べたヨーグルトをそのまま放置すれば携帯を開く。

「充電3%・・・」

メールが10通、着信が6回、SNSの通知が30通

確認すれば全部友美からのものだった。

メールを全部見ていると改めて友美から通話がかかってきた

「もしもし・・・」
「あ、小雪(コユキ)!?」
「おはよう」
「おはようじゃないよ!!!!今どこにいんの!?」

友美は少し荒れた口調になっていた

それもそのはず。
時間にうるさい友美は5分でも遅れたらガミガミ怒る。

10:32...。
32分も待ち合わせから遅れたのだ
怒るのも無理はない。

「今?家だけど」
「はー?何?友美と遊ぶこと忘れてたの!?サイテー」
「ごめんごめん」
「もう・・・。とりあえず早く来なさいよね」
「あー、うん」

電話は切れた。

もう帰っといてよかったのに。

面倒臭いなあ


テレビを切り、食べ残したヨーグルトを捨て着替え、家を出た

遅刻

「おはよう」
「あー!やっと来た!!」

家を出たものの携帯を忘れては取りに戻り、ガス栓を閉めたか確認するために家に戻りという作業をしていたため約束の場所についたのは11時ちょっと過ぎだった。

家から集合場所までは歩いて5分で行けるのを友美は知っている。

「なんでこんなに遅いの?またのんびりしてたんでしょ。」

何て失敬なことを言うんだ。のんびりだなんてしていない。電話を切ってから5分で家を出たのだ。それを知らない友美は勝手なことを言う。
だが今は眠い。あれだけ寝たのに眠い。友美如きに怒っていても何のメリットもない。寧ろ疲れるだけだ。だから言い返すのはよしておこうと心の中で留めた。

「とりあえず行こうよ」
「あー、逃げるな!ちゃんと言いなさい!!」

お前は小学校の教師かっつーの。
友美より先に歩いては早歩きで追いかけてきた。

「早く家に帰りたいなあ・・・。」

友美に気付かれないように小声で呟いた。

子供

「ねえ、雑貨屋さん寄らない?」
「寄らない」

「ねえ、あそこのアイス美味しそうじゃない!?」
「今お腹空いてない」

「あ、見て、新しいCD入ってるよ!」
「ああ、そう」


こんな会話を続けて早2時間。
私は「行かない」「入らない」「興味ない」「1人で行けば」と友美だけで行かせようとする。

「もー、それじゃあ何の為にここに来たかわかんないじゃーん」

知るか。誘ったのは友美の方だろ。

行こうよ行こうよと子供のように騒ぐ友美を放って再度歩きはじめた。
だが友美はめげずに「あそこ行こうよ!」「ねえ、これ欲しくない?」と1人できゃっきゃ騒いでいる。

嗚呼、煩いなあなんて思うもなんだか微笑ましい気持ちになった。

子供を持ったらこんな感じになるのかな。
私に子供なんて出来るかな。
いや、子供が云々の前に運命の人と出会えるかな。
数年後には旦那さんがいるのかな。

なんて夢を膨らませる。
____そんなのかなわない筈なのに。

発見

友美side

今日一番驚いたことはいつも無愛想でクールな雪が私の提案に乗ってくれたことだ。

「ねえ、あれ可愛い!一緒にオソロで持とうよ。あ、雪..興味ないよね。あはは、ごめんね、次行こっか」
「いいよ」

「え?」

私は一瞬耳を疑った。
いつもみたいに「興味ない」とか「要らない」とか「可愛く無いし邪魔になるだけ」とか言うと思ってた。
なんせ私が選んだのは私好みのブレスレット。
小雪はいつも黒や白など統一されたカラーを取り入れている一方、私は赤やピンク、水色などとにかく派手目な色を取り入れている。
ので私が選んだストラップも派手だ。
ブレスレットにはカラフルな大きなパーツが並んでいる。
私に似合っても雪が似合う筈がない。
というより小雪が賛同するはずがないと思った。

「私も、ブレスレット欲しいと思ってたんだよね。あ、いいね。可愛いじゃん。金具がオレンジとかピンクとか色々とバリエーションがあるんだ。へぇ。友美はどれにする?私はこの金具が黄色のやつがいいな。」

私はぽかんと口を開けたままペラペラ喋る雪を見ていた。
他人からみたら只の間抜け面(まぬけづら)だ。
比喩で言うと東京タワーは元々赤いがそれが真っ青に塗り替えられていた時の反応(実際はそんなことはない)並の驚きだ。
小雪とは14年間一緒に居た。
幼い頃からずっといたが今までにこんなことは1度もない。
昔からぶっきらぼうで思ったことはずばずば言って、意地っ張りだった。
そんな小雪が今日こんなに喋り私の提案に乗ってくれた。
言葉に表せないほどの嬉しさだ。

「え、あ、う、うん!!えっと、えっと、じゃああたしもオソロで黄色がいいな!」

黄色は個人的には好きではないが小雪とオソロで居たいと思い、同じ黄色を買った。

会計を済ませればすぐに二人でつけた。

再会

小雪side

ブレスレットを買って以来友美はなんだかニコニコしている。
何が面白いんだか私にはよくわからなかった。

「13時か・・・。」
そろそろお昼をとってもいい頃だ。
友美は11時くらいからお腹を空かせていた。
2時間も我慢していた友美を感心する。

「ねえ、お腹空かない?」
本日2回目。
お腹を空かせた友美はそう私に問いかけた。

「そうだね、どっか寄ろう」
「やったー!んーっとね、ハンバーガー食べたいな!」
「いいよ、じゃあ行こう」

ハンバーガーは好きではない。
だからと言って嫌いではない。
しかし自分自身とてもお腹が空いているためにすこしガッツリしたものを口にしたかった。


友美とハンバーガーショップに向かい席を取った。

「小雪は何食べる?」
「じゃあチーズバーガーで」
「じゃあ友美も」
「あ、私が頼むよ」
「ほんと?有難う」

嬉しそうに友美は私に微笑んだ。

「いらっしゃいませ、ご来店有難う御座います。ご注文をどうぞ。」
「えっと、ハンバーガーのセットを・・・!?」

メニューの表から店員の顔へと視線を移した。
するととても見覚えのある顔だった。
というより忘れられないヤツの顔だった。

「こゆ・・・き・・・?」

彼も目を見開いた。
嗚呼、きっと私今ものすごくひどい顔をしてるんだな。
2年ぶりに会うんだから少しくらいマシな顔でいたかった。
久しぶり名前を呼ばれてはとても嬉しくなり財布を落としてしまった。
その弾みにお金が床にバラッとこぼれてしまった。

「あ、お、お客様、手伝います」

そう言って彼は私のお金拾いに手伝ってくれた。

「あ、ありがとうございます」

お金を受け取る際に手が触れた。
たった一瞬だけどとても温かかった。


お金を全部しまっては改めて注文をし直した。

「え、えっと、ハンバーガーのセットを2つ。どちらもチーズバーガーで。あと、ドリンクはコーラとお茶で・・・。」
「か、しこまりました。出来上がるまで左手でお待ちください。次のお客様ご注文をどうぞ。」

い、言えた・・・。
指示が出た通り左手に移り注文の品を待った。

待ってて

椋太side

「いらっしゃいませ」


俺はバイトのため近隣にあるハンバーガーショップで務めることになった。

別に自分のためではない。

妹が重い病気にかかってしまった。そしてその医療費が両親だけで払える金額ではなく俺も何かできることは無いかと思いバイトをはじめた。



俺は中学の時一度地元を離れた。
しかし引越し先で母さんが近隣の人と揉めてしまった。
そして地元の方に相談すると戻ってこいと言われ再度地元に戻ることになった

しかしその時にはもう遅かった

引越し先のことが原因で母さんはそのせいでうつ病になり妹は病気にかかった

父さんは、殺された。


だから今働けるのは俺しかいない

妹や母さんを救えるのは俺しかいない

父さんの代わりになれるのは俺しかいない



いつも通り接客をする。すると上から厨房に移れと言われたため手伝いにいった。


厨房が落ち着いた為暫くしてから再度接客を頼まれた。

そして急いで戻るとレジには俺の元カノの小雪が居た。


俺はびっくりした。
今までありとあらゆる手段で小雪を探し続けていたのにどうして


地元に戻ってから小雪を探し回った。
引越し先でも月に1度は地元に戻り小雪を探していた
中学生の頃の同級生にも聞き回ったがみんなとぼけたふりをしていた。

まさかこんな偶然に、というか簡単に見つかるとは思いもしなかった。

「ご注文をどうぞ」

しかし俺は動揺を隠すかのように彼女に注文を急かした。

無人呼吸

人間もエラで呼吸したらいいのに

無人呼吸

2014.08.21/@wikiを作成しました。無人呼吸をより詳しく知りたい方は<a href="http://www64.atwiki.jp/kankaku3cm/pages/4.html"> こちら </a>へ/2014.08.18名前の訂正、一人称の訂正を致しました。/後編になると流血、殺人等のグロテスクな表現も含まれることがありますのでご注意ください。/友美sideでの〔描写〕の時のみ友美は私と言っています。会話文での友美の一人称は友美です。把握お願いします。/恋,再会,出会い,別れ,友情,失望,犯罪,愛人,浮気,不倫,不可思議

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更新日
登録日
2014-08-16

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  1. 私は人間です
  2. 私の家
  3. 遅刻
  4. 子供
  5. 発見
  6. 再会
  7. 待ってて