怪人の恋

好きな人。
大切な人。
大好きな人。
守りたい人。

見ないようにしても、何度も何度も見てしまう。
彼女の笑顔には色がついている。
音がついている。
そんな彼女を見ているだけで僕はついている気持ちになる。

欲望は加速度的に我慢を食い散らかす。

見ているだけでよかったのに。
彼女の声を聞いているだけでよかったのに。
背中で彼女の存在を感じているだけでよかったのに。

欲望は加速度的に小さな幸せを食い散らかす。

もっと近くにいたい。
もっと君を見つめていたい。
もっと君とふれ合いたい。

もっと、もっと、もっと

好きな人。
愛している人。
守りきれない人。

君の目に僕はうつっていない
君の心に僕はうつっていない



君のことを好きになればなるほど、
僕は自分のことが嫌いになる

君のことを好きになればなるほど、
君が僕のことを好きになればなるほど、

君のことを不幸せにしてしまう僕

君が僕のことを好きになればなるほど
当たり前の幸せが遠くに過ぎ去っていく

「それでもいい」なんてドラマみたいな君の言葉を
僕は望んでいるのか?

「君がそばにずっといてくれるだけで二人は幸せだね」

そんな夢見る少年のような言葉を言っていていいのか?

怪人の恋

怪人の恋

君の心にぼくはうつっているの? ぼくは、君が...

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-09-23

CC BY
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