詩情を挟めば。




・詩情を挟めば




  コーヒーが僕は好き。
  僕はコーヒーが好き。
  好き,僕はコーヒーが。
  僕は好き,コーヒーが。
  コーヒーは,僕が好き?
  コーヒーが好き,僕は。







  私は吊革が好きになれない。
  吊革が私は好きになれない。
  好きになれない,吊革が私は。
  好きになれない吊革が,私は。
  私は吊革が好きになれない。
  吊革は私が好きになれない。
  好きになれない吊革が私は。
  好きになれない吊革は私が。






 

  勿体ぶって,言わないでいて。
  言わないで勿体ぶっていて。
  勿体ぶって,いて言わないで。
  いて,言わないで勿体ぶって。
  勿体ぶって言わないでいて?
  勿体ぶっていて。
  言わないで。







  車内から書いた文字はきっと反対になって。
  書いた文字は車内から反対にきっとなって。
  文字は車内から反対になってきっと書いた。
  反対になって車内から書いた文字はきっと。
  車内から反対に,なっては書いた文字。
  
  





  4月のショートケーキは桜というより雪に近い色。
  ショートケーキよりも桜色に近いという4月の雪。 
  





  



  見えなくなっても振ってると思うから。
  振ってると思う,見えなくなってからも。
  振ってるからと思う,見えなくなっても。
  思うから。見えなくなっても振ってる。
 
  



 




  金魚越しに見える赤色の浴衣の君は黒髪をやめていた。
  君は浴衣,黒髪越しに,見えるのをやめていた金魚色の赤。



 
 



 


  星で時間を推し量ろうとする時間を大事に過ごした時が一緒にある。
  星が量ろうとする時で,推した時間を一緒に過ごし,ある時間を大事に。






  洗濯物を上手に畳むところが私よりも良いところだと言われても。
  良いところを言われても,と洗濯物を上手に畳むところがより私だ。





  いってきますはおかえりより先に。
  先におかえり,いってきますよりは。





  オハヨウを先に言われるようになったのはいつからか,話すためにオハヨウ言う。
  言われるようになったかオハヨウを。先に言うのはいつ?話すために,オハヨウから。
 




  


    
  明日に会える今日に向けて昨日から歩んだ。
  歩んだから今日に向けて会える,昨日に明日。
  






  手でチャイムを鳴らす。
  鳴らす手でチャイムを。
  





  


  待ち合わせの約束は待ち合わせをする約束になる待ち合わせ。
  待ち合わせは約束になる待ち合わせをする約束の待ち合わせ。

 





  きっと会えると。
  会えるときっと。







  雪と桜に近い4月の色言うよりはショートケーキ。 







  コーヒーが僕は好き。
  僕はコーヒーが好き。
  好き,僕はコーヒーが。
  好き,コーヒーが僕は。







  コーヒーが好き?
  僕は。


  

詩情を挟めば。

詩情を挟めば。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-23

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