夏雲

みや

夏雲

美味しそうな、夏の雲ー

夏の雲って、なんであんなに美味しそうなのかな…と思う。
フワフワのモコモコで、食べたくなる…
そんな事を考えながら友達の優香ちゃんと学校の帰り道を歩いていると、後ろの方から同じクラスの男子達の声が聞こえてきた。

「あのシュークリームみたいな雲、おれのだからな!」
五年生にもなって、そんなバカみたいな事を言うのは翔太に決まっている。
「バカじゃないの?」私がつぶやくと優香ちゃんは笑った。
「でも美咲ちゃんと翔太って、仲良いよね?」
「別に仲良くなんてないよ、一年生のときからクラスがずっと一緒なだけだから」
一年生のときは確かに仲が良かった。二年生のときも。三年生のときも。
でも四年生になってからは、あんまり一緒に遊ばなくなったし、話さなくなったし…

五年生になってからは、なんだか知らない人になっちゃったみたいで…
別にいいんだけど、だけど一年生の時に一緒に夏の雲を見ながら、美味しそうだね、って一緒に笑った事とか翔太はもう忘れてるんだろうな、と思うとちょっとさみしい。

私と優香ちゃんをバタバタと五人くらいの男子達が楽しそうに追い越して行って、その中に翔太の後ろ姿もあって、なんだか蹴り飛ばしたい気持ちになった。

男子達のワーワー騒いでいる声の中から、突然翔太の声が聞こえた。
「美咲はおれのだからな!」

「バ、バカじゃないの?」
真っ赤になった私の隣で優香ちゃんがくすりと笑った。

夏雲

大人になっても、夏の雲は美味しそうです。

夏雲

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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