赤吹雪~伊吹山編 最終章~

赤吹雪~伊吹山編 最終章~

さようなら、要君……。

私は、要君を許せるだろうか。

私は、要君を許せるだろうか。

私は、正直驚いた。

あの後、要は疑心暗鬼に囚われていたため、

絶対に全員を殺して、
目分を完全に無実にする目的を果たすと思っていたのに。

要は、死んでしまった。

要はあの後、
客全員の布団の中に手紙を置いて、
目分の喉にスタンガンを押し当てて
出力MAXにして、スイッチを押した。

一瞬、要君の四肢がビクンと波打った後、要は泣いたまま、勤かなくなったらしい。

要…君になにがあったのかは分からない。

でも、一つだけ分かる。

彼は、あのメールによって操られたんだ。

要君は操られていた。

メールと、腕を利用して、彼は操られたんだ。

あのケータイは、伊藤 誠の物だと最初は思った。
でも、あの携帯電話の持ち主は違ったんだ。

要君は、大事な所を見なかった。

そう。伊藤 誠なんて名前は、電話帳には存在しなかった。

それに気づかなかったせいで、彼は自分に危険が迫っていると確信した。

近くに、氷柱がいる。

その様に、誤解したんだ。

では、あの腕は何なのか?
あの腕は、伊藤 誠のものでは無かった。

女の人は、
基本的には人差し指よりも薬指の方が長いんだよ。

つまり、あの腕は女の人のもの。
まぁ、たまにホルモンの関係で逆のこともあるけど…
でも、大丈夫。

ニュースでは、「左手」と言っていたんだ。

蕾のものかとも思ったが、それも違った。

蕾だとしたら、あのニュースで言ったはずなんだ。

西園寺 蕾の腕も、無くなっていたって。

あの腕は、要君を嵌めるために用意されたもの。

即ち、この宿に泊まっている人とは、何の関係もないんだ。

でも、この宿に泊まっていた誰かが、持ってきたんだよ。
その腕は私が持ってきた、と言えば、
その言ったやつは氷柱だと思われてしまう。

だから、だれも何も言わない。

この事件は全て闇に消えていった。
これが、五年前に私が体験したこと。

雪が降っているけれど、
この雪を見るたび、彼のことを思い出す。

要君。貴方に、何があったのですか?

赤吹雪~伊吹山編 最終章~

全てが終わりました。
いかがでしょうか。

この物語は、要が「疑心暗鬼」に囚われてしまいました。

要は、最後は死んでしまいました。

結局、「要を殺した氷柱」の正体は不明のままです。

しかし、あなたは全ての情報を持っているのです。

貴方なら、きっと真実に到達出来るでしょう。

真の「要を殺した氷柱」を。
次章、「水無月」でお会いしましょう。

Thank you for reading!

赤吹雪~伊吹山編 最終章~

要が死んでから五年後。 彩は、友達と共に神社の前を歩いていた。 気がつくと、足元には雪が積もっていた。 そして、彩はあのときのことを思い出す。 現実接近型短編小説、最終章

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-10

Public Domain
自由に複製、改変・翻案、配布することが出来ます。

Public Domain