孤独な天神

孤独な天神

「天神様。お願いします。」
「どうか、どうか。」

また、来た。
もうやめてくれよ。
もう、、やめろ。

「天神様!」
「天神様!」

うるさい
やめろ
わたしに、頭なんて下げるな

金なんかいらない
お前たちの願いなんか
聞きたくない

「天神様にお願いしよう。そしたらきっと。。」
「私の願いを聞いてください。なんでもしますから。」

なんでもする?
じゃあ、私をここから出せ
今すぐに
私はあの梅に触れたいのだ

梅の花
お前だけは
私を見てくれよ
私自身を  見てくれ 頼む

東風吹かば
匂いおこせよ
梅の花

例え姿が見えなくても
俺はここにいる

だから
どうか どうか
その匂いだけでも
ここに 届けておくれ

春と私を
忘れてくれるな

孤独な天神

孤独な天神

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-28

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