少数電波ラジオ

くだらないものを一回短編で書こうと思ってまして
思いつきですが、よろしくお願いします。
最近アドレス帳の名前が全部ポケモンに変わるというイタズラを受けました。

僕はラジオが好きだ。
遠くで誰かが面白い話や身の上話やどうでもいい事をテンション高く喋っている。
彼らはどことなく魅力を隠し持っていると思う。
引き込む力がある。それはプロデューサーや構成作家や音響の方、勿論MC達の共同作、いわば合作の作品なのだ。
作品を電波という不可解なものに載せてふわふわと僕の元に届ける。
電波とは偉大だ。見えないものは実に偉大なのだ。
これはそんな深い話ではない。期待しないでいただきたい。

僕はただ一人だけの世界が好きなのだ。そこに介入してくる他人等眼中になく、耳にも入らない。
僕は僕だけのものだ。
しかしそうは問屋がおろさないようだ、僕の目の前に広がる手紙の山。
甘いものが苦手な僕には目に毒程のチョコレート。
女人からの思いの丈と努力の結晶。
何も僕は鬼ではない。これらを遠くで苦しむ恵まれない子供に目隠しをして、喉から手が出るほどの栄養分を灰に変えてしまう事はさすがに容易ではないのだ。

前振りが長くなってしまった。
僕は、バレンタインデーが嫌いだ。

一つの手紙を開いた中には、わけの分からない哲学電波が書かれていた。


自分の為に生きても人生は一人分しか生きられないが

他人のために生きればその人生の数は何倍にもなる。

私と付き合え。


「意味わかんねーよ電波女」






朝、目覚めると時計は8時を回っていた、今日も遅刻だ。
夜中までラジオを聴くのはどうも朝寝坊という代償を支払わなくてはいけないらしい。
耳が痛い、イヤホンを一日つけていたせいだろうか
ベッドから降りて居間に行くと今日も書置きと朝飯の卵焼きが用意してある
両親は友働きで朝が早い、一人息子の俺を放っておいて家族のためにせっせと働く親。
実に堅実でありがたいではないか。最近はそう思うようにしている。卵焼きの味も上手くなったし。
朝寝坊はし放題だし。しかしそろそろ出席に響くので後数回しか天国の朝は味わえない。義務教育め。
用意をしてとぼとぼと学校へ向かう。行きたくは無い。決して。しかし行かなくてはならない…

改札に入る所で同じ学校の制服を見つけた
やばい。
これは“朝のあいさつ”のタイミングだ
見つかると嫌だ。
別に面識もなく多分自分が知る範囲外の生徒であるが、可能性は消したい。妄想の中で終わらせたい。
サッとかばんの中に手を入れ、MY防御シールドを展開。
装着して作動。この時間は好きな番組はなくクラシックしか流れていないので、IPODの録音を聞くことにしよう

「さ、今回も始まりました深夜にレイディオブレイGO!という事で、毎回様々な著名な方をお招きし、あんな事やこんな事を聞いちゃおうというこのラジオ、今夜ブレイ・・・GO!!」


耳にイヤホンを装着したのはいいが、今朝の激痛がまだ残っている。痛い。
背に腹は変えられず。俺はそのまま下を向きやり過ごす
こうしていると外界との接点が全て遮断されたかのように、目に映るものが全て風景と化す

「ほほう、ではあの警察の車の中ではそんな会話があったんですねぇ。僕、あそこは喋っちゃいけないもんだと思ってましたよーいやーだって、顔とか隠されて、警察の方に挟まれて棺桶みたいじゃないですかー(笑)」


しかし気を許せば、DJの緩いギャグに自分の表情も緩んでしまっては目もあてられない。
ここは人ごみだ、それだけは避けたい。

そうこうしてる内に学校に着いた

「・・・」

やはり来たくなかった。
いや、できれば今日そのものが俺の記憶から消えて学校という存在事態を今日一日だけ消してほしかった。

「あ、発見!!」

「キャー!先輩ー!」

「ステキー!」

ドッと女生徒達がコチラめがけて押し寄せてくる
その手には大から少のプレゼント袋を抱えている。
俺は後ずさりをした。しかしここで逃げてはだめだ

「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」

後ずさりをしかけたその足を軸足にし、前方にダッシュ。飛び掛ってくる女生徒Aの懐をすり抜けた。

「あ、そうそう、今日は何の日かご存知ですか?」
「はて、今日は何日だったかな?」

次に右から来る女生徒Bを背中で受け流し、女生徒Cのスライディングをジャンプで間一髪の所で避ける。

「僕この日に良い思い出ないんですよねー」
「はは、私も刑務所の中でしたよ、去年は」
「AHAHAHAHAHA」

しかし空中には女生徒DEFが待ってましたと降り注いでくる。俺は素早く脚より先に地面に手を付き、地面に身を倒し、そのまま3人の股下を転がった。この体制ではのしかかられたら終わりだ。足に重心を移動させ、手を使わずに立ち上がると、前方から襲い掛かる女生徒Gの肩を掴み馬とび。次に女生徒Hの背中に着地し、次々と女生徒の背中、肩、頭を踏み台にして校舎に進む。

「そういえば、看守に一人女性がいましてね、これがもう僕たちのアイドルでして」
「ほうほう」
「その時丁度去年の今日だったので、言ってみたんですよ、”甘いものが食べたいなー”って!」
「ほほう!」

あと少しで校舎だという所で、女生徒とは思えない体格の女が校舎入り口を阻む。
入り込む隙がない。
俺はとっさに、高くジャンプし、その女生徒が繰り出す拳を足蹴に、頭をジャンプ台にし一気に大ジャンプ。
校舎2階の廊下にそのままダイレクト入門。

「そしたら、”自分のケツでも舐めときな”って!まさかの毒舌女だったんですよー!あっさりふられちゃいまして」
「あちゃー」
「ま、今こうしてるのも、テメェのケツをテメェで舐めたお陰なんですけどね!」
「そりゃ拭いたでしょうが!」
「AHAHAHA]
「それではお別れの時間が来てしまいました、皆さん良いバレンタインを!」

チャンチャラチャン…♪

「はぁはぁ・・・DJ質落ちたな・・・」

ピッ

ちくしょう…なんでこんな…くそ…と、息も整わず、廊下で立ち尽くしている
丁度録音したラジオが終わりを告げた。

今日の日付は2月14日
バレタインデーだ。

俺は、なぜか女子にモテる。


異常に。





後半へつづく

少数電波ラジオ

全後半にするつもりはなかったのですが。
続きはまた今度。

少数電波ラジオ

ある少年の2月14日を淡々と述べる日常短編ストーリー 孤独な少年は悩みを抱えていた。異常にも残酷な。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2010-10-13

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted