支配された女 ~true love search~

支配された女 ~true love search~

私はまだ男性経験がない純粋なOL。 初めて好きになった会社の上司。 上司に徐々に支配されていく私。 抜けられない罠、薬、洗脳、暴力、監視。 一体この愛の真実は何なのか? この愛の抜け道は何のか? 支配された女性と支配する男性を描いた 究極の恐怖の大人の恋愛事情。 果たして本当の愛を掴む事は出来るのか?

第一章 上司との出会い

私は現在35歳の幸せな専業主婦。しかしなんと私は過去人を殺した殺人犯でもある。

殺した男は当時35歳の会社の上司。

私は今の旦那と結婚するまで、男に支配され、愛に支配され、愛に溺れ、愛の虜になって生きていた。

私は本当に愛を掴むため、人を殺さなければならなかったのである。

その殺した男は私の会社の上司。

現在の私の夫は私の会社の先輩の同僚。

なぜ私が上司を殺さなければならなかったのか?

それは遡ること10年前、私が大学を卒業して、ある出版会社に就職した時からこれは運命の定められた因果のようであった。

あの頃の私、今思えば恐怖の地獄の住人であった。






10年前

「お母さん行ってきます」私は母に元気良くこう告げて、晴れやかな4月の温かい青空の下、元気よく玄関を飛び出した。

辺りは春の木漏れ日が射す、陽気な4月。今までの長い冬の寒さと一転して、草木が芽を出し、小鳥の声が軽快に聞こえるそんな季節の到来である。

OLスーツに身を包み、私は家の20メートル先のバス停まで、パンを頬張りながら駆け足で走っていった。

走りながら行き交う人は、皆幸せそうに見え、まるでこの世は天国であると一人で錯覚するほどの光景に見える。

今日から社会人1年生。私が勤めるのは都内でも中堅クラスの出版会社。競争率10倍とも言われるこの会社に、入社試験7回目でようやく内定が出た会社である。今日から初出社である。

大学時代は文学部に通い、心理学を専攻していた。小さな頃から人の心理、思いなどに非常に興味を示し、何でもすぐ没頭する性格であるが、外面的には社交的な部分もあり、
大学でも人気者でもあった。

心理学に興味を持ったのは、もう一つの要因が存在する。

それは自分が他人の意見や行動に非常に影響を受けやすい事。
小さな頃からも、人が持っている物や洋服などが欲しくてたまらなくなり、
好きな同級生が廊下で私の横を黙って通り過ぎただけで、
自分が嫌われたと思い、数ヶ月その事で悩み続けた。

他人に影響されやすい、他人に縛られやすい性格が私の特徴である。

私の名前は渡辺理沙。どこにでもいるごく普通の女性である。

バスの中で朝食のパンを食べ終わり、ふと手鏡を覗いた。

そこにはこれから大好きな出版の世界で生きていく、
満面の笑みを浮かべた陽気な私がいた。

この満面の笑みには実は他の理由もあるのだ。

化粧の最終チェクをした頃、バスが停まり、私は320円を払いバスを降りた。

数分歩くと建っているビルのワンフロアが私の職場である。

なぜこんなに私は緊張していないかと言うと、
面接時の帰りに、ある男性面接官に会いその面接官にこう言われたのだ。

「きっと受かると思うよ。一緒に仕事出来るの楽しみにしてるよ」

この男性は30歳少し過ぎたぐらいの文系的教養人の風貌と話し方をする私の理想の男のように私には映った。
私はともて親近感と憧れを覚え、この面接官の男性を忘れる事が出来なかったのだ。

今日この男性に会えるかもしれないと思うと、本当に私は早く職場に行きたくてウキウキしているのだった。

ビルの3階のフロアに足早に階段を駆け上がり、ハアハアと心拍数を上げ、
大きなフロアのドアを開け、部屋に駆け込んだ。

時間は8時37分 出社時刻の23分前。フロアーを見渡すとほとんどまだ誰も来ていない。
ガランとした机が並ぶ殺伐とした雰囲気。机の上には多くの資料や文房具、パソコンが乱雑に置かれている。

これが私のこれからの仕事現場。なんだか身が引き締まった思いが自分を支配した。

ボヤ~っと立っていると、すっとフロアーの奥から声がした。

「渡辺君、おはよう、久しぶり」

目線を右奥の壁際の席に向けると、そこにはグレーのスーツを着込んだ、
私の頭と心に住みついていた、あの面接官の男性がニコッと笑って机に座っていた。

彼はまるで、私が小さな頃から夢に見ていた理想の男性のようであった。
身長は180センチぐらい、髪の毛は少し長めのカールがかかった髪で、
黒縁のメガネをかけている。それが何より知的な優しい男性そのものであった。

「おはようございます。お久しぶりです」

理沙は恥ずかしそうに、まるで心が宇宙を漂っているような心境で、
男性をチラッと見て恥ずかしそうに挨拶をした。

まるで高校時代に、好きな野球部の男性と廊下ですれ違ったようなあの時の感覚が
理沙の体に込み上げてきた。こんな事何年ぶりなのだろうか?

「理沙さんの席はそこだよ」

彼が指さした席は、彼の正面のすぐ真ん前の席。

「この会社では新人は上司のすぐ前と決まっているんだ、それのほうが何かと指導、指示しやすいからね」

彼はきれいに整った白い歯を少し見せ、くったくのない笑顔でそう言った。
私の心臓はバクバクし、今にも小さな口から心臓が飛び出してくるかのような感覚だった。

「はじめまして、いや初めてではないね。私はこの出版社の企画部長の古池、
今日からあなたの上司です。あなたは今日から私の企画部の部下」

歯切れがよい、しかし何か温かい口調で彼は私にこう告げたのだった。

理沙はまさか夢にまで見た彼の下で働ける喜びに打ちひしがれていた。
すぐ目の前に彼がいて、ずっと仕事が出来るなんて、もう天国に住む住人のような
幸せな気分、しばらく頭がボ~っとするような感覚。
自分が好きな恋愛小説を読んでいるようなあの感覚に襲われた。

その時古池がコーヒーを持ってきて私にこう言った。

「何か分からなければすぐに私に聞くように、何でも教えるし、相談にものるから」

私は嬉しさのあまりうわずった声で、
「はい、今後ともご指導お願いします、よろしくお願いします」

古池はにこっと笑ってすぐ目の前にある自分の席に戻って行った。
古池の席は、整理整頓がされており、小さな観葉植物が数個机の上に配置され、
本当に人柄の良さそうなイメージを周囲に放っているようだ。

私が務めている出版会社は、主に主婦向けの雑誌を出している東京でも中堅クラスの出版会社である。

有名どころだと「主婦雑誌 きれいな主婦になろう」がある。
これは一般的などこの書店でも置いてある、発行部数80万部を超える主婦向けの人気雑誌である
私の仕事をその企画部で雑誌向けのアイデアや企画を担当する事。

「まずは、もうすぐ出社する高橋さんの下で一緒に仕事するように」
古池がそう言った直後に、
「おはようございます」と元気な声で30歳ぐらいの背が高く、スタイルの良い女性が出社してきた。

「おはよう、あなたが渡辺さん?はじめまして、私あなたの指導役の高橋です」

彼女はピカピカに磨かれた白い歯と愛嬌のある満面の笑みで私に握手を求めた。
私は少しもじもじするような態度で、彼女と握手した。
彼女の握手の力は相当なもので、活動的な憧れのOLみたいな感じである。

出社時刻5分前になると、続々と社員が出社してくる。
総勢30名ほどの社員が瞬く間に席に着いていた。

フロアー内は、営業部、企画部に分かれており、ついたてで区切られており、
企画部は私を含め7人であった。

私は先輩指導役の高橋さんと一緒に会社を出、主婦が集まる商店街に向かった。

「この会社は主婦向けの雑誌がメイン。だから主婦の実態や生態、好み、趣向など
あらゆる物事を肌で体験しないと。」
私は高橋に連れられて会社から5分の場所にある商店街に足を向けた。

商店街は活気づき、多くの商売人の生きていく力強さを肌で感じる。
商店街に入ったすぐの所にある、喫茶店に高橋と入って行った。

「朝ご飯食べてる? この仕事は夜の10時頃まで当たり前のように働くので、
食事は体の源、食べないと良いアイデアも思いつかないし、仕事にならないよ」

高橋は注文を聞きに来たウエイターに「久しぶり、モーニング2つ」と言って微笑みながら注文をした。

しばらくして出てきたモーニングは、「トースト、ゆで卵、サラダ、バナナ、ヨーグルト、コーヒー」というオーソドックスなモーニングだった。これが400円とは本当にお得である。

高橋が言うには、企画の仕事は街を歩き回り、記事に出来そうな物事を徹底的に見つける事が重要らしい。そして自分で企画をまとめ、それを上司の古池にプレゼンする形で仕事が進む。そして採用された企画を、制作部に渡し、制作部と二人三脚で記事にしていくのだ。

理沙は幼少期から一人で妄想にふける癖がある。学生時代にもよく授業中ボ~っとして先生に怒られたものだ。小学生時代には、その妄想癖で男子の同級生にいじめられた過去も持つ。

モーニングを食べている間に、古池の事が気になり始め一人で妄想の世界に入っていた。

「渡辺さん、何をボ~っとしているの」先輩の高橋が少し笑いながら質問した。

「いえちょっと考え事がありまして」理沙は照れくさそうに頭をかきながら答えた。

満腹になった所で、商店街を見学し、近くのデパートに入り、主婦が集まる喫茶店で主婦の話に耳を傾け、11時半頃に会社に帰った。

古池は黙々とパソコン作業中で、私の事はお構いなくのような感じ。
なんだか寂しい気分になっていた。
あの朝の優しい態度は何だったのだろう?私に面接時声をかけたのも、彼にはどこの誰にもするような当たり前の事なのだろうか?

そんな事を一人で妄想しながら、理沙は机について、先輩の今までの企画に目を通して、
勉強をはじめた。

その日は古池は退社時間まで私に何も話しかける事もなく、なんだか寂しい思いと苦しい思いを抱えながら私はデスクで仕事をしていた。

退社時間になると、古池が皆にこう言った。
「今日は新人の渡辺君の歓迎会を行う、これから近くの居酒屋 源六に集合」

久しぶりに聞いた古池の少しハスキーがかった声により、私の体の女性ホルモンは
一気に溢れ返るような感覚だ。

もうこの時から私は彼の洗脳にかかっていたのかもしれない。
彼の声と彼の動き、彼の容姿が、私を支配し始めたのである。
心理学的には、私は彼の支配下に置かれおり、マインドコントロールされているかの如くである。

歓迎会では私の横に高橋先輩と同僚の飯田先輩に囲まれ、古池は少し遠い上座に座っていた。

初めて口にするビールというまずい飲み物に格闘しながら、理沙はすっかり良い気分になっていた。なんだかいつもとは違い、妙に口が滑り出し、過去の自分や自分の性格など自分自身の事を幾らでも話している自分がそこにいた。

古池は平静を装い、ずっと私の話に耳を傾けていたが、たまに私の話しに入ってきて笑ってくれたりもした。

企画部は総勢7名。古池以外は全員女性である。平均年齢は32歳であり、皆まだ若いバリバリのOL集団である。

古池は社内でも、会社を創設当初から今の中堅出版社にした立役者の一人であり、敏腕の実力が評価され、社内でも一番発言権が強い人間であるが、そんな感じには全く見えないほど人の良い、感じの良い教養的な上司であるかのように感じられた。

私があまりにも酔って気分が悪くなり、一人で居酒屋の前のベンチで酔を冷ましていた時に、古池が店内から出てきた。そしてそっと名刺を私に渡した。そしてこう言った。
「なにかあればすぐに私に電話かメールして、何でも相談にのるから」

彼はニコッとくったくのない微笑みを浮かべ、私の肩をポンと叩いて店内に帰って行った。

これが私と古池の体がはじめて触れ合った瞬間である。
今後私は何度もこの古池の体を味わう事になるのだが・・・・。
私の半分酔った体が、彼のボディータッチで極度に快感を覚える感覚をしばらく忘れる事が出来ない状態であった。

男性に触られた事は小学時代以来、近所の男友達と手を握って学校から家に帰ったあの時以来である。

まだ男性経験のない理沙にとって、古池は性の対象でもあり、理想の男性でもある。
理沙は居酒屋の前のベンチで、一人恍惚の状態で我を忘れ、異世界に旅だったおとぎ話の
お姫様のようであった。

歓迎感が終わり、皆自分の入社を心から祝福してくれたのである。

私は先輩達と相乗りで自宅までタクシーで帰った。タクシー代も古池が1万円札ポンと私達に出してくれた。本当に理想の上司である古池。

先輩に別れの挨拶をし、理沙はホロ酔い気分で夜中の10時半に家に帰宅した。
理沙の家族は初めての娘の出社に心配していたが、
歓迎会の後の理沙を見て、少し安堵の表情を浮かべて理沙を玄関で迎えてくれた。

理沙はそのまま部屋で眠りについた。明日は日曜日休日なのである。
古池との再開、自分の好きな仕事、優しい頼れる先輩達、
本当に理沙は最高の瞬間を迎えた社会人であり、
人生こんなにうまく行って、幸せで良いのかと頬をつねりたい気分であった。

理沙の弟の大学生の隆は、姉を部屋まで介抱しながら、
こんなに幸せそうな姉を初めてみるかの如く、なんだか嬉しい気分を感じていた。

場所が変わり、夜も更け、辺りの人通りもまばらになったそんな東京の片隅の時間に、会社から近いあるカフェにその男はいた。

その男は古池である。

その時古池は、居酒屋を出て24時間営業のカフェで一人でコーヒーを飲んでいた。
社内と居酒屋で見せた彼のスマートな優しい瞳とは打って変わり、
まるで獲物を追うかの如くのするどい眼光であった。

彼は鋭い眼光で手帳にメモをしていた。何を書いているのだろう。

手帳の見出しにはこう書いてあった。
「渡辺理沙の全て」

古池はそっとコーヒーを飲みながらタバコをふかし、
ゆったりとしたジャズの音楽とタバコの煙の中で、そっとニヤついた笑みを浮かべるのであった。

ウエイトレスの「お水お変えしましょうか」という問いかけにも彼の耳には全く届かない。、ただ手帳の「渡辺理沙の全て」という文字を見つめ、嬉しそうに笑みを浮かべるだけであった。

続く

支配された女 ~true love search~

最後までお読み頂きありがとうございます。次章も期待頂ければ嬉しい限りです。
【連載間隔 一週間に一話づつ】

支配された女 ~true love search~

私はまだ男性経験がない純粋なOL。 初めて好きになった会社の上司。 上司に徐々に支配されていく私。 抜けられない罠、薬、洗脳、暴力、監視。 一体この愛の真実は何なのか? この愛の抜け道は何のか? 支配された女性と支配する男性を描いた 究極の恐怖の大人の恋愛事情。 果たして本当の愛を掴む事は出来るのか?

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更新日
登録日
2014-01-26

CC BY-NC-ND
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