アルゴリズム社会の到来

1.金融システム

突然ですが、あなたが銀行から家を買うためにローンしたお金がどこからきたかのでしょう?
なぜ銀行はあなたに数千万円のお金を先んじて家を買うために渡すことができたのしょうか?そのお金を銀行が持っているから?

いいえそうではありません。

銀行はローンを組むこともできますが、お金を預けることもできます。

それでは誰かの預けたお金をあなたにまわしているだけでしょうか?

いいえこれも違うのです。

実は銀行はコンピューターに、あなたにX円の借金がありますと
記載しただけで、あなたにお金を「貸したこと」にできるのです。

銀行は、例えば1億円のお金を持っていれば、9億円以上貸し出してもよいと国が「法律」で保証しています。
(この場合の銀行の自己資本比率は10%になります)
また、預金の金利より、ローンの年利の方が数十倍高く設定されます。企業として利益を稼ぐという名目です。
しかし本当は銀行とは「少しでも」お金が戻ってくれば儲かる機関です。お金が戻ってくればくるほど、自己資本
はふくれあがり、さらに大きく誰かにお金を貸し出しできるのです。

1億円貸して、1000万円しか戻ってこなくても、自己資本は1億1000万円になります。
つまり銀行は次から9000万円さらに多く貸し出せることになります。

その結果おこることは何でしょう?果てしない、お金そのものの分量の拡大です。それがインフレなのです。
たった数十年前に1円で家が買えたのに、今は数千万倍の額面でしか家を買えないのはそのためなのです。

もう少し考えてみましょう。お金を借りている人は、借りたお金以上のお金を銀行に返さないといけません。

そのお金はどこからくるのでしょう?その唯一の方法はビジネスによって誰かからお金を取ることです。
いやお金を取られた人はどうなるのでしょう?その人も誰かからお金を取るなければいけません。

これはいつまで続くのでしょう?いつまでも続きます。そして、お金を誰かより得るより、とられる量が多い
人は破産します。この破産はシステムに最初から組み込まれているものなのです。なぜなら金利のお金はそもそもどこにも存在しないからです。

これが金融システムの肝です。なんでこんな物が国家の機能としてあるのでしょうか?
むろん果てしない人間の生涯続く、お金の奪い合いが、生産活動を誘発し、国力を増大させるからです。
1900年代はまさに国と国が力で競い合い食うか食われるかの時代でした。そんな中金融システムが国力の増大に
一役買ったのです。

国民は借金の奴隷となり、椅子取りゲームで椅子に座れない事態をさけるために必死になって働き
続けます。そのことが国全体の豊かさや強さと直結していったのです。

そんこと知らなかったと思うでしょう。しかし、すべて物事には言わない方がよいこと、言ってしまうと
意味をなさなくなる物が存在するのです。


2.第二の支配の波

今世界でおこっていること、金融システムによる国民のコントロールに続き、一つとても大きなうねり
となって不気味に増大している力があります。
金融システムは、個々人の趣味趣向や考え方にまで、影響を与えることはできませんでした。
私たちは自分の時間の半分を労働に費やせば、思想を自由に持ち、好きな物を買い、好きな人と出会い好きな生活をおくる自由を奪われる
ことはありませんでした。

しかし今、それらが少しずつある物に、置き換わりつつあります。
それはアルゴリズムです。

データセンターに膨大な個人情報を蓄えている、私企業のアルゴリズムは、既にあなたが欲しい物を
決めようとしています、あなたの思想信条に合わせてすり寄ってきます、さらにあなたの恋人すらも選びだします。

現時点では、アルゴリズムが成すのは、あなたに対する提案にすぎません。
あなたが無料で便利だと教えられたウェブサイトに少しずつアップロードされる個人情報、それらは、膨大な人数分蓄積され、俯瞰的に
アルゴリズムが処理し、最適な有料のサービス、別の企業のサービスへの誘導のために使用されます。
それらが行っていることはただ一つ、あなたの趣向の割り出しです。

もちろん、それが全面的に悪いと言っているのではありません。このことによって、私たちは知り得なかった
ことを知り、知り得なかった生活や物を手に入れ、知り得なかった人々に出会えるかもしれません。

やがて、私たちは便利だからという理由で、過度に進化したアルゴリズムの結果を自分の決断と置き換えていく事態になるのは
目に見えています。

さて、ここで問題なのはただ一点、私たちは一営利企業の所有しているアルゴリズムを信じきれるでしょうか?

金融機関を持った国家が私たちの仕事を支配したのと同様に、
個人情報を膨大に所有しそれを処理するアルゴリズムを持った企業が私たちの趣味趣向を支配し始めるとしたら?

彼らに、手綱をあたえてしまってもいい物か、考えなければいけませんが、考えたとしても今や他の選択肢がありません。
考えてみればインターネットの主要なサービスは、企業に所有されているのです。

検索エンジン、SNS、それらが企業の秘密のサーバーで、個人情報がどのように扱われているのか、どのように処理されているのか
私たちは、知る手だても、今すでに与えてしまっている情報から何をされても、それを、防ぐ手だてがありません。

これが私の最大の警笛です。

私たちは考えもせずにすでに与えるだけ情報を与え、それらに慣れてしまっています。今後どのようなアルゴリズムが生まれるか
も知らずにです。

アルゴリズム社会の到来

アルゴリズム社会の到来

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-08

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