孤独な鴉の戦唄

戦う。
相手は関係ない。
戦う。
故郷の為に。
戦う。
守るべきものの為に。
戦う。
誰かの為に。

理由はいらない。
ただ、恩のため。
鶴のようにはいかないが、
鴉は己が羽根を振りまいて。

一人だった鴉を拾った者がいた。
そこは、いつしか鴉の故郷となった。

故郷を、
仲間を、
誰かを守るため。
鴉は山猫に噛み付いた。

たった一人の鴉。
そんな彼にも友がいた。
同じく、故郷を守るため。
白い鴉は戦っていた。

鴉達は戦う。
己を喰らわんとする山猫と。
それら以上の何かと。

腕がもげた。
まだ脚がある。
眼を抉られた。
まだ耳がある。

負ける訳にはいかない。

戦え。
羽は全て落ちた。
戦え。
爪は全て折れた。
戦え。
命の灯火はまだ消えてないだろう?

全てを壊す、絶対的な力。
求める鴉は破滅を呼ぶ。

鴉の前に立ちはだかったのは、いつかの白い鴉。
愛する仲間と故郷の為に友を殺す。
それが与えられた選択。

どちらかが生き、どちらかが死ぬ。
例外はない。
それが彼らの力の代償。

共に何かを守るため。
友は目的を同じく敵となる。

赦しは乞わない。
存分に恨むといい。
だからお願いだ。

友よ。

先に地獄へ行ってくれ。

孤独な鴉の戦唄

孤独な鴉の戦唄

アーマード・コアのとあるMADのオマージュ(でいいのかな?)です。 鴉は、他者の血肉を喰らいて伝説となる。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-11-01

CC BY-ND
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