恋文

言葉で自分の思いを伝えられず苦しいときに、人は手紙などの媒体にその思いを残す。 なぜだろう・・・・。

恋文

・女性目線

誰かに見られているそんな気がしたので、振り向いて見ると私が気にしている男子だった。

私はチャンスと思って、思い切って笑顔で返して見た。でも、途中で恥ずかしくなって、すぐ前を向き直して少し早足になってその場から去った。

あとから思うと、恥ずかしい気持ちが込み上げてきたけど、笑顔が良かったのか3日後に彼からプロポーズされた。

私は飛び跳ねたくなるほど嬉しかったけど、ぐっとこらえて「いいよ。」と一言だけ言った。

しばらく、彼との幸せな日々が続いていたけど、ある日、街で彼が別の女子とデートしている所を見かけた。

次の日に彼に問いただすと彼が二股していることを知り私は怒って彼の左頬を叩いて泣きながらその場から走り去った。
叩いた右手より心の方が痛かった。

その後、彼とは口もきかなかったが、噂で彼が二股していた彼女と別れたのを知ったけど、とてもやり直す気にはなれなかった。

矛盾してるけど、家に帰ると、「好きだったのに、どうして・・・どうして。もう一度やり直したい。まだ、あなたが好きだから・・・でも怖い。」とあなた宛ての変わった恋文を綴っていた。あなたには届かないけど・・・。

・男性目線

僕が大学一年生の時に君と出会った。君は綺麗な長い黒髪を揺らして僕の方に振り向いて眩いばかりの笑顔を僕に見せてくれた。

その時から君に惹かれた僕は、よく君を見かける度にじっと君の方を見つめていた。

意を決して君に告白した時、君は笑顔でOkしてくれた。それから暫くは君と幸せな恋愛をしていたけれど、僕が別の女性からプロポーズされたときからその関係が崩れ始めた。

二股なんて考えなた事も無かったけど、彼女の勢いに押されて僕は承諾してしまった。 君に隠しながら二股を続けていたけどそんな嘘もつけ続けられるわけもなく。

君は泣きながら僕に迫ってビンタを左頬にもらって君は去っていった。
思えばそれが君の最後の温もりだった。


もう一人の彼女ともうまくいかずに別れて僕は一人になった。

一人になってまた遠くから見かける君の姿を見て彼女を裏切った自分に後悔した。
一人家に帰ると君に見せる事のない君宛ての恋文をひたすら書き綴っていた。 「君が好きだったのになんで・・・なんで裏切ってしまったんだろう。あの時なんで断られなかったんだろう。もう君に伝えられないけれど・・・。ごめん。君のことが好き。だから大学生活の間は君を遠くから見守ってるよ。」
と君に送られない恋文を僕は君宛てに綴っていた。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-16

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