ニコニコスーパー

二つの視点で語る話なので少々見にくいとおもいます(笑)
ですが、よろしくお願いします

(人)


「やったのはお前だろ」
店長は俺に疑いの目を向けた。
「違いますよ」そう言ってもその視線から免れることができなかった。

「じゃあ五時頃、どこにいたんだ?」
「その時間帯は休憩室でタバコ吸っていました、ただそれだけです」
「ほんとうかい?」
「本当ですよ」

給料袋が盗まれたのは、つい一時間前だった。
俺と違う人の休憩時間の間に行われた犯行だった。
どれだけ俺が人相悪くてもそんなことはたらかない。
店長は腕を組む、ニコニコスーパー店長、と書かれた腕章が手で見えなくなった。

「あの時間、犯行は君以外分からないんだ、君は人相も悪い。認めたらどうだ」
「そんなので決めないでください、僕はやっていません。それに他はいないんですか?」
俺の質問に店長は首を傾げた。

「他? 考えてみてくれよ君。君の前に入っていた前田くんが休憩しているときには誰も来ていないんだよ?ということは私が事務所の電話を取った以外にこの裏側には誰も出入りしていないんだよ」

「やってません、それに給料袋がどこにあるかも知りませんでした」
店長は薄ら笑いすると「嘘つくな」と、言った。
「君が昼来たとき真っ先に、ロッカーの上にあると話しただろう」
休憩室とロッカーは場所が離れている。ロッカーは搬入口近くにあって、休憩室はその奥にあるのだ。
「とにかく、給料袋が見つかれば君が犯人だ。警察が来るまで待っていなさい」
「待ってください」
そんな俺の言葉を聞かずに店長は休憩室を出ていった。

(ロッカー)


前田さんが出ていったあと入れ違いに加藤が入ってきた。加藤は俺に興味も示さず横を素通りして休憩室のドアを開けた。
俺の前には四人掛けの簡易机があって、その左には事務所の子機があった。

タバコの臭いがする。
俺の頭の上には給料袋があった。
その時、誰かが入ってきた。ソイツは休憩室のドアが閉まっていることを目で確認すると、ポケットに入れていた仕事用の携帯を出すと、どこかに電話をかけた。

子機が鳴った。ソイツは受話器を取ると、わざとらしく
「あーはい注文ですね」
と、言いながら給料袋に手を伸ばした。
給料袋を自分のカバンに入れると、狡猾そうに奇妙に笑うと

「加藤くんそろそろ休憩終わりだよ」声をかけた。
するとドアの奥から「はぁい」という間抜けそうな声が返ってきた。

悪魔のような笑みを浮かべているソイツの右腕には
ニコニコスーパー店長という腕章が巻かれていた


ニコニコスーパー

ありがとうございました

ニコニコスーパー

給料袋が盗まれる話です

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-08

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