Vague love

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あやふやな恋愛


Vague love→あやふやな恋愛


 帰り道、私は由海からとんでもないことを聞いた。


 じゃあ、由海は瀬戸くんが、好きなわけ?

 うん。そうなの。このこと璃子ちゃんにしか言ってないからね?誰にも言わないでね。

 
 いけないと思った。私は隣を歩く由海の姿をじっとみた。ていねいにアイロンがけされた
黄色のワンピースは、きっと瀬戸の趣味の部類だ。


 ねぇ、璃子ちゃん。協力してくれない?璃子ちゃん瀬戸くんと、仲良しじゃない?私も、
瀬戸くんと仲良くなりたい。

 そうかぁ……。でも仲良しってほどでもないよ。普通に、ただ幼なじみなだけ。

 でも、私なんかよりはよっぽど……。

 あぁ由海ごめん!今日用事あるの忘れてた。ごめん先帰るね!


 私は怖くなってその場から立ち去った。由海の何か言う声が聞こえたが、無視して走り続
けた。

 そんな。由海がまさか。広也が好きだなんて。

 瀬戸広也はまぎれもなく私の彼氏だ。2ヵ月前、私は彼と付き合い始めた。だけどそれは
二人の中での秘密だった。私たちのなかで暗黙の了解ができているように、私も彼も二人の
関係のことについては何一つ触れなかった。

 だけどどうだろう。由海なんてクラスでもモテモテのかわいい女の子が、もし広也に告白
したら。きっと広也は私なんか捨てて由海に転がるとしか考えられない。

 いや、そんなネガティブな考えはよそう。だってもともと、広也が告白してきたのだから。
私から告白したのなら少し考えるけど、そうじゃないんだからどうとも言えない。

 考え過ぎだ。まさか広也が。よりによって私の彼氏なんかを好きになる由海の気が知れな
い。

 まあ、あの子にはなにも伝えてないんだから、知らないに決まっているか。

 勝手に納得するものの、私はどうしようか本気で悩んでいた。もともと広也は女好きな性
格だし、今のいままでよくわからない噂が立たなかったわけではない。もうこんな風な状況
になるのは初めてじゃないのだ。それでもお互い話し合うこともなく、普通に接することが
できた。

 けれど由海となるとどうだろう。広也はひょっとすると「璃子の友達だから」とか言って
仲良くするかもしれない。いやでも、その気があるのならもうすでに彼女に近づいているだ
ろう。そうでないということは、彼女に気がないということが窺える。

 だけどなんとかしなきゃという気が私の心の中で渦を巻いていた。今となっては親友のは
ずの由海が醜い女王のように思えた。

 なんとかして由海の告白を阻止したい→あの子からその気をなくしたい→それはきっと無
理だ→ではどうしよう?

 一つの策が頭に浮かんだ。

 だけどこれを実行すればきっと私はただでは済まされない。だけど広也と付き合っていら
れるならもう自分の身はどうなったってよかった。


 次の日。

 朝いつも通りの時間に起き、通学カバンの中に必要なものとカッターをしまいこんだ。そ
して制服に着替え、朝食も食べずに家を出た。なのでいつもより早い通学となる。早くに学
校に行くと、私は誰もいない教室の一番窓側の後ろへと駆け、そこから一枚のメモ帳を取り
出した。そしてその中の一枚にあった紙を切り取り、自分のポケットの中にしまった。同時
にカッターを胸ポケットにしまい込んだ。これで準備完了。あとは椅子に座り、黙って下を
向いていればいい。

 
 あ、璃子ちゃんおはよう。

 
 あいつが学校にきた。今一番憎い女だ。私は何の返事もせずに俯いたままをぶっ通した。
由海は心配げな表情を浮かべて私に近づいてくる。私はそのとき「今だっ!」と心の中で呟
き、顔を上げた。



由海ひどいよ。


 え?


 私はちょっと、と彼女を促し席をたつ。由海はさらに不安げな表情になったまま黙って私
についてくる。

 入れ違いに教室に入ってきた広也が一瞬私に目を向けたが、私は合わせることなく彼を無
視した。


 ねぇ璃子ちゃん。一体どうしたっていうの。私なんかした?


 なんかしたって……。この紙が私の机の中に入ってたの。この字ってどうみても由海の字
だよね?ひどいよ。こんなこと書くなんて……。


 えっ…そんなの私……璃子ちゃんの机に入れてない……。


 うそよ!だってこれは由海の字でしょ?昨日山城先生がむかつくって言って書いてたの、
本当は私に向けた言葉だったのね……。


 私そんなことしてないよっ!それをいれたのは私じゃ……。


 ここで私は由海に向かってカッターを突き出した。


 ちょっとかわいいからって!いい気になってひどいわ……。私のこと友達ともなんとも思
ってなかったのね。結局あなたは……私にとっては裏切り者よっ。


 璃子ちゃんやめて……!



由海はもう必死だった。カッターを持つ私の右手を抑え、きゃあ、と悲鳴を上げている。


 ……わかった。許して上げる。
 だけどもしこれ以上こんなこと続けないように、あなたには何か罰を言わないとね……。


 私は何か考え込むふりをした。以前カッターは突きつけたままだ。運良くトイレには誰も
やってこない。


 そうだ。由海の好きって言ってた瀬戸くんのこと、みんなに言いふらそうかしら。
 

 やめて……それだけは……。


 もはや恐怖で声のでない由海に対してもなぜか私は冷静だった。よくこんなひねくれた演
技ができるなと、私は自分の性格をつくづく恨んだ。


 ならもう私に近づかないで!好きな人がいるだとか、親友だよねだとか演技しなくていい
から。もう一生話しかけないでね。


 そんな………。


 あとこのこと言ったらもうただじゃ済まさないから。


 バレるのは時間の問題だと思った。由海は何も言わずに俯いた。

 私はしくしく泣く彼女をよそにトイレからでた。みんなの行き交う廊下では何事もなかっ
たかのように平然と歩き続けた。


 その後、由海は約束通り二度と話しかけてこなかった。高校は別々になった。由海とは三
年生のときにクラスが離れ、私は重苦しい空気を吸わずにいれることにとてもほっとした。
広也との関係は今でも続いている。無論彼は私と由海との絶縁関係を見てもなんともいわな
かった。むしろ、私がしたことに気づいているようだがそれを黙っているようにもみえた。
けれど私に対する態度が変わったわけでもないし、気にすることはなかった。


 だけど今でも由海の顔を思い出すと胸がちくちく痛む。彼女の恋を応援することができな
かった自分の憎さを、私はいつまでもカッターをみて思い出さなければいけないと思ってい
た。そして、私は今でも彼女の痛々しい心を償うために、あの日のことを忘れないようにし
ているのだ。その償いはあんなことをしてしまった私には一生に課せられた罰だ。

Vague love

ーAfterwordー

璃子ちゃん目線の
小説でした


出来はいまいちです(笑)

楽しんでいただけなかった方
申し訳ありませんでしたm(_ _)m

次から
ジャンル変えなきゃだめかな……w

Vague love

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更新日
登録日
2010-10-25

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