意味なんてない。

私に価値なんてない。
私はずっとそう思ってた。
でも彼は、そんな私を見てくれた。
いっしょに遊んで、お話をして、ずっとそばにいてくれた。
だから私は彼の望みを叶えたいと思った。
彼の望むことをした。
それは当然のこと。
だって私は彼を介してでしか自分の存在を認められなかったから。
そんなある日のこと。
「アイツなんか、消えれば良いのに……」
泣きながら彼は私に訴えたの。
それは今までで、一番強い望み。
だから私は、彼の望みを叶えてあげた。
簡単だった。包丁で胸を一突きすれば済むんだもの。
でも、そのせいで彼はみんなに責められた。
みんな私のせいなのに。誰も私を責めようとはしない。
みんな、彼のせいにする。
それが私には理解できなかった。
ただ分かるのは、彼が悲しんでいることだけ。
でも彼の悲しみは私を突き動かした。
彼を責める人を消して、消して、消して、
消して消して消して消して消して消して消して消して消して消して…………
気付いたら、世界には誰もいなくなっていた。
静かになった世界で私は彼を抱きしめた。昔そうしてなだめたように、その赤黒く染まった両腕で。
でも、彼はどうしても泣きやんでくれない。
「ごめん……。ごめんね…………」
何故か私の腕の中で、彼はずっとそう繰り返すの。
そして最後に、首を傾げる私に彼はこう言ったんだ。
「これが最後のお願いだ。どうか僕を一番無残に殺してくれ」
私は彼の願いを叶えてあげたかった。
だから私は、彼の体を引き裂いた。
体を切り裂いて、内臓を引きちぎって、彼の骨を折った。
その間、ずっと彼は笑っていた。でも、途中で困った顔をしたの。
「どうしたんだい……?」
虫のような彼の声に私は気付いた。いつの間にか、私の手が止まっていた

「ちゃんと殺してくれよ」
私は首を横に振った。
「いまさらだよ。今まで何億人殺してきたと思ってるんだい」
黙る私に彼は笑う。
「みんな死んじゃったじゃないか。僕たちを責めてくれるやつらも、許してくれるだれかも、みんな」
もう終わりにしようと、彼は言った。
「君も疲れただろう。僕を殺して、休むといい」
目を開ける気力すらない彼の顔はひどく安らかだった。
その顔に、私の頬を伝った何かが零れ落ちた。
「僕のために、泣いてくれるんだね」
それが、彼の最後の言葉だった。
私は泣いた。
何日も、何日も、泣き続けた。
そのうち、涙も枯れ果ててしまった。
私は彼の骸をだいて歩いた。どこか、高いところに。彼に近いところに

そして、飛び降りた。
これで私も死ねる。そう思うと嬉しくて仕方がなかった。
彼のいない日々は本当に辛くて、私の存在がないように思えた。
だから、今はとてもうれしいの。
私は幸福のうちに奈落の底に落ち、そして最後。
自分の頭蓋骨が砕ける音だけが福音のように耳に響いた。

意味なんてない。

見ての通りです。
自分でも何でこんな物を書いたのか分かりません。
でも書き上げた以上は出す。それが私の流儀です。
まあ、書き上がらないと言って出さない時もあるんですけどね(笑)

意味なんてない。

題名のとおり、意味なんてありません。 ただこれに何かを感じることがあるとすれば。それはきっと、あなたにも大切な何かがある。そういうことなのかもしれませんね。 所詮は若人の戯言です。軽い感じで読んでもらえれば幸いですね。

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  • 恋愛
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-30

CC BY-ND
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