戦国BASARA 7家合議ver. ~こうして同盟は成された~
はじめまして、こんにちは。
どうぞよろしくお願いします。
これは戦国BASARAの二次創作作品です。
設定にかなりオリジナル色が入っている上、キャラ崩壊が甚だしい・・・。
別物危険信号領域。
かなりの補足説明が必要かと思いますので、ここで書かせて頂きます。
まず、オールキャラ。
前提としては・・・。
まず、家康さんが元親さんに、こういう提案をしました。『天下人が1人じゃなきゃいけないって縛りが、戦国が終わらない元凶じゃね? 日の本を7つに分割して代表家を決め、その7家の合議で政治をしてけばいんじゃないの?』という提案です。
元親さんが乗り、慶次さんが乗り、『中国地方は我の物』が口癖の元就さんが乗り。
九州→島津家、四国→長曾我部家、中国→毛利家、近畿→豊臣家、中部→前田家、関東→徳川、という担当になるの前提で、同盟が成立している状態です。
東北(奥州)は伊達家になる予定なんですが、目下ブチ断られてて、これからどうやって誘おうかな、って感じです。
今回投稿したこのお話は、伊達家以外の6家門がほぼ、揃った段階。
で、顔合わせしましょう、って話です。
元就さんが女装してます。
ウチの元就さんは、お母様似の白皙の女顔に、紫系茶髪を肩辺りまで伸ばした美人さん。
女装の似合う事、似合う事。
こんな感じでオリジナル設定てんこ盛りのお話ですが、楽しんで頂ければ幸いです。
本当に、この上なく幸いです。
チキンハートに石を投げないでっ。
それでは。
女装。
それは世界各地、それぞれの文化で『女性用』と規定されている衣服を男性が着用し、それによって外見上は女性になる事を言う。男性の異性装である。
『男性の』異性装、である。
「元親、家康・・・。」
曰く言い難い表情で自分を眺め・・・もとい、見つめる初見の相手を前に、元就が肩を震わせる。
・・・ちなみに今、この場に居る中で初見の相手とは、前田利家、豊臣秀吉の2人。それにプラスして、島津義弘にも、女装を見せるのは初めてだった筈だ。前者2人とは直接口をきいた事も無い・・・豊臣とは同盟を結んだ事はあったが、半兵衛が全て取り仕切っていたので、当主たる秀吉と対面した事は一度も無かったのだ。
薄紅色で纏まった今日の衣装は、例によって例の如く『あの3人』が用意したものだった。
「貴様ら大概にせぃっ!!! いつまで女装ネタで引っ張る気ぞっ?!
猿使い共々ぶち殺すぞゴルァッッッ」
「だぁから言ったじゃねぇか、『俺らのダチになったヤツの通過儀礼』だって♪」
「今日の為にわざわざ、都で評判の針師に仕立ててもらったのだ。
どうだ、着心地いいだろう?」
「着心地云々の問題か阿呆共がっ!
悪戯ひとつに手間暇も金も掛け過ぎなのだ、そなたらはっ。今すぐ死ネ、死んで詫びろこのロクデナシ共ォッ!!」
元就が鷲掴みにした座布団は、元親を通り越して家康の顔面にクリーンヒットした。
『豊臣と島津、前田が、我の本気を疑っている、と?』
『そ。
ホラ、お前って今まで散々姦計張り巡らしてしてきたじゃん? そのお前が『年下野郎の持ってきた利の無い理想論』に賛同するなんて・・・っ! って。
家康はともかく、お前が、な。今度も何か企んでんじゃねぇかってんで、3人共警戒心がパねぇのよ。』
元親が話を持ってきたのは、野菊の美しい秋の終わりの事だった。
家康発案の合議制について、あの秀吉までもが奇跡的に前向きに考えているという。が、先に同盟している3家を信用して同盟に加わるか、どうか。その決断に際して、最後の一線を越えて書類にサインしよう、という段になって、どうしても3家共通の不安材料があるのだという。
それが元就、という訳だ。
『ふむ・・・一手、策を講じねばならぬか。』
『姦計張り巡らしてきたってトコは、否定しねぇのな・・・。
一度会ってよ、膝ぁ詰めて話してみちゃぁどうだい?』
『会うのは構わぬがな。
家中の事や朝廷への根回し、琉球への目配りなどがあって、説得をそなたら3人に任せきりで表立っては動かなんだ。それも不信の一因なのであろうよ。故に、我の方から出向くべき所であろう。
が、会ったとして、どう伝えるべきか・・・。
予め警戒心を持った相手に、形で示せぬ事を信じさせるは難しき事よ。
さて、どんな一手を講じるべきか。』
『要は覚悟を形にすりゃぁいいんだろ? 後は示し方の問題ひとつ。
迷うテメェに朗報だ。先方は『ある事』をして自分たちに会えば、テメェの覚悟を認めて信じる、って言ってきてる。
日取りはこっちに任されてるが、中国のお前の居城で宴を開く。あの3人と、俺ら3人、それに慶次もな。必須条件は、この7人の参加。まぁ、同盟締結前の顔合わせって訳だ。
必須条件は、あとひとつ。
お前に『ある事』をして見せてくれってよ。』
『じらすな、元親。大抵の事はやるぞ、我は。
して、先方は何と?』
『実はな、』
聞いた元就は眉根を寄せ、しばらく息を止め、そして、溜め息をついて了承した。
その『条件』というのが、
「同盟締結後は、大業を形と為す運命共同体となる7家の当主・・・まぁ、伊達家はこれから誘うとしても、だ。その実質の披露目の場で、他の5人の前で『女装』する覚悟があるのなら。
我の二心なきを信ずる、と。
我が女装すれば、全て丸く収まる・・・収めると。そう『豊臣が』言ってきたから、そしてそれに他の者も賛同したと申すから、我は・・・我は・・・!!」
「待て毛利、俺はそんな条件は出していないっ。ただ『一度顔を見て話をしておきたい。』と言っただけだぞっ?!
何故そうなる・・・というかいっそ、何故信じたっ?!」
「・・・そなたの許には半兵衛が居るであろう。いかにもあやつの申しそうな事だと・・・3家の中で一番説得の難しそうな豊臣が、我がいっとき、我慢するだけで応えるならば安いものだと・・・男として、武将としての尊厳を我慢すれば・・・すれば・・・!!」
「な、泣くな毛利、これでは俺がイジメたみたいではないかっ!
ちょ、おい、家康っ! コレは一体どうすれば泣き止むのだっ?!」
「・・・ソレは多分、1枚の書類にサインすればコロッと泣き止むと思いますが・・・。」
「書類にサインだなっ?! よし、持って来い、すぐにサイン、を・・・。」
困ったような笑顔で、でも臆面もなく家康が差し出したのは、1枚の誓紙。合議の為の同盟に、参加するという意思表示の為の。
今度こそ秀吉の表情が崩れた。愕然とした表情から目を三角に。武を誇る戦国武将たちの中でも一番の強硬派と目される豊臣当主の、極めて珍しいギャグ顔である。
「毛利ィっ!!」
「ちっ、今一歩の所であったものを。」
「お前な、お前のそういう部分を半兵衛から聞いていたから、素直にサイン出来なかったんだろうがっ。いい加減、無意識レベルで人を嵌めるのはよせっ。」
「うむ、我としても改善課題と認識しておる。
が、我にとって他者を嵌めるという行為は、空気を吸うのと同じ要領で無意識にこなしてしまうものでな。どう改善したものかと、ただ今絶賛思案中よ。」
「肺魚になれ、今すぐお前は肺魚になって水中呼吸しろ。」
「冗談ぞ。真顔で返すな。
豊臣秀吉、面白い。そなた意外とからかい甲斐がある男よの。」
女装姿で堂々と秀吉をからかう元就を、少し離れて元親と義弘が眺めていた。恐らく本人にも『似合っている』という自覚はあるのだろう。紫茶色の髪をかき上げる仕草にも、白皙の美貌にも。羞恥や緊張といったモノは感じられない。
西の武将同士、元就と旧知の間柄でもある義弘は感嘆した口調で顎を撫でていた。
「久し振りに会うたモンじゃが、かなり雰囲気が変わったの。
前は頼まれたって女装なんぞしよらんかったに。何か、余程の心境の変化でもあったモンかいの。」
「心境の変化ねぇ・・・ま、強いて言うなら、杉大方・・・親の仇をぶっ倒して、精神的に自由度が増したのは大きいんだろう、な。
同盟すれば『あの』姿が拝み放題だぜ?♪」
「西海の鬼はああいう『気の強い綺麗系』が好みか?」
「中々イイだろ? きつめの瞳の、色白美人。」
「ワシもやっぱり『綺麗系』がええのぉ。
アレでもう少し肉付きが良くて色気が有ったら、充分イケるんじゃが。」
「そうか?
俺からすりゃぁ、アレをもう少しタッパ縮めて、化粧も柔らかめにした方が好みなんだが。肉付きはあのままでいい。胸がデカいのは好きじゃねぇんだ。」
「女は化粧で変わるモンじゃけんのう。
小さくて細身が好みという事は、さてはお主、太腿派か?」
「ご名答。
そう言う島津のジイさんは胸派か?」
「そこの2人っ!
我が体をダシに女体を語るでないっ! そんなんで意気投合されても気色悪いわっ! あとこの姿を見せるのは最初で最後だと思え、愚か者どもっ。」
一瞬だけ鋭い視線を交わし合い、違う『派閥』でありながらしっかりと右手で握手を交わし合った元親と義弘。元就はあからさまに溜め息をついて、左手でこめかみを押さえた・・・そういう時も、袖が滑り落ちて腕が露わにならないよう、しっかりと右手で袖口を押さえている。諸事情から、7歳まで女・・・それも名門・毛利家の長女として、かなり深窓のご令嬢として育てられた教育は伊達ではないのだ。
元就は尚も揶揄おうとする元親と家康を軽くいなすと、もう一人の同盟者に調停を依頼した。
「何とか言ってやってくれ、前田の。妻帯者で律義者。そなたが注意するのが最も効果的であろう。・・・おい、前田利家?」
「お? おぅ、スマンスマン。つい見惚れてしまった。
いやぁ、本当に毛利殿は美人だなぁ。この部屋に入って一目見た時から釘付けになってしまったよ。ワシは割と女子への興味は薄い方だが、美しいと思った女子は、まつ以来毛利殿で2人目だ。
いや、実に見事。立ち居振る舞いも然り、そこらの姫御より余程洗練されているし、何処からどう見ても成熟した女性にしか見えぬ。
ウチの不肖の甥にもこんな美人な嫁御が来てくれたら、アイツももう少し落ち着いてくれるんじゃないかと思うんだが。」
「前田利家・・・言いたい事はそれだけか?」
「ん?」
「慶次の嫁取りなど知るか馬鹿者―――――っ!!!」
本日2回目、元就の座布団は主に着座してもらうより先に宙を舞う事になった。
(終幕)
戦国BASARA 7家合議ver. ~こうして同盟は成された~
短編なので、特に書く事もないのですが・・・。
元就さんがチラッと言ってる、『琉球への目配り』って台詞について。
家康さん達は将来的に、海外進出も考えている訳です。
はい、豊臣一門が視野に入れていた事と、かぶってますね。
家康さんは、豊臣一門を合議に誘うにあたり、秀吉さんに琉球との貿易をチラつかせました。
富国強兵と並行して、で良いから、軍事で海外にうって出るのと同時に、
貿易立国も目指さないか、という視点で話し合いを。
どうせ、貿易するようになったら、自国の商人を異国の地で守る為に、軍事力は必要になりますし。
そんなこんなで、他の3人(元親さん、慶次さん、家康さん)に他の家門の説得を任せて、
元就さんは他の部分に精を出していた訳です。
琉球王国に『日の本を貿易相手にしてみない?』って言いに行ったのも、その一環。
その結果が、今回の短編、という仕儀です。
無事に信用が得られて良かったね、元就さん。
それでは、また次作で。