じもふ! No,4

じもふ! No,4

今回イラストを用意してみました。
自作ですが、下手ですね。ごまかし程度のぼかし。
それはさて置き、早めのアップです。

その後

「…大介ぇ〜おぉ〜い…」
気絶してぶっ倒れている大介を糸井はよびかけてみたが、反応はない。
「ったく…さすがに背後を棒で殴るのはどうだろうか?雫後援会の皆さんよぉ。」
糸井の視線が自分を囲う自分より小さい男子たちを捉える。
「こいつがどうなろうが…まぁよくねぇか…というか、俺を殴ったやつだれよ?流血してんだけどさ、俺も気絶したかったわ。しっかり殴らんかいな。ほらあかんでわぁ。」
だんだん阿波弁訛りになってくるのはイライラしている証だ。そのことにまたイライラする。
「お前らが雫様に馴れ馴れしくするからだ!」
どうやらそう叫ぶのがリーダーらしい。160cmくらいで、糸井は興味なさそうに見下す。
「お前らさぁ…」
一同を睨みつける。数人は肝っ玉小さい連中のようで後ずさりする。血が顔をつたっていることもあるだろう。
「コンタクト知らね?」
「バカにしてんのか⁉」
ちょっと遊び過ぎたか…しゃーない、最終手段発動するか…
糸井が自分のカバンから取り出したのは…スプレーガンの殺虫剤。それを構えると上にプシューと噴射する。本来はスズメバチ用のそれは肝っ玉小さい連中にはいい脅しだ。
「心配するな!どうせ撃てはしない!我らの強さを思いしれ!」
一般論だ。向こうも過剰防衛になることをしっかり理解している。だが、襲いかかってきたリーダーに向かって躊躇なく噴射する。もちろん顔に。リーダーは顔を抑えて膝から崩れる。周りもそれに動揺し糸井から離れる。
「目がぁぁぁぁ!うわぁぁぁぁ!」
リーダーが叫び声をあげる。が、糸井は嘲笑うような顔でしゃがみこんだリーダーに追い打ちをかける。なんと、完膚なきまで噴射し続けたのだ。
「お、おい…やめろよ…梶が死んじゃうだろ…」
血の気の失せた他のメンバーは助けに行く勇気も助けを呼ぶ気力も根こそぎ糸井の二チャリ顏に吸い取られた。
「やめてぇぇあぁぁ!」
リーダー…梶は気を失う。それを確認すると、糸井のおぞましい顔は他のメンバーに向く。
「俺はさぁ、別に他人が傷つこうが死のうが知ったことじゃねぇ。だがな、自分の身が一番大切でね。次に…仲間かな?…どいてくれるか?」
一気に道ができた。糸井は大介を担ぎ上げると悠々とその道を通った。
「あっ!そうだ〜今までの会話内容レコーダーに残しってから、部長に渡してもいいぞ?なんなら東田先輩に送るぜ?」
「た、助けてぇ!」
全員一目散に逃走していく。梶の回収を忘れそうな勢いで。
「気をつけて帰れよ!」
糸井は二チャリ顏でそういうのであった。

糸井は大介を家まで届け、たまたま帰っていた薫に傷の手当をしてもらうことになり、家に上がった。
時間的に店は営業中のため2階の住居スペースに通され、薫と大介の共同部屋に連れられた。2人が使うそこは、2段ベットと2人の衣服が十分に入るクローゼット、そして勉強机が2つある。6畳間の部屋はそれだけおいても床のフローリングに座ることができる。
糸井は薫が使っていた勉強机の椅子に座らされ、救急箱からガーゼで止血される。
「宇之数、あんたさぁバカだね〜相手に殺虫剤かけるなんて」
「薫さんが教えてくれたんでしょうが。中身は水でも殺虫剤の缶の中から出れば殺虫液だと思うって」
梶にかけたのはただの水である。これは昔、薫が教えてくれたのだ。
薫は糸井の頭の手当をしつつ、傷の具合を確認する。
「大したことないから安心しな」
「心配なんかしてないっすよ。それより情報感謝です。結構ギリでしたけど」
「元を正せば雫なんだけど。高圧的後援会に支援されちゃったってさ。そんでもって主体が1年坊っつてたから、あんたらに警告してあげようかなと」
「それも知ってます。でもなぜ自分だけに?」
椅子に座っていた糸井の後ろから首にしなやかな腕を回され、
「信頼よ。大介は演技下手だから。それに、あなたの方がね」
肩に顎を置き、耳元で囁かれる。今年で20になる薫は糸井にとって憧れのマドンナなのだが、たまに誘惑的なところがあり若干引いてしまう。
「よしてくださいよ。こういうのは苦手です。まだ15歳なんで」
「真面目ね。数年は待ってあげる」
糸井の想いはすでに知っており、その上でこのようなことをするので人が悪い。
薫のぬくもりから解放された糸井は、
「部長とも繋がってるんですね。そのことに驚きです。相変わらず顔が広い」
「美顔器買わなきゃ…」
「誰も顔がデカイとは言ってません。逆にそれ以上小顔になれば、若干引きます。175cmもあって今でも他の女子と比べれば比率的には小顔かと…何頭身ですか?」
「今は9かしら。」
などと薫との会話にはなにぶんよく道がそれる。そのことに苦笑するが、
「それちゃダメ?仕方ないな〜」
こちらの間合いが完全に読まれているので何も言えない。
「八島繋がりよ。あのアホぉが連れてきた。最初彼女かって思った」
「前年部長、八島守。今はハイシャロウ社の従業員。様々な人に精通し、多彩なネットワークを持つ。さすがに近所付き合いはしてたんですね」
「あったりまえでしょ。つながりとしては、私から八島、雫、杖本、そしてあんたなんだから。一応あんた達までの情報は入るのよ」
2年生の杖本までもが薫の手の者だったとはさすがの糸井も気づかなかった。
「よっぽど大介が好きなんですね。完全に監視状態じゃないですか」
「大好きな弟を守ってあげてるんだから、ありがたく思って欲しいわ。傷つくところはもう見たくないし」
もうってことは、すでに傷つくところを見たということか。
「過保護ですよ。まったく…」
糸井は作り笑顔で部屋から出ると、
「目が笑ってない。あんたもまだまだね。でもよろしく。宇之数頼りにしてるわ」
薫の指摘と頼みを背中で聞くと、思わず二チャリ顏になってしまった糸井だった。

糸井の出て行ったあと薫は下のベットに横になっているまだ目を覚まさない大介を眺めていた。
糸井のおかげで助かった。と言っても情報を与えたのは自分なのだが…
自分は平野部に行ったため、大介を守ることができない。大介の親友だった哲彦も平野部に出て行ってしまったようで、大介を助けてくれる人がいなくなったのだ。しかし、そこで現れたのが糸井だった。彼は中学の時の大介の友人だと言うのは知っていたが、糸井は自分に話しかけてきたかと思うと、大介のことは任せてください、とこちらの考えをくみ取ったのだ。あそこまでのキレ者だとは思わなかった。当時の過保護ぶりは意外と気づかれやすかったのかも。自分はできる人だと自負していたため、不覚をとった。そして不覚をとられた糸井に任せてみたのだ。
「この唐変木とは違ってね。頼りになるわ、宇之数…」
向こうは好意を感じているようだが、わざわざこちらから言うのは可哀想だと思い、こちらは待つことにした。
「う…うぅ〜ん…」
薫が糸井のことを考えていた時に、大介の意識が戻ったようだ。
「あれ…薫姉…?」
まだぼんやりとしているようではっきりしてないが、開口一言がこれなら問題はなさそうだ。
「大好きなお姉様が帰ってきたかと思えば…心配かけやがって…」
薫は大介の頭を撫でながらいう。姉の自分によく似て、髪を伸ばせば女の子として通用してしまいそうな顔。大学に入って一度も家に帰ってなかったので、2年ぶりの再会。可愛くなりやがって…なんとなく今度女装させてみようと決意した。
大介は身体を起こすと、
「なんでここに?」
質問を投げてくるのだが、それは「なぜ姉がここに?」なのか「なぜ自分がここに?」なのか。
「久しぶりに帰ってきたかと思えば、宇之数に運ばれてきたのよ」
「宇之数は⁉」
どうやら、姉より友人を選んだようだ。少し面白くない。ここは、「久しぶりなのに心配かけちゃったね」とか期待してた。が、唐変木だから仕方ないか。
「あいつなら大丈夫よ。その辺丈夫なやつだから。多少の流血はしてたけど。」
ため息交じりで話してやると大介はベットに寝転ぶ。
「明日お礼言おう。あいつがいなかったら今頃大変だったかも…」
「何をしてたの?宇之数はあんたが電柱に突っ込んで頭打ったってさ。本人は助ける際にドジったらしいけど」
あえて嘘をついてみた。すると大介は何か考えて、
「あぁ…うんちょっと動揺しててさ…」
曖昧にこちらの嘘を肯定する。姉に心配されたくないとでも思っているのか。そこが可愛らしいところでもある。
「帰るわ。親に挨拶しにきただけだし」
傍らにおいてあった荷物を持つと、大介の額に軽いキスをして部屋をあとにしようとするが、
「薫姉!…ありがとね」
呼び止められたかと思えば、少し嬉しいじゃない。薫は振り向き、
「よろしい。…雫にもよろしく」
大介はまだ雫以外に知らないだろう。薫との繋がりを持つ者たちのことは。
階段をおり、玄関で靴を履く時、ちょうど店の営業時間が終わったようで、父の武史がガレージをおろしている最中だった。
「お父さんじゃあね。母さんによろしく」
お父さんと呼ぶくせして母さんと呼ぶ。母の久美子とは仲が悪いのだ。理由は自分が理想の娘になれなかったからだろう。だから、逃げるように平野部に出て行ったのだが。
「おう!早いとこ旦那もらって来い」
「黙ってな。まったくもぉ〜」
武史はいろいろ疎いため、いろんな人と仲良くなれるタイプだった。冗談とも本気ともとれる一言を背に、
もう4年後くらいには糸井が告白でもしてくれるかしら?
と自分より2cmも小さいキレ者を思い浮かべるのだった。

「よっぽど大介が好きなんですね」
「傷つくところはもう見たくないし」
「過保護ですよ。まったく…」
「宇之数頼りにしてるわ」
…心配しすぎだバーカ。
意識が戻って薫の声がしたから耳をすませたら、糸井との会話だった。そこで様々なことを知った。途中で糸井のやつが意識に戻ったことに気づいたらしく、少し聞き出してくれたみたいだ。薫にとって頼れる友は、大介にとっても頼れる友であった。そしてばれないためにも今一度眠りについた。
本当に礼を言おう。

翌朝、心配してくれたらしい糸井が7時10分に迎えにきた。学校は8時35分からなのに、学校につくのは7時40分だ。いつもクラスの同じ糸井と3人目がくる8時15分くらいまで話をしているのだ。
「いってきまーす」
大介はカバン片手に家を出ると、
「よぉ。盗み聴き坊ちゃんよぉ」
片手をあげて挨拶してきた糸井だ。
「やっぱりばれてた?」
確認してみると、
「ったりめぇだ。人がマドンナと2人きりで話してたのによ」
「マドンナって…薫姉のこと?」
歩きながら聞いてみると、あっさり頷く。
「杖本先輩までもが繋がってたとはさすがに気づかんかったな…」
糸井は悔しそうに呟いた。が、
「僕としては宇之数がなんでって思うのですが…!」
「まぁまぁ…」
「受け流すな!」
自分の知らないところでいろんな人が繋がっている。そのことが一番のビックリだ。他にも薫と繋がりを持つ者たちがいるのだろうか。
「そんなことよりも、お前頭大丈夫か?少し腫れてたけど」
受け流されたので少しムッとしながら、
「そっちこそ。流血してたらしいじゃん。体丈夫なのか?」
「なんのこれしき。薫さんと話せたならこれくらいの代償払うさ」
糸井が笑うのでそれにつられて笑う。
「にしても後援会の連中が厄介だ。撃退する術もなくなったし。正式な数が把握できん。1年生のみとの情報なので、数は多くないと思うのだが…」
小木や杖本と繋がっていても分からないとなれば、活動自体ろくにできてないのではないか。東田の圧力か。
「東田先輩に言えば?」
大介の思う一番最善な策だと思う。助けてくれなくとも、多少の牽制にはなるだろう。
大介の提案を聞いた糸井は二チャリ顏で、
「楽しいゲームの始まりなのに、もったいないだろう。こっちにはレコーダーがある。もちろん事実だ。相手も相当ビビってる。もう少し遊びたくなるもんでしょ。思わん?」
「思うわけないだろう」
「そもそも今ビビってるのに牽制しても意味ないし。忘れた頃に牽制しなきゃな。効果は長続きしないだろう」
大介より頭が良かったようだ。少し悔しいが納得する。
「あー…お前さ…杖本先輩とかに秘密の話すんなよ。薫さんに筒抜けだぞ〜。まぁしないか」
「しないよ。そんな柄じゃないから」
「お前じゃ話しかけることもできんか」
「おいっ!」
糸井は大介から離れると二チャリ顏で大介を見てくる。それにイラついた大介は糸井を追いかけた。

部活の時間になり、第1班は校門に集まった。
「だいじなおしらせがあります。よく聞いとけよ」
小木がそう言うと、大介らに紙が渡される。そこには、
「東中学体育祭、ですか…」
ついにらしいことができそうだ。
紙にはこう書いてあった。

3週間後に控えた体育祭の手伝いをすることが本校及び中学からも許可された。出動する班は第1班と第3班。活動内容については飲み物販売と各種目の手伝い。
そのために、招集したいのが
新部助(アラベタスク)
高瀬奈々(タカセナナ)
小木雫(オギシズク)
野木原大介(ノギハラダイスケ)
時間は土曜日の8時。
場所は東中学運動場。
エトセトラエトセトラ…

「何で僕が⁉」
まず大介が言いたかったのはそれだ。招集されるのが顧問や3年生なのになぜ1人だけ1年生なのか。
言ってみると小木がビシッと大介の鼻先を人差し指で突く。
「そうやって噛み付いてくるところ。拓馬も裕子も私の意見でしか動いてくれないし、自分の意見言わないし、こっちは意見が欲しいわけ。わかる?」
「大変ご立派なご意見で…いいと思います」
大介はいつもならもっと噛み付いたが、あえて東田や杖本のように流れるままに委ねてみた。
「じゃあ決定。以降の文句は受け付けません」
小木は大介の浅知恵をあっさり無視する。大介は思わず苦笑してしまう。向こうの方が1枚上手だ。
「後は各自昨日通り。解散!」


4月28日土曜日。
服装は自由と言われたので、ボトムにジーンズ、まだ寒いので、薄手の長袖にカジュアルスーツを着た。これはファッションに気にしたのではなく、体つきが似てきた父のお下がりだ。正直、おしゃれに金を使う感覚がなく、最近では父のお下がりをよく着る。でも、まったくファッションに興味がないわけではなく、テレビでみた芸能人のファッションを真似てみたのだ。テレビにでるイケメンの着るファッションに大抵ハズレはない。前のボタンは全部外し、若者らしさを演出して、約束通り東中学校に行くのだが、その道中、
「あれは…高瀬先生?」
元々西中学校出身の大介は正反対に位置する東中学校の行き方を知らない。そのため、東中学校出身だと言った香坂に地図を書いてもらったのだ。
「街の大通りを行けば迷わないけど、入り組んだ道を行った方が5分短縮できるわ」
香坂がそう言って、丁寧にかかれた地図を渡してくれた。これなら迷うことなしと安心して入り組んだ道を進んでいたのだが、前方に高瀬の姿を捉えた。大変可愛らしい困惑顔でキョロキョロしている。先輩で第3班の反町曰く、それがいいとのことだが…明らかに香坂のかいてくれた地図とは反対方向に曲がっていった高瀬にやや慌てて追いかけ声をかける。
「先生?こっちじゃないですよ?あっち…」
大介の呼びかけにビクッと反応して振り向く高瀬の顔は真っ赤だ。
「え…あぁ…ありがとうございます。えーと…」
「あっ、すいません。自分第1班の野木原です」
教員はいろんな生徒と接するが、大介ら1年生に高瀬の授業はない。向こうがこちらを知らないのは当然だ。それも今日は私服だ。
「あー…1年生の代表の子か〜」
そう話す高瀬はスニーカーに無地の白いスキニーパンツ。黒いカーディガンを羽織ったシンプルな服装だ。高瀬らしいとでも言うのだろうか。
「えーと…道はこっちだと思いますよ?東中学校出身の友人に聞きましたから」
なんとなく「迷」の言葉はいれにくい。歳上が相手なら若干言いにくいのだ。
「ごめんなさい。迷ってたところだったの。ありがとう」
高瀬が横並びに歩いて行くのだが、
意外と小さい。160cmくらいか。最近になって身長が大人と同じくらいになり、自分より小さい大人と並ぶとニヤけてくる。
しかし、落ち着いてみると会話がないことに気づいた。高瀬も迷っていたのが見つかってか、恥ずかしそうに黙ってしまっている。
「先生の私服初めて見ました」
無難な話だと思い大介から口を開く。
「そうだよね。私も初めて見た。学校じゃ制服だもんね。…結構大人な感じ」
高瀬の視線が大介の下から上まで見てそう言う。大介は特に意識して選んだわけではないので、恥ずかしそうに頭を掻く。
「自分は父のお下がりをもらっているだけなんで…」
確かにこの歳でカジュアルスーツを着ている人はこの街には少ない。元々ファッション業界の介入があまりなかったため、男子でおしゃれをしようとする者が少ないのだ。そのためか、若干流行に遅れている。父は実家が平野部のためか、帰省する度に新しい流行を拾ってくるのだ。カジュアルスーツもその産物だ。そのためかこの街の洒落者は、ハイシャロウ社の次期社長の高瀬浩一くらいだろう。まだ27歳で6ヵ国語が話せて、優れた美貌は各地で彼の活躍を支える。一度店を訪ねてきたが、話し方から受け答え、姿勢までどれもこれも非の打ち所がなく大介の憧れだ。…高瀬?
「そうなんだ。流行にのるお父さんなんだね。」
「え、えぇ…」
そりゃないだろ…社長の高瀬幸三には息子と娘が1人いて…娘?いや、違うはずだ。そうだったら隠さないだろう。…でも1人で頑張りたいって思えば自分の家くらい隠してしまうか?じゃあ聞かないべき?
「先生ってさぁ…」
あぁ聞きたい!聞きたくてたまらない!…えぇ〜い!ここから先は若気の至りぞ!
「ハイシャロウ社と関係あります?なんか苗字が幸三社長と…あっ、自分の父が自転車店の店長でハイシャロウ社の製品をよく取り扱ってまして…」
ピタリと高瀬が止まる。…やっぱりそうなのか?そうだったら…
高瀬は恐る恐るこちらの機嫌を伺うような子犬みたいな顔で見てくると、
「…内緒にしてもらえますか?」
そう聞く時点で白状してる。
「約束しますよ。口は堅い方ですから。」
ここで「バラすに決まってんじゃん」とか下衆な発言はできない。
「私ね。ドジなんだ」
「うん知ってた」なんて言えるわけがない。
高瀬は足を止めると、大介も止まる。
「それでね。父や兄に頼ってばっかりで…だから…」
「あー別に話さなくてもいいですよ。世の中いろんな人いますから」
話が重くなりそうと思った大介はそう制すと、高瀬の手を握る。お互いがお互いの顔を見る。
「何があろうが高瀬奈々は中央高校の先生ですから」
なんでこんな暴挙にでたんだ?まぁまだ若いから後先考えてないんだわな。
無理やり納得した大介は高瀬に笑ってみせると、手を放し、歩き始めた。
「生徒に教えられちゃった…でもそうsだね」
高瀬はにっこりと笑うと、明るい表情で大介のあとを追った。が、
「きゃあっ!」
つまづいたのだ。そのまま前につんのめり、大介の背中に抱きついた。
「うわっ!?ちょっ!?えっまっ!?」
意外に胸がある!?…ってそこじゃねぇ!いや…そこか?
「ごめんなさい!」
「えっ?」
ゾクッ…なんだこの悪寒。誰かに見られてる。それも何かしらの感情が込められた視線で見られている。
大介は弾かれるように気配のする方向へ顔を向けると、
「あれは…?」
「えっ?」
状況の理解ができない高瀬に比べ、大介はただただ一点を見つめた。
背が小さく尖った耳が特徴のジャージを着た男子の…あれは…

じもふ! No,4

おー…じもふっぽいことがやっと始まりそうですね。
次回もイラストにチャレンジしてみようかなと…チャレンジ精神ですね。

じもふ! No,4

ブラックアウトした大介。宇之数は…! そしてふらりと現れた薫。宇之数の想いが…

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2013-09-05

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