夏 夜 湿り

夏 夜 湿り

老婆は何を見たのか、、、、

肌寒い夏の夜、、、、

涼しいわな 老婆は言う

半袖やと肌寒いわなぁ

そう言いながら 老婆は腕を摩(さす)る

外は闇 時計は夜10時を回っている

雨が降りましたからね

すうじかんまえに降った通り雨が
夏の蒸し暑さを和らげていた

ほんまかえ
全く気づかへんかったわ
晩飯の後片付けしてたからかのぉ

すると、老婆は不意に当たりを見回し
     
昔ここで人が殺されたんや
それも 多くの人が
わしも追われて必死で逃げたんや
怖い 怖い

老婆が先か こちらが先か 
互いに目をそらした

老婆は震えていた

外は闇 時計は夜10時を回っている

今は こんなに綺麗な建物が建っておるが
昔ここは人が殺されたんや
それも 多くの人間が
わしも追われて必死で逃げたんや
怖い 怖い

通り雨が降り去った 少し肌寒い夏の夜

外は闇 時計は夜10時を回っている

夏 夜 湿り

春でもなく 秋でもなく 冬でもなく
夏の夜に起きた事に何か意味があると思い下記留めました

夏 夜 湿り

老婆は80歳を越えていてやせ細っている 愛すかる人は亡くなり独り身かもしれない 老婆は何を見たの、、、、感じ取ってみてください

  • 自由詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-09-05

CC BY-ND
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CC BY-ND