ココアTIME

毎週金曜日の、この時間が好きだ。そして、この時間、場所以外でココアは飲みたくない。
詩織が横にいてくれて嬉しい。でも、なぜか、苦しい・・・

毎回の日課で知った、魚の名前。

『カシュッ』
缶の開く音があたりに響いた
「ふう、やっぱこのココア、さいこーだわ!」
詩織は、『モリシタ』のココアを飲みながら、そう言った
ここは塾のロビー。私たちが通っている塾の授業が終わった金曜日の9時半、私たちはココアを飲むと決めている。
「いやー、このコクがなかなかすばらしいんだよね~♡」
と、言いながら、私が詩織の肩によしかかると、
「ちょっ!!やだ、真智、やめてよ!!!」
『ドサッ!!』
私を突き飛ばしてくる。案外痛い。
「サーセン(-_-;)」
毎回同じようなことを繰り返しながら、ココアを飲み干す。
学校であったウザったらしいことも全部、全部詩織の前だから話せる。本当に幸せだ。

「付き合っているの!?」
それは、塾の休み時間のことだった
同じクラスの友達が、私と詩織に恋愛相談をしているときのことだった。
「私、高校行ったらカレシできんのかな・・・」
詩織が、不意に言い出した言葉。やけに胸の端が痛くなった。
「ホント、好きな人とか全然現れないし、カッコいい人もいないし、なんでだろうね」
詩織が言い出した時、私は一息で、
「しーちゃんは、高校じゃカレシできんわー」
なんて、本当は思っていないのに、思いっきり嘘が出た。もちろん怒られた。
詩織の怒り声が聞こえるたびに、私の胸の痛みは酷くなる。終わった後もまだ痛みは止まない。

「高校に行ったら、絶対カレシ作る。」
いつものココアを飲みながら話す詩織の言葉に、
「まだ気にしているの?子供だなあww」
なんて言っていたけど、実はすごく気になる。私たちは志望校が違うから、本当に彼氏ができなければいいと、今、本気で思ってる。
サイテーだと実感しているが、もう、そう祈り続けていた

家に帰ると、私はすぐにPCを立ち上げて、相性占いを、『詩織×真智』でずっとやっていた。
たまたま見つけた相談サイトに私は、
『その人といると、胸が痛くなる』
と書きこんだら、すぐに返信が来た。
『それは恋です。頑張ってください。』
と帰ってきた。正直、信じることができなくて、頭の中でぐるぐる回り続けた。女を好きになったこと、詩織が好きなこと。
考えていればいるうちに、頭の中で、『恋』が、『鯉』変わっている事が少し笑えたが、また直ぐに、ぐるぐるし始めた。
どうしようか考えているうちに、私は眠っていた。

何で・・・?

~次の日、PM10:30~

『好きな人ができました!』
「・・・どんな返信来るかな?」
なんとなく、詩織本人にメールした。すぐに返信は帰ってきた
『えっ!?誰?教えて!!!!』
私は迷った。人生で初めて好きな人ができた。私は、できるだけ彼女だと分からないように本文を作った。
『うーんと、可愛くて、ツンデレで、メガネで・・・一緒にいて楽しい人!!!(女)』
・・・まあ、日本語は間違えてないだろう。ばれないようにもなっている。想像してた通りの返信だった
『あははーww・・・嘘でしょ?それより、私じゃないよね?』
私は詩織とは言わずにメールをしたのによくわかったなーと思いつつ、どういう意味だか、よくわかった。
『大丈夫、しーちゃんじゃないからww』
なんて、嘘。詩織なんだよ。しーちゃんが、好きなんだよ。
『そっかーwそれは良かった。応援するよー!それじゃあ、もう寝るね!おやすみ』
私はどんな表情をすればいいのか、わからなくなった。多分本人に直接言っていたら、私は、絶対ぶっ倒れたと思う。
「なんだってんだ・・・もう・・・・・・」
私はやけくそになって布団にもぐった。

~次の塾の日。(水曜日)~

学校では、ポケ~っとしていることが多くなった。
唯一、考えていることは、詩織のことだけ、それ以外考えられなくて、今日までが、とても長く感じた。
「し――――――ちゃ――――――――――――ん!!!!!!!!!!!!!!!!!♡」
私はわざとらしく、飛びついてみた。いつも通り、突き飛ばされた。
「もう、何するのよ!!!」
「いやん♡そんなこと、言わないで♡」
私はいつも道理に接する。押しつぶされそうな痛みを耐えて、私は笑顔を作った・・・

誕生日プレゼント!

2月4日~11:12~

もうすぐ私の誕生日である。2月5日、早く来ないか待ち遠しかった。
『しーちゃん、もうすぐ私の誕生日だよ!!なんかちょーだい♡』
・・・なんて、本当に欲しいのは、詩織だって、言えない。きっと私は、一生、言えない。
詩織からの返信は、
『何か欲しいもの、ある?私の誕生日もあるから、私にもくれるならいーよ(笑)』
ああ、そういえば、詩織の誕生日は、2月24日と、前に聞いた気がする。私は、即座に返信を打った。
詩織が欲しい。と打ちかけたが、私はそれを消して、まともな文章を打つことにした。
『うーんと、春休みに、二人でカラオケとか・・・どうですかね?』
怒られると思ったが、返信は私の期待以上の文章だった。
『いいよーそれなら、街で遊ぼっ!!!カラオケ代は私が払うから、羊の助のストラップ買って!』
私は、嬉しくて、暴れた。ううん、そんなレベルじゃない。叫んだ。
『やったー!!!!!生きてて一番幸せだーーーーーーーー!!!!!!!』
『うーん、それじゃあ、取り消そうかな(笑)』
詩織の返信は、やはりいつも通りだが、明らかに詩織もうれしそうだ。

ココアTIME

ココアTIME

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-02-08

CC BY-ND
原著作者の表示・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-ND
  1. 毎回の日課で知った、魚の名前。
  2. 何で・・・?
  3. 誕生日プレゼント!