陽だまりの中で・・

雨上がりの朝・・

光の粒が紫陽花の葉に撒かれて・・

幾滴かの滴は、はらりと転がり・・

とろりとした一粒にまとまって・・

ゆっくりと、落ちて行く。


開け放った窓の向こう・・

ターコイズブルーの空を仰いで・・

君の朝を想う・・


そろそろ届くかな・・


「気分はどうですか?」



無機質な携帯電話の画面に踊る・・

カタツムリの絵文字メール・・



綿毛の風が吹く春も・・


陽炎の揺れる日盛りの、夏も・・


月光さえ凍りつきそうな、冬の夜も・・



「気分はどうですか?」

「ご飯、ちゃんと食べてるの?」

「お酒・・また飲み過ぎた?」

・・・・


どうと言う事のない、言葉・・


まるで陽だまりの中で、交わされる・・

老夫婦のやり取りのように・・



煮しめたような、互いの手のひらを・・

陽だまりの中で、擦るように・・


熱狂も・・

慟哭も・・


そんな煩わしいもの達を・・


脱ぎ捨てて、今ここにいること・・



陽だまりの中で・・


今、ふたり・・

ここに・・いること・・


ただ、それだけで愛おしい・・

陽だまりの中で・・

陽だまりの中で・・

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-06-25

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted