生きれる根源

自殺の名所・・・。 人間はなぜ自殺をするのか、それは生命とはただ生きることで守れるものではないことを示していると私は思う。

自殺をしなければその人間は自分自身の生命を守ることができないのである。ここでいう生命は現実世界を生きることが生命を守ると言うことではない。

人間は生きるということよりも大事な何かを守らなければいけないものがある。

それを守るために自殺をしてでも守り抜くのだ、自分自身の生命をなにが何でも・・・。

これは、上司 幾太 が人間の自殺について考え、人間の大事なものが何なのかを作者自身がわからないながらも、手探りするように書き綴った作品である。

生きれる根源

青木ヶ原樹海は毎年、たくさんの人々が観光に訪れる場所と同時にたくさんの人々が死に場所を求める場所でもある。

僕は昆虫採取が好きで度々、樹海には足を運んでいた。

その日もいつもどおり昆虫採取をしていると、一人のおじさんが話しかけてきた。

「虫はたくさん捕まったかい?」 僕が声に反応して振り返ると、そこには荷物を何一つ持たずに、薄手のシャツと長ズボンを履いたおじさんがいた。

観光にしてはずいぶん身軽な格好をしているなと思ったがあまり深くは聞かなかった。

おじさんが一緒に昆虫採取をしたいというので、おじさんと一緒に昆虫採取をした。

日も落ちてきて、帰る頃になるとおじさんは「今日は楽しかった本当にありがとう。」と感謝の言葉を言われた。

僕はおじさんに「おじさん虫のこと詳しくて、一緒に遊んで楽しかったよ。」
「また、あそぼうよ。」

おじさんは急に目から涙を流して「ごめんな。おじさん遠いところに言ってしまうからもう一緒にあそべないんだ。」と言った。

おじさんは最後に僕に質問した。「君は生きるために一番大事なことはなんだと思う?」

僕は「よく食べて、よく遊んで、よく寝ることかな。」と答えた。

そうするとおじさんは「そうだね。生きるためには確かにそれは大事なことだね。」「けどね、よく食べて、よく遊んで、よく寝るためには。」

「自分自身が生きたいという意思が必要不可欠なんだよ。」

「生きたい意志を持つには、心が生きてないといけない。」

「生きるために本当に大事なのは、生きる手段ではなく、生きたいと想う心なんだ
。」

まだ、きっと君にはわからないと思うけど、もしこの先思い悩むことがあれば、このおじさんの言葉を思い出してご覧。君はきっとおじさんのようにはならず、踏みとどまることができるはずだから。

最後におじさんはそう言って、樹海の森に消えていった。

あれから、12年僕は二十歳を迎えて社会人になった。

今では、おじさんの言っていたことがわかる。

今の社会は生きる手段を大事にしている人が多すぎるだからこんなにも虚しいことばかり起こってしまう。

おじさんの言ったように生きたいと想う心を大事にしていればこんなに虚しいことにはならずにすむのに・・・。

それに気づかせてくれたおじさんには感謝してもしきれないよ・・・。

生きれる根源

生きれる根源

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-24

Public Domain
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